ソードアート・オンライン 紫紺の剣士   作:仮面大佐

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今回は、アリスとイーディスが、連れ去られるまでです。


第2話 悔恨の別れ

カルムside

 

 あの計画から、3日経った、安息日。

 俺たちは、洞窟へと目指していた。

 

「「フフン♪フフフン♫」」

 

 現在、アリスとイーディスが鼻歌を歌いながら先導していて、俺、キリト、ケント、ユージオが後ろをついていく感じだ。

 何というか、2人のお姫様に付き従う従者みたいだな。

 

キリト「全く………。荷物は全部俺たちに持たせるのかよ。」

カルム「良いだろ。」

ユージオ「そうだよ。アリスとイーディスの2人と遊べるのも、今だけかもしれないからね。」

ケント「そうだな。アリスは村長の娘で、イーディスはその補佐の娘だ。もっと大きくなったら、神聖術や他の勉強に時間を割かれるんだろうな。」

カルム「確かに、2人が天職を免除されているのは、神聖術の勉強の為だからな。」

ユージオ「それに、村の規範となるよう、男の子と遊ぶのも禁じられちゃうかも。」

キリト「………あの2人なら、それは無視しそうだけどな。」

 

 鼻歌を歌いながら、先を歩くアリスとイーディスの話で盛り上がる俺達。

 すると、俺たちの会話が気になったのか、アリスとイーディスがこちらを向いた。

 

アリス「こら!」

イーディス「何4人でコソコソ話してるのよ。」

キリト「い、いや…………。」

カルム「何でもないよ………。」

ユージオ「夕方の鐘が鳴る前には帰ろうって話をしてたんだ。」

ケント「そうだ。」

アリス「そうね………。」

イーディス「なら、ソルスが空の真ん中まで来たら、引き返しましょう。」

 

 俺たちの言い訳に納得したアリスとイーディスは、ソルスの位置を確認して、気合いを入れる。

 

アリス「そうと決まれば………。」

イーディス「急ぐわよ!」

「「「「アハハハハ…………。」」」」

 

 そんなアリスとイーディスの姿に、俺たちは笑い、その後を追う。

 岩場が露出した道へと来た時、キリトがある話をし出した。

 

キリト「そういや、知ってるか?この村ができた頃のばっかりは、偶に闇の国から悪鬼………ゴブリンだの、オークだのが山を越えて来て、羊を盗んだり、子供を攫ったりしたんだぞ?」

アリス「何よ…………私たちを怖がらせようとして………。」

イーディス「知ってるわよ。最後には、王都から整合騎士が来て、退治してくれたんでしょう?」

キリト「それからというもの、晴れた日には、果ての山脈のずっと上を飛ぶ白銀の竜騎士が見えるようになったのです!」

カルム「アハハハハ…………ん?」

 

 演技じみてるキリトの言葉に苦笑した俺が、ふと空を見上げると、驚きの光景が目に入った。

 俺に釣られたアリスとユージオとケントとイーディス、遅れてキリトが空を見上げると、光り輝く何かが、空を高速で飛んでいた。

 

イーディス「まさかね…………。」

カルム「まさかな………。」

 

 若干の胸騒ぎを覚えつつ、俺たちは洞窟へと向かっていく。

 急な山道を登っていき、洞窟に到着する。

 

アリス「洞窟ね…………。」

イーディス「………ここが、果ての山脈の洞窟かしら?」

 

 2人の言葉通り、俺たちは洞窟に到着した。

 中を覗くと、小さな川が洞窟の奥から流れており、その先は暗くて、よく見えない状態だった。

 

アリス「とにかく………中に入ってみるしかないよね?」

イーディス「そうね………。」

 

 そう言って、アリスはポケットから植物を取り出し、神聖術を唱える。

 

アリス「システム・コール。ジェネレート・ルミナス・エレメント・アドヒア。」

「「「「おおっ!?」」」」

 

 アリスが神聖術を使って、明かりを灯し、洞窟の中へと進んでいく。

 体制としては、ユージオとケントが先導し、真ん中にアリスとイーディス、1番後ろに俺とキリトだ。

 だが…………。

 

カルム「おい、キリト。話が違うぞ。」

ケント「お前、洞窟に入ってすぐに、氷柱があると言ったが、ないぞ。」

キリト「………そんな事言ったっけ?」

ユージオ「言った!確かに言ったよ!」

 

 俺とケント、ユージオの追及を、目線で誤魔化すキリト………。

 氷柱が見つからなくて、キリトをジト目で見ている俺たち。

 すると。

 

アリス「ユージオ、ちょっと明かりを近づけて。」

ユージオ「うん?分かった。」

 

 ユージオが近づけた明かりにアリスが息を吹きかけた。

 すると、その息が白くなっているのが見えた。

 

ユージオ「あっ………息が白く………。」

キリト「うへぇ。道理で寒いわけだ。」

ケント「なるほどな。」

カルム「この洞窟は、夏でも冬の様な環境なんだな。」

イーディス「カルムの言う通り、きっと氷だってあるはずよ!」

アリス「うん!もう少し進んでみましょう!」

 

 そう言って、俺たちは更に奥へと進み始めた。

 そのうち、話はここに住み着く白竜の話になった。

 

ユージオ「ねぇ………。本当に白竜に出くわしたら、どうするの?」

ケント「逃げるしかないだろうな。」

カルム「それしかないだろ。」

キリト「大丈夫!白竜だって、氷柱を取るくらい許してくれるさ?」

カルム「もしかしたら、逸話みたいに、寝てるかもしれないな。」

キリト「なら、鱗の1枚くらいは許してくれるよな?」

 

 キリトの無茶な考えに、俺とユージオとケントは呆れる。

 

キリト「お〜い。一体何を考えてるんだよ?」

カルム「いや、そんな事をしたら、俺たちは、キリトを置いて逃げるしかないだろうって思ってた。」

キリト「だってさ、本物の鱗だぜ。それを持って帰れば………。」

 

 すると、ユージオとケントの足元から、何かがひび割れる音がした。

 先頭の2人が足元を見ると。

 

ユージオ「あっ………。」

ケント「これは、氷だ………!」

カルム「本当にあったとは………!」

キリト「やったな!」

イーディス「そうね!という事は、この先には沢山ありそうね!」

アリス「行きましょう!」

 

 アリスの掛け声と共に、俺たちは更に奥へと向かう。

 そして、光があふれるところへ走り、ひらけた場所に出た。

 

「「「「「「……………。」」」」」」

 

 俺たちは言葉を失っていた………。

 目の前には、美しい氷がずらりと並び、一面が氷の空間となっていたからだ。

 その壮大さに思わず、感動してしまっていた。

 

イーディス「これ、全部氷よね?」

アリス「これだけあれば、村中の食べ物を冷やせるわね。」

ケント「それどころか、しばらく村を冬に出来るな。」

カルム「確かに………。」

キリト「こんだけあれば、新しい商売を始められそうだな!」

ユージオ「アハハ、キリト………。それは天職を終えないと出来ないよ……。」

 

 正気に戻った俺たちは氷の空間を模索しながら、そんなことを話していた。

 すると、キリトが急に歩みを止め、周りを見ていた俺とユージオとケントはぶつかりそうになった。

 

ケント「どうした?」

カルム「何で急に止まるんだ………!?」

キリト「何だよ………これ?」

ユージオ「え?」

 

 俺とキリトの様子がおかしいことに気付いたユージオとケント、そして、アリスとイーディスもそれに気づいた。

 

アリス「これって………。」

イーディス「白竜の骨………。」

ケント「何だって………!?」

ユージオ「そんな………!?」

カルム「…………!?」

キリト「ん?」

 

 そこには、白竜であろう骨が鎮座していた。

 俺たちがショックを受けていると、キリトが何かに気付いたのか、骨を抜き取る。

 

キリト「これ………いっぱい傷がついてるし、先っぽも綺麗に欠けてる………。」

ケント「何かと戦ったのか………?」

ユージオ「でも…………竜を殺せる生物なんているの………?」

アリス「分かんない………。」

カルム「これ、剣の傷だな。」

イーディス「え?」

キリト「ああ。………この白竜を殺したのは、人間だ。」

「「「「…………!?」」」」

 

 俺とキリトの言葉にアリスとユージオとイーディスとケントは息を呑む。

 それもそうだ。

 そうなると、こんなことをできる人というのはかなり限られてくる。

 

アリス「だ、だって………英雄ベルクーリですら、逃げ帰ったのよ!」

イーディス「そんな事………あっ。」

キリト「もしかしたら………。」

カルム「整合騎士………かもな。」

 

 俺とキリト、アリスとイーディスは、同じ答えに行き着いたそうだ。

 

ケント「まさか………公理教会の整合騎士が、人界の守護者たる白竜を殺したのか……!?」

ユージオ「分からないよ………。」

アリス「もしかしたら、闇の国にも強い騎士が居るかもしれないわね………。」

イーディス「でも、それなら、もう闇の国の軍勢が攻めてくるはず………。」

カルム「ああ…………。キリト?」

 

 俺は、白竜が殺された原因を考えていると、キリトが金貨の山から、何かを2本引っ張り出していた。

 

キリト「滅茶苦茶重いな………!」

ユージオ「キ、キリト!?」

ケント「それらって、もしかして………。」

カルム「ベルクーリが盗もうとした、青薔薇の剣と、雷鳴剣黄雷だろうな。」

 

 青薔薇の剣と、雷鳴剣黄雷。

 それは、ベルクーリが白竜から盗もうとした剣だ。

 キリトが、両手で持とうとするが。

 

キリト「ぬぬぬぬ………。ダメだ、重すぎるぜ。」

カルム「4人で、どうにか持てないか?」

ユージオ「どうだろう………?」

ケント「いや………。」

イーディス「確かに、まだお宝は色々とあるけど………。」

アリス「………とても、持って帰る気にはなれないわね………。」

 

 俺たちは、白竜の事を思い、宝は持って行かない事にした。

 

キリト「氷なら、良いのかな………?」

カルム「自然に出来た物だ。白竜も許してくれるだろうな。」

 

 その言葉で、本来の目的を思い出し、俺たちは氷を集める。

 

アリス「綺麗ね………。」

イーディス「持って帰って、溶かしちゃうのが勿体無いわね………。」

キリト「それで、俺たちの弁当が長持ちするのなら、良いじゃないか?」

カルム「村の皆の為だろ。」

ケント「そうだぞ。足りなくなったら、また取りに来れば良いさ。」

ユージオ「そうだね。………あっ。そろそろ戻らないと、夕方までには戻れなくなっちゃうよ。」

アリス「そうね………。」

イーディス「あれ………?」

 

 ユージオの言葉に頷いた俺たちは、村に戻る事にした。

 だが、アリスとイーディスが首を傾げる。

 

アリス「そういえば………。」

イーディス「私たちって、どこから入ったんだっけ?」

 

 その言葉に、俺たちは顔を見合わせ。

 

「「あっち。」」

「「こっち。」」

 

 俺とキリト、ユージオとケントが、それぞれ違う方向を指差す。

 一応、近い方に向かっていくが。

 

アリス「随分と歩いたわね。」

イーディス「やっぱり、反対側な気がするわね。」

キリト「近い方だからって、こっちの道を選んだのは………。」

カルム「さて、もう少し歩いて、まだ出口に着かなかったら、もう一つの出口の方に行ってみようぜ?ユージオ、まだ明かりは大丈夫か?」

ユージオ「大丈夫だけど…………。」

ケント「シッ。………何か聞こえる。」

 

 キリトが余計なことを言う前に話題を変え、俺の前を歩く先頭のユージオに声を掛けると、ケントが真剣な声でそう言った。

 その言葉に、俺達も息を殺した。

 耳を澄ますと。

 

カルム「風の音か………?」

ユージオ「外が近いんだ!」

ケント「こっちで合ってたのか!」

アリス「ちょ、ちょっと………!」

イーディス「待ちなさい!」

キリト「ユージオ、ケント!急ぎすぎだ!」

 

 出口が近いと気付き、走り出したユージオとケントを慌てて、追いかける俺達。

 少し走ると、出口の光が見え、外に出ると、そこには見たことのない光景が広がっていた。

 

イーディス「これって………。」

アリス「ダーク…………テリトリー………。」

 

 アリスとイーディスの言葉が、全てを物語る。

 そこは、赤黒い空に、木々や大地は荒廃していた。

 まさに、地獄だ。

 

ユージオ「だ、ダメだ…………!」

ケント「これ以上は………進んじゃ………!」

カルム「皆、早く………!?」

 

 ユージオとケントの言葉に頷きつつ、俺は全員に下がる様言うが、その声は鈍い金属音によって、遮られた。

 

「「「「「「!?」」」」」」

 

 音に釣られて、上空を見ると、竜に乗った騎士たちが、剣をぶつけ合う。

 多分、片方はさっき見かけた流星の正体だろうな。

 もう一人は黒の鎧に黒龍と共に空を駆けていた………。

 彼がダークテリトリーの住人だということを理解するのは簡単だった。

 

ケント「あれは………。」

ユージオ「竜騎士……?」

キリト「公理教会の整合騎士なのか?」

イーディス「じゃあ………。」

アリス「向こうの方は………。」

カルム「ダークテリトリーの騎士だな。」

 

 キリトたちも戦っている人物がどういった人物たちなのか、理解したようだ。

 そうこうしている内に、整合騎士が操る白竜がブレスを吐き、黒騎士に直撃し、大爆発を起こした。

 突然起きた出来事に俺達が驚いたまま、その光景を目撃していると………ブレスを受け、身動きが取れない黒騎士に整合騎士が弓を構え、止めを刺そうとしていた。

 整合騎士が放った矢は高速で空気を裂き、黒騎士に直撃した。

 そのまま、黒騎士は地面に落下し、遅れて黒龍も地面に堕ちた。

 俺たちが目を開けると。

 

カルム「まだ………生きてるのか?」

 

 俺はそう呟く。

 黒騎士は、こちらに向けて、まるで助けを求めるかのように手を伸ばす。

 それを見たアリスとイーディスが、ふらりとダークテリトリーの方へ……。

 

キリト「アリス!イーディス!ダメだ!」

カルム「早く戻れ!」

「「「「!?」」」」

 

 正気に戻った俺とキリトは、アリスとイーディスに叫ぶ。

 すると、ユージオ、ケント、アリス、イーディスは正気に戻るが、アリスとイーディスは体制を崩す。

 俺たちは、慌てて2人に手を伸ばすが。

 

カルム「アリス、イーディス!………!?」

「「「………!?」」」

「「あっ………!?」」

 

 そう、アリスとイーディスの指先が、ほんの数セン………ダークテリトリーの土地に触れていたのだ。

 『禁忌目録第1章3節11項……何人たりとも、人界の果てを囲む『北の山脈』を超えてはならない』

 先日のアリスとイーディスが話していた、禁忌目録の項目が頭をよぎった。

 俺は首を振り、まだ呆けているキリトとユージオとケントに怒鳴った。

 

カルム「ユージオ!ケント!早くアリスとイーディスを起こせ!キリト!上空の整合騎士の様子を見てくれ!」

「「「……………。」」」

カルム「何をしている!」

ユージオ「ハッ………!」

ケント「イーディス、アリス!大丈夫か!?」

 

 俺の怒声に我に返った3人も動き始めた。

 ユージオとケントに助け起こされたアリスとイーディスは震えていた。

 

アリス「わ、私達………!?」

イーディス「………!?」

カルム「大丈夫だ。手を見せてくれ。」

ユージオ「そ、そうだよ!大丈夫だよ!」

ケント「洞窟を出た訳じゃないんだ……!」

 

 ユージオとケントと共に、アリスとイーディスの事を見てると、不意に謎の視線を感じて、振り返ると、謎の男が。

 

ケント「何だ、アレは………!?」

謎の男「シンギュラー・ユニット・ディテクティド。ID・トレーシング………。コーディネート・フィクスト。リポート・コンプリート。」

 

 男は、謎の言葉を言って、そのまま消えた。

 何事かと呆然としていたが、この場には居てはいけないと思い、ルーリッドの村へと引き返す。

 

「「「「「「……ハァ……ハァ……」」」」」」

 

 来た道を駆け足で戻り、ようやくルーリッドの村に戻って来た俺達。

 だが、その空気はかなり重い物だった。

 その空気を察したキリトが口を開いた。

 

キリト「さあ、早く家に帰ろうぜ。」

 

 その言葉に俺達も頷いた。

 さっきのことは黙っておこう………。

 暗黙でその意図を理解したからだ。

 

アリス「じゃあ、これは家の地下室に入れておくね?」

カルム「………ああ。頼んだ。」

 

 アリスの問いかけに、代表して、俺が答えた。

 ここで、アリスとイーディスとはお別れだ。

 家の道を歩いていくアリスとイーディスを見送っていると、2人がこちらに振り返った。

 何事かと思い、俺たちが心配になっていると。

 

アリス「明日のお弁当………。」

イーディス「楽しみにしてね?」

カルム「ああ。」

キリト「明日も頼むぜ!」

ユージオ「……うん。」

ケント「ああ………。」

 

 そう言ったアリスとイーディスは笑顔だったのだが、無理してる様に見える。

 そう感じたのは俺だけではなく、ユージオとケントの表情も、翳っていた。

 翌朝。

 まずはキリトが、ギガスシダーに切れ込みを入れるのを見守っている。

 今朝、ユージオとケントの様子がおかしかったのだ。

 心配になって、尋ねてみる。

 

カルム「ユージオ、ケント。………大丈夫か?」

ユージオ「えっ………?」

カルム「何か、顔色が悪いぞ。」

ケント「お見通しか………。」

カルム「………!?」

ケント「どうした?」

カルム「アレは……!キリト!!」

キリト「………!?」

 

 視線の先には、白竜が居た。

 

キリト「白竜………!?」

ケント「まさか、昨日の整合騎士か!?」

ユージオ「そんな………!たったあれだけの事で!?」

カルム「不味い………!急いで村に戻るぞ!」

キリト「ああ!」

ユージオ「お、おい!」

ケント「キリト!カルム!」

 

 俺とキリトは慌てて村に戻り、俺たちをを追いかけるユージオとケント。

 村に着くと、既に整合騎士も到着していた。

 何事かと、輪を作る村人たちの中にアリスとイーディスの姿を見つけた俺達は。

 

アリス「皆………!」

イーディス「何よ………!?」

カルム「今は離れた方が良さそうだ。」

「「え………?」」

 

 俺がそう言ったのにアリスとイーディスは戸惑う。

 すると、村の人たちの視線が、整合騎士に注がれる。

 

アリス「………お父様?」

イーディス「………お父さん?」

ガスフト「村長を務める、ツーベルクと申します。」

ルイス「村長補佐を務める、リデルと申します。」

 

 代表して、アリスとイーディスの親父さんが話しかける。

 2人も、動揺していた。

 

デュソルバート「ノーランガルス北域を統括する公理教会、整合騎士………デュソルバート・シンセシス・セブンである。ガスフト・ツーベルクの子……アリス・ツーベルクとルイス・リデルの子……イーディス・リデルを禁忌条項抵触の咎により、捕縛・連行し………審問の内、処刑する。」

「「!?」」

ユージオ「しょ、処刑………?」

ケント「嘘………だろ……?」

「「…………えっ?」」

 

 整合騎士から放たれた言葉に俺達は言葉を失った。

 だが、整合騎士はそんなことお構いなしに、淡々と事実を述べていく。

 

デュソルバート「罪状は、禁忌目録第1章3節11項………ダークテリトリーへの侵入である。」

 

 そう告げられ、2人の手からバスケットが落ちた。

 そこからの対応は、早かった。

 アリスとイーディスを拘束して、2人の父親が、2人を鎖に繋ぐ。

 だが、俺とキリトは黙って見ていられなかった。

 

カルム「待って下さい!」

キリト「騎士様!話を聞いて下さい!」

デュソルバート「…………。」

 

 人混みを掻き分けて、大声を張り上げた俺とキリトを見てくる。

 

カルム「アリスとイーディスは、ダークテリトリーに入ってはいません!片手を、ほんの少しだけ触れさせただけなんです!」

キリト「そもそも!もし、ダークテリトリーに侵入したって言うのなら、一緒に居た俺たちも同罪だろ!」

デュソルバート「………禁忌目録に抵触したのは、アリス・ツーベルクとイーディス・リデルのみ………。貴殿達は禁忌には触れておらぬ。それに、それ以上にどのような行為が必要だと言うのだ?」

カルム「なっ…………!?」

 

 淡々と告げる整合騎士は、俺たちに興味を失くしたように白竜へと歩み寄った。

 

キリト「ユージオ、ケント、カルム。力を貸してくれ。」

カルム「キリト?」

キリト「俺が斧で打ちかかるから、その隙に3人で、アリスとイーディスを………!」

カルム「分かった。」

ユージオ「キ、キリト?カルムまで……!」

ケント「だが、それは………!」

 

 キリトから聞いた作戦を理解した俺は、いつでも飛び出せるようにするが、ユージオとケントは戸惑っている。

 

キリト「禁忌に反するって?……知るか!禁忌よりも、アリスとイーディスの命だ!」

カルム「ユージオ、ケント!それは、アリスとイーディスの命よりも重要なのか!?」

ユージオ「………えっ………!?」

ケント「だが………!」

 

 未だに覚悟ができないユージオとケントを置き、俺とキリトは目配せでタイミングを合わせる。

 整合騎士が白竜に乗ろうとした瞬間………キリトが仕掛けた。

 

キリト「ハァァァァ!!………うおっ!?」

カルム「キリト!………くそッ!」

デュソルバート「無駄だ。」

 

 何とか2人の拘束を解こうとするが、俺も謎の衝撃波に吹き飛ばされる。

 

ユージオ「キリト!?」

ケント「カルム!?」

デュソルバート「………その子供達を、広場の外に連れ出せ。」

キリト「くそッ!」

カルム「離してくれ!!」

 

 整合騎士の命令に従った大人たちに、俺たちは拘束される。

 

キリト「ユージオ、ケント!頼む!行ってくれ!」

ユージオ「えっ………。」

ケント「えっ………!?」

カルム「お願いですから、離してくれ!」

大人「大人しくしろ!!」

カルム「人の命と禁忌目録、どっちが大切だって言うんだ!!」

キリト「ユージオ、ケント!せめてコイツらを退かしてくれ!そうすれば………!」

ユージオ「でも………!」

ケント「どうすれば………!」

 

 ユージオとケントは困惑して、動けなくなる。

 俺たちは、整合騎士がアリスとイーディスを連れ去った後、解放された。

 

キリト「アリス!イーディス!!」

カルム「クソッ!!」

 

 何も出来なかった………!

 そんな俺とキリトの慟哭が、ルーリッドの広場に響いた。

 

 

冬馬「ハッ!?」

 

 目が覚めると、見知らぬ部屋で、体を起こすと、点滴が目に入って、隣には、和人が体を起こす。

 

冬馬(そういえば………。俺たちは………ん?何で、泣いてるんだ?)

 

 顔を擦ると、涙が流れていた。

 何でかは、よく分からない。




今回はここまでです。
雷鳴剣黄雷は、ケルベロス、ハリネズミ、ランプの魔神が合わさったという設定です。
次回、GGOでの話になり、ヴァサゴとサトライザーが登場します。
カルムの先輩の上級修剣士は、呉島貴虎をモチーフにしたキャラにでもしようと思っています。
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