チートウマ娘になったので他が霞むくらいのヒールする。 作:カレンチャンの元おに
待っていただいていた方々、遅くなってしまいすみません。
年代とか絡むウマ娘とかを考えたり、どんなことしそうかを考えてたら何も決まらなくて......。なので年代とか考えず絡ませたい子に絡ませることにしました(開き直り)
「君、良い走りだったよ。私は○○というチームのトレーナーをしていて」
「あ、聞いたことないチームなので結構です」
「私は○○というウマ娘のトレーナーで」
「へーあの?じゃあそこまでなんで結構です」
「私は」
「結構です。」「何も言ってないよね!?」
「うーんなんだかピンと来るトレーナーがいないなぁ」
「えぇ....?」
トコトコちゃんと一緒に誘いに来てくれたトレーナーを理不尽に断る悪役ムーブを続けて30分。ピンと来る来ないというかただ理不尽に断り続けたという事実だけが欲しくてこの場に居たのだが正直そろそろ飽きてきた。
トコトコちゃんはというと、この30分の間でトレーナーさんが見つかったらしい。良かったねぇトコトコちゃん!!
「あぁあのトレーナーかぁ。まぁせいぜい頑張ってね。私はまだ列が残ってるから」
そういってスタスタと人混み....から少し外れた場所に居るしおらしいトレーナーに声をかける。
「ねぇ」
「え!?えっと、どうしたの?」
「なんだかあなたも私に声掛けたそうだったのに、来ないからこっちから行ってみたってわけ。何かあったの?」
「あぁ、いや。何も無いよ。心配してくれてありがとね」
そう控えめに答える男のトレーナー。俺は最初からこのトレーナーを自身のトレーナーにすると決めていたのだ。その理由は....
「あなた、もしかして新人トレーナー?」
「うん。そうだけど.....よく分かったね?」
「まぁね。今まで話してきたの全部自称ベテランって空気だったから、逆にわかりやすいの」
「そ、そっか。ほら、後ろから凄い見られてるよ?そろそろ戻った方が「うん。決めた。あなた私のトレーナーね?」....え?」
そう。新人だからである。
「ほら、分かったらさっさと立って!申請行くわよ?」
「いやいやちょっと待って!!なんで僕なんか!!君なら他にも経験豊富な人なんていくらでも....」
「あなた『なんか』、だからよ。」「え?」
「だって新人なら私のことにどう口出しすればいいか分からないでしょう?私はね、トレーナーの名前だけ使えればいいの。後ろの『私が君を育ててあげよう』なんて空気のヤツらから偉そうに上から目線で私がやりたいこと邪魔されたり指図されるのウザったらしいもの。その点、貴方なら完璧ね!!良い?あなたは何もしなくていい。何かする必要は無い。私が勝つ度に、名前を出して評価だけされてくれたら良いから!!だから何も心配しないで?ほら、行くよ!!」
俺にトレーナーは必要ない。この身体は既に【完成】されている。だから努力も、覚悟も、熱意も、技術も、きっかけも、絆も、何もいらない。そう俺は産まれてきた。そうしたものを徹底して、求めてきた全てのウマ娘、全てのトレーナーへのカウンター。全てを裏切るウマ娘として。完膚なきまでに嫌われてやるため。
だからこの場で俺に必要だったのは、歴戦のベテラントレーナーとそれに近づきたくて努力したウマ娘たち、そして目の前のトレーナー。この全てを貶め、馬鹿にして怒りや憎悪などの感情を俺に向けさせて、同時に名前だけ使えるトレーナーを手に入れることだ。この話が広まってくれれば、俺への注目が始まるだろう。そこからだ。そこから俺の夢への旅路が始まる。
「私はワーストビトレイヤ!!あなたの名前は....どうでもいいか。書類で見るだけだろうし。これからよろしくね?」
.....あ、今夜はすき焼きにしよっと。(一日のIQ使い切り)
《トレーナー》
そのウマ娘は、誰が見ても異様だった。
時たまそういったウマ娘は見受けられる。かの皇帝やスーパーカー、そういった、その世代を背負うことが決まっているかのような覇気を持っているウマ娘。
彼女はそういったものの持ち主だった。
だが今回は少し違った。そういったウマ娘を何度か見たりしているベテラントレーナー数名が、目を見開いた。遅れて、周りの他のトレーナーも。
「完成されている」
ボソッと、年配のトレーナーが口ずさむ。
フォーム、ペース、息遣い、目線、外から見て分かる程度ではあるが、それでも鍛え上げられた肉体。
その全てが、これ以上のトレーニングをする必要は無いように見えた。この選抜レースも、全く力を入れて走っていないことは、トレーナー目線でひと目で分かった。手を抜きに抜いて、歩きたての赤ちゃんと一緒に横で歩いて遊んでいるかのような、そんな足取りだ。
「こんな逸材が....」「こりゃ今度の世代は荒れるぞ....」「良いケツしてますよねぇ....」「体幹も素晴らしいな」
周りは純粋に彼女を賞賛している。確かに、彼女の仕上がり方は素晴らしいものだ。このままシニア級などで走ってもおそらく何も問題は無いのだろうと思えるような仕上がりだと、新人の自分にもひと目でわかる。ただ....僕には、見えてしまった。
彼女は、遊んでいる。
自分に追いつこうとしているウマ娘を常に後ろ目で見ては、嘲笑い、水に溺れる虫を見るかのように、無邪気に残酷に嘲笑い、見下している。
汗1つ、焦り1つ、情熱すらも感じさせない彼女のその瞳に、僕は寒気を覚えた。
たくさんのトレーナーからの誘いを適当にあしらい断るそのウマ娘....ワーストビトレイヤは、心底うんざりしたような表情をしていた。
「凄い気性難っぽいな....」「そうですね....。あれほどの才能があるなら、高望みもするでしょうね」「これでは我らがスカウトされているようですな」「あの才能を潰す訳にもいかない。彼女に合ったトレーナーが見つかると良いのだが......」
コソコソと周りのトレーナー陣も話をしている。間違いなく世代のエースの筆頭であろう彼女に対して、さながら面接官の質問に返事をするかのように、チームや育成の方針などをそれぞれが語っている。その声を聞きながら、隅の方で考え込んでいた。
彼女のあの表情。レースではなく、レースで相手を見下すことに楽しさを覚えているようなあの表情。あの表情が頭から離れずにいた。
あの子はデビューするべきではないのではないか?
そんな、あの子だけでなく他のウマ娘たちも貶してしまうような考えまで浮かんでしまっている。そんな状態で周りへの意識を割けていなかった。
「ねぇ」
鈴を転がしたような声が耳に入ってきた。
一気に現実に引き戻された自分は、声をかけられたことに驚き、次に声をかけてきた子を見て、喉が干上がるような感覚を覚えた。
彼女は僕を新人だと見抜くと、僕でいいやとトレーナー認定をして来た。曰く、指導されたくない。上から目線で話されたくない。何もしなくていい。と、まぁトレーナーを邪魔としか思っていない様子だった。
だが同時に少し納得をしてしまう。
彼女は既に完成されているし、それを自覚しているのだろう。それなら、これ以上の余計なトレーニングや指導はいらないと判断するのも分かる気がした。
実際、自分はトレーナーとして彼女になにか言えるようなことは無いのかもしれない。だけど、そんな僕を彼女は選んでくれた。
それがどう言った理由や、どう言った考えの上でなのかは理解した。
そもそも極論、僕は必要無いのだろう。
でも、あんなに素晴らしい走りをする彼女が、レースの楽しさを感じられていないというのは、凄く勿体ない気がしたのだ。僕は、楽しそうに必死に走るウマ娘を支えたいという思いからトレーナーになった。研修生の頃にウマ娘たちと少し触れ合って、レースに対する思いや意気込みはどんな子も少なからず持っていて、1人残らず走ることが好きだと、凄く幸せそうに言っていた。
彼女はそれを、味わえていないのだとすれば.....。
それは、とても寂しいことだと、勝手に思ってしまった。
彼女に引っ張られながら、自分の考えややるべき、やりたいことが明確になった気がした。
僕は......。
僕は!!彼女を更生させる!!
更生してもらって、そしてレースを楽しんで欲しい!!
勝手な考えかもしれない。余計なお世話かもしれない。
それでも!!やっぱりレースを楽しんでいる彼女を見てみたい!!
そうしてここに、勝手にトレーナーの名前だけを借りることが目的のウマ娘と、勝手にレースを楽しめるように更生させたいトレーナーの、変なコンビが生まれたのだった。
本当に長らくおまたせしました。
結構反応がよくて嬉しいです。やっぱりみんな見たいよね。ヒールキャラをさ。うんうん。
前書きで書いた年代とかなんですが、もう考えるのやめて絡ませたい子に絡ませることにしました。(押しかけヒール)
主人公の転生特典?というかチート要素を少し説明したいと思います。
それは「既に完成された身体」です。最高の筋力に最高のスタミナ。ウマ娘がレース人生をかけて磨き上げる極限のコンディションをなんの苦労もなく得て、そして保つことができます。
ただ少しだけ欠点も。
それは、スキルが皆無なことと、それ以上の成長は一切ないことです。
いわば、メインストーリーのクソ強Sランクブルボンみたいなかんじです。固有スキルも緑スキルもなく、ただただステータスでごり押すことしかできない代わりに、なんの努力もなくクソ強ボディを手に入れています。
努力してないから基本努力家なウマ娘達に素で全く共感できないし、簡単に馬鹿にしたり貶すことができる。なんて悪いやつなんだ.....。