ソードアート・オンライン 紫紺の剣士   作:仮面大佐

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今回は、須郷との決着がついた頃までです。
最後は、カルムが再び安田巧博士と接触します。


第15話 泥棒の王VS2人の鍍金の勇者

カルムside

 

 茅場のサポートもあり、俺達は問題なく動ける様になった。

 

オベイロン「ば……バカな………。何で茅場がいるんだよ……!?」

カルム「さあ?」

キリト「盗んだ玉座の上で、独り踊っていた気分はどうだ?」

オベイロン「ガキども……!この僕に向かってそんな口を……!システムコマンド!!オブジェクトID《エクスキャリバー》をジェネレート!!」

 

 だが、何も起こらない。

 それもそうだ、既に権限はキリトに移行しているのだから。

 

オベイロン「システムコマンド!!言う事を聞けこのポンコツが!!」

 

 そんな事を喚き散らす須郷を無視して、アスナとミトの方を見る。

 2人の服は須郷に無理矢理引きちぎられた。

 しかし、2人の瞳は未だに輝きを失っていない。

 

キリト「すぐに終わらせる。」

カルム「だから、待っててくれ。」

 

 2人は小さくだが、確かに頷いた。

 虐げられたミトを見て、須郷に殺意が湧いた。

 

キリト「システムコマンド!オブジェクトID《エクスキャリバー》をジェネレート!」

 

 その声と共に、ヨツンヘイムで見た、あの聖剣が現れた。

 キリトは少し苦笑して、須郷に向かって放り投げる。

 それを須郷は危うい手つきで受け止める。

 キリトが自身の剣とライドブッカーを構え、俺はメダジャリバーとガシャコンブレイカーを構える。

 

カルム「決着をつけよう。泥棒の王と2人の鍍金の勇者の……!」

キリト「システムコマンド、ペイン・アブソーバをレベル0に。」

オベイロン「何!?……茅場!!何でアンタは死んでまでも僕の邪魔をする!!アンタはいつもそうだ!いつだって何もかも悟ったような顔しやがって……僕の欲しい物を端から攫って行って……!!」

カルム「須郷。お前の気持ちは分からんでもないよ。何せ、俺たちもアイツに負けて家来になったからな。」

キリト「でも、俺達はアイツになりたいなんて思った事は無いぜ。」

 

 そう声をかけると同時に須郷は襲いかかってきたが、俺達はアッサリ迎撃する。

 

キリト「そう言えば、このライドブッカーって奴、こんな力もあるんだよな。」

 

 キリトがそう言ってライドブッカーを振るうと、須郷の前方の空間が歪んで、オーロラカーテンが出来上がった。

 

オベイロン「目眩しか!だが、そんなの意味がないわ!!」

 

 だが、オベイロンがオーロラカーテンに向かって攻撃すると、オベイロンの後ろにオーロラカーテンが出現して、攻撃がオベイロン自身に当たる。

 

オベイロン「な、何!?」

カルム「本当にチート能力だな。」

キリト「………まったくだ。」

オベイロン「どういう事だ!?」

キリト「このライドブッカーは、カルムが言ってた安田博士曰く、お前の為に作った能力だそうだ。」

オベイロン「アイツ……!!」

 

 キリトの攻撃がオベイロンに当たる。

 

オベイロン「いっ……たぁ!」

キリト「痛いだと?」

カルム「アスナとミトを虐げ、パラドを蔑んだ奴が言うセリフか!?」

 

 俺達は、躊躇なく、オベイロンの右手を斬り裂く。

 

オベイロン「アアアアアア!!手が……僕の手があああ!!」

 

 そして、腹を斬り裂き、オベイロンの上半身を持ち上げる。

 酷い顔だ。

 見ててウンザリしてきたので、俺は上空に須郷を放り投げて、キリトと共に剣を奴に突き刺す。

 お互いに奴の右目に命中して、そのままアイツは消え去った。

 アスナの事はキリトに任せて、俺はミトを捕らえていた鎖を切る。

 力なく崩れるミトを抱き止める。

 

ミト「………ありがとう。」

カルム「いや、俺だけじゃ無理だった。キリトにパラド、アイツが居たからな。」

ミト「……そうね。でも、君には本当に感謝してるのよ。」

カルム「そっか。」

 

 しばらく俺とミトは抱き合っていて、アスナがログアウトし、周囲には静寂が。

 

キリト「……そこに居るんだろう?ヒースクリフ。」

茅場「久しいな、キリト君、カルム君にミト君。」

カルム「アンタ生きてたのか?」

茅場「そうであるとも言えるし、そうで無いとも言える。私は、茅場晶彦という意識のエコー、残像だ。」

ミト「分かり難いことを言うわね。」

カルム「礼は言うけど、助けに来てくれるとはなぁ。」

 

 すると、茅場に苦笑が浮かんだ。

 

茅場「いや、私の後輩の巧君がシステムに分散保存されたこのプログラムを覚醒させて、助けてやれとうるさくてね。それに、私に礼は無用だ。君達と私は無償の善意が通じる仲ではなかろう。」

キリト「どうしろと?」

 

 すると、キリトの手に、何かの卵みたいな結晶が降りてきた。

 

キリト「これは?」

茅場「世界の種子だ。芽吹けばどういう物か分かる。どうするかは君達に一存しよう。では、私はもう行くよ。いつかまた会おう。」

 

 そう言って、また消えていった。

 気づくと、鳥籠のあった場所に戻っていた。

 

カルム「そうだ……!カナ!無事か!?」

カナ「パパ、ママ!!」

ミト「カナ!!」

 

 どうやら、無事で良かった。

 カナとユイ曰く、アドレスをロックされそうになって、ナーヴギアのローカルメモリに退避したそうだ。

 そして、俺達はログアウトする事に。

 その時に、俺とミトもキリトと共にアスナが居る病院へと向かう。

 現実へと戻ってきた。

 

冬馬「ちょっと、出かけてくる!!」

洋子「……どうやら、片付いたみたいね。」

倫太郎「ああ。……外は雪が降ってるから、気をつけろよ。」

 

 自転車に乗り、一旦ミトと合流して、2人乗りになってしまうが、乗せて、所沢の病院へと向かう。

 既にキリトが先行している筈なので、パーキングエリアから敷地内に。

 

深澄「いよいよね。」

冬馬「ああ。」

 

 キリトが乗ってきたであろう自転車があったので、病院へと向かうが、誰かが争っている。

 片方はキリトだった。

 

冬馬「和人!大丈夫か!?」

和人「ああ。何とか……。」

深澄「あれ……!」

 

 深澄が指差す方に、誰かが居た。

 

須郷「遅いよ、キリト君にカルム君。僕が風邪引いちゃったらどうするんだよ?」

冬馬「須郷……!」

 

 そこに居たのは、須郷伸之だった。

 奴の目は限界まで見開かれて居たが、右目は収縮したままだった。

 

須郷「酷い事するよねぇ、2人とも。まだ痛覚が消えないよ。」

冬馬「……須郷、お前はもう終わりだ。」

和人「大人しく法の裁きを受けろ。」

深澄「自首しなさい。」

須郷「終わり?まあ、レクトはもう使えないけど、僕はアメリカに行くよ。その前に、とりあえず、君たちは殺すよ。」

 

 そう言って襲い掛かる。

 どうやら、最優先はキリトらしく、キリトの方に向かっていく。

 

冬馬「深澄。下がってくれ。」

深澄「分かった。」

 

 キリトにナイフを突き刺そうとした瞬間、蹴りを入れて、阻止する。

 しかし、雪が積もっている結果、滑ってしまい、床に頭をぶつける。

 おでこに手を当てると、血が出ていた。

 

冬馬「クッ!」

須郷「何すんだよ。なら、お前も殺す。」

 

 ターゲットを俺に変えたのか、ナイフを突き刺そうとしてくる。

 すぐさま転がって回避する。

 ただ回避するだけでなく、ナイフを遠くに飛ばす。

 

須郷「何!?」

冬馬「ハアッ!」

 

 そして、カウンターに腹に殴りを入れる。

 すると、あっさり気絶した。

 

冬馬「大丈夫か?」

和人「ああ……。」

深澄「とにかく、縛っておきましょう。」

 

 奴のネクタイで腕を縛って動けなくする。

 

深澄「冬馬……!頭が……!」

冬馬「大丈夫だ。」

和人「行こう。」

 

 病院の中へと入るが、深澄以外は怪我をしていて、酷い有様だ。

 受付の所まで行くと、看護師が気付いたのか、驚いた声を上げる。

 

看護師「どうしたんですか!?」

和人「駐車場で、ナイフを持った男に襲われました。」

冬馬「白いバンの向こうで気絶してます。」

看護師「警備員、至急一階ナースステーションまで来て下さい。」

 

 警備員がやって来て、看護師が説明すると、顔を顰めて、通信機に何事か呼びかけて、エントランスへと向かった。

 残った看護師は、俺達の傷を見ていた。

 

看護師「君達、12階の結城さんのご家族よね?傷はそこだけ?」

冬馬「はい。」

看護師「そう。すぐにドクターを呼んでくるから、そこで待ってて。」

 

 キリトを行かせるために、カウンターに身を乗り出して、ゲスト用のパスカードを掴み取って、キリトに渡す。

 

冬馬「ここは俺達に任せろ。」

深澄「何とか言い訳は考えておくから、アスナの元に行って。」

和人「ありがとう……。」

 

 そう言って、和人はアスナの病室へ。

 

和人side

 

 ようやく、会える。

 その一心で、アスナの病室へ。

 そして、心の中で、2人に感謝している。

 あの2人だけじゃ無い、俺とアスナを会わせる為に、皆が協力してくれた。

 ドアを開けると。

 

『ほら……待ってるよ。』

『さっさと行け。』

 

 そんな声がした様な気がして、俺は足を前に前にと動かす。

 

和人「ああ……。」

 

 そこには、ナーヴギアを抱えながら外の風景を見ていた少女がいた。

 

和人「アスナ……。」

明日奈「キリト君。」

 

 アスナの左手がナーヴギアから離れて、差し伸べられた。

 俺はそっと、その手を取った。

 アスナが俺の傷ついた頬に触れて、問いかける様に首を傾げる。

 

和人「ああ……最後の、本当に最後の闘いが、さっき、終わったんだ。」

明日奈「……ごめんね。まだ音がちゃんと聞こえないの。でも、分かるよ。君の言葉。終わったんだね……。漸く……漸く君に、会えた。」

 

 アスナの頬に涙が伝う。

 

明日奈「はじめまして、結城、明日奈です。ただいま、キリト君。」

和人「桐ヶ谷和人です。……おかえり、アスナ。」

 

 どちらともなく顔が近づいて、唇が触れ合った。

 外を見ると、背中に2本の剣を背負った少年と、銀の細剣を吊った、少女が居て、ゆっくりと遠ざかっていった。

 

冬馬side

 

 あの戦いの後、しばらくして、俺は1人の男性の元へと向かって行った。

 

冬馬「どうも、安田博士。」

巧「冬馬君か。どうぞ、腰掛けてくれ。」

 

 安田巧博士の元へ。

 理由は、サポートへの感謝だ。

 

冬馬「あなたのおかげで、アスナや残りのプレイヤー達を助けられました。」

巧「気にするな。当然の事をしたまでだ。」

冬馬「……それで、パラドは……。」

巧「ああ……。すまない。本来なら、武器に対ゲムデウスプログラムを入れる筈だったのに、あんな形にしてしまって……。」

冬馬「いえ、武器を奪われてしまったこちらにも責任はありますから。」

巧「本当にすまない。」

冬馬「それで、ALOのアカウントを持って来てくれって言われましたけど。」

巧「そうだな。貸してくれ。」

 

 博士にアカウントデータを渡して、博士は解析を始めた。

 しばらくして、驚愕の表情を浮かべた博士がこちらに戻って来た。

 

冬馬「どうしました?」

巧「聞いてくれ。パラドを復元出来るかもしれないんだ!」

冬馬「どういう事ですか!?」

巧「どうやら、パラドが消滅する直前に、君の中にパラドの粒子が入った結果、君のアバターデータ内で、再生しつつあるんだ。」

冬馬「本当ですか!?」

巧「ああ。ただ、再生にはもう暫く時間がかかるみたいだ。」

冬馬「分かりました。なら、待ちます。」

巧「分かった。」

冬馬「それと、頼みがあるんですが……。」

 

 俺は、博士に頼みを伝えて、帰宅した。

 




今回はここまでです。
キリトが使ったディケイドの力は、あの戦いの後、使用不能になります。
理由は、安田博士自身が、対須郷の為に作った物であり、須郷を倒した後は、使う理由が無いからです。
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