除夜の鐘が鳴り響く。
マンハッタンカフェとの今年も僅かで、とても充実とした毎日がとても懐かしく思う。
今はカフェとともに年越しをしようとしているのだが、0時近いのに境内の中は人で溢れかえっている。
彼女と逸れてしまわないようしっかりと手を繋いでいたが、それでも人の波は強く、結局腕を組む事となった。
「しっかり掴まっててね」
「は、はい……」
寒さの所為か、少し彼女の顔が赤い気がする。
今年の冬はとても寒かった。
彼女が身体を冷やさないよう、自身のマフラーを解き、彼女のマフラーの上にさらに巻く。
「っ!? こ、これではトレーナーさんが冷えてしまいます……!」
「大丈夫だよ。こっちは人混みで少し暑かったから。カフェこそ寒くないかな?」
そこでドンッと誰かに背中を突き飛ばされた。
そしてすぐに男の声で「チッ、イチャつきやがってよぉ……」と聞こえてくる。
その言葉にカフェが……いや彼女の『お友だち』が苛立ったのか、その男の顔面に誰かのバッグが強打した。
「トレーナーさん……大丈夫……ですか?」
「だ、大丈夫だよ。カフェこそ足とか捻ってない?」
「ええ……大丈夫です……」
お互い怪我はない事を確認すると、そろそろ日付が変わる1分前になっていた。
時計アプリの秒針を二人で眺めていると、彼女が話しかけてきた。
「そういえばトレーナーさん……年を越す際、日付が変わる直前に跳んで元日になった時に着地する年越しジャンプ……と言うものがあるのですが……その……」
「いいよ。その時はせーので跳ぼうか」
何となく意図は分かったので了承する。
すると雰囲気で彼女が喜んでいることがわかった。
心なしか、彼女の尻尾も踊っている。
残り10秒を切った。
周囲の人達が一斉にカウントダウンを開始する。
「ご、よん、さん、に、いち――」
残り5秒でカウントをはじめ、ゼロの前で彼女と同時に跳んだ。
「――「ぜろ」」
着地すると、静かだった。
周囲の人達は居るのだが、動いていない。
カフェはと言うと、とても満足そうだった。
「トレーナーさん、知っていましたか? 年を越す瞬間に跳ぶと、ごく稀に不思議な事が起こるんですよ」
不思議な事。
それは時間が止まる事なのだろうか?
「……108秒です」
「108秒?」
「ええ。地面から離れて着地するまでの時間を108秒に引き延ばされるんです」
どうして彼女はこの事を知っているのか気になったが、よく見れば確かにジャンプして動かなくなっていると思っていた人は、少しずつだがちゃんと着地の体制に入っている。
「さてトレーナーさん、この時間は有限です。なので……こちらを向いてください」
クイッと彼女に袖を引っ張られた。
そして、少し頬を赤らめた彼女の顔が近付く。
「これからもよろしくお願いしますね、トレーナーさん」
「カf――」
唇が塞がれる。
逃げようにも、人間はウマ娘の力には敵わない。
そのままの状態でしばらく動けなかった。
周囲の音が戻った頃、カフェの顔を直視する事ができなかった。
おそらく彼女も同じだろう。
それでも腕は組んだままだった。
12/27 感想やっと返信出来た!(*'ω'*)
感想・ブクマ・評価、感謝……!! 圧倒的感謝!!
流石に糸を引かせる描写はあだるてぃーな気がしたから入れなかった(なぜ言った)