ソードアート・オンライン 紫紺の剣士   作:仮面大佐

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今回は、ユージオとケントとの再会です。
本人達は覚えていませんが。


第5話 アンダーワールド

カルムside

 

 俺が目を覚ますと、そこは、森だった。

 

カルム「何だ、ここ………。」

 

 俺は、小野冬馬。

 良かった、記憶喪失ではない事は確かだな。

 確か、俺はキリトこと桐ヶ谷和人とシノンこと朝田詩乃と、チェイスこと狩野英介とGGOの事を話していた。

 そして、アスナこと結城明日奈とミトこと兎沢深澄と合流して、しばらく話していたはず……。

 

カルム「ミト…………。」

 

 急に心細くなるが、それでも記憶の確認を行う。

 だが、進路の事を話して以降は思い出せない。

 服を見ると、青く染められた半袖のシャツに、白の長袖のシャツだ。

 ズボンは、黒だ。

 どうなってんのやら………。

 そんな風に呆然としていると。

 

???「コマンド。………ログアウト。」

カルム「ん?」

 

 聞き覚えのある声がして、そっちに行ってみると、そこには、1人の男性が。

 間違いない。

 

カルム「キリトか………?」

キリト「カルム………!」

 

 やっぱり、キリトだ。

 俺はキリトに駆け寄り、事情を聞く事に。

 

キリト「良かった………。てっきり俺1人だったらどうしようかと思ってたんだ。」

カルム「俺もだ。………ここが、仮想世界なのは確かだよな?」

キリト「ああ………。」

カルム「もしかしたらだが、アンダーワールドじゃないのか?ここは。」

キリト「!!」

 

 その発言に、キリトが驚いた表情を浮かべる。

 だが、引っかかる。

 

カルム「でも、変だな。アンダーワールドにダイブする時は、記憶がロックされる筈なんだがな………。」

キリト「それもそうだけど、何で俺たち、アンダーワールドにログインしてるんだ?」

カルム「分からん。キリトとアスナとミトと一緒に帰ってる所までは覚えてるんだが……。」

キリト「じゃあ、菊岡か?」

カルム「多分…………。」

 

 確信はないが、可能性は高い。

 流石に、移動を促す。

 

カルム「まあ、いつまでもここに居るんじゃ埒があかない。町か村でも………。」

 

 俺はそう提案するが、途中で、甲高い音が遮る。

 それを聞くと、不思議な光景が見えた気がする。

 そこには、6人の子供が並んで歩いている光景が映った。

 キリトも似たような反応をして、顔を見合わせる。

 

カルム「行ってみるか………?」

キリト「そうだな…………。」

 

 俺たちは、音がした方向へと向かって歩いていく。

 歩き始めてからしばらくすると、開けた場所に出て、そこには、巨大な木が。

 

カルム「でかいな………。」

キリト「ああ…………。」

 

 あの木から感じる印象は、まるで孤独……それが巨木の第一印象だった。

 その大きさは他者を寄せ付けず、他者から養分を奪って成長した…………そう思わせた。

 俺たちが木に近づくと、人影が。

 

カルム「キリト、人だ。」

キリト「えっ………?」

 

 そこには、2人の人影が、座り込んで巨木にもたれかかっていた。

 恐らく、少年だ。

 この世界での、ファースト・コンタクト。

 情報を得る機会だと思い、キリトとアイコンタクトをして、話しかける。

 

カルム「すいません、ちょっと良いですか?」

???「ん?」

 

 声をかけた2人の少年が立つ。

 片方は、亜麻色の髪と緑色の瞳で、もう片方は、明るい茶髪に茶色の瞳だ。

 すると、2人が話しかけてくる。

 

???「………君たちは誰だい?」

???「どこから来たんだ?」

キリト「(俺達と同じテストプレイヤーか?)」

カルム「(テストプレイヤーか、NPCなのかは分からないけど、話してみないとな。)」

 

 俺たちが小声で話しているのを見て、2人は近寄る。

 

???「どうしたの?」

???「2人でコソコソ話して?」

カルム「ああ、ごめん。自己紹介が遅れたな。俺はカルムだ。で、こっちが………。」

キリト「キリトだ。あっちの森の方から来たんだが、ちょっと道に迷ってしまって………。」

 

 俺たちは、2人の質問に答えると、少し驚いた表情を浮かべる。

 

???「あっちって、森の南のこと?」

???「もしかしてザッカリアの街から来たのか?」

カルム「いや、違うんだ。俺たちも、どこから来たのかが分からないんだ。」

???「何?分からないって………今まで住んでいた街もか?」

キリト「…………全然覚えてないんだ。気が付いたら、俺達二人とも森の中にいたんだ。」

カルム「俺とキリトは知り合いでそういうことは覚えてるんだが、街の名前とかはさっぱりでね…………。」

 

 そう言うと、2人は口を開く。

 

???「驚いたな………。話には聞いていたが、見るのは初めてだ。」

???「うん。ベクタの迷子。」

カルム「ベ、ベクタの………?」

キリト「迷子………?」

 

 2人の少年の口から出た単語に思わず顔を顰める俺たち。

 その反応を見た2人が意味を教えてくれた。

 

???「あれ?君たちの故郷とかでも聞いたことない?ある日、突然いなくなったり、逆に野原や森に現れる人のことを僕の村じゃそう呼ぶんだよ。」

???「ああ。闇の神『ベクタ』がいたずらで人間を攫って、生まれの記憶を引っこ抜いて、凄く遠い土地に放り出すんだ。どうやら、全部の記憶を奪われた訳じゃなさそうだな。」

 

 それを聞いて、ヒヤッとする。

 一歩間違えれば、不審者扱いされそうだったからだ。

 良かった………。

 それにしても…………。

 

カルム(NPCにしては表現が豊かだな。でも、テストプレイヤーだと仮定しても、現実の記憶はロックされてそうだしな。どうしたもんかな………。)

 

 そんな風に思い悩んでいると、キリトが2人に話しかける。

 

キリト「それでちょっと困っててさ。だから一度…………ここを出たいんだ。」

???「………うーん………そうだったのか。」

 

 キリトの言葉に少し考え込む2人の少年。

 そして考えが纏まったようで………。

 

???「この森は深いからね。道を知らなきゃ迷って当然だよ。」

???「だが、大丈夫だ。ここからは北に抜ける道があるんだ。」

キリト「い、いや。そうじゃなくって……。」

カルム「ちょっと待ってくれ。」

 

 キリトの言葉を遮り、そのままキリトと共に少年に背を向け、俺は再びコソコソ話を始めた。

 

キリト「(何すんだ、カルム!)」

カルム「(まあ、待て。仮にここがアンダーワールドで、あの2人も俺達と同じテストプレイヤーだったとしても、現実の記憶をロックされてるから、ログアウトの方法を知ってる可能性は低いだろ。)」

キリト「(………それじゃあ、他のテストプレイヤーも、NPCと変わらない事か?)」

カルム「(そういう事だ。ともかく、彼らはこの辺りに詳しいみたいだからどこか泊まれる場所がないか、聞いてみよう。)」

 

 キリトも納得してくれたみたいで、再び2人と向き合う。

 2人は、コソコソ話していた俺たちに不思議な表情を浮かべていた。

 

カルム「急に悪いな。ここら辺の土地勘はさっぱりでね。もし良かったらだけど、どこかに泊まれる事を知ってないかと聞きたくて……。」

???「そういう事か………。」

???「いきなり知らない土地に放り出されたんだ。コソコソ話で相談するのも無理ない話だな。」

 

 何でだろう、罪悪感があるな。

 恐らく、あの2人は純粋だ。

 

???「僕の村は、このすぐ北だけど、旅人なんて全く来ないから宿屋がないんだよ。」

カルム「…………マジで?」

???「だが、事情を話せばシスター・アザリヤが助けてくれるかもしれないな。」

キリト「そ、そうなのか?じゃ、俺達は村に行ってみるよ。」

 

 俺たちはその村に向かおうとするが、2人に呼び止められる。

 

???「ちょっと待って!村には衛士がいるから、君たちだけで行っても入れてくれないかもしれない。」

キリト「そうか………。」

???「…………うん。そうだ。俺たちが一緒に行って説明する。」

カルム「良いのか?」

???「ああ。まだ仕事があるから、それが終わってからで良いか?」

キリト「こっちがお願いしてるから、気にしないでくれ。」

 

 茶髪の方の言葉に、俺とキリトは問題ないと答える。

 

???「あと4時間くらいかかるけど、本当にいいのかい?」

カルム「大丈夫だ、待ってるよ。」

???「そうか。それじゃ、その辺に座って待ってて…………そうだ。俺たちの名前を言ってなかったな。」

キリト「ああ………。」

カルム「そういえば、まだ聞いてなかったな。」

 

 その事実にキリトと俺は忘れていたと思い、2人の名前を聞くことにした。

 2人は手を差し出し、自己紹介を始めた。

 

ユージオ「僕はユージオ。宜しく。」

ケント「俺はケントだ。」

キリト「ユー、ジオ………?」

カルム「ケ、ント………?」

 

 その名前に、何かを思い出しそうになったのだが、すぐに靄となって消えた。

 

ケント「どうしたんだ、2人とも?」

ユージオ「大丈夫かい?」

キリト「いや、なんでもない………。」

カルム「よろしくな、ケント、ユージオ。」

 

 2人に心配されたが、俺たちはなんでもないと誤魔化して、握手をする。

 何でだろうか、初めて会うのに、2人の名前を言うのが慣れている。

 

キリト「そうだ、俺の事は普通にキリトで良いから。」

カルム「俺も、カルムで良いさ。年も同じぐらいだろうし。」

ケント「そうか?」

ユージオ「分かった。」

 

 こうして、自己紹介を終える。

 すると。

 

ユージオ「そういえば2人とも。」

ケント「お腹、空いていないか?」

「「え?」」

 

 ユージオとケントの言葉に、俺たちは顔を見合わせる。




今回はここまでです。
遂に再会しました。
次回は、ルーリッドの村での出来事までは行きます。
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