摩訶不思議ハイスクール・ライフ エヴァンゲリオン 杜宮学園物語   作:朝陽晴空

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アンケートでLASパートが足りないと言うので、LASオンリーの外伝での補強で考えてみます。

追記:作りました。
https://syosetu.org/novel/285429/


第一話 第18使徒・涼宮ハルヒと適格者・柊明日香

 西暦2015年、日本の領海に『使徒』と呼ばれる謎の巨大生物が出現。

 特務機関ネルフは『汎用人型決戦兵器・人造人間エヴァンゲリオン』で使徒を迎撃した。

 第17使徒タブリスを殲滅させ、役目を終えた特務機関ネルフは解体が決定していたが、突然存続する方針が打ち出された。

 ネルフの第一発令所ではオペレータの伊吹マヤ、日向マコト、青葉シゲルの三人が顔を突き合わせて話していた。

 3人の表情は厳しく、話の内容はネルフに対する不信と不満を感じさせるものだった。

 

「どうしてネルフは解体しないんでしょう? 赤木先輩の話だと、あの渚カヲルと言う少年が、最後の使徒のはずですよね?」

 

 マヤの疑問の声に、マコトとシゲルはそろってうなずいた。

 

「もう人類の脅威は去ったはずだ。それならばネルフは解体されるのが当然だよ」

 

 眼鏡を直しながら、マコトはそう正論を述べた。

 

「それが今度は日本各地の超常現象の調査か。使徒と関係あるとは思えないな」

「はい、パターン青は検出されていません」

 

 そうぼやく青葉に、マヤはそう答えた。

 ネルフの存続が決まった直後から、ネルフの諜報部は日本各地で起きた不思議な現象についての情報収集を開始し、技術部はその怪奇現象が科学的に解明できるか分析する事に重点を置くようになった。

 定期的に行われていたエヴァのハーモニクステストや、エヴァの武装開発などは中止された。

その代わり開発が始められたのが剣や槍、弓や銃など生身の人間が使うような武器だった。

 そして、シンジやアスカ、レイに課せられたのはエヴァの操縦ではなく武器を用いた戦闘訓練だった。

 まさか人間相手に戦争を始めるつもりなのかとマヤたちネルフのスタッフが不信を抱いても無理のない事だった。

 

 

 

「ミサト、いい加減いつまでアタシたちはネルフに居なくちゃいけないのよ?」

「ゴメンね。明日、司令からみんなに説明があると思うから」

 

 葛城家のダイニングキッチンで、ミサトはアスカにそう答えた。

 

「父さんが……?」

「そう、今までシンちゃんやアスカに出ていた待機命令の理由を話すそうよ」

 

 キッチンで夕食の後の食器洗いをしていたシンジにミサトはそう話した。

 シンジがミサトとアスカと同居を始めてから一年余りとなる。

 家事もすっかり手慣れたものだった。

 第17使徒タブリスである渚カヲルが殲滅された後、ネルフ総司令碇ゲンドウは全ての使徒が殲滅されたと宣言した。

 人造人間エヴァンゲリオンは凍結、使徒殲滅を目的とした特務機関ネルフも解体に向かう話になり、シンジとアスカとレイもエヴァのパイロットから解放される事になっていたのだが……。

 ある日突然、シンジたちにパイロットの操縦訓練に代わって、武器を用いた戦闘訓練が行われる事になった。

 人殺しなんてしたくないと後ろ向きだったシンジたちだったが、ネルフの命令には逆らえず、不本意ながら訓練を受ける事になった。

 シンジたちに指導をしていたのは戦略自衛隊で訓練を受けた事のあるミサトだった。

 第17使徒タブリスが殲滅された後、使徒との戦いで壊滅的な打撃を受けた第三新東京市では第壱中学校の再開もかなわず、シンジたちは葛城家とネルフ本部を行き来する日々を送っていた。

 使徒襲来の危機は去っていたものの、窮屈な日々にシンジとアスカはストレスを溜めていた。

 

 

 

 翌日、復旧されたネルフ本部の第一発令所にシンジたちやネルフの主だったスタッフが集められた。

 いつもと違うのは、出入り口が諜報部によって固められ、携帯電話などの通信機器は厳密な身体検査をして没収、途中退出は禁じると言うものだった。

 

「これから話す事は絶対に外部に漏らす事の出来ない機密情報だ。口外すれば極刑も免れん。覚悟の無いものは直ちに退去するように」

 

 ゲンドウがそう言っても、発令所から出ようとする者は居なかった。

 元々信頼の置ける者だけを集めたつもりだった。

 

「……それでは話を始めさせてもらう。諸君にとっては衝撃的な事かもしれないが、新たな18番目の使徒が出現した」

 

 副司令であるコウゾウの言葉に連動する形で、発令所の大型ディスプレイには制服を着た女子中学生の姿が大写しになった。

 《第18使徒・涼宮ハルヒ》と字幕には書かれている。

 発令所全体が震えるような驚愕の声が響き渡った。

 まさか第17使徒のように初号機によって殲滅させろとでも言うのかと、ネルフのスタッフの表情は厳しいものとなった。

 

「まず諸君の動揺を鎮めるために先に言っておくが、我らの目的はこの使徒の“殲滅”ではない」

 

 素早くコウゾウが言葉をそう発すると、とりあえず発令所の空気は落ち着き、静かに耳を傾けると言う雰囲気なった。

 

「第18使徒と認定された涼宮ハルヒですが、遺伝子上は今までの使徒とは違い、人間そのものです。何故なら、彼女は後天的に使徒となってしまったからなのです」

 

 リツコの解説に合わせて、大型ディスプレイには遺伝子の組織図などシンジには理解できない複雑なものが表示されている。

 シンジが隣に座るアスカの表情を見ると、アスカにはある程度理解できているようだ。

 後でアスカに意味を教えてもらおうかと思ったが、「アンタバカァ!?」を連呼されて怒られそうだったので、シンジは反対側に座っているレイの顔をじっと見つめた。

 レイは無表情で、リツコの説明が分かっているのか読み取れなかった。

 長くレイの顔を見つめていたせいか、シンジはアスカに手の甲をつねられた。

 

「どうして普通のヒトである彼女が使徒になってしまったかについては、涼宮ハルヒ本人からの事情聴取で明らかになりました。彼女は宇宙人を呼び出そうとして、夜の人気の無い《杜宮市東中学校》の校庭に《杜宮学園》の男子生徒と共に、ライン引きを使って落書きをしたそうなのです」

 

 そのリツコの言葉の後で、大型ディスプレイは不思議な図面へと切り替わった。

 一部分を除いて、黒く塗り潰されている。

 《宇宙概念図・セフィロトの一部》と字幕には表示されていた。

 

「涼宮ハルヒは何処で知識を得たのか分からないが、宇宙概念図の全てを校庭に描いてしまった。彼女は目の前に宙に浮かぶ一本の腕が現れ、その手を握った不思議な夢を見たと証言しているが、それは彼女の夢では無く現実に起きた事だと確証を得た」

 

 まるで冗談としか思えない話をゲンドウが真剣な表情で話している事に、ネルフのスタッフたちは混迷を極めた。

 

「超常現象は日本各地で起きているが、特に涼宮ハルヒの居る《杜宮市》に集中している。涼宮ハルヒが自覚無しに力を行使していると我々は見ている」

 

 そのコウゾウの話を聞いたマヤたちは、自分たちが超常現象の調査を命じられた事に納得が行った。

 

「幸いにして涼宮ハルヒは自分の力に気が付いていない。しかし涼宮ハルヒがその気になれば、この世界を破壊しかねないと我々は考えている」

 

 そうゲンドウが断言すると発令所は悲壮感に包まれた。

 ならば彼女を速やかに殲滅した方が世界滅亡のリスクは無くなる。

 どうしてそうしないのかと疑問も浮かんだ。

 

「仮に涼宮ハルヒを第18使徒として殲滅しても、同じような方法で第19使徒が誕生してしまう可能性があります」

 

 リツコは大型ディスプレイを指し示しながらそう説明した。

 

「我々は協議を重ねた結果、女子高生である涼宮ハルヒを監視対象とする事に決めた。そして彼女がこの世界に退屈あるいは失望し、破壊に至らないように誘導するように打開策を見い出した」

 

 静まり返った発令所でコウゾウがそう言うと、その場に居る皆がのどを鳴らしてつばを飲み込む音が聞こえた。

 周囲を見回したコウゾウの視線が自分のところで止まったシンジは驚いて心臓が止まる思いがした。

 

「そこでチルドレン三名には涼宮ハルヒと接触し、彼女の注視と警護を命じる」

「それってあの女のお守りをしろって事!?」

 

 重々しい口調でコウゾウがそう告げると、アスカは間髪入れずにそう言い返した。

 

「その通りだ。同世代の君たちなら警戒される事無く彼女に干渉する事が出来るだろう」

 

 そのアスカの問い掛けに、コウゾウは落ち着いた様子で答えた。

 今まで黙っていたミサトが厳しい表情を崩さずに席から立ち上がり、挙手をする。

 

「葛城三佐、何か質問があるのかね?」

 

 手を挙げたミサトに気が付いたコウゾウが尋ねると、ミサトは首を縦に振ってうなずいた。

 

「この一年間、シンジ君たちに戦闘訓練を積ませた理由は何です? まさか涼宮ハルヒを狙う者が居るから守れとでも?」

 

 ミサトは詳しい理由も明かされないままこの一年間、シンジたちに戦闘指導を行って来た。

 当初はエヴァのパイロットである三人を狙う者たちから身を守るための護身術だと思っていた。

 しかしシンジたちに積極的に人殺しをさせるつもりならば、ミサトはシンジたちを任務に送り出すのは断固反対するつもりだ。

 涼宮ハルヒを警護するならば、シンジたちでなくてもネルフの諜報部でも出来る。

 さすがに護衛のためとは言え、戦略自衛隊にまで涼宮ハルヒの情報を漏らす事はリスクがあるとは思うが。

 

「チルドレン諸君を派遣するのは周囲から怪しまれずに警護をする理由もあるが、それだけではない。涼宮ハルヒの力の行使の副作用として《適格者》との出現、《異界化》と《怪異》が起きてしまっている事だ」

 

 そのコウゾウの答えと共に大型ディスプレイには怪しい迷宮と凶暴な獣より恐ろし気な生物が映し出され、またもネルフのスタッフたちから大きな叫び声が上がった。

 

「昔から『神隠し』と呼ばれる、人が忽然と消える怪談のような話があったが、それはこの《異界》に発生した空間に、現実世界の人間が引き込まれたのが原因だと考えられる」

「そんな神隠しだなんてオカルトめいた話、信じられません」

 

 コウゾウの話を聞いたミサトやネルフのスタッフたちは引きつった顔で笑った。

 これはおかしくて笑っているのではなく得体の知れない恐怖を感じているのだ。

 

「その《異界》を徘徊しているのがこの怪物のような異形の姿をした《怪異》。通常の兵器は通用せず、《適格者》の武器、《ソウルデヴァイス》でしか傷つける事が出来ん」

 

 そこまでコウゾウの話を聞いたミサトは気が付いた。

 通常の兵器が通用しない相手、それは今まで戦って来た《使徒》と似ているではないかと。

 

「まさかシンジ君たちが《適格者》だと言うのですか!?」

 

 ミサトの叫ぶような質問に対して、ゲンドウもコウゾウもリツコも否定しなかった。

 そのミサトの声が静まり返った発令所に響くだけだった。

 

「……チルドレン諸君には新学期から生徒として《杜宮学園》に通ってもらう。葛城三佐と赤木博士にはそれぞれ教師のポストを用意してもらっている。そしてネルフも《杜宮市》に本部機能を移転する」

 

 そうコウゾウが宣言すると発令所は大きなどよめきに包まれた。

 凍結したエヴァやセントラルドグマの警備は第三新東京市に残すが、その他のスタッフは《杜宮市》に引っ越す事になる。

 杜宮市のランドマーク、アクロスタワーの地下に新しいネルフ本部は作られたのだとゲンドウは話した。

 この一年で復興したとはいえ、第三新東京市は使徒との戦いで住民のほとんどが《疎開》し、戻って来る事は無かった。

 その第三新東京市の住民たちの主な疎開先の一つが杜宮市だった。

 

「……それでは直ちに準備に取り掛かるように」

 

 ゲンドウの号令の下に、ネルフのスタッフたちは大慌てで引っ越し作業に取り掛かるのだった。

 

 

 

 それからしばらくして、シンジも杜宮市への引っ越しが完了し、《杜宮学園》に登校する初日を迎えた。

 早起きをしたシンジは、アスカとレイと一緒にミサトとリツコの分を含めた五人分のお弁当を作った。

 この引っ越しはシンジが葛城家から独立するチャンスでもあったのだが、シンジはそうしなかった。

 もし父親のゲンドウと暮らす事になっても家事をする事には変わりがないし、シンジも葛城家に愛着が湧いていた。

 そこで二階建ての一軒家を借りて五人で住む事になったのだった。

 アスカは文句を言いながらも少しは家事を分担してくれるようになったし、レイは肉が食べられないのでシンジと一緒にお弁当を作る事になった。

 

「アスカ、そろそろミサトさんとリツコさんを起こして来てよ」

「まったく、教師が生徒に起こしてもらうなんてバカみたいな話ね」

 

 ブツブツと言いながらもアスカは二階へと上がって行く。

 ミサトとリツコは早起きが苦手なようだ。

 リツコも研究などを根詰めて夜中まで起きてしまう夜型人間のようだ。

 

「綾波、アスカが作ったお味噌汁だけど……大丈夫?」

「うん、とっても美味しいわ」

 

 レイの返事を聞いたシンジは、安心した笑顔になって水筒に味噌汁を入れる。

 アスカが味噌汁を作ってくれるようになって、シンジは他の料理に集中できるようになっていた。

 そしてレイは自分用のお弁当を作る。

 他の四人とは違うメニューとなってしまうが、肉類が食べられない以上仕方がない。

 せめてお味噌汁は美味しいものを食べさせたいとシンジは思っていた。

 二階からアスカの怒鳴り声が聞こえる。

 シンジがミサトを起こしに行くと、遠慮して優しく起こすので時間が掛かってしまう事もあるのだ。

 

「シンちゃん、レイ……おは……よう」

 

 ミサトは大きな欠伸をしながら階段を降りて来た。

 後ろにはアスカとリツコも続いている。

 同居する事になってから二週間、リツコはミサトに注意をするのも諦めてしまったようだ。

 

「あの……シンジ君。やっぱり私のパジャマは外に干さないようにしてくれるかしら?」

「えっ? でも、部屋干しよりお日様の光に当てた方が良いですよ」

 

 顔を少し赤くしてそう話すリツコに、シンジはそう答えた。

 

「大丈夫だって、見られたってきっとレイかアスカの物だと思うわよ。三十路女が猫ちゃん柄のパジャマを来て寝ているなんて誰も想像しない……痛たっ!」

「あなただって私と同じ三十路女でしょう……!」

「からかって悪かったわ、謝るから、電流を流すのは止めてっ!」

「フン、これでミサトもスッキリ目が覚めて良かったじゃん」

 

 アスカはもがき苦しむミサトを見てそうつぶやいた。

 賑やかな朝食も終わり、学校の準備を終えたシンジたちは揃って新・葛城家を出る。

 リツコはミサトの運転する車に乗って一足先に杜宮学園へと向かった。

 シンジとアスカとレイは徒歩で杜宮学園へと向かう。

 その理由は通学路で待っていた旧友たちの姿にあった。

 

「やっほー、ヒカリ!」

「アスカ! 綾波さんも!」

 

 ヒカリはアスカとレイの姿を見ると笑顔になった。

 それは一緒に居たトウジとケンスケも同じだった。

 

「おうシンジ、元気にしとったかい!」

「こうしてまた碇と登校できるなんて思ってもみなかったよ」

 

 三人は第三新東京市からの疎開先に杜宮市を選んでいた。

 ネルフの勤務者たちが杜宮市に移り住んだのは、将来的にネルフ本部を移転するための布石だったのかもしれない。

 六人はしばらく思い出話に花を咲かせていたが、ふとシンジは気になってトウジに尋ねた。

 

「そうだ、トウジは涼宮ハルヒさんについて何か知らない?」

 

 涼宮ハルヒの名前が出ると、トウジ、ケンスケ、ヒカリは目に見えて動揺した。

 トウジたちはシンジたちよりも一年早く杜宮市に来ているので、何か知っているかと思い尋ねたのだが……。

 

「あいつとは同じ中学校やったけど、えらい変わり者ちゅう話や」

「涼宮のやつ、黙っていればラングレーと同じで美形だからな、交際を申し込む男子が後を絶たないんだ。それを断らずにOKするんだが、中には交際して数時間でフラれた男も居たらしいぜ」

「そらお前の事やないか」

 

 トウジが指摘すると、ケンスケは思い切り凹んでしまった。

 

「色んな男と取っ替え引っ替え付き合って何を考えているんだか……」

 

 そう言ってケンスケは天を仰いだ。

 

「他にも教室の机を変な形に並べたり、屋上に針金で変なオブジェを作ったり、校庭に変な落書きをしたり……良く分からない人なのよ」

 

 ヒカリは困った顔でため息を吐き出した。

 涼宮ハルヒの武勇伝は既に杜宮市に鳴り響いているらしい。

 そんな変わり者と接触するだなんて、自分たちも変だとは思われないかとアスカは心配になった。

 

 

 

 そして入学式が終わり、1-Aの教室ではホームルームが始まった。

 

「あたしは担任の葛城ミサト。英語教師で水泳部の顧問をする事になったわ。あなたたちと同じ、この学校では一年生だけどよろしくね!」

 

 ミサトが教壇で明るくあいさつをすると、クラスの生徒(特に男子)から歓声が上がった。

 

「副担任の赤木リツコです。教科は化学、校医として保健室に駐在します。仮病などは許しませんので、そのつもりで」

 

 白衣を着たリツコがミサトの隣に立って自己紹介をすると、男子もそうだが、女子生徒からも熱い視線が注がれている事にリツコは気が付いた。

 

「それじゃ、順番に自己紹介と行きましょうか!」

 

 入学式の直後なので、席は出席番号順となっている。

 トウジやケンスケ、ヒカリとはクラスが別れてしまったが、シンジとレイは無難に自己紹介をこなし、クラスに溶け込めるような感触を得た。

 アスカはラングレー姓なので、あいうえお順ではクラスの最後の方だ。

 

「杜宮東中学校から来た、涼宮ハルヒ。普通の人間には興味ありません。この中に宇宙人、未来人、超能力者が居たら私の所に来なさい! 以上!」

 

 立ち上がったハルヒがそう言って椅子に座ると、クラスの空気が凍り付いた。

 ミサトでさえ引きつった笑いから回復するのに30秒もかかった。

 

「ユ、ユニークな自己紹介だったわね、はいみんな拍手~!」

 

 進行役のミサトの言葉でクラスからはパラパラと小雨のような拍手が起こった。

 

「あんなヤツと友達になれって言うの!?」

 

 アスカは頭を抱えて、これは悪夢だとブツブツとつぶやいた。

 第壱中学校に転入した時のように思い切り猫を被った自己紹介をしようと思っていたアスカだったが、もうそれどころでは無い。

 自分でも自己紹介で何を話したか覚えていないほどだった。

 

「アスカ、顔色が悪いけど大丈夫?」

「あ、うん、平気よ」

 

 心配したヒカリに声を掛けられたアスカは、笑顔を取り繕ってそう答えた。

 昼休み、六人は1-Aの教室に集まってお弁当を食べる事になった。

 ケンスケだけが食堂で販売しているテイクアウトだった。

 

「ヒカリ、鈴原のお弁当、アンタが作ってるんだ」

「うん、トウジが入院している時、病院食は美味しくないからって……」

 

 アスカが尋ねると、ヒカリは照れくさそうにそう答えた。

 

「そら、ヒカリの弁当の方が美味いに決まっとる」

 

 トウジはヒカリが委員長ではなくなった時に、洞木さんと呼ぶのも面倒だからヒカリと呼ぶ事にしたらしい。

 それからヒカリの方もトウジの事を名前で呼ぶようになり、距離が縮まったそうだ。

 そんな二人をからかっている間に、アスカもいつもの元気が出て来たようだった。

 

「失礼、貴方が碇シンジ君?」

 

 教室に入って来た上級生が六人に近づき、シンジに声を掛けると教室がざわついた。

 

「はい、そうですけど……」

 

 シンジは戸惑いながらそう答えた。

 アスカも綺麗で可愛いとシンジは思っているが、この上級生も容姿端麗という点では引けをとっていない。

 アスカと同じ青い瞳に見つめられたシンジはドギマギした。

 

「私は柊明日香。貴方と同じ《適格者》よ。今夜、市内で《異界化》が発生しそうだから、貴方達を案内するように言われているの」

 

 ゲンドウは言っていた。

 シンジたちと同じ《適格者》が他にも居ると。

 今夜はシンジたちにとって《怪異》と戦う初陣となるわけだ。

 正直、怪物と戦うのは怖い。

 だけど使徒と戦って来たじゃないか、とシンジは自分を奮い立たせた。

 

「まだ杜宮市に来て間もなくて地理に不慣れでしょうから、集合場所は貴方達の家の前の公園にしましょう。夕方までに準備をしておいて」

「はい、分かりました」

 

 明日香がそう告げると、シンジは真剣な表情でうなずいた。

 

「あのー、柊先輩。用が済んだのならシンジから離れてくれます?」

「ごめんなさい、楽しい食事の邪魔をして。それじゃ」

 

 アスカが不機嫌そうな顔で明日香をにらみつけると、明日香は爽やかな笑みをアスカに向けて教室から去って行った。

 

「おい碇、どういう事だよ? あの柊明日香先輩に声を掛けられるなんて!?」

「明日香先輩ってそんな凄い人なの?」

 

 ケンスケに詰め寄られたシンジは不思議そうな顔で聞いた。

 

「ああ、アメリカからの帰国子女で美人で頭も良くて運動神経抜群、それを鼻にかけない性格から、二年の編入早々、学校中の男子の憧れの的だぜ」

「フン、アタシだって帰国子女で頭脳明晰で運動神経も悪くないわよ!」

 

 説明するケンスケの言葉を聞いたアスカは鼻息を荒くしてそうぼやいた。

 

「ラングレーはもう地の性格がバレてしまっとるやろ」

 

 あきれた顔でトウジに指摘されたアスカが周囲を見回すと、アスカを『高嶺の花』と見ている生徒は既にいないようだ。

 

「アスカは言葉遣いと、態度を直した方が良いと思うの」

 

 そうヒカリにまで言われてしまったアスカは悔しそうな顔をしながら組んでいた足を正した。

 このままではあの柊明日香と言う女に負けっぱなしでいる感じで悔しいと感じたアスカは、なんとか見返してやる方法は無いかと考えた。

 そうだ、あの明日香が驚くほど華麗に《変異》を倒しまくれば良いとアスカは思い付いた。

 

「フフフ、今夜は目に物を見せてやるわよ……」

「アスカ、ちょっと笑い方が怖いんだけど」

 

 シンジがやる気を燃やすアスカを見て、オロオロとした様子で声を掛けた。

 

「シンジ、レイ、アンタたちも今夜の《変異》退治、しっかりと頑張りなさいよ」

「うん」

「……分かったわ」

 

 話に夢中になっていたシンジたちは、教室に居た涼宮ハルヒが聞き耳を立てていた事に気が付かなかった……。

 

 

 




 『涼宮ハルヒの憂鬱』のオープニング、『冒険でしょでしょ』のムービーを見ていると、契約の場面がイメージしやすくなると思います。
 
 リメイク前の作品ではゲームのパロディネタや、ガイドブックにある知識だけの外国旅行が多かった批判を反省し、今回のリメイクでは東京ザナドゥのシナリオを骨子としたしっかりとした学園エヴァ物語にしていきたいと思います。

 さらにネタバレが早過ぎて予想の余地が少なくて面白味が少なくなる言う他の連載での御意見を頂きまして、少し解説について考えてみる事にしました。

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この作品で足りない部分は外伝で補完して行きます。足りないと思う部分を教えて下さい。

  • 新世紀エヴァンゲリオン(LAS)
  • 涼宮ハルヒの憂鬱(日常)
  • 東京ザナドゥ(バトル)
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