紅葉色の水平線に勝利を刻むんじゃ! 作:RightWorld
≪提督が鎮守府に着任しました。これより艦隊の指揮を執ります≫
「こんばんは、わたしの艦娘達!」
紅葉はノートパソコンの前で両手を広げて、ニコニコ顔で話しかけた。
「あ゛? 提督ぅー? ああウザイ」
「眠いです……」
「目がしょぼしょぼするわ……」
「なんで皆して疲れてんの!? これからが素敵なパーティーが始まるのに!」
吹雪と曙は、その後ずっとトランプタワー作りの練習をしてたのだ。これから夜の待機時間は、トランプタワーを作るのに費やされてしまうのかもしれない。妖精さんから情報を聞き出すためには仕方ない…………仕方ないのか?
「なんで夜な夜な、提督はそうテンション高いのさ」
「今日残ってるエネルギーをここですっかり使い切って、バタンキューで朝までぐっすり寝るために決まってるじゃん」
「使い切らなくてもいいのに。遊び疲れないと寝ないなんて、幼児か」
「言ったわね、うりゃうりゃ」
「やめてマウスクリック攻撃! それも変なとこばあっかり、ああん!」
「北上さん、いい声! ハアハア!」
「CVの声優さんに謝れ! いやぁん!」
マウスクリックは艦娘に突っつくような感触で届くのである。しかも立ち絵のクリックしたところと同じ場所に届くのである。それも紅葉は卑猥な目をして、大事なところばっかり突っついてくるのであ~る!
吹雪もやられたことがあるので、顔をひくつかせていると、とうとう曙が「なんで触るの、ありえないから! クソ提督の秘書艦なんか絶対しないから!」と憤慨して声を張り上げたので、ようやく提督の手が止まった。
よかった。曙がいい抑止力になったよ。
「あのー、次の旗艦は、曙ちゃんに頼もうと思ってたんだけど……」
「うっざいわね、こっちくんな!」
「わあ、ごめんなさーい! 曙ちゃんにはしないから!」
「あたしと吹雪にはするのかよ」
「あまり何回もされるのはこまりますぅ~。でも、たまになら……」
「えっ! 吹雪、許容しないでよ!」
「わかった、北上さんにしかしないから!」
「あたしにもするなーっ!」
覚えてろ! いつかこれの反撃方法見つけて、提督のあんなとこやこんなとこを突っついてやるんだから!
「それで、今日は何か新しい情報ある?」
「夢の島泊地のデータベースの値を変えてるのが、運営じゃないかもしれないって、妖精さんが言ってたよ」
ここで昨夜の妖精さんが言ってた謎の説明、
『うんえいのひとは、さばとおなじでんせんのうえにあるまどぐちから、みたりうごかしたりするんです。でもいまつぎあてしてるひとは、かべのむこうのでんせんからみてるんです』
を提督に伝えた。
「提督はこれ、どういうことだか分かる?」
「そうね……。でんせんが電気の線の電線だとすると、ネットワークのことかな。ネットワークの上にある窓口からサーバーを見る、つまり操作してるとすると、窓口はリモート操作する端末、パソコンじゃないかしら。壁の向こうの電線は、ネットワークを区切ってるファイヤーウォールとか、ルーター、ネットワークスイッチとかの向こう側のネットワーク、そんなところかしら」
「提督凄い。こんな暗号みたいな言葉だけでよく読み取れるね。そうすると、誰が夢の島泊地のサーバーをいじってるってことになるの?」
「うーん。運営会社の別のネットワークにある端末からってことも考えられるけど、ファイヤーウォールの外、インターネットの彼方から来てるってのも考えられるわね。いってみれば、わたしも壁の外のネットワークから夢の島サーバーに繋いで、艦これアプリで遊んでるわけだけど」
「そうしたら紅葉提督も、夢の島泊地のサーバーを操作できるの?」
「普通はできないわ。ファイヤーウォールとかプロキシーサーバー、リバースプロキシーとかが間に入って通信経路を制御して、IDS、IPSサーバーとかがヘンな通信や動作してないか監視してるはずだから。わたしハッカー関係の知識には詳しくないから、どうかいくぐるのかは知らないけど」
「知らない言葉がたくさん出てきた。提督には感心するよ」
「AI北上さんなら、その辺だって知ってるんじゃないの?」
「ごめん。あたしそういうインターネットから情報取って学習して、なんでも答えるチャットボットとは違うんだ。曙や吹雪に毛が生えたくらいの艦娘なんだよ」
「確かに生えてないわね」
「ちょっとだけ……」
「その毛じゃないから」
「でも運営じゃない、インターネットの彼方の誰かが、夢の島泊地のデータベースをいじってるかもしれない可能性があるっていうのね。それって不正侵入されてるってことになるよね?」
「まだ運営じゃないって決まったわけじゃないよ」
「そっか。妖精さんは調べてくれてるのよね?」
「うん。猫吊るし妖精さんにやってもらってる。とりあえず、その調査結果を待とうか」
というわけで、さっそくデイリーの開発任務から始めることにした。
「みんな、何が欲しい?」
「欲しいものが作れるとは思えないけど」
「北上さん、夢くらい語ろうよー。はい、まず吹雪ちゃん」
「そうですね。1-1海域で必要な物って言うと、まずは強力な火砲ですかね?」
「大砲かあ」
きらりーん、ぱっ。
「出たよほら、35.6cm連装砲だって! これがあれば駆逐艦なんか一撃じゃない!?」
「わあ、金剛さんの主砲だぁ!」
「って、出すなあ! なんで出るのさ! 駆逐艦が積める小口径砲じゃなきゃ使えないよ!」
「いいじゃん。いつか積めるかもしれないよ? えーと報酬貰ったら、任務、装備開発3連ちゃん開始! 次、曙ちゃん。何が欲しい?」
「し、仕方ないわね。魚雷でいいわ。酸素魚雷なら1-1海域で役に立つわ」
「魚雷魚雷……」
きらりーん、ぽわ。
「出たよ魚雷! 魚雷って書いてあるよ。潜水艦後部魚雷発射管4門(初期型)だって」
「潜水艦っても書いてあるじゃん! 積めないよクソ提督!」
「おかしい、絶対おかしい!
「出るんだからいいじゃない。北上さんの希望も聞いてあげるよ? 何が欲しい?」
「……じゃあ電探」
「北上さん、良い選択ですね。小型のなら私達駆逐艦でも積めます」
「索敵や砲雷撃戦での命中率も上がるし、1-1海域でも使えるわ」
「ふふーん、秘書艦が
ぽよよ~ん……てれれれん。
「捨てられたペンギンが出てきたよ。あらら開発に失敗だって。北上さんがわたしのこと狂った提督とか言ったから、バチが当たったんだよ」
「なんで!?」
北上が戦艦扶桑なみの不幸体質なのかもと落ち込んでいる間に、紅葉提督は最後の開発をした。
ぽよよ~ん、ぱっ。
「ナニコレ、赤い釣鐘? 銅鐸?」
「三式弾ですね。対空対地に効果のある特殊砲弾です。残念ですが使えるのは重巡か戦艦です」
「使えないわね。やっぱりクソ提督だわ」
「その前にさあ、それも出てくるのおかしいと思うんだよねえ」
「いいのいいの。すぐ重巡や戦艦を建造すればいいだけだから。今日できてるかもしれないよ?」
「建造時間20分だったなら絶対違うよ。一応規定のセリフを言っとくよ。新しい艦が進水したってさー。進水した後に艤装工事して完成させるから、就役が正しいと思うんだけどねえ」
ドックの完成している艦をGETすると、まあ皆の予想通りだ。
「特型駆逐艦『曙』よ。って、こっち見んな! このクソ提督!」
「特型駆逐艦『曙』よ。って、こっち見んな! このクソ提督!」
「いつもの曙ちゃんズだ! いらっしゃーい」
「「はあ!? 気持ち悪いのよ、このクソ提督」」
建造されるのはいつものように曙。今日は北上の近代化改修に回された。
作者はオンラインゲームのシステム構成や、艦これの中の構造は全く知りません。勝手に想像して作っておりますので、そのような前提で読んでくださいね。