カルムside
あの剣術大会から、1年半が経った。
剣術大会を無事に勝ち抜き、ザッカリア衛兵隊で一年間の兵役を勤めた俺たちは推薦状をもらい、央都にある北セントリア修剣学院へと入学することができた。
修剣士の一員となった俺たちは日々剣技と神聖術を学び続け、入学してから一年が経とうとしていた。
北セントリア修剣学院の一室。
安息日である今日、俺とユージオとケントは未だに眠り続けるキリトを起こしに来ていた。
ユージオ「キリト、そろそろ起きなよ?」
キリト「う〜ん………。あと5分………。」
ケント「そう言って、お前が5分で起きた試しはあるのか?」
カルム「まあ、この手を使おう。…………良い加減に、起きろ!!」
優しく起こすユージオとケントを横目に、俺は大声を上げながら、布団を引っ剥がす。
キリト「うう………。ああ、おはよう………カルム、ユージオ、ケント…………。」
カルム「やっと目が覚めたか。折角の良い天気だ。いつまでも寝てるなよ。」
ユージオ「カルムの言う通りだよ。」
ケント「折角だ、街にでも買い物に行かないか?」
キリト「………いいな、それ。すぐに準備するから。」
俺たちの提案に賛同したキリトは漸くベッドから抜け出して、着替え始める。
それが終わるまで、俺たちは待っていた。
すると、ケントが話しかけてきた。
ケント「なあ。」
カルム「うん?」
ケント「あの刃王剣十聖刃だったか。あの十聖刃って、どういう意味なんだ?」
カルム「クロスセイバーの由来は、その類の本を見つけてな。意味は、10本の聖剣の力が合わさったという意味の神聖語らしよ。」
ケント「そうなのか。」
そういえば、あの剣は、以前に俺が会った、神山飛羽真って人が使ってた剣に似ているよな。
それに、その10本の聖剣って、一体どんなのだろうな。
そんな事を話していると、着替え終わったキリトがやって来る。
俺たちは、街へと繰り出す。
俺たちは(寝すぎたせいで)朝飯を食べ損なったキリトの要望で、北セントリアの一画にある『跳ね鹿亭』の蜂蜜パイを買ってから市場を見回っていた。
ちなみに俺も匂いに釣られて買ったパイを一緒に食べていた。
キリト「う~ん!美味いな!」
カルム「いや………いつ食っても最高だな、これ。ここまでの味が出せる店はなかなかないよな!」
ユージオ「もう……二人とも行儀が悪いよ?」
ケント「そんな姿を、指導生に見られたら一体どうするつもりだ?」
キリト「焼きたてが最高に美味いんだぜ?すぐに食べないとな。」
カルム「そうそう。味が一番良い時に食べるのが礼儀ってやつだと思うよ。」
ユージオ「カルムまで………。言いたい事は分かるけどさ。」
ケント「まぁ、言ってもしょうがないか。」
諦め顔のユージオとケントに苦笑しながらも、パイを食べる手は止められない。
そうこうしながら、街を見回っていると、キリトが懐かしそうに語り出した。
キリト「それにしても早いもんだよな。ルーリッド村を出てからもう2年か。」
カルム「あっという間だったな………。2年なんてすぐに経っちもうなんだな」
ユージオ「まぁ、色々あったもんね。」
ケント「ああ。剣術大会で優勝してから衛兵隊に入隊して、念願の央都に来たと思えば、こうして修剣学院に通ってるしな。」
この2年のことを思い出しながら、そんなことを語り合う俺たち。
ユージオとケントは少し遠くを見ながら、言葉を続けた。
ユージオ「これが現実じゃなくって、まだ夢の中じゃないかって思うよ。」
ケント「ああ。随分と変わったもんだ。」
キリト「おいおい…………もう学院の寮に入って一年が経つんだぜ?」
カルム「そろそろ慣れた方が良いぞ。」
ケント「そうだな。いい加減、慣れないとダメだな。」
ユージオ「アハハハ…………。」
俺たちがそんな風なやり取りをしていると、声をかけられた。
???「キリト?」
???「カルムか?」
キリト「…………!リーナ先輩!」
カルム「…………!タカトラ先輩!」
声をかけられた方を向くと、そこには、男性と女性が。
男性の方は、タカトラ・ウェインライトで、女性の方は、ソルティリーナ・セルルトだ。
タカトラ先輩が、俺の指導生で、ソルティリーナ先輩が、キリトの指導生だ。
タカトラ先輩は、上級修剣士の中で序列3位で、ソルティリーナ先輩は、序列2位だ。
「「「「おはようございます!」」」」
リーナ「おはよう。」
タカトラ「やあ。そっちの2人が、ユージオ君とケント君だったな。」
ユージオ「は、はい!」
ケント「そうです!」
リーナ「フフ、そんなに緊張するな。」
背筋をピンと伸ばすユージオとケントに気楽にするように言うリーナ先輩。
俺は気になった事があったので、先輩に聞いてみる事に。
カルム「タカトラ先輩は何の用事で?」
タカトラ「ああ。実家に帰っていたが、買い出しを頼まれてな。その時に、たまたまセルルトと会ったのだ。」
キリト「リーナ先輩は?」
リーナ「タカトラと同じだ。」
なるほど。
タカトラ先輩もリーナ先輩も、ラフな姿だ。
カルム「あの!タカトラ先輩!何かお手伝いしましょうか!」
タカトラ「ああ、大丈夫だ。その心遣いだけでも受け取っておこう。」
ユージオ「お、お手伝いしましょうか!」
ケント「自分も!」
リーナ「君達がか?ユージオ君、ケント君、君たちは、ゴルゴロッソ・バルトー殿と、ユア・バルキリア殿の傍付きだろう?」
ユージオ「で、出過ぎた真似を………!」
ケント「失礼しました!」
カルム「ていうか、キリト。こういう時は、お前が真っ先に出るところだろ!」
キリト「えっ…………?」
リーナ「カルム君の言う通りだぞ、キリト。君は私の傍付きではなかったのか?」
キリト「い、いや………アハハハ。」
キリトの言葉にしょうがないという感じのため息を吐く。
リーナ「…………君の所の傍付きは、そういう所もしっかりしているな。」
タカトラ「まあな。」
リーナ「君達の気持ちは有難く受け取っておくよ。だが、今日は大したものは買わないから大丈夫だ。せっかくの安息日くらい仕事を忘れていいんだぞ?」
タカトラ「………と言っても、その仕事ももうすぐ終わるのか。俺たちはもうすぐ卒業だからな。」
そう、先輩の言う通りだ。
今の上級修剣士たちは今月の末に卒業することになっている。
卒業の日には上級修剣士たちによる卒業トーナメントが開催される。
それに向け、修練を積む先輩方もいれば、傍付きに最後の教えをしている先輩もいたりするのが、今の学院の状況だ。
キリト「リーナ先輩にはもっと色々教わりたかったですよ。」
リーナ「そう言ってもらえると、先輩冥利に尽きるよ。」
カルム「自分も、タカトラ先輩にもっと色々教わりたかったです。」
タカトラ「ありがとうな。」
そんな会話をしていると、2人もも色々と思う所があったのか、少し寂しい表情をしていた。
すると、キリトが声を上げる。
キリト「明日からも、ご指導の程、よろしくお願いします!!」
「「「よろしくお願いします!!」」」
リーナ「…………!ああ!」
タカトラ「それでは、また明日な。」
勢いよく頭を下げるキリトに釣られ、条件反射で真似をする俺とユージオとケント。
その姿にリーナ先輩とタカトラ先輩は驚きつつも答え、挨拶をしてその場を去っていた。
その姿が見えなくなったところで、ユージオとケントから緊張が切れた声が聞こえた。
ユージオ「ふぅ………。緊張したな……。」
ケント「ああ…………。」
キリト「ユージオとケントは緊張しすぎだろう?あそこまでガチガチになることないだろう?」
ユージオ「だって、ソルティーナ先輩って凄く綺麗だし、タカトラ先輩も威厳があるじゃないか。」
ケント「それにああやって面して話していると迫力を感じるだろ?」
カルム「まあ、言いたい事は分かるよ。タカトラ先輩との試合の時は、かなり緊張感があるからね。」
ユージオ「ゴルゴロッソ先輩もそうだよ。」
ケント「まあ、ユア先輩もそうだな。」
そんな風に話していると、いつの間にか、話は、ウォロ主席の話になっていく。
ユージオ「ねぇ、僕たち、先輩達に追いつけるのかな?」
キリト「どうだろうな。俺、リーナ先輩から一本取れたことないからな。リーナ先輩の強さたるや、あれで次席だからな。」
カルム「俺も、タカトラ先輩から、一本も取れた事がないんだよな…………。それで、3位だからな。」
ケント「そうなると、主席のウォロ先輩の強さってどのくらいになるだろうな?」
ユージオ「…………今の僕たちのほとんどが先輩たちには勝てないわけだから、その強さは想像できないものだよね。」
カルム(…………想像………イメージ、か。)
そんな事を考えながら、買い物をした。
その夜、俺たちは初等錬士寮へと戻った。
ケント「お休み。」
カルム「ああ。」
ユージオも、キリトに声をかけて、眠りについた。
俺も、読んでいた本………刃王剣十聖刃を構成する聖剣に関する本を閉じて、明かりを消して、布団に入る。
その頭の中で、これまで過ごしてきたアンダーワールドの構造についての考えをまとめる。
カルム(この世界のメカニズムは、これまでの世界とは少し違う。)
ステータス画面に相当するステイシアの窓で確認できるのは、天命とオブジェクト操作権限、システムコントロール権限の3つだ。
天命はHP、オブジェクト操作権限は武器や道具を使う際に求められるクラスに対応したステータス、システムコントロール権限は神聖術を唱える際に必要となるレベルというところだろう。
オブジェクト操作権限が武器より低いと、まともに使えず、逆に上回っていると、普通に使える。
システムコントロール権限に関しては、低いとそこまで高位の魔法は使えないが、これも上がれば高位の魔法が使える。
ここら辺は、ゲームと同じだ。
だけど…………。
カルム(この世界では、人のイメージ………想像力が、ステータスに影響を及ぼすって所だよな。)
そう、この世界では、それが重要になってくるのだ。
それは、以前戦ったイゴームにも、似たような気配を感じた。
タカトラ先輩のあの強さも、これまでの英才教育で自信となっているのだろう。
カルム(もし、この力を使えれば、システムを超越した力を発揮出来るかもしれないという事になるな。)
そんな事を考えつつ、眠りにつく。
今回はここまでです。
タカトラ・ウェインライトは、仮面ライダー鎧武の、呉島貴虎をベースにしていて、ユア・バルキリアは、仮面ライダーゼロワンの刃唯阿をベースにしています。
次回は、あの嫌味貴族が、オリキャラ2人を増やして登場します。