ソードアート・オンライン 紫紺の剣士   作:仮面大佐

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今回は、ヒースクリフの正体がバレるところまで行きます。
遂に、アインクラッド編もあと少しで終わりです。


第24話 奈落の淵

 カナとの一時的な別れからしばらくして、俺とミトは、キリトとアスナに、釣りイベントに誘われて、大物を釣り上げた。

 しかし、その時に、血盟騎士団の両副団長がここにいる事がバレた。

 そして、その日の夜に、75層のボス攻略戦への参加を要請するヒースクリフからのメッセージが届いた。

 翌朝、俺達は準備をしていた。

 

ミト「まさか、新婚生活が2週間で終わるなんてね。」

カルム「もうちょい一緒に居たかった。」

 

 経緯が経緯故に、今回の要請は断る事が出来たはずだ。

 しかし、ヒースクリフの「既に被害が出ている。」という一文が重くのしかかった。

 俺は、ここ最近着けていなかった防具に、ブレイラウザーにラウズアブソーバーを腕に装備した。

 今回の75層のボスは、クォーターポイントである。

 つまり、グリームアイズの時よりも更に厳しい戦闘になる事が容易に想像がつく。

 

ミト「まあ、話を聞くだけ聞いてもいいんじゃない?」

カルム「そうだな。」

 

 俺達は、先に来ていたキリトとアスナと合流して、グランザムへと。

 その際に、ニシダさんが見送ってくれた。

 血盟騎士団の本部に着いた俺達が聞かされたのは、衝撃的な知らせだった。

 

カルム「偵察隊が、全滅……!?」

ヒースクリフ「昨日の事だ。75層の迷宮区のマッピング自体は、時間は掛かりつつも何とか犠牲者を出さずに終了した。だがボス戦はかなりの苦戦が予想された……。」

 

 そう、25層のボスには、軍の精鋭がほぼ全滅。

 50層のボスには、猛攻に怯んだ結果、勝手に緊急脱出をする者が続出して戦線が一度崩壊して、全滅の憂き目に遭いそうだった。

 

ヒースクリフ「……そこで、我々は五ギルド合同のパーティー20人を偵察隊として送り込んだ。偵察は慎重に行われ、10人が後衛としてボス部屋前で待機した。しかし、最初の10人が部屋の中央に到達して、ボスが出現した瞬間、入り口の扉が閉まってしまった。扉は5分以上開かずに、鍵開けスキルや直接の打撃攻撃も無駄だったらしい。ようやく開いたと思ったら、部屋の中には、何も無かったそうだ。10人の姿も、ボスも。その後、黒鉄宮まで確認しに行かせたのだが……。」

 

 そう言って、首を左右に振った。

 アスナとミトが絞り出す様に呟いた。

 

アスナ「十………人も……。」

ミト「何でそんな事に……。」

キリト「まさかと思うが……。」

カルム「結晶無効化空間……?」

ヒースクリフ「そうとしか考えられないだろうな。74層も同様だった事から、恐らく、今後全てのボス部屋が結晶無効化空間と思っていいだろう。」

カルム「嘘だろ……。」

 

 つまり、緊急脱出不可。

 死ぬ確率が飛躍的に上昇した。

 本格的なデスゲームになってきた。

 

ヒースクリフ「だが、攻略を諦める訳には行かない。結晶による脱出が不可な上に、今回は出現と同時に退路が断たれてしまう。新婚の2組を召喚するのは不本意だが、了承してくれ。」

キリト「分かりました。だが、俺にとってはアスナの安全が最優先です。もし危険な状態になったら、アスナを守ります。」

カルム「それは、自分も同じです。いざという時は、ミトを守ります。」

ヒースクリフ「何かを守ろうとする人間は強いものだ。君たちの勇戦を期待するよ。攻略開始は3時間後。予定人数は君達を入れて34人。75層コリニア市ゲートに午後1時集合だ。では解散。」

 

 ヒースクリフと幹部陣は、退出した。

 その後、俺とミト、キリトとアスナの2組に別れた。

 

ミト「3時間も空くね。どうする?」

カルム「そうだな。」

ミト「……何を考えているの?」

カルム「バレた?」

ミト「そんな顔の時の君は、何かを考えている証だからね。」

カルム「………正直、君を行かせたくない。もしも何かあったら……。」

ミト「私だけ安全な所で待ってろって?それで帰って来なかったら、私、自殺するよ。」

カルム「……すまん。これからボス攻略の時にそんな事を考えちゃダメだよな。」

ミト「でも、皆怖いんだと思うよ。でも、キリトにカルムに、団長。その3人が居るから皆が来てくれた。だからさ、期待に応えよう。」

カルム「………そうだな!悪い。弱気になっちまった。終わったら、一緒に帰ろうぜ。」

ミト「うん……。」

 

 俺達は、お互いを抱きしめていた。

 その後、キリトとアスナと合流して、75層の主街区へ。

 そこには、既に大量のプレイヤーが。

 俺たちを見た途端、一斉に黙り、敬礼をしてくる奴もいた。

 

クライン「よう!」

 

 右肩を叩かれたので、振り返ると、クラインにエギル、チェイス、ハヤト、ノーチラス、ユナ、ラットが居た。

 

カルム「ノーチラス、久しぶりだな!」

ノーチラス「僕も、参加させて貰うよ。」

ユナ「私は、ノー君が守ってくれるから。」

チェイス「俺達も参戦だ。」

ハヤト「頑張ろうぜ!」

ラット「リズが待ってるんだ。死ぬ訳にはいかないな!」

 

 俺達が話していると、午後1時ジャストに、ヒースクリフ達が現れた。

 

ヒースクリフ「欠員は無いようだな。よく集まってくれた。状況は既に知っていると思う。厳しい戦いになるだろうが、諸君の力なら切り抜けられると信じている。……解放の日の為に!」

 

 本当に、ヒースクリフはカリスマがある。

 一体、現実世界では何をやっていたのか?

 そして、ヒースクリフは俺とキリトの元に近づいてくる。

 

ヒースクリフ「キリト君、カルム君。今日は頼りにしているよ。」

 

 ヒースクリフは回廊結晶を取り出して、俺達は、ゲートを通って、迷宮区へ。

 ミトとは手を繋いでいる。

 そうして、ボス部屋の前に着く。

 

ヒースクリフ「皆、準備はいいかな。今回、ボスの攻撃パターンに関して情報が無い。基本的にはKoBが前衛で攻撃を食い止めるので、その間に攻撃して欲しい。では、行こうか。」

カルム「死ぬなよ。」

ハヤト「お前もな。」

チェイス「死ぬ訳にはいかない。」

ラット「さっさと終わらせて、リズの元に帰りたいぜ。」

ノーチラス「行こう、ユナ。」

ユナ「うん。」

 

 ボス部屋が開き始めて、プレイヤーは一斉に抜刀し、俺もエボリューションキングを発動して、右手にキングラウザーを、左手にブレイラウザーを持つ。

 

ヒースクリフ「戦闘、開始!」

 

 俺達は、ボス部屋へと突入して、扉が閉じる。

 だが、ボスは出現しない。

 

冒険者「おい……。」

アスナ「上よ!!」

ミト「上空!」

 

 そこに居たのは、骸骨の百足だった。

 名前が表示されて、The Skullreaper、直訳して、骸骨の刈り手。

 そいつは、不意に落下してきた。

 

ヒースクリフ「固まるな!距離を取れ!!」

 

 ヒースクリフの叫び声で我に返り、全員が動き出す。

 しかし、骨百足の落下予測地点の真下に居たプレイヤー3人の動きが、僅かに遅れた。

 

キリト「こっちだ!!」

カルム「早く!!」

 

 だが、間に合わなかったのか、落下の衝撃でたたらを踏み、背後から攻撃されて、吹っ飛ばされて、全員、死んだ。

 

ミト「っ!!」

ユナ「え?」

カルム「一撃で、だと!?」

ノーチラス「そんなバカな!?」

アスナ「無茶苦茶だわ……。」

ハヤト「マジかよ!?」

チェイス「嘘だろ……!?」

 

 俺達が唖然としていると、骨百足は、別の一団に襲いかかる。

 しかし、ヒースクリフが迎撃する。

 もう片方の鎌は、キリトとアスナが迎撃していく。

 

キリト「皆!側面から頼む!!」

カルム「ああ!!」

ノーチラス「行くぞ!」

ユナ「皆、お願い!!」

ミト「………っ!!」

 

 そうして、俺達と骨百足との戦闘は、約2時間にも及んだ。

 その際に、俺はミトと連携をしていた。

 しかし、俺はミトが生き残ったのは嬉しかったが、周囲の人は、たくさん死んだ。

 

ノーチラス「何人……やられた?」

 

 ノーチラスの問いに、俺は確認して、答えた。

 

カルム「………14人も死んだ。」

ハヤト「嘘だろ………!?」

チェイス「漸く、4分の3だがな。」

 

 まだ、25層もあるのだ。

 このペースでは、ラスボスと戦えるのはたった1人になりかねない。

 恐らく、ヒースクリフだ。

 ヒースクリフは、普通に立っていた。

 だが、その視線に違和感を感じた。

 そう、あの時の決闘の時のような。

 キリトも同じ様に感じたようで、俺が気づいた時には、俺と同時に駆け出して、レイジスパイクを繰り出していた。

 その時、攻撃を受けたヒースクリフの胸に、システムメッセージが。

 【Immortal Object】、それは、先日のユイやカナも見せた属性だ。

 

アスナ「キリト君、カルム君、何を……!?」

ミト「システム的不死……?どういうことですか、団長……?」

キリト「……この世界に来てからずっと疑問に思ってたんだ。アイツは今、どこから俺たちを観察し、世界を調整してるんだろう、ってな。でも俺は単純な真理を忘れていたよ。どんな子供でも知ってることさ。」

カルム「《他人のやってるRPGを傍から眺めるほどつまらないことはない。》……そうなんだろう、茅場晶彦。」

 

 俺達は、そうカミングアウトした。




今回はここまでです。
色んなキャラを再登場させました。
いよいよ、茅場晶彦との最終決戦です。
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