カルムside
まさか、SAOで生まれた悪意が、GGOでまた生まれるとはな。
SAOで猛威を振るった殺人ギルド、《ラフィン・コフィン》。
その生まれたきっかけは、PoHという男だ。
ユーモラスな響きの名前だが、奴は強烈なカリスマ性を持っていた。
まさに、血盟騎士団の団長であるヒースクリフとは真逆の存在。
ゲーム開始から1年が経過した2023年の大晦日の夜に、レッドギルド、《ラフィン・コフィン》結成の告知が、アルゴやジェイクを始めとする情報屋に伝達された。
その後、ラフコフはプレイヤーを殺しまくったのだ。
攻略組としては、そんな事を防ぐべく、色々対策を講じていたが、奴らは更に新しい手口を編み出していって、イタチごっこの常態だったのだ。
俺はラフコフの事を、悪意と称していた。
ネット世界で生まれた悪意は、人の心を侵していき、更に悪意を広めた。
その後、罪悪感に負けたプレイヤーがラフコフのアジトを教え、討伐隊が組まれた。
しかし、こちらの情報が漏れていて、血みどろの混戦状態に陥った。
その際に、俺はプレイヤーを2人殺してしまったのだ。
冷静さを欠いてしまった事が理由で。
その結果、暫くはホームに引き篭もっていたのだが、仲間が支えてくれた。
だが、その悪意が、また現れるとは……。
シノン「3人とも、なんて顔をしてるのよ。」
アラン「どうした?」
クレハ「苦戦した様には見えなかったけど。」
そんな事を考えていると、シノン、アラン、クレハ、アファシスの4人がやって来た。
キリト「あ………い、いや、何でも………。」
カルム「ま、まあ………GGOでの対人戦は、これが初めてだからな………。」
チェイス「そ、そうだな………。」
シノン「………?」
アファシス「何か、3人の様子が変ですね。」
アラン「ああ………。」
クレハ「確かに………。」
俺は、そんな曖昧な返事をするしか出来なかった。
その後、俺はKブロックに配置されていたのだが、相手を倒していった。
2回戦は、ゼットハンマーで相手がいたエリアをぶっ叩き、ゼットシューターで止めを刺した。
3回戦は、シューズについてるタイヤで、超至近距離まで接近して、ゼットソードで斬り捨てた。
準々決勝は、ゼットライフルで相手の近くにあったドラム缶を撃ち抜き、相手を爆発に巻き込んだ。
準決勝は、相手の弾丸をゼットシールドで防ぎながら近づき、ゼットランスで貫いた。
決勝は、ゼットソードを相手に向かってぶん投げて、倒した。
俺は、全ての試合を終えて、待機エリアへと戻っていく。
キリトも全員倒した様で、椅子に座っていた。
カルム「キリト………。」
キリト「分かってる……。この因縁は、俺たちで片付けないとな。」
カルム「ああ。」
すると、アランとクレハも終えたのか、こちらにやって来る。
アラン「………カルム、キリト。お前らの戦い方って、結構無鉄砲だよな。」
クレハ「確かに、あんな戦い方は、私たちは見た事ないわよ。」
カルム「そうかな?」
キリト「俺たちは、剣を使ってる方が何かと性に合うしな。」
アファシス「でも、シノンとチェイスも決勝で戦ってますし、全員が本戦に出場ですよ!」
アラン「なら、2人の戦いも見るか。」
アランの提案に乗り、シノンとチェイスが戦っているであろう、モニターを見る。
そこには、結構驚いた映像が映っていた。
シノンside
初めて見た。
チェイスがあんな表情を浮かべるのは。
まるで、何かに怯えるかのように……。
これまで、チェイスと一緒にGGOをしてきた。
でも、あんな表情は見た事ない。
それなのに、チェイスは相手を倒していったのだ。
これまで見てきたのは、不器用ながらも笑う姿、呆れている時の無表情、好戦的な笑みだ。
でも、モニターに映るチェイスは、そのどれでもない、鬼神の如き姿だ。
一体、どれが本物の《チェイス》なのか。
そんな事を考えながらも、スティンガーという対戦相手を倒す。
シノン「……いっそ車から降りて走れば、予測線を見て回避出来たかもしれないのに。」
スティンガーは車に乗って突撃してきた。
そこを、ヘカートで狙撃したのだ。
そして、チェイスはもう終えていた事から、即座に決勝戦が始まる。
ここは、《大陸間高速道》というステージだ。
チェイスは出現しているだろうと、準備していた。
それにしても、チェイスは一体、何に怯えていたのか。
それは、私がチェイスに想いを寄せているからなのかもしれない。
でも、今まで、何度も裏切られたのだ。
そんな事を考えていると、チェイスが現れた。
シノン「……………な………!」
しかし、チェイスは、逃げも隠れもしなかった。
ただ、こちらに向かって歩いている。
しかも、顔を俯けていた。
シノン「………どういう事?………私は、貴方の敵じゃないって事なの!?」
チェイスが顔を俯けているのは、避ける気がないからなのか。
シノン「…………ふ、ざ……………ふざけないでよ!!」
その声と共に、引き金を引き、チェイスの右頬から五十センチ以上離れた空間を通過して、遥か背後の乗用車に命中する。
2発目、3発目と撃っても、彼には当たらない。
シノン「何で……!?」
チェイスの顔には、何故外したんだという、疑問の色が浮かんでいた。
私はふらりと立ち上がり、ヘカートを両手で抱いて、チェイスの元へ。
シノン「…………何でよ?」
チェイス「俺には、やるべき事が出来たんだ。お前と戦う前に。」
シノン「何よ、やるべき事って……!?」
チェイス「それは言えない。だが、それが終わるまで俺は、お前と本気では戦えない。」
シノン「なら、自分を撃てば良かったじゃない!弾代が惜しかったの!?」
チェイス「…………。」
無言を貫くチェイスに、一歩近づいて。
シノン「たかがVRゲームのたかがワンマッチ、貴方がそう思うのは勝手よ!でもその価値観に、私まで巻き込まないでよ!!」
チェイス「…………!」
チェイスside
俺は、シノンに言われた事が響いた。
今の俺の対応は、シノンのスナイパーとしての誇りに傷をつけたのだ。
そんな事をしてしまうなんてな………。
ハヤトから度々言われていたが、俺は女心が分かっていないらしいな。
チェイス「………そうだな。済まない。俺が間違っていた。たかがゲーム、たかが一勝負、でもだからこそ全力を尽かさないといけない。我ながら情けないな。それが分かっていたはずなのに………。」
シノン「チェイス…………。」
チェイス「シノン、今から、俺と勝負してくれ。」
シノン「今から、って言っても……。」
俺は、サブアームであるFNファイブセブンから弾丸を1発だけ取り出す。
チェイス「そっちも、まだ弾は残っているのか?」
シノン「…………ええ、1発だけ。」
チェイス「なら、決闘方式だ。10メートル離れた所から、シノンはヘカートを、俺はウイングスナイパーを構える。この弾が地面に落ちたら勝負スタートでいいか?」
その発言に、シノンが驚いた様な表情を浮かべて来る。
シノン「いくら貴方でも、10メートルからなら、ヘカートは必中なのよ。」
チェイス「やってみなければ、分からないだろう。」
シノンは何かを考える様な表情を浮かべ、了承する。
そして、シノンが10メートル先に配置して、俺は、左手を真っ直ぐに伸ばして、ブレイクガンナーにバットバイラルコアを装填する。
『チューン!チェイサーバット!』
ウイングスナイパーを構えて、弾丸を空中に放り投げる。
弾丸が落ちた途端、シノンのヘカートから火が噴き出て、弾丸が飛んでくる。
俺は、それをエネルギーニードルで撃ち抜いて、斬り裂く。
2つの弾丸は、俺の右と左に向かう。
そして、すぐさまファングスパイディーに切り替えて、シノンに向かう。
シノンside
有り得ない………!
そんな考えが、私の脳裏を過ぎる。
チェイスは、撃ったのだ。
私の弾丸を、あのエネルギーニードルで。
でも、幾らのチェイスでも、そんな事が………!
すぐさまMP7を抜こうとするが、それよりも早く、チェイスがファングスパイディーに切り替えて、肉薄してきた。
斬られる………!
そう思っていたが、喉元にピタリと捉えていて、そこで止まっていた。
チェイスが左腕で支えてくれていたから、倒れずには済んでいる。
シノン「………どうして、私の照準が予測出来たのよ?」
チェイス「スコープのレンズ越しから、お前の視線を見て、弾道を予測したんだ。」
まさか、そんな事が出来るなんて……!
その途端、戦慄とは似て非なる1つの感覚が、背筋から頭の天辺までを貫いた。
強い。
もう、チェイスの強さは、VRゲームの枠を超えている。
シノン「チェイス。」
チェイス「何だ?」
シノン「どうして、貴方はそんなに強いの?」
チェイス「………こんなのは、技術の範疇に過ぎない。」
シノン「嘘。嘘よ。テクニックだけでヘカートの弾を斬れる筈がない。貴方は知っている筈。どうすればその強さを身につけられるの?私は………私はそれを知る為に………。」
チェイス「なら聞くが、もしその銃の弾丸が、現実世界のプレイヤーをも本当に殺すとしたら……。そして、殺さなければ自分が、或いは誰か大切な人が殺されるとしたら。その様な状況下でも、お前は引き金を引けるのか?」
シノン「…………!」
私は、呼吸を忘れて、両眼を見開く。
シノン(知っているの………!?私のあの過去を………!)
と思ったが、違う。
そうじゃない。
恐らくは………チェイスも………。
チェイス「カルムが身を持って体験し、俺がそれを止めたから、そして、俺が誤った力の使い方をしたから分かる。力とは、それを得る為には、それ相応のリスクを抱え込む。それを忘れるな。」
チェイス………貴方は一体、何者なの?
そして、戦意喪失して、MP7が落ちる。
チェイス「納得いかないなら、ハンドガンで勝負を仕切り直してもいいが?」
シノン「………いいや、この勝負は私の負け。でも、明日の本戦では、絶対に勝つから。だから、私と戦うまでは、絶対に生き残りなさい!リザイン!!」
こうして、私の負けで終わった。
今回はここまでです。
セイバーの深罪の三重奏、かなり良かったです。
アリシゼーションのカルムに持たせる武器はどれがいいか?
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火炎剣烈火
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無銘剣虚無
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刃王剣十聖刃
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闇黒剣月闇