トールが止めを刺し、スリュムは徐々に凍りついていく。
すると。
スリュム「ぬっ、ふっふっふっ………。今は勝ち誇るが良い、小虫どもよ。だがな………アース神族に気を許すと痛い目を見るぞ……。彼奴等こそが真の、しん……。」
その先は続かなかった。
なぜなら、トールのストンプが炸裂し、スリュムが消えたからだ。
それを呆然と見ていると。
トール「………やれやれ、礼を言うぞ、妖精の剣士達よ。これで余も、宝を奪われた恥辱をそそぐ事が出来た。………どれ、褒美をやらねばな。」
トールのハンマーから宝石が一つ取れて、それが本体の縮小版のハンマーとなり、クラインの元へ。
トール「《雷槌ミョルニル》、正しき戦の為に使うが良い。では、さらばだ。」
そう言うと、トールは消え、メンバーからも消えた。
その際に、ピナの毛が膨らんだ。
ピナ「キュ?」
シリカ「静電気?」
ヒロミ「そうじゃない?」
俺たちの目の前に、報酬が入る。
キリトと俺は、息を吐き、クラインの元へ。
キリト「クライン。」
カルム「伝説級武器ゲット、おめでとう。」
クライン「………俺、ハンマー系スキル、びたいち上げてねぇし。」
ハヤト「なら、リズかラットのどちらかにでもあげれば?」
チェイス「いや、溶かしてインゴットにしかねないな。」
リズベット「ちょお!いくらアタシでも、そんな勿体ない事しないわよ!」
そう文句を言うリズベット。
ラットも物凄く頷いていた。
すると、2人の元に、アスナとミトが近づく。
アスナ「でも、リズ、ラット君。」
ミト「伝説級を溶かすと、オリハルコン・インゴットが凄い出来るらしいよ。」
リズベット「え?ホント?」
ラット「そんなのもあるのか。」
クライン「あ……あのなぁ!まだやるなんて言ってねぇぞ!」
それを聞いたクラインがハンマーを抱く。
すると、リズベットとラットが口を同時に合わせて。
「「カナヅチ置いていけェ〜〜!」」
クライン「やめろーっ!」
すると、シノンが笑い出し、俺たちも釣られて笑い出す。
だが、その笑いも、突然の揺れに中断する。
シノン「う………動いてる!?」
チェイス「いや、スリュムヘイム全体が浮いてるんだ……!」
リーファ「お………お兄ちゃん!ハヤト君!クエストまだ続いてる!!」
パラド「はあ!?さっきスリュムを倒したはずだろ!?」
カルム「いや、ウルズさんが言ってただろ!エクスキャリバーを抜かないと終わらない!」
ユイ「皆さん!」
カナ「階段が玉座の裏に生成されてる!」
その声と共に、俺たちは向かう。
だが、気になる事がある。
肝心の王のスリュムを失っているのに、スリュムヘイムがアルンに向かう?
そんな風に気になっていると、ユイとカナが答えてくれた。
大公スィアチという人物が黄金の林檎を欲しており、依頼したのも、スィアチらしい。
つまり、後釜は最初から居る。
俺たちは、加速していき、遂に、エクスキャリバーが刺さっているエリアに着く。
カルム「キリト………。」
キリト「ああ………。」
俺とキリトは、とある出来事を思い出していた。
それは、ALOを己の野望の道具として利用していた須郷伸之が、生成しようとし、俺たちがエクスキャリバーを生成して、投げ渡した。
アイツのウザい顔が浮かび、青筋が立つ。
カルム「キリトに譲るわ。」
キリト「ああ………。」
キリトがエクスキャリバーを抜こうとする。
しかし、全然ビクともしない。
まあ、その手の聖剣は、簡単には抜けないのがお約束なのだが。
何故、俺が抜かないのかと言うと、俺は、筋力と敏捷さを丁度良く取っているため、そこはキリトが適任だと思ったからだ。
つまり、キリトでビクとしないなら、手伝うのは無理だ。
その代わりに、応援をする。
応援の末、キリトが遂にエクスキャリバーを抜いたのだ。
キリトが派手に吹っ飛ばされ、俺達全員で支える。
キリト「やっ………た………よな?」
カルム「ああ!」
クライン「おいキリの字!何か変だぜ!」
ヒロミ「台座から、根が!?」
すると、エクスキャリバーが刺さっていた台座から根が現れ、螺旋階段を破壊し、周囲の壁にヒビが入る。
クライン「おわっ………!」
ラット「壊れる……!?」
ユイ「スリュムヘイム全体が崩壊します!」
カナ「皆!急いで脱出を!」
カルム「でも、階段が!!」
そう、この玄室に降りる為に使った螺旋階段は、跡形もなく吹っ飛んでいた。
チェイス「根っこに掴まるのは………。」
シノン「無理そうね。」
こんな状況下でも、至って冷静なGGOコンビが呟く。
リズベット「ちょっと世界樹ぅ!そりゃあんまり薄情ってもんじゃないの!」
シリカ「そーですっ!」
ヒロミ「あの、シリカ、リズさん。」
ラット「樹に文句を言ってもな。」
ミト「飛び降りてもその先は地面かグレードボイドだしね。」
シリカ「死にますっ!」
男性陣「死ぬな。」
シリカの絶叫に、男性陣で突っ込んでいると、クラインが何かを思いついたようだ。
クライン「よ……よおォしッ!クライン様のオリンピック級垂直ハイジャンプを、見せるっきゃねェな!」
キリト「あ!バカ!やめ………!」
パラド「待て!」
カルム「やめろ……!」
俺、キリト、パラドが静止する間もなく、華麗な背面跳びを披露。
記録、推定2メートル15センチ。
そして、落下して、スリュムヘイムの角っこが、落下する。
シリカ「く………クラインさんの、バカァァァ!!」
ヒロミ「シリカ!落ち着いて!!」
シリカの割と本気の罵倒が、周囲に響き渡る。
これが、某雑誌の、世の中の危険から身を守る術を教える老人の漫画だったら、友達に電話するか、ドリルで穴を掘るという事になるだろう。
しかし、落ちた先はグレードボイド。
そんな展開が通じる訳がない。
ミト「………あの下って、どうなってるのかしらね?」
カルム「多分、ニブルヘイムに通じてるかもしれないな!」
シノン「寒くないといいなぁ……。」
チェイス「いや、寒いだろう。何せ、霜の巨人達の故郷だからな!」
俺とミト、チェイスとシノンが話していると、ハヤトがハッとした様な表情を浮かべる。
ハヤト「そういえば、リーファ!スロータークエストの方はどうなった!?」
リーファ「………!あ………!まだ光が2個だけ残ってる!間に合ったよ!ハヤト君!よかったあ……!」
先ほどまで歓声と思われる声を出していたリーファがハヤトに抱きつく。
すると、キリトが変な顔になる。
カルム「おいキリト。こんな状況下でシスコンぶりを発揮するなよ。」
パラド「キリトはシスコンなのか?」
キリト「いや、シスコンじゃないから。」
アスナ「まあまあ……。」
すると、リーファの耳に何か聞こえたようで、上を向くと、そこには、トンキーとジョンの2体が居た。
そういえば忘れてたな。
皆が手を振っていると。
クライン「へへっ………。オリャ最初っから信じてたぜ……!アイツが絶対に助けに来てくれるってよぉ………。」
ーーー嘘つけ!
と、クライン以外全員が思っただろう。
まあ、忘れてたのは事実だ。
いつまでも変わらずに健気な2体の邪神は、こちらに近づいてくる。
それぞれ二手に分かれて、乗る事に。
行きと同様にトンキーにはキリト、アスナ、リーファ、シノン、リズベット、シリカ、クラインが、ジョンには俺、ミト、パラド、ヒロミ、ラット、ハヤト、チェイスが乗る。
途中、クラインが落ちるというハプニングはあったが、キリト以外は乗った。
だが、問題はキリトだ。
エクスキャリバーが重いらしく、飛び移れずに居た。
すると。
キリト「…………まったく!カーディナルってのは!」
そう言って、エクスキャリバーを捨てて、トンキーに飛び移る。
キリトは名残惜しそうに見ていた。
すると、シノンがリトリーブ・アローを発動する。
ミト「まさか、エクスキャリバーを回収するつもりなの?」
カルム「出来るのか?」
チェイス「いや、シノンなら出来る。」
ま、シノンを信じるか。
すると、矢を発射して、エクスキャリバーに命中して、シノンが引き上げる。
シノン「うわ、重…………ッ!」
すると、俺たちの声が重なり。
『シノンさんマジかっけぇーーー!!!』
ハヤト「すげぇな!」
チェイス「さすが、シノンだ。」
チェイスがドヤ顔なのは、気にしないでおこう。
すると、シノンがニヤッとする。
シノン「はい。この剣を抜く度に、私に感謝しなさいね。」
キリト「分かったよ………。」
シノンなりの仕返しを見ていた。
多分、GGOでの一件を、未だに根に持ってたんだな。
すると、スリュムヘイムが崩壊していく。
更に、グレードボイドから水が溢れてきて、世界樹の根がそこに向かう。
ミト「根から、芽が……!」
ミトの言う通り、根から、俺たちからしたら巨大だろうが、小さい芽が生えて、冬から春に変わったようなステージになった。
すると、トンキーとジョンが遠吠えを響かせると、2体の仲間が出てくる。
地面を見ると、プレイヤーの一団が呆然としていた。
まあ、無理もないか。
リーファ「………良かった。良かったね、トンキー、ジョン。ほら、友達がいっぱいいるよ。あそこにも………あそこにも、あんなに沢山………!」
リーファの涙混じりの声が聞こえてきて、俺達全員は涙する。
そういえば、カナは最近、俺に泣き顔を見せるのを嫌がるな。
誰からそんな学習をしたのか。
そんな事を思っていると。
ウルズ「見事に、成し遂げてくれましたね。」
と、ウルズが現れる。
レイドリーダーであるキリトに任せるが、俺は考察をしていた。
それは、スリュムが言いかけた事だ。
アース神族が真の………と言いかけたところで、トールに止めを刺された。
何を言おうとしていたのか………。
まさか、侵略者………?
その思考は、ウルズの妹達が現れ、報酬が入った事で中断する。
しかも、2人目が来た時点で、容量の限界値に近づく。
だが、ウルズからの報酬は、エクスキャリバーをキリトに授ける事だ。
すると、三姉妹は、声をそろえて言う。
「「「ありがとう、妖精達。また会いましょう。」」」
そう言うと、飛び去ろうとする。
すると。
クライン「すっ、すすスクルドさん!連絡先をぉぉ!」
おい!フレイヤはどうした!?
ていうか、NPCが連絡先なんてくれる訳ないだろ!
そんな風に俺たちが思っていると。
何という事でしょう。
スクルドが、クラインに何か渡したのだ。
それを呆れながら見てると、キリトから打ち上げ兼忘年会をする事を提案された。
無論、付き合う。
だが、ユイ、カナ、パラドが現実だと、参加できないのだ。
しかし、アスナが明日から京都に行くらしく、今日じゃないとダメだ。
ユイとカナとパラドが、そこを汲んで、リアルとなった。
という事は、アレの出番だな。
キリトに連絡して、とある物を持ち込む。
電車で行き、和人と直葉、侑斗と合流する。
ダイシー・カフェには、詩乃と英介が先に着いていた。
エギルに挨拶をして、俺とキリトは可動式カメラと、PCを立ち上げる。
詩乃「………何、それ?」
残りの面子にも手伝ってもらい、カメラを店内の四箇所に設置する。
色々と準備を終え、俺とキリトは、小型のヘッドセットを装着して、話しかける。
和人「どうだ、ユイ?」
冬馬「カナとパラドはどうだ?」
ユイ『はい!ちゃんと聞こえるし、ちゃんと見えます!』
カナ『大丈夫。』
パラド『問題ないぜ。』
和人「じゃあ、3人とも、ゆっくりでいいから動いてくれ。」
『『はい!』』
パラド『おう!』
すると、一番近くのカメラが動く。
そう、俺とキリトの合同で、これを作った。
リアルには来れない3人のためのやつだ。
詩乃「なるほどね。つまり、あのカメラとマイクは、ユイちゃんとカナちゃんとパラドの端末……感覚器って事ね。」
直葉「ええ。お兄ちゃんにカルムさん、学校でメカ………メカトニ………。」
「「メカトロニクス。」」
侑斗「コイツら、メカトロニクスコースを受講したけどさ、完全に、その3人の為だよな。」
英介「そうだな。コイツらは完全なる親バカという事だ。」
ユイ『がんがん注文出してます!』
カナ『私も!』
パラド『俺もだ!』
ユイ、カナ、パラド、直葉、侑斗、詩乃、英介の7人が笑い合う。
俺と和人は反論する。
和人「そ、それだけじゃないぞ!」
冬馬「そうだぞ!カメラをもっと小型化し、肩とか頭に装着できれば、どこでも自由に連れて行けるんだぞ!」
直葉「それも、ユイちゃん達の仕様でしょ!」
ぐうの音も出ない。
でも、これはまだ完成形には至ってはいない。
どっかの企業が、美少女や美青年ロボットを開発してくんないかな………。
そんな事を考えていると、明日奈、深澄、遼太郎、珪子、壮吾、里香、浩介も到着する。
料理も完成して、エギルもテーブルに着く。
和人「祝、《聖剣エクスキャリバー》とついでに《雷槌ミョルニル》ゲット!お疲れ、2025年!…………乾杯!」
『乾杯!』
俺たちは、エギルが出した料理を美味しく食べていく。
1時間後。
詩乃「それにしても、どうして《エクスキャリバー》なの?」
和人「へ?どうしてって?」
詩乃「普通は………っていうか、他のファンタジー小説や漫画だと、《カリバー》でしょ。《エクスカリバー》。」
英介「そういう事か。」
直葉「へえ、シノンさん、その手の小説とか読むんですか?」
詩乃「中学の頃は、図書室のヌシだったから。」
侑斗「確かに、アーサー王伝説の本も何冊かスグに勧められて読んだけど、訳は全部《カリバー》だったな。」
冬馬「まあ、ALOにあのアイテムを設定したデザイナーの趣味か気紛れだろ。」
和人「そうだろ。」
俺たちがそんな事を言うと、深澄と明日奈が苦笑する。
明日奈「まあ、大本の伝説では、もっと色々な名前があるのよね。」
深澄「さっきのクエストでは偽物扱いされてたけど、《カリバーン》もその類じゃないかしら。」
ユイ『主な所では、《カレドヴルフ》、《カリボール》、《コルブランド》、《カリバーン》、《エスカリボール》などがあるそうです。』
カナ『まあ、これらは英語、フランス語、ラテン語、ウェールズ語の発音の違いや写本の表記の揺れで生じた物らしいけど。』
我が娘の博識ぶりに驚きつつ、スペアリブを頬張る。
詩乃が再び口を開く。
詩乃「まあ、別に大した事じゃないけど、《キャリバー》って言うと、私には別の意味に聞こえるから。」
冬馬「別の意味?」
英介「ああ。銃の口径の事を英語で《キャリバー》って言うしな。まあ、エクスキャリバーとはスペルが違うが。」
詩乃「そう。そこから転じて、《人の器》って意味もあるの。《a man of high caliber》で器の大きい人とかの意味になる。」
直葉「へぇーっ。憶えとこ。」
侑斗「いや、試験には出ないだろ。」
すると、里香と浩介の2人がニヤニヤしながら立ち上がる。
これに、嫌な予感がする。
里香「ってー事は。エクスキャリバーの持ち主は、デッカイ器がないとダメって事よね?」
珪子「そうなんですか?」
壮吾「そうなのかな?」
浩介「そういや、どこかの誰かさん達が、短期のアルバイトでドーンと稼いだと聞いたが?」
「「え………。」」
と、皆の視線が俺たちに集まる。
俺、エクスキャリバーの持ち主じゃないからキリトに押し付けようとするが、深澄がこちらを笑顔で見てくる。
だが、アレは「払ってくれるよね?」という笑顔だ。
この際、覚悟を決めるか。
和人「も、もちろん最初から、今日の払いは任せろって言うつもりだったぞ。」
冬馬「お、俺も………。」
その宣言に、皆が拍手し、遼太郎が口笛を吹く。
心の中で、ため息を吐きつつ、笑う。
今回はここまでです。
アンケートは終了します。
という事で、アリシゼーションでカルムに持たせる剣は、刃王剣十聖刃に決まりました。
アリシゼーションのカルムに持たせる武器はどれがいいか?
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火炎剣烈火
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無銘剣虚無
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刃王剣十聖刃
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闇黒剣月闇