今日はホワイトデー。
バレンタインにマンハッタンカフェからチョコレートを贈られたので今年もそれのお返しを用意し、渡した。
渡したのだが……。
「……?」
何故が誰かの肩に頭を預けて、ソファーに座って眠っていた。
そして視界に長い前髪が入る。
耳が拾う音がやけに大きい。
身に纏っている服装がトレセンの生徒が着ている制服になっている。
そして俺が頭を預けていた肩の主は、俺。
「なんで俺が……っ!?」
自分の声のトーンが高くなっていて思わず驚く。
華奢な手をふっと喉に当てる。
喉仏が出ていない。
「ん……トレーナーさ、っ!?」
同じく寝ていたのだろう、俺の身体が目を覚ます。
それも自分の体の異変に気が付き喉に手を当てたり、自身の体を調べたりしていた。
「お友達……ではありませんね。という事はアナタは……トレーナーさん?」
「と言うことはカフェ……?」
どうやら俺とカフェは入れ替わってしまったらしい。
いやどうして?
◆
とりあえずお互い今の状況を把握するためにいくつか確認した。
まず二人とも覚えているのは、俺がカフェとアグネスタキオンの共有スペースでカフェにホワイトデーのお返しを渡したところまで。
そして次に記憶が途切れる瞬間。
「と、とりあえず今この部屋から出るのは不味いな……それと部屋の鍵をかけておこうか……」
他人の前で、お互いが互いを演じるなんて不可能だ。
その事を彼女も理解してくれたのか、同意してくれる。
ガチャッと、音を立てて施錠が完了した。
そこで俺は、背後から突然抱きつかれた。
「ちょっ、カフェ!?」
「………………」
振り解こうにも上手く力が入らない。
それに、何故かカフェの身体が俺の思考に反してこの状況を拒絶しようとしない。
「トレーナーさん……抵抗しても良いんですよ?」
「わ、分かってるけど――ふぁ!?」
耳を甘噛みされる。
身体に力が入らなくなり、俺はその場に崩れ落ちそうになった。
それを背後から抱き付いていた彼女が、お腹辺りにまわしていた腕で支えられる。
「……力、入らないでしょう?」
「い、今はこんな事している場合じゃ……」
「ですがこんな面白い状況……もう少し楽しみましょう?」
ダメだ。
今の彼女は正気じゃない。
「でも、嬉しいのでしょう? 尻尾がそう言ってます……」
確かに尻尾は嬉しそうに揺れている。
しかしそれは、俺の意思ではない……はず。
いまだに慣れない、こそが浮く感覚。
俺の身体を操る彼女にソファまで運ばれて、その上に押し倒される。
「大丈夫です。学生のうち
「な、何を……」
カーテンで締め切られた部屋を仄かに照らすランプ。
そんな状況で、迫る俺の顔。
自然と耳を伏せ、腕で顔を隠そうとする俺。
「ホワイトデーのお返しのホワイトチョコの意味、知らないとは言わせませんよ?」
そしてカフェが操る俺の顔が首筋に埋まり……俺の身体の全体重をこの身で感じた。
その衝撃は、プツリと糸が切れた人形の様だった。
◆
目が覚めれば俺は、マンハッタンカフェの太腿を枕に横になっていた。
そこで彼女の独り言を聞いてしまった。
「何故、あんな事を私は……。き、きっとあれは夢……夢……でしょう……」
俺の旋毛を指で遊びながら彼女は悶絶している様だ。
チラリと彼女の顔を覗く。
空いた手は、彼女自身の首筋をなぞっている。
その表情は嬉しそうに、満足そうに。
確か意識が落ちる前、首筋に顔を埋められた時に少し痛みを感じたが、あれは気のせいだろう。
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最近、色々とネタを考えていたら幻覚?を見るようになっちまったぜ……(寝ろ)
カフェの霊能探偵もの書きたいけど私はド低能で馬鹿なので代わりに誰か書いてくだしあ