摩訶不思議ハイスクール・ライフ エヴァンゲリオン 杜宮学園物語   作:朝陽晴空

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第五話 初夏のお花見、再びの異界化、コウの覚醒

 杜宮学園の正門近くには、桜の木が植えられていた。

 入学式の日は何とか桜の花で色づいていた桜の木も、花が散り始めて葉桜になりかけていた。

 

「コウくん、桜ももう終わりだね」

「ああ、そうだな」

 

 杜宮学園の2年生であるコウとその幼馴染のシオリは、今朝も一緒に登校をしていた。

 そんな2人に近づいて来た杜宮学園の制服を着た男子生徒が2人。

 

「今日も夫婦同伴で登校か、羨ましいやつだな!」

 

 そう言ってコウに近づいて来た背の高い男子生徒は、伊吹リョウタ。

 コウと同じクラスメイトであり、ネルフのオペレータ、伊吹マヤの従姉弟だ。

 

「いつもうるせえな、俺とシオリはそんなんじゃねえって言うの」

 

 コウは面倒臭そうにリョウタに向かってそう答えた。

 シオリは照れる事無く穏やかに笑って受け流している。

 

「うーん、確かにコウを羨ましがるリョウタの気持ちは分かるけどね。でも、リョウタだって従姉弟のお姉さんが居るじゃないか」

 

 そう言って近づいて来たもう1人の童顔で小柄な男子生徒は、小日向ジュンだ。

 

「マヤ姉ちゃんは見た目は穏やかだけど、ガードがガチガチに固いんだよ」

 

 リョウタはマヤにアタックした事のある過去を認めた。

 

「リョウタ、お前はいくら彼女が欲しいからって、ジュンにまで手を出すとはな」

「止めてくれ、あれは俺の黒歴史だ」

 

 コウにそう言われたリョウタはガクッとうなだれた。

 

「確かに、僕は女の子に間違えられる事はたまにあるけどね」

 

 ジュンはそう言って穏やかな笑みを浮かべた。

 その童顔の容姿もあって、アニメの女性キャラのコスプレもするほどだった。

 

「うん? どうしたんだシオリ?」

「後ろから誰かが見ている気がしたの。でも、気のせいだったみたい」

 

 コウに尋ねられたシオリはそう答えるとまた前を向いた。

 

「明日香センパイがじっと見ていたから、視線を感じたんじゃないんですか?」

「あのね、ラングレーさん。しつこいようだけど、私は別に時坂君と倉敷さんに焼きもちをやいてるわけじゃないの」

 

 コウ達4人組の後ろには、明日香やアスカ達SOS団のメンバーが固まって登校していた。

 

「それにしてもあの2人の幼馴染先輩カップルは落ち着き払っているな。碇とラングレーみたいに、夫婦呼ばわりしても顔色1つ変えないんだからな」

「フン、アタシとシンジは付き合ってまだ1年ちょっとしか経ってないのよ!」

「付き合っている事は認めるのね」

 

 ケンスケの言葉に触発されたアスカがそう答えて、明日香がつっこむと、アスカは顔を真っ赤にした。

 

「碇とラングレーは同じ家に住んどる事やし、その点ではリードしているやんか」

「別に僕達は競争しているわけじゃないよ」

 

 シンジはトウジに困った顔でそう答えた。

 

「同じ家に住んでいると、ムラムラして来る事もあるやろ」

 

 確かにアスカは葛城家で2人きりの時は目のやり場に困る服装でシンジをからかって来た。

 今は5人家族となっているので、あまりその機会は訪れない。

 

「鈴原、いい加減にしなさい!」

「痛てて、委員長、耳を引っ張るなや」

 

 シンジを質問攻めにしていたトウジの耳をヒカリが引っ張った。

 

「アンタもヒカリの事を名前で呼んであげなさいよ」

 

 アスカはあきれた顔でそう言い放つ。

 会話に参加しないレイとユキは歩きながら本を読んでいる。

 

「あのう、綾波さんも長門さんも、前を見ないと危ないですよぉ」

 

 そう言いながら、自分が転んでしまうミクル。

 

「そうだわ! SOS団の歓迎会はお花見にしましょう!」

 

 今まで考え込んで静かだったハルヒがそう宣言すると、アスカ達は鳩が豆鉄砲を食ったような顔になった。

 

「おい待て、歓迎会ってのは誰かを歓迎するって事だろう? 自分達自身を歓迎するだなんて、表現として矛盾しているぞ」

「それに、桜の花も散って葉桜になりかけているじゃない」

 

 キョンはハルヒに日本語の間違いを、アスカは校門の側にある桜の木を指差してそうハルヒにつっこんだ。

 

「あそこに植えてある桜は、根性が足りないのよ。きっと満開の桜があたし達を待っているはずだわ」

 

 ハルヒが言うように桜に根性なんてあるわけがない。

 根性があるのはトウジの妹の鈴原サクラだ。

 

「ここら辺で桜の木がたくさん植わっている所はないかしら?」

「九重神社なら、桜の名勝地として有名よ」

「それなら、明日の日曜日、九重神社でお花見、SOS団の最初の活動はそれで決定ね!」

 

 明日香先輩も余計な事を言ってくれたものだとアスカ達は視線を明日香に向けた。

 

「涼宮さんのフラストレーションが溜まると、異界化現象が激しくなるとネルフの分析結果でも出ているわ」

「でも、涼宮さんが力を使っても異界化現象が起きるんでしょう?」

 

 シンジはウンザリとした顔で明日香にそう言うのだった。

 そして予鈴のベルが鳴る。

 家を出る時は余裕だったのに、正門前で話し込んでいるうちに時間が過ぎてしまったようだ。

 正門前に立っているジャージを着ている女性教師に怒鳴られながら、シンジ達は教室に滑り込むのだった。

 

 

 

 その日、SOS団の部室である旧校舎に集まった団員達の会議の内容は、やはり明日の日曜日に行われるお花見の内容だった。

 ハルヒは腕に『団長』と書かれた手作りの腕章をして議長席に座り、満面の笑みを浮かべている。

 盛り上がっているのはハルヒ1人で、異界化に対処しなければいけないアスカ達はウンザリしていた。

 怪異の強さによっては怪我をしてしまう可能性があるのが、シンジは心配だった。

 

「まず、明日のお花見のお弁当だけど、団長のあたし自らが腕を振るうから、心して味わいなさい!」

 

 ハルヒがそう宣言をすると、キョン以外は驚いた表情になった。

 てっきりシンジが弁当を用意するものだと思っていた。

 失礼ながらドジっ子のミクルはメイド服を着させられてお茶汲みをしているが、料理は出来そうになかった。

 シンジは負担が減る上に、ハルヒの作る料理に興味津々だったので喜んだが、黙って居られないのはアスカだった。

 

「ちょっと待ちなさい、アンタがお弁当を作るなんて反対よ!」

「何よ、それならアスカがお弁当を作るって言うの?」

 

 ハルヒは口を尖らせてアスカに言い返した。

 とてもアスカがSOS団全員分のお弁当を作れるとは思えない。

 

「シンジが作るのよ! シンジの作るお弁当はアンタが作るものより美味しいのよ!」

 

 アスカの発言に、シンジはやれやれとため息を付いた。

 

「あたしのお弁当を食べないで、良くもそんな事を言えたわね。アスカの舌にはバイアス(偏見)が掛かっているんじゃないの? 恋愛なんてね、他人に通じない調味料なのよ、精神病の一種よ!」

「あのぉ、どういう意味ですか?」

 

 ハルヒの発言の意味をミクルが尋ねると、キョンはあきれた顔で解説する。

 

「朝比奈さん、要するに、ラングレーは碇にラブラブだから、どんなものを食べても上手いと感じる病気だと涼宮は言っているんですよ」

「こうなったら、明日のお花見は弁当対決しようじゃないの!」

「もちろん、受けて立つわ!」

「当事者は僕なんだけど……」

 

 にらみ合うハルヒとアスカを見て、シンジは嘆いた。

 その様子を見ていた明日香はハルヒの口角が歪むのを見て、楽しんでいるのではないかと読み取った。

 

「碇君、この新聞の記事を見て」

 

 レイがそう言ってシンジの腕を引っ張ると、シンジは新聞『杜宮ジャーナル』に書かれた内容を読んだ。

 

『今年は桜の咲き始めが遅く、4月下旬まで長く満開の桜を楽しめるでしょう』

 

 その記事を読んだシンジは目を丸くした。

 今年の桜は平年並みに咲いて居たはずだ。

 

「赤木博士も科学的にはありえない現象が起きたと話していたわ」

「涼宮さんの力の発現により特異点が生じたのね。これで今夜は異界化が起きる可能性は高まったわ」

 

 レイの言葉に続いて、明日香はそう断言した。

 また今夜、怪異と呼ばれる怪物と戦わなければならないのかとシンジはため息を吐き出した。

 しかも次の日は早起きしてお弁当を作らなければいけないと来ている。

 

「アタシは悪くないもん!」

 

 シンジが恨めしそうな目でアスカを見ると、アスカはプイっと横を向いた。

 半分はアスカのせいだろうと、シンジは思った。

 

「料理を作れない団員も、何かしら食べ物を持ち寄って来る事。例えばお団子とかね!」

「マジかよ」

 

 意外な出費を強いられる事になったキョンがそうぼやいた。

 

「後は各自お花見を盛り上げる宴会芸を忘れない事、以上!」

 

 そう言って会議を打ち切るとハルヒはウキウキしながら旧校舎を飛び出して行ってしまった。

 残されたシンジ達は大きなため息を付くばかり。

 

「きっと苦難を乗り越えた後のお花見はさらに楽しく感じるわよ」

 

 ミクルを除けば年長者の明日香がそう言ってシンジ達を励ますのだった。

 

 

 

 放課後、杜宮学園の2年生であるコウはいつものように夜までアルバイトに励んでいた。

 

「ご苦労様、今度はアルバイトが終わったら、しっかりと私に報告する事を忘れないでね」

「ユキノさん、すみませんっす」

 

 コウは杜宮市内のレンガ小路と呼ばれる西洋レトロ風の通りに店を構えるアンティークショップ『ルクルト』の女性店主ユキノに、アルバイトを斡旋してもらっている。

 異界化に巻き込まれた当夜の記憶がコウに無く、気が付いた時には自宅で寝ていた状態だったため、ユキノにその前に喫茶店でバイトをしていた報告をしていなかったのだ。

 

「あれは……シオリか?」

 

 コウは息を切らして九重神社の方へと走って行くシオリを見て、不思議に思った。

 シオリは後ろを振り返りながら走り、何かに追われているようだった。

 だがシオリを追いかけているような人間の姿は見えない。

 しかしコウには薄っすらとしてだが《視えて》しまった。

 人面樹のような幽霊がシオリを追いかけているのを。

 

「シオリ!」

 

 コウは慌ててシオリを追いかけて九重神社へと向かった。

 そしてコウが目撃したのは、不気味な色の門だった。

 門の前でシオリが尻餅を突いて後ろを振り返った。

 

「コウちゃん、助けて!」

 

 コウの目の前でシオリは門の中に吸い込まれて消えてしまった。

 ためらう事無く門に飛び込んだコウは、自分が迷宮のような場所に居る事に気が付いた。

 

「俺は……この場所を覚えている?」

 

 コウの頭の中に明日香により消されたはずの記憶が蘇る。

 近くにシオリの姿が無い事にコウは焦りを感じた。

 

「くそっ、俺はまたシオリを助けられないのかよ!」

「力が、欲しいかい?」

 

 そう言ってコウの前に姿を現したのは、空中に浮かぶ、水色の長い髪の少女だった。

 服装も、洋服ではなく、西洋ファンタジーの物語に出て来る巫女のようなものを着ている。

 

「僕の名前はレム。さあ、力が欲しいのなら僕の手を握って……」

 

 コウがレムと言う少女の手を握ると、自分の体が熱くなるのを感じた。

 

「ソウルデヴァイス、アンカーギア!」

 

 自分でも意識しないうちにコウがそう叫ぶと、鎖で伸縮自在の刃先が繋がれた金属製の小手のようなものが出現した。

 

「それが君のソウルデヴァイスなんだね。その力をどう使うのか、遠くから見守らせてもらうよ」

 

 レムはそう言うと、身体が幽霊のように透けて行き、姿が見えなくなった。

 思わぬ形で武器を得たコウはアンカーギアを構えて、異界の迷宮内を彷徨う怪異に向かって行った。

 

「シオリ、無事で居ろよ……!」

 

 

 

 シンジ達はコウより少し早くに異界の迷宮内で怪異と戦っていた。

 迷宮内に出現した怪異は桃色の葉っぱをした人面樹のようなものが多かった。

 

「しまった!」

 

 悲鳴を上げたアスカの方をシンジが振り向くと、アスカが巨大な人面樹のような怪異の伸ばした触手のような自在にしなる枝に拘束されていた。

 

「あれは、S級の怪異! そこら辺の雑魚とは違う存在よ!」

 

 明日香はそう叫んでシンジ達に警戒を促した。

 首を絞められ、アスカの2つの胸の形がくっきりと強調されるように絞り込まれ、太ももが痛々しいほどに縛られていた。

 このままではアスカの全身の骨が折られてしまう。

 

「アスカっ! アスカっ!」

 

 シンジは明日香が動くよりも早くアスカを縛り付けている怪異の枝をマゴロクソードを無茶苦茶に振り回して切断した。

 

「アスカ、大丈夫?」

「体中が痛いけど、なんとか平気みたい」

 

 蔓のような枝による拘束から解かれて地面に落ちたアスカはシンジにそう答えたが、シンジはアスカの姿を見て顔を真っ赤にして視線を反らした。

 不思議に思ったアスカが自分の胸元を見ると、アスカの上着もシャツも怪異の攻撃によってビリビリに引き裂かれ、ちょっとブラがズレたらピンク色の蕾が見えてしまう状態だった。

 

「※Φ@¥&#!?」

 

 言葉にならない悲鳴を上げたアスカは両腕で自分の胸元を隠してうずくまってしまった。

 アスカが戦力にならないと判断した明日香は、アスカを守りながら戦おうとするが、さらに目の前に気を失って倒れたシオリが現れて驚く。

 

「倉敷さん!?」

 

 2度も異界に飲み込まれてしまうとはなんという事だと思いながら、明日香は護る対象が増えて苦戦を感じ始めた。

 シンジとレイは戦い慣れていないので、自分に向かって来る怪異に立ち向かうだけで精一杯だ。

 

「うぉぉぉぉっ!」

 

 その時、明日香達の耳に飛び込んで来たのは、コウの叫び声だった。

 自分達の目の前に飛び込んで来たコウが自分のソウルデヴァイスで怪異にダメージを与えている姿を見て、明日香は目を見張った。

 

「時坂君、あなたも適格者だったの!?」

「柊、俺には何のことだか分からねえ。とにかくシオリを助けるために戦う!」

 

 コウと言う戦力が加わったお陰で、明日香達は戦線を立て直すことが出来た。

 これで怪異が掃討出来ると思った矢先、異界の空間が割けて、身長3mはあろうかと言う巨人のような怪異が現れた。

 

「何よ、あのデカい怪異は!」

 

 胸を押さえながらアスカはそう叫んだ。

 

「エルダー怪異(グリード)、この異界化迷宮の主よ。あれを倒せば異界化は収まるはず。ここは私と時坂君に任せて下がって」

「分かりました」

 

 レイはそう言うと、シンジと一緒に倒れているシオリを運び、アスカと一緒に狭い通路の方へと下がった。

 コウも明日香も格闘戦には慣れている、自分達が足手まといになってはいけないと考えたのだ。

 コウは九重流柔術の指導を祖父から受けており、その身のこなしはシンジ達も素人ではないと感じ取っていた。

 シンジは胸を隠し続けているアスカの方を出来るだけ見ないようにして、巨大な怪異に対峙する明日香とコウの戦いを見守った。

 明日香とコウは振り回される怪異の腕を交わしながら、怪異を斬り付けてダメージを与えて行く。

 しかし怪異は倒れる気配を見せない。

 

「ここは私に任せて!」

 

 明日香はそう言うと、装備していた剣から強烈な光を放ち、巨大な怪異に投げ付けた。

 

「クリミナルブランド!」

 

 水晶のような光が怪異を包み込みと、仰向けに倒れた怪異は燃え尽きるように消えて行った。

 そして異界化の収束が始まり、コウ達は現実世界へと戻った。

 

「あんな必殺技なんて、チートよ、インチキよ!」

「Xドライブよ、あなたもそのうちに使えるようになるわ」

 

 文句を言うアスカに、明日香は余裕の笑みを見せたのだった。

 

 

 

 翌日の日曜日。

 九重神社ではSOS団のメンバーと友人達を集めてお花見が行われた。

 神聖なる神社でのお花見と言う無茶が通ったのは、コウの従姉である九重トワの祖父が九重神社の神主である九重ソウスケだったからだった。

 

「じっちゃん、騒がしくして済まねえ」

「構わん、神社とはたくさんの人間が祈りを捧げに来る場所じゃ」

 

 コウに対してソウスケは穏やかな口調でそう答えた。

 

「ほら、コーくんもこっちに来て一緒に食べよう」

「だから、コーくんは止めろって、トワ姉」

 

 トワに呼ばれたコウは渋々トワの近くに座る。

 適格者として覚醒した事で、コウもネルフやSOS団と無関係な存在では無くなった。

 シオリは再び記憶を消されたが、コウは適格者の1人として、ネルフに協力する事になった。

 バイトが忙しいのでSOS団に所属する事は辞退した。

 さっそくハルヒとシンジのお弁当の食べ比べ対決が行われたが、2人とも独学で料理を学んだため、甲乙付け難く、勝敗はうやむやのまま引き分けとなった。

 

「誰よ、お花見にたこ焼きなんか持って来たのは」

「ワシや、文句あるかい」

「まあ、お祭りみたいで楽しいじゃない」

 

 にらみ合うアスカとトウジをなだめたのはハルヒだった。

 

「それなら、ラングレーの持って来た食べ物を見せてもろうやないか」

 

 トウジはアスカの持っていたタッパーを取り上げた。

 

「ダメよ! それは全部シンジに食べさせるんだから!」

 

 アスカは必死に取り返そうとするが、トウジは開けて中を確認する。

 すると入っていたのは卵焼きだった。

 

「何やこの卵焼きは、甘すぎて食えたもんやない!」

 

 関西人と自認するトウジは、卵焼きはしょっぱい派だった。

 

「アスカが食べ物を提供できないのならば、お団子は2人で1本ね!」

 

 ハルヒはそう言って、シンジにみたらし団子を手渡した。

 

「じゃあ、アスカが食べなよ」

 

 シンジはアスカに団子を手渡そうとしたが、アスカは受け取るのを拒否してシンジを腕を引っ張って桜の木の陰に隠れた。

 

「お団子は半分こにしましょう」

 

 そう言って、アスカはシンジと向かい合わせになり反対側から団子を咥えた。

 串が刺さってチクリとしたが、アスカとシンジの唇はそっと触れ合った。

 

「それと、鈴原のやつに少し食べられたけど、これ」

「僕のために作ってくれたんだ」

 

 シンジはアスカが慣れない手つきで卵焼きを作っているのを知っていた。

 同じ家で同じキッチンを使っているのだから当然だ。

 

「異界でアタシが怪異に捕まった時、助けてくれたでしょう。あの時のシンジの顔、アタシは忘れないわ」

「どんな顔をしてたの?」

 

 シンジが尋ねても、アスカは微笑むだけで答えなかった。

 

「アタシの卵焼き、鈴原が言う通り、甘すぎた?」

「ううん、そんな事無いよ。甘い方が僕は好きなんだ」

「そう、良かった」

 

 シンジが笑顔でそう答えると、アスカの表情は明るくなった。

 

「そう言えば、アスカは身体の方は大丈夫? 怪異に締め付けられて、とても痛そうだったけど」

「それが変なのよ、朝起きても少し痛みは残っていたけど、お花見をしてたら全然痛くなくなったのよ」

 

 アスカとシンジはトウジとケンスケの漫才を見て笑っているハルヒの姿を見て、ポツリと呟く。

 

「まさか……ね」

「ハルヒは自己中なやつよ」

 

 2人はそう言った後、SOS団の集まる場所へと戻ったのだった。




たまたま苗字が伊吹で同じだったので、マヤとリョウタで緩い繋がりを創作してみました。

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この作品で足りない部分は外伝で補完して行きます。足りないと思う部分を教えて下さい。

  • 新世紀エヴァンゲリオン(LAS)
  • 涼宮ハルヒの憂鬱(日常)
  • 東京ザナドゥ(バトル)
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