【 煉獄 奇旅 】 異世界炎聖伝説   作:煉獄杏寿LAW

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第5話

煉獄の流れるような立ち振舞いに
その場の誰もが見入ってしまう

しかしそれを掻き消すように
ゼノが勢いよく話し出す…





竜との激闘

 

「ばかやろう何を言ってる! あんなのはワシら魔術師が束になってどうにか出来るくらいだ。 おまえ一人が行っても無駄死にするだけだ。」

杖の先をクルクルと回して遠くを見渡せる魔法で

アースドラゴンの様子を見ていたゼノが一喝する

 

「そうじゃ! 共にここから逃げましょうぞ」

「ゼノさんの言う通りです! ドラゴンなんて見たことはないけどベアードなんか比べ物にならない大きさで町や都市を焼き払うって聞いたことがありますから。」

 

ゼノに続いてサボンやユーリも煉獄へと話しかける

 

そして煉獄を怖がっていたはずのマズルが

煉獄へと近づいて羽織りの裾を掴んで

「ドラゴン…怖い…ダメ…」

 

そう話すマズルの姿に驚いたのはゼノであった

( マズルが…初めてあったばかりの相手に?

       レンゴク…この若造面白いな! )

 

煉獄は膝をついてマズルの頭を撫でる

 

 

忌み嫌っていた滅ぼすはずの敵対していた鬼

違う世界ではこんな小さな鬼の少女が

怖がらせてしまった初めて会う自分を

心から心配してくれていることに胸が熱くなる

 

 

煉獄はマズルの頭の小さな角も一緒に撫でながら

「ありがとう! しかし俺は行く。 村のみんなが逃げる時間がどれくらいあるかわからないんだ。 少しでもその時間を稼げるなら行く意味はある。 俺がどんな理由でこの世界へ来たのかはわからない。 だが人を助けることはどちらの世界だろうと変わりはしない。 今は村のみんなを守るために行くだけだ!」

 

マズルへ、そしてサボンやユーリへ

煉獄の力強く暖かい言葉が響く

 

「こいつは何言ってもダメだな。 ワシも行く! 村長には世話になってるからな」

ゼノはそう言うも少し笑みを浮かべている

 

「レンゴク…」

撫でられながらも心配そうに見てくるマズル

 

「大丈夫だ。 きっとみんな助かる…助けてみせる! 俺は柱…煉獄杏寿郎だからな」

煉獄はマズルへと笑顔で話して聞かせる

 

「ハシラ…キョウジュロ…」

その言葉にマズルは笑顔を見せて呟く

 

「うむっ! では行くとしよう」

煉獄はスッと立ち上がり足早にサボンの家を出ていく

 

 

「ありがとうございます! どうかご無事で…」

「レンゴクさん気を付けてくださいね!」

背後からサボンとユーリの声がすると

煉獄は立ち止まり少し振り返ると笑顔で頷く

 

 

既に何かの呪文を唱えながら

ゼノが煉獄の後に続き歩いて近づくと

「さぁ…飛ぶぞ!」

ゼノがそう言って立ち止まっていた

煉獄の肩に手を置く

 

「飛ぶ? いったい…」

煉獄はゼノの言葉を不思議に思い訪ねようとする

それと同時にサボンの家から飛び出してきた

マズルがゼノへ飛び付く

 

「なんだと? このばかたれが…」

ゼノがそう言った瞬間に三人の身体が光に包まれ

その光はフワッと浮き上がる

そして凄い勢いで飛び去って行った

 

 

 

 

ドンッと言う衝撃音と共に光は消え去り

村から少し離れた場所に三人の姿はあった

暗がりの森の奥の方からドシンドシンと

地響きのような音が近付いて来ている

 

 

「なんだ今のは? 何が起きた? 」

「落ち着け! 今のは移動魔法の一つだ」

驚く煉獄に対して冷静に話すゼノ

 

「しかし…マズル、なんで着いてきた?」

「ゼノ…キョウジュロ…」

マズルの言葉に溜め息のように息を吐き出し

ゼノはマズルの頭をポンとする

 

「移動魔法? 魔法とはなんだ? 一瞬に近い速度で村から離れる技とはいったい…」

ゼノの言葉にまだ動揺している煉獄が呟く

 

「あーまずは魔法から説明しないとだめか! とにかくそれは生きて帰れたら後でゆっくりと説明してやる。 今はまずアースドラゴンとそれに引っ付いてきたのをどうにかするのが先だ。…マズルは離れて隠れてろ」

ゼノは煉獄の呟きを聞いて

めんどくさそうに答えながら

マズルに自分たちから離れているように告げる

 

「うむっ! では後で話しを聞かせてもらうとして今はこちらに集中する」

煉獄はゼノの言葉に話しながら

心配そうに見ているマズルへと頷いて見せる

 

 

( 全集中 )

 

煉獄の姿がいきなり消えたように居なくなると

少し離れたところへと現れる

 

「なんじゃ? あいつ魔法が使えるのか? レンゴク! アースドラゴンだけじゃない。 回りにいくつか余計なのが居るはずだ気を付けろ」

煉獄の有り様に驚いたゼノだが

すぐに警戒しろとの指示を含めて叫ぶ

 

「承知した! ならば向かってくるものは斬るまでだ」

叫ぶゼノからの声に煉獄は答える

 

ほどなく闇に包まれた森の中から

キーキーと鳴く声と共に

勢いよく何かが飛び出して来る

 

 

 

煉獄へと突っ込んでくるその生き物は

バサッと目の前で腕のような翼を広げて

急上昇しようとしながら足の鋭い爪が煉獄へ迫る

 

「炎の呼吸 弐ノ型 昇り炎天(のぼりえんてん)」

 

瞬時に炎刀を抜き放ち、沸き上がる炎を刀に纏わせ

下方から上方へと円を描くように切り上げる

 

「ギーーー」

その生き物は煉獄に真っ二つに斬り裂かれて

勢いのままに地面へと打ちつけられる

 

( この生き物は? まだ居るな )

煉獄は刀身に炎を纏わせたままに

次々と飛び出てくる謎の生き物を斬り倒していく

 

 

「周りに居たのはワイバーンか! しかしなんじゃあの魔法は? 攻撃付与の魔法じゃ火は出んはず。 属性効果か? とにかく何という強さと身体能力だ」

遠巻きに見ていたゼノは煉獄の戦いを見て呟く

 

 

そしてゼノから少し離れたマズルが呟く

「リュウ…来る…」

 

 

ドシーン ドシーン

森よりも大きな巨体の足音がすぐそこに聴こえる

 

「ガオオオーーー」

鼓膜が痛いくらいの咆哮が目前に鳴り響く

 

ワイバーンと呼ばれる小型の飛竜の6匹目を斬り終えた煉獄の前から熱風のような凄まじい風が吹き荒れる

 

その勢いに煉獄はバックステップのように

ザッザッと音を立て素早くゼノの近くまで後退する

 

 

「いいか来るぞ!」

「竜とやらか…」

 

「……」

 

ゼノの言葉に煉獄が呟き

少し離れたところから見ているマズルは息を飲む

 

 

ドーン バキバキバキッ ドドーン

木々を薙ぎ倒しながら大きな巨体が現れる

 

暗がりから出てきたそれを例えるなら

蛇の身体に手足が生えて頭に大きな角が二本ある

やや赤茶色のアースドラゴン

 

その視界に煉獄たちを捕らえて足を止めると

「ガオオオー」

改めて強烈な咆哮が熱風と共に煉獄たちへと放たれる

 

 

「なるほど…これが竜! ドラゴンというやつか。」

「くそっ! まさか準備も無くドラゴンと向き合うことになるとはな」

煉獄とゼノは互いに呟き、すぐさま煉獄が動く

 

瞬時に煉獄の身体は四肢で歩くアースドラゴンの

左前足へと向けて斬りかかっていた

 

消えていた炎刀の炎が改めて燃え上がる

 

「炎の呼吸 参ノ型 気炎万象(きえんばんしょう)」

 

ガチーン ガッガッ ザクッ

 

振り上げて上段から斬り降ろす形の技を

アースドラゴンの身体の鱗が弾く

弾かれながらも押し込み斬りつけて

皮膚に小さな傷をつけるのがやっとだった

 

「なんだと! ぐあっ」

その状況に驚いた煉獄へ

身体を回転させたアースドラゴンの

尻尾がぶつかり吹っ飛ばされる

 

そしてゼノへ向けてドラゴンの息吹のように

口から吹き出した石つぶてが雨のように飛んでくる

 

「レンゴクっ!くそったれがああ」

ゼノは煉獄が吹っ飛ばされるのを見て

防御魔法の詠唱をしようとするも

自分へ向けて飛んでくる石つぶてに対して

仕方なく違う防御魔法を唱える

 

「間に合え! アースウォール」

地面から岩が飛び出して壁となり

石つぶてからゼノを守る

 

 

アースドラゴンに吹っ飛ばされた煉獄は

少し離れた巨木へと打ちつけられるも

すぐに身を起こすが膝をつき血を吐いてしまう

 

( 内蔵がやられたか…まだ動けるがしかし… )

 

呼吸を整えながらゼノの魔法を見る

 

( あれも魔法というやつか! 多様性に優れているが…守ってばかりじゃどうにもならない…ならば )

 

煉獄は立ち上がるとゆっくり歩を進め

深く呼吸を繰り返す

 

( 斬れない訳じゃない…力が足りないなら俺の全てを持ってぶつかるのみ。 あの二人も守れないなら俺が今ここにいる意味はなんなのだ? 心を燃やせ! 更に限界を越えろっ )

 

…バーーン……

 

歩を止めた煉獄の身体から溢れるような炎が

目に見えるオーラの如くメラメラと燃え盛る

 

 

 

「 なんだと? あの姿は…… 」

ゼノは煉獄の姿を見て子供の頃に聞いた

遥か昔からの伝説の話しが脳裏に過る

 

「 キョウジュロー! 」

離れていたマズルも何かを感じたのか

煉獄の方へと走り出す

 

 

ゼノを攻撃していたアースドラゴンは

空気が変わったのを感じとり煉獄へと向き直る

 

そして視界に映る煉獄の姿を見て

「ガオオオー」

また咆哮をあげると煉獄へと向かって行く

 

ドシーン ドシーン

 

「いかん! ……ロンダート」

ゼノはそれを見てすぐに煉獄へ身体強化魔法を唱える

 

 

不思議な光が煉獄を包み暖かさと同時に力が沸いてくる

「 さあ来いドラゴンッ! 」

煉獄は向かって来るアースドラゴンへ向けて

叫ぶと同時に身体を捻り炎刀を構える

 

 

 






今回が序章である「炎の申し子」に繋がるため
凄く長いものになってしまいました

読みにくい部分もあるかと思いますが
これで実際は6話となる「炎の申し子」を
読んで頂いて新たに楽しんでもらえたら幸いです!

そしてこれからが本当の始まりとなるだけに
まだまだ素人作者の足りない作品ですが
暖かい目で見て頂ければとm(_ _)m



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