ソードアート・オンライン 紫紺の剣士   作:仮面大佐

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今回は、朝田詩乃の心境が明らかになります。


第3話 それぞれの想い

詩乃side

 

 校門から出ると、冷たく乾いた風が頬を叩く。

 現在の保護者とも言える祖父母に、かつて、高校には行かずにすぐに働くか、或いは専門学校で就職の為の訓練をしたいと言った。

 昔気質の祖父は真っ赤になって怒り、祖母は私には良い学校に行ってちゃんとした家に嫁いでほしいと言われた。

 その結果、都内の都立高に入ったが、本質的には何も変わらない。

 私は、本屋を覗き、その次に文具店でノートと消しゴムを買って、スーパーで夕食の材料を買おうとすると。

 

遠藤「朝田ぁー。」

 

 私を呼ぶ声がして、右側を向くと、そこには私と同じ学校の女子生徒が3人居た。

 あの3人は、一時は友達と信じた。

 しかし、それが裏切られて、私はそれから周囲が敵だと感じるようになった。

 あの二人を除いて。

 遠藤達の用件とは、お金を貸してほしいという事だった。

 いつまでも貸してくれない事に苛ついているのか、すこし荒くなる。

 

遠藤「んだよ。………早く行けよ。」

詩乃「嫌。」

遠藤「……は?」

詩乃「嫌。あなたにお金を貸す気はない。」

 

 すると、遠藤は子供が拳銃を模す時の動きを取る。

 私は、それを見て、体の力が抜ける。

 遠藤達は、私の財布からお金を取ろうとすると。

 

???「おい。何をしている。」

 

 その声に遠藤達が後ろを向くと、そこには他校の制服を着た少年が居た。

 その人は、知り合いだった。

 私が、2人だけ敵だとは思えない内の1人。

 

詩乃「狩野君……。」

 

英介side

 

 先程、侑斗と一緒に帰っていて、侑斗と別れた後、夕食の材料を買いに来たのだが、何か大声がした路地裏に入ると、3人の女子が1人の女子を虐めているであろう現場に着いた。

 そして、その1人の女子は、知り合いだった。

 何かと、俺が気にかけている奴だ。

 

詩乃「狩野君……。」

英介「朝田。ここで何をしている?」

 

 そう聞いたが、状況を見れば一目瞭然だ。

 おそらく、3人が虐めていたのだ。

 

英介「おい。何をしている。」

遠藤「いや、朝田が急に倒れたから……!」

英介「なら、何故朝田の財布をお前が持っているんだ?」

遠藤「ええっと……。」

 

 俺は朝田の財布を取り返す。

 

英介「これは恐喝罪になるぞ。今すぐ警察を呼ぼうか?」

遠藤「チッ!」

 

 3人の女は舌打ちしながら去っていった。

 俺は朝田を立たせて、財布を渡す。

 

詩乃「ありがとう。狩野君。」

英介「気にするな。………アレが最初ではなさそうだな。学校や警察に相談した方が良いと思うが。」

詩乃「本当に、ありがとうね。」

???「あれ?朝田さん、英介。」

 

 すると、野球帽を被った少年が現れた。

 彼は新川恭二。

 朝田の知り合いで、俺がGGOのソフトを買いに行った際に知り合い、友達だ。

 

英介「ああ、恭二か。」

恭二「何か騒いでたけど、大丈夫?」

詩乃「うん。大丈夫……。」

 

 本当に、詩乃を見ていると不安になってくるな。

 何というか、守るべきではと思えるような。

 その後、恭二が奢ってくれると言うので、静かな喫茶店に向かう。

 内容は、一昨日遭遇したベヒモスとの戦闘の話らしい。

 

恭二「聞いたよ、一昨日の話。大活躍だったんだって?」

詩乃「そんな事無いわよ。作戦的には失敗だったわね。」

英介「何せ、こちらのスコードロンは、六人中四人もやられたしな。待ち伏せであの結果じゃあ、とても勝ったとは言えん。」

恭二「でも、凄いよ。あのミニガン使いの《ベヒモス》は、今まで集団戦では死んだ事が無いって言われてるぐらいだし。」

英介「そうなのか。」

 

 恭二曰く、《バレット・オブ・バレッツ》のランキングにベヒモスが出ないのは、ソロの遭遇戦ではその真価を発揮できないからだと。

 恭二が子供のように口を尖らせていると、詩乃が微笑む。

 

詩乃「……それなら、私のヘカートIIも思い切り反則だって言われてるわよ。使う側からしたら、それなりに苦労はあるわよ。」

恭二「ちぇ、贅沢な悩みだなぁ。……で、次のBoBは出るの?」

詩乃「出るよ、勿論。前回二十位までに入ったプレイヤーのデータは揃ったからね。今度はヘカートを持っていくつもり。次こそは、全員殺………上位入賞を狙ってみるよ。」

 

 恐らく、殺すと言おうとしたが、訂正したのだろうな。

 BoB………《バレット・オブ・バレッツ》とは、GGOにおける最大の大会だ。

 ALOで例えるなら、全種族合同トーナメントみないな規模だ。

 俺は、参加した事はない。

 だが、次は参加しようと思う。

 

恭二「それで、英介はどうするの?」

英介「俺も出ようとは思っている。ブレイクガンナーを引っ提げてな。」

恭二「アレでよく戦えるよ。」

英介「アレは使いやすいしな。それに、近接戦闘で無双した奴が第一回に居ただろ。」

恭二「ああ……サトライザーね。まあ、今では自殺行為だけど。」

 

 サトライザーとは、第一回大会にて、優勝した人物だ。

 一度戦ってみたいとは思っている。

 

英介「それでも、戦えなくはないしな。」

恭二「なるほどねぇ……。」

 

 その後、恭二の受験なども聞いて、この日はお開きにした。

 

詩乃side

 

 新川君と別れた後、帰る方角が同じだと言う狩野君と共に、私が住んでいるアパートの前にまで来る。

 

英介「本当に大丈夫なのか?俺の父さんが警部だから、いざという時は言えよ。」

詩乃「ありがとう。でも、大丈夫。私も、強くならないといけないから…………。」

 

 そんな話をして、狩野君は帰った。

 アパートの部屋の中に入り、スーパーで買った物を冷蔵庫に入れる。

 そして、鞄を置いて、マフラーも取って、コートと一緒にクローゼットの中へ。

 2日前、狩野君/チェイスと共にベヒモスを倒したが、ベヒモスは集団戦では最強と言われるだけのプレッシャーがあった。

 もしかしたら、今なら、あの記憶と正面から向かい合って、ねじ伏せれるかもしれない。

 ………そんな風に思って、プラスチック製のモデルガン………BoBの景品の………を手に取るが、発作が起こる。

 その際に、幼い少女の恐怖に塗れた叫び声が聞こえる。

 あの事件が起こってから、全てが変わった。

 銃に怯え、そのような生活を送る中、新川君と狩野君とGGOに出会った。

 だけど、心の中で問い返す声が聞こえる。

 

………本当に?本当に、それで、いいの?

 

 GGOでは、ヘカートを操る狙撃手なのに、現実では、モデルガン一つすら持てない。

 去年から掛けている《防具》としての一面を持つ眼鏡は、それに依存していると言う事だ。

 きつく眼を閉じると、再び弱々しい問いが胸の中に生まれる。

 

 誰か………教えて………。私、どうすれば、いいの………?

 

 そんな事を考えていると、狩野君/チェイスの姿が浮かぶ。

 彼は、私がGGOを始めた以来、一緒にプレイする事もある。

 そんな中、私は彼が強いと知った。

 どんな逆境も諦めず、最善の手段を取ろうとする。

 そんな彼の強さを目標にしていたが、次第に異性としての感情が芽生える。

 しかし、それは叶わないのだ。

 人を殺した、私には。

 

詩乃「ねぇ、チェイス……。教えてよ、どうすれば良いのか………。」

 

 私のそんな弱々しい声が、部屋に響く。

 

冬馬side

 

 俺は、夢を見た。

 それは、かつて、SAOのプレイヤーを恐怖に突き落とした集団、《ラフィン・コフィン》の討伐戦の夢が。

 その時に、俺は二人を殺めた。

 冷静さを欠いてしまった結果だ。

 だが、その事にショックを受けて、しばらく心ここに在らずというような状況になった。

 その時は、ミトを始めとする仲間達が支えてくれて、何とか乗り越えた。

 だが、その時の出来事が夢に出てきたという事は。

 

冬馬「良い加減に、受け入れろって事になるのかなぁ………。」

 

 そんな事を呟く。

 あの死銃の声を聞いてから、こんな夢を見るようになった。

 死銃の声には、悪ふざけではない、本気の声が聞こえるのだ。

 それに、ラフコフ討伐戦の記憶が刺激される何かが。

 しばらくすると、GGOにコンバートさせるのだ。

 

冬馬「ミト達には、何て言えば良いんだろうなぁ………。」

 

 そんな事を呟く。




今回はここまでです。

アリシゼーションのカルムに持たせる武器はどれがいいか?

  • 火炎剣烈火
  • 無銘剣虚無
  • 刃王剣十聖刃
  • 闇黒剣月闇
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