ソードアート・オンライン 紫紺の剣士   作:仮面大佐

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今回は、ALOでの出来事です。



第17話 それぞれの元へ

ミトside

 

 

 アスナが連絡する為にログアウトして、また戻ってきてから数分しか経っていないが、その時間は長く感じる。



 

リズベット「アスナもミトもちょっと落ち着きなさいよ……って言っても、無理だよね。」


アスナ「ごめん……。でも、嫌な予感がするの。キリト君達が私たちに《ラフィン・コフィン》の事を言わなかったから……。」


ミト「私も同じ。ただの因縁って訳じゃ無くて、何かとんでもない事が起こってる……そんな気がする………。」

 

 まさか、ラフコフの面子がGGOに居るなんて。
 

 そりゃあ、ゲームをやるだけならそれで良いんだけど、嫌な予感がする。


 誰も喋らずライブ中継から出ている音しか聞こえない中、ハヤトが戻ってきた。

 リーファが真っ先に彼に話しかけた。


 ハヤトが居なかった理由は、チェイスの父親に連絡する為だ。



 

リーファ「ハヤト君、どう?」


ハヤト「ダメだ。チェイスの親父、今捜査中か何かで、手が離せないらしい。」


リーファ「そう………。」



 

 となると、あの人に頼らないといけないみたいね。


 すると、入り口のドアがノックされ、ドアが開いた。

 



リズベット「もう遅ーい!」

 

 

 部屋の中に入ってきた人物に言い放ったリズの一言は、この場にいる全員の内心を代弁してくれたものだった。
 

 

クリスハイト「こ、これでもセーブポイントから特急で飛んで来たんだよ、ALOに速度制限があったら免停確実だよ。」



 

 とぼけたセリフで入ってきたのは、ひょろりとした長身を簡素なローブで包み、マリンブルーの長髪を片分け、銀縁の丸眼鏡をかけているアスナと同じウンディーネの魔法使いの男性だ。


 名前は《クリスハイト》。
 

 これまで何度か共に戦ってきたことがあるため、ある程度面識はあった。
 

 その正体は、菊岡誠二郎だ。


 カルム曰く、菊を意味する《クリサンセマム》と岡を意味する《ハイト》の造語らしい。


 クリスハイトが後ろ手にドアを閉めて、私とアスナが詰め寄る。

 



アスナ「何が起きているの?」


ミト「説明しなさい。」


クリスハイト「えっと、何から何まで説明すると、ちょっと時間が掛かるかもしれないなぁ。それにそもそも、どこから始めていいものか……。」


ミト「誤魔化す気……!?」


ユイ「なら、その役は私達が代わります。」

 



 そう言って、ユイちゃんとカナが出てきた。


 ユイちゃんとカナはいつもの普段の愛くるしい表情とは違い、今は厳しい顔を浮かべていた。
 

 2人は私たちに今GGOで起きていることを話してくれた。


 それは、ゲームの中で死銃と名乗るプレイヤーによって撃たれた《ゼクシード》、《薄塩たらこ》という2人のプレイヤーが現実でも死亡したという恐るべきものだった。
 

 先ほどボロマントのプレイヤー……死銃に撃たれた《ペイルライダー》という人も3人と同様に死んでいる可能性が高いらしい。
 

 ユイとカナは倒れ込み、私たちが支える。


 2人のネットからこれだけの情報をまとめ、日本語にするAIとしての完成度は凄い。


 しかし、ネットの悪意といった黒い感情は2人には処理しきれないだろう。
 

 2人には感謝している。


 リーファ、ハヤト、リズ、ラット、シリカ、ヒロミ、クライン、ノーチラス、ユナ、フィリア、レイン、レイモンド、フィリップ、パラドが唖然とした表情を浮かべる。



 

クリスハイト「これはまったく驚いたなぁ。この短時間でそれだけの情報を集め、その結論を引き出したのかぁ。どうだい、ラー……いや、《仮想課》でバイトしてみないかい?」


フィリップ「ラー……?」


レイモンド「フィリップ?」

 



 とぼけたことを言うクリスさんを私とアスナは睨みつける。

 するとクリスハイトは両手をさっと持ち上げ、降参するようなポーズを取る。


 フィリップが何かの単語に引っかかっていた。



 

クリスハイト「いや、済まない。この期に及んで誤魔化す気はないんだ。おチビさん達の言うことは全て…事実だよ。」


クライン「おい、クリスの旦那よ。あんたがキリトとカルムのバイトの依頼主なんだってな?ってことはテメェ、その殺人事件のこと知っててキリトとカルムをあのゲームにコンバートさせたのか!?」

 

 

 クラインが詰め寄ろうとするが、クリスハイトが押し止める。



 

クリスハイト「ちょっと待った、クライン氏。これは殺人事件ではない。」


クライン「ン....だと......?」


ノーチラス「クリスハイトさん。殺人事件じゃないってどういう意味だ?」


ユナ「その2人の話だと、既に死銃に撃たれたプレイヤー2人………いや、3人も死んでいるって……。どう見ても殺人事件でしょ?」

 



 ノーチラスとユナも立ち上がり、クリスハイトに問いかける。



 

クリスハイト「2人も冷静になって考えてみたまえよ。アミュスフィアは、ナーヴギアのセキュリティ強化版。どんな手段を用いようとも脳に一切傷を付けられない。ましてや、機械と直接リンクしていない心臓を止めるなんて不可能だ。僕は2人と先週リアルでたっぷり議論し、最終的にそう結論付けたんだよ。」



 

 クラインもノーチラスもユナも渋々納得すると、リーファが立ち上がる。



 

リーファ「クリスさん。なら、あなたはどうして、お兄ちゃんとカルムさんをGGOに行く様に頼んだんですか?あなたも感じてた……いえ、今も感じているんですよね?あの死銃というプレイヤーが何か恐ろしい秘密を隠してるって。」

 



 リーファのその発言に、クリスハイトが黙って、私とアスナはとある事を言う。



 

アスナ「クリスさん。死銃は、私達と同じ、SAO生還者よ。しかも、最悪とも言われたレッドギルド……ラフィン・コフィンの元メンバーだわ。」


クリスハイト「っ!?それは、本当なのかい!?」


ミト「ええ。私にアスナ、クライン、ハヤトもラフコフ討伐戦に参加してたから。しかも、これが初めてじゃないのよ。」


ハヤト「殺害方法は分からないけど、GGOのサーバーから照会して、アンタと姉ちゃんがチェイスの親父……警察を動かせば良いだろ。」

 

 

 クリスハイトが黙り込み、リズが話に入ってくる。



 

リズベット「ねえ……アスナ、ミト、ハヤト。クリスハイトって、SAOのこと知っているの?確か、リアルではリアルでは何かネットワーク関連の仕事してる公務員さんで、VRMMOの研究がてらALOやってるって話だったけど......。」


クリスハイト「その通りなんだが、昔は別の仕事をしていたんだよ。僕は、総務省の《SAO事件対策チーム》一員だったんだ。……と言っても、対策らしい対策なんて何もできない、名ばかりの組織だったんだが……。」



 

 そんな自嘲的な事を言っていると、アスナが言ってくる。

 



アスナ「それでも、あなたなら今すぐに死銃と名乗るプレイヤーの現実世界の名前や住所を突き止めて、今自宅からGGOサーバーに接続しているか、契約プロバイダに照会することはできるでしょ?」


クリスハイト「確かに可能だよ。でも、明確な証拠が上がっていないから、今すぐにっていうのは難しいんだよ……。」



 

 そんな風に歯噛みしていると、リーファが呟いた。



 

リーファ「お兄ちゃんとカルムさんは、自分たちで何とかするしかないって思って、今あの戦場にいるんだと思います。きっと、チェイスさんも……。」



 

 皆の視線が、リーファに集中する中、私も、カルムの様子が少し変だった事に気づく。



 

リーファ「夕べ帰ってきた時、お兄ちゃん、凄く怖い顔してました。カルムさんは流石に分かりませんが多分、昨日の予選の時点で気付いたんだと思います。GGOにラフィン・コフィンに入ってた人達がいること、その人たちが本当に人を殺していることを……。」


ミト「確かに、BoBの直前のカルムの様子も変だった……。」


ハヤト「そういえば、チェイスも少し様子が変だったような……。気のせいかと思ってたが、本当にそうだったなんて……。何で、気づいてやれなかったんだ……!」

 

 

 ハヤトが俯き、涙を流す。
 

 リーファが慰めようと、右手に手を置く。

 



クリスハイト「チェイス……。もしかして、チェイス君も……。」


フィリア「実は、チェイスも今回の事を知ってたみたいなんです。」


レイン「多分、2人から聞いたんだと……。」


クライン「バッカ野郎がぁ!水クセェんだよ!一言言ってくりゃ、どこだろうとオレもコンバートしたのによ!」

 

 

 クラインが力任せに左手をカウンターに叩きつける。



 

シリカ「でも、キリトさんとカルムさんとチェイスさんなら言わないと思います……。」


ヒロミ「そうだよね……。あの3人なら、少しでも危険があるなら、僕たちを決して巻き込もうとしない。」


ラット「そういう奴らだからな……。」


パラド「ったく。帰ってきたら説教だな。」


ノーチラス「そうだな。」


ユナ「うん……。」

 



 壁の大スクリーンには、いくつもの映像が映し出されている。
 

 でも、私たちはカルムとキリトのGGOでのアバターの外見を知らない。
 ハヤトの話だと、チェイスは現実世界やALOとあまり変わりないらしい。
 

 だけど、映し出される映像には彼の姿はない。


 そしてあのボロマントもだ。


 大スクリーンの左端にあるプレイヤーリストには、カルムたちの名前がある。


 他の出場者たちが【DEAD】ステータスになる中、3人ともまだ【ALIVE】のままだ。


 きっとどこかで死銃と戦っているのだろう。


 そう信じるしかなかった。
 

 なら、訊ねることは一つね。



 

アスナ「クリスハイト、あなたは知っているはずよね?キリト君とカルム君がどこからダイブしているのか。」


クリスハイト「あー……それは、まあ……。と言うか、その場所は僕が用意したんだ。セキュリティは鉄板、モニタリングも盤石だよ。すぐそばには何か起こった時に最適な人がいるから、キリト君たちの現実の体に危険がないのは責任もって安全は保証するよ。」


ミト「それはどこにあるの?」


クリスハイト「流石にそれは……。」



 

 また誤魔化そうとするので、即座に鎌を取り出して、クリスハイトに突きつける。



 

ミト「また、誤魔化そうものなら、あなたの首は吹っ飛ばないけど、恐怖を刻み付けるわよ。それでも良い?」

 

 

 私は黒い笑みを浮かべて、鎌を近づける。
 

 直後、何処からか『ヤベーイ!』という謎の音声が聞こえた。
 

 クリスハイトは顔を一気に青ざめ、声を震わせながら話し出した。



 

クリスハイト「えっと……ち、千代田区の……お茶の水の……病院です……。」


アスナ「千代田区の都立中央病院?そこってキリト君とカルム君がリハビリで入院してたっていう!?」


クリスハイト「は、はい……。」



 

 私への恐怖から、アスナに対してまで敬語になるクリスハイト。



 

ミト「そこなら、私たちがダイブしている所から、タクシーで行けるわ!アスナ、2人のところに行くわよ!」


アスナ「うん!」


ハヤト「チェイスは家からダイブしているはずだ!俺は、チェイスのところに行ってくる!」


リーファ「分かった。3人とも気をつけて。」

 

 

 私、アスナ、ハヤトは頷いて、ログアウトする。


 ログアウトすると、ダイシー・カフェの天井が視界に映り、すぐに携帯でタクシーを呼び、荷物を纏めて、部屋から出る。
 

 すると、エギルに呼び止められる。



 

エギル「どうしたんだよ、そんなに慌ててよ。もしかして試合が終わってキリトとカルムのところに行くのか?」


ミト「そんなところ!」


アスナ「今日はありがとうございました!じゃあ、私たちはこれで!」

 



 私たちはダイシー・カフェを後にして、さっき呼んだタクシーに乗り込む。
 

 待ってて!私たちも行くから!



 

ノーチラスside

 

 

 あっという間に、静かになった。



 

クリスハイト「………今後、ミト君の逆鱗に触れないようにしないとね……。」


レイモンド「それが良いと思うぜ。」


フィリップ「クリスハイト氏。先程言いかけたラー……とは一体何だい?」


クリスハイト「……君には、関係ないよ。」

 

 

 クリスハイトはそう言い残して、部屋から立ち去っていった。

 



ノーチラス「……そういえば、ユナ。何か、重村教授が話があるって聞いたけど。」


ユナ「ああ……。お父さんがね、ノー君と一緒に新たなAR機器を作らないかだって。」


ノーチラス「分かった。返答は僕がやっておくから。」


ユナ「……そういえば、お父さん、最近どこかに出かけるようになったけど、なんだろ?」



 

 ユナとそんな事を話していると。



 

ヒロミ「ミトさんって、怒らせると本当に怖いんですね……。」


シリカ「うん……。」


リズベット「私も、あんまり揶揄いすぎないようにしないと……。」


ラット「そうだな。俺も死んじゃうから。」


フィリア「………。」(怖いけど、カルムは諦めたくない……!)


レイン「………。」(絶対に諦めない……!)


パラド「俺もあっちに行くか。」


クライン「怖ぇぇ……。」


リーファ「そうですね………。」

 

 

 そんな風に賑やかだった。

 




今回はここまでです。
今回の話は、その後のシリーズにつながる話も入れました。

アリシゼーションのカルムに持たせる武器はどれがいいか?

  • 火炎剣烈火
  • 無銘剣虚無
  • 刃王剣十聖刃
  • 闇黒剣月闇
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