チェイスside
低く垂れ込める雲を、傾き始めた太陽が薄い黄色に染めている。
俺は、パーティーメンバーと共に、ターゲットを待ち構えていた。
その中のギンロウという男が喋り出す。
ギンロウ「おいダインよぉ。本当に来るのか?ガセネタじゃねぇだろうな?」
ダイン「奴らはこの3週間、殆ど同じルートで狩りに出てるんだ。文句言うな。」
ギンロウ「でもよお、何かの対策をしていてもおかしくないんじゃないのか?」
ダイン「フィールドMobは単調だからな。そいつらも単調さ。全く、プライドの無い連中だな。」
それを聞いて、イラッと来たが、パーティーメンバーでの諍いはあまり無しにしたい。
逆に、そんなパーティーばかり襲うダインにプライドはあるのか?
ダイン「それに、こっちにはシノンがいるんだぜ。作戦に死角はねぇよ。なあ、シノン?」
シノンと呼ばれた少女が頷く。
すると、ギンロウがシノンの方に向かっていく。
ギンロウ「まあ、そりゃそうか。シノンの遠距離狙撃がありゃあ、優位は変わらねぇや。……そういや、シノっちさぁ、今日、この後時間ある?俺も狙撃スキル上げたいんで相談に乗ってほしいなーなんて。どっかでお茶でもどう?」
シノン「……ごめんなさい、ギンロウさん。今日は、リアルでちょっと用事があるから。」
シノンは、リアルで知り合った女性で、本来なら、筋骨隆々な女兵士のアバターが良かったらしいが、もう1人の知り合いが変更を阻止した結果、後戻り出来ないくらいに強くなったらしい。
まあ、これも弊害と言える物だろう。
ギンロウ「そっかぁ……。シノっちはリアルじゃ学生だっけ?レポートか何か?」
シノン「……ええ、まあ………。」
流石に見てられなくて、ギンロウを止めにかかる。
チェイス「おい。シノンが困っているだろう。それに、リアルの話を持ち込むな。」
ギンロウ「何だよチェイス。お前って、本当に頭カチカチなんだから。」
チェイス「言ってろ。」
ギンロウが何かぶつくさ言いながら戻っていく。
すると、シノンが近寄ってくる。
シノン「ありがとう、チェイス。」
チェイス「奴が鬱陶しかっただけだ。気にする必要はない。」
シノン「それでも、嬉しい。」
何か、シノンの顔が赤い気がするが、気のせいだろうな。
この世界は、ガンゲイル・オンラインと呼ばれていて、略称はGGO。
文字通り、銃の世界だ。
俺は、別のアカウントを作成したが、見た目が現実やALOの物とかなり近い。
すると、標的が来たらしく、ダインが確認している。
ダイン「………確かにアイツらだ。7人……先週よりも1人増えてるな。光学系ブラスターの前衛が4人。大口径レーザーライフルが4人。それに……おっと、《ミニミ》持ちが1人。狙うからこいつだな。………あと1人は、マントで武装が見えねぇな。」
マントで武装が見えない。
本当に不確定要素だな。
コイツから倒すべきだと思うな。
死銃ではと何か言っているダイン達に、進言する。
チェイス「ダイン。狙撃するなら、あのマント男からの方が良いだろう。」
ダイン「何でだよ?大した武装もないだろ。」
シノン「チェイスに同感。不確定要素は一つでも減らした方が良いわ。」
ダイン「それなら、あのミニミも不確定要素だろ。あれに手間取っている間にブラスターに接近されたら終わりだぜ。」
シノン「………分かった。第一目標はミニミにする。可能だったら次弾でマントの男を狙う。」
そういう結論に落ち着いた。
ダインの言うことも尤もだ。
光学系対策として、防護フィールドがあるのだが、近づかれると、意味が無い。
それに、シノンの狙撃も、初弾は問題ないものの、発射点を認識されると、《弾道予測線》が現れて、容易に回避される。
索敵「おい、喋ってる時間はそろそろないぞ。距離二千五百だ。」
ダイン「よし。俺たちは作戦通り、正面のビルの陰まで進んで敵を待つ。………シノン、動き始めたら俺たちには奴らが見えなくなる。状況に変化があったら知らせろ。狙撃タイミングは指示する。」
シノン「了解。」
ダイン「…………よし、行くぞ。」
その一声と共に、俺たちは駆け出していく。
すると、シノンが声をかけてきた。
シノン「頑張ってね、チェイス。」
チェイス「お前の狙撃も期待しているぞ。」
そう声を掛けて俺たちは配置につく。
シノンが使っているライフルは、《PGM・ウルティマラティオ・ヘカートII》と言う。
リアルでは、対物ライフルのジャンルに入るらしい。
手に入れたのは3ヶ月前で、シノンと共に遺跡ダンジョンに潜っていたが、トラップに引っかかってしまい、ゴッズペットというボスモンスターと戦い、ドロップした物だ。
俺は配置につき、ブレイクガンナーを構える。
ヘッドセットから連絡が入る。
ダイン『配置についた。』
シノン『了解。敵はコース、速度ともに変化無し。そちらとの距離四百。こちらからは千五百。』
ダイン『まだ遠いな。行けるか?』
シノン『問題無い。』
ダイン『………よし、狙撃開始。』
シノン『了解。』
そんなやりとりの後、ミニミを持っていた男が狙撃されて、消滅した。
アイツの狙撃スキルに関しては、俺もとても驚いている。
だが、あのマント男はシノンの第二射を躱した。
アイツ、手練れだな。
シノン『第一目標成功。第二目標失敗。』
ダイン『了解。アタック開始。………ゴーゴーゴー!』
ダインの合図と共に、俺も駆け出す。
防護フィールドのお陰で、ダメージを受ける事なく前進する。
シノンside
私は、ミニミ使いを狙撃して、マント男には躱された。
後は、チェイスやダイン達に任せよう。
それにしても、チェイスは本当に強い。
私も………彼みたいに強くなれたら……!
すると、マント男がマントを取り払う。
シノン「あっ………!!」
あの男は、ミニガンを持っていたのだ。
それなら、ゆっくりなのも納得がいく。
パーティーは、あの男に合わせて動いていたのだ。
すると、ミニガンが火を吹き、ギンロウがあっという間に消滅した。
チェイスは咄嗟に隠れたみたい。
私は、唇を噛んで立ち上がっていた。
決して、ダイン達の為じゃない。
チェイスがこの戦況をどう判断するのかを見極める為だ。
何回か、ミニガンに撃たれそうになったが、それを躱す。
そして、チェイス達の元へ。
ダイン「………奴ら、用心棒を呼んでやがった。」
シノン「用心棒?」
チェイス「………あのミニガンから察するに、《ベヒモス》だろうな。」
チェイスがどうするかを思案している表情になり、口を開く。
チェイス「このままでは全滅だ。ベヒモスの残弾は怪しくなってきたはず。突撃すれば、ベヒモスも掃射は躊躇うはずだ。」
ダイン「無理だ、ブラスターだって3人残ってるんだぞ。突っ込んだら防護フィールドの効果が………!」
シノン「チェイスの言う通りよ。ブラスターの連射は実弾銃ほどじゃない、半分は避けられる。」
ダイン「無理だ!突っ込んでもミニガンにズタズタにされるだけだ。……残念だが、諦めよう。連中に勝ち誇られるくらいなら、ここでログアウトして……。」
私とチェイスが呆然としながらダインを見ていると、喚いてきた。
ダイン「何だよ、ゲームでマジになんなよ!どっちでも一緒だろうが、どうせ突っ込んでも無駄死にするだけ……!」
シノン「なら死ね!せめてゲームの中でくらい、銃口に向かって死んで見せろ!」
チェイス「………。俺が先行する。シノンは援護を頼む。」
シノン「分かった。」
チェイスside
シノンがあれほど口を荒げて言うのは初めて見た。
何かあるのだろうと思い、口出しはしなかった。
俺はブレイクガンナーを手に駆け出す。
まずは、残りのブラスターを始末する。
すると、ダインが根性を振り絞ったのか、ブラスターに向かってグレネードを投げて、刺し違えた。
チェイス「やるな、アイツ。」
『チューン!チェイサースパイダー!』
すぐさまファングスパイディーを展開して、ベヒモスに迫る。
ベヒモスの視線の先には、片足を失ったシノンが跳躍していた。
ベヒモスが驚いている中、俺は接近して、奴のミニガンを斬る。
ベヒモス「お前……!」
チェイス「お前はもう何も出来ないな!」
シノン「ジ・エンド。」
シノンのヘカートから弾丸が放たれ、ベヒモスの顔と胴体を貫通して、地面にまで当たった。
そして、ベヒモスは消滅した。
チェイス「よくやった、シノン。」
シノン「貴方もね。」
お互いに拳をぶつけ合う。
今回はここまでです。
チェイスとシノンの連携でベヒモスを撃破する。
凄いですよね。
アリシゼーションのカルムに持たせる武器はどれがいいか?
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火炎剣烈火
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無銘剣虚無
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刃王剣十聖刃
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闇黒剣月闇