紅葉色の水平線に勝利を刻むんじゃ!   作:RightWorld

24 / 35
第11夜 その1

 

≪提督が鎮守府に着任しました。これより艦隊の指揮を執ります≫

 

「こんばんは、わたしの艦娘達!」

 

 紅葉はノートパソコンの前で両手を広げて、ニコニコ顔で話しかけた。

 

「あ゛? 提督ぅー? ああウザイ」

「眠いです……」

「目がしょぼしょぼするわ……」

「なんで皆して疲れてんの!? これからが素敵なパーティーが始まるのに!」

 

 吹雪と曙は、その後ずっとトランプタワー作りの練習をしてたのだ。これから夜の待機時間は、トランプタワーを作るのに費やされてしまうのかもしれない。妖精さんから情報を聞き出すためには仕方ない…………仕方ないのか?

 

「なんで夜な夜な、提督はそうテンション高いのさ」

「今日残ってるエネルギーをここですっかり使い切って、バタンキューで朝までぐっすり寝るために決まってるじゃん」

「使い切らなくてもいいのに。遊び疲れないと寝ないなんて、幼児か」

「言ったわね、うりゃうりゃ」

「やめてマウスクリック攻撃! それも変なとこばあっかり、ああん!」

「北上さん、いい声! ハアハア!」

「CVの声優さんに謝れ! いやぁん!」

 

 マウスクリックは艦娘に突っつくような感触で届くのである。しかも立ち絵のクリックしたところと同じ場所に届くのである。それも紅葉は卑猥な目をして、大事なところばっかり突っついてくるのであ~る!

 

 吹雪もやられたことがあるので、顔をひくつかせていると、とうとう曙が「なんで触るの、ありえないから! クソ提督の秘書艦なんか絶対しないから!」と憤慨して声を張り上げたので、ようやく提督の手が止まった。

 よかった。曙がいい抑止力になったよ。

 

「あのー、次の旗艦は、曙ちゃんに頼もうと思ってたんだけど……」

「うっざいわね、こっちくんな!」

「わあ、ごめんなさーい! 曙ちゃんにはしないから!」

「あたしと吹雪にはするのかよ」

「あまり何回もされるのはこまりますぅ~。でも、たまになら……」

「えっ! 吹雪、許容しないでよ!」

「わかった、北上さんにしかしないから!」

「あたしにもするなーっ!」

 

 覚えてろ! いつかこれの反撃方法見つけて、提督のあんなとこやこんなとこを突っついてやるんだから!

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで、今日は何か新しい情報ある?」

「夢の島泊地のデータベースの値を変えてるのが、運営じゃないかもしれないって、妖精さんが言ってたよ」

 

 ここで昨夜の妖精さんが言ってた謎の説明、

『うんえいのひとは、さばとおなじでんせんのうえにあるまどぐちから、みたりうごかしたりするんです。でもいまつぎあてしてるひとは、かべのむこうのでんせんからみてるんです』

を提督に伝えた。

 

「提督はこれ、どういうことだか分かる?」

「そうね……。でんせんが電気の線の電線だとすると、ネットワークのことかな。ネットワークの上にある窓口からサーバーを見る、つまり操作してるとすると、窓口はリモート操作する端末、パソコンじゃないかしら。壁の向こうの電線は、ネットワークを区切ってるファイヤーウォールとか、ルーター、ネットワークスイッチとかの向こう側のネットワーク、そんなところかしら」

「提督凄い。こんな暗号みたいな言葉だけでよく読み取れるね。そうすると、誰が夢の島泊地のサーバーをいじってるってことになるの?」

「うーん。運営会社の別のネットワークにある端末からってことも考えられるけど、ファイヤーウォールの外、インターネットの彼方から来てるってのも考えられるわね。いってみれば、わたしも壁の外のネットワークから夢の島サーバーに繋いで、艦これアプリで遊んでるわけだけど」

「そうしたら紅葉提督も、夢の島泊地のサーバーを操作できるの?」

「普通はできないわ。ファイヤーウォールとかプロキシーサーバー、リバースプロキシーとかが間に入って通信経路を制御して、IDS、IPSサーバーとかがヘンな通信や動作してないか監視してるはずだから。わたしハッカー関係の知識には詳しくないから、どうかいくぐるのかは知らないけど」

「知らない言葉がたくさん出てきた。提督には感心するよ」

「AI北上さんなら、その辺だって知ってるんじゃないの?」

「ごめん。あたしそういうインターネットから情報取って学習して、なんでも答えるチャットボットとは違うんだ。曙や吹雪に毛が生えたくらいの艦娘なんだよ」

「確かに生えてないわね」

「ちょっとだけ……」

「その毛じゃないから」

「でも運営じゃない、インターネットの彼方の誰かが、夢の島泊地のデータベースをいじってるかもしれない可能性があるっていうのね。それって不正侵入されてるってことになるよね?」

「まだ運営じゃないって決まったわけじゃないよ」

「そっか。妖精さんは調べてくれてるのよね?」

「うん。猫吊るし妖精さんにやってもらってる。とりあえず、その調査結果を待とうか」

 

 というわけで、さっそくデイリーの開発任務から始めることにした。

 

「みんな、何が欲しい?」

「欲しいものが作れるとは思えないけど」

「北上さん、夢くらい語ろうよー。はい、まず吹雪ちゃん」

「そうですね。1-1海域で必要な物って言うと、まずは強力な火砲ですかね?」

「大砲かあ」

 

 きらりーん、ぱっ。

 

「出たよほら、35.6cm連装砲だって! これがあれば駆逐艦なんか一撃じゃない!?」

「わあ、金剛さんの主砲だぁ!」

「って、出すなあ! なんで出るのさ! 駆逐艦が積める小口径砲じゃなきゃ使えないよ!」

 

「いいじゃん。いつか積めるかもしれないよ? えーと報酬貰ったら、任務、装備開発3連ちゃん開始! 次、曙ちゃん。何が欲しい?」

「し、仕方ないわね。魚雷でいいわ。酸素魚雷なら1-1海域で役に立つわ」

「魚雷魚雷……」

 

 きらりーん、ぽわ。

 

「出たよ魚雷! 魚雷って書いてあるよ。潜水艦後部魚雷発射管4門(初期型)だって」

「潜水艦っても書いてあるじゃん! 積めないよクソ提督!」

「おかしい、絶対おかしい! 軽巡(あたし)秘書にしてそれ出るのおかしい!」

「出るんだからいいじゃない。北上さんの希望も聞いてあげるよ? 何が欲しい?」

「……じゃあ電探」

「北上さん、良い選択ですね。小型のなら私達駆逐艦でも積めます」

「索敵や砲雷撃戦での命中率も上がるし、1-1海域でも使えるわ」

「ふふーん、秘書艦が軽巡(あたし)だから、小型のしか出ないはずだよ。万が一提督の狂った特殊能力で大型電探が出たとしても、軽巡のあたしなら積めるしね」

 

 ぽよよ~ん……てれれれん。

 

「捨てられたペンギンが出てきたよ。あらら開発に失敗だって。北上さんがわたしのこと狂った提督とか言ったから、バチが当たったんだよ」

「なんで!?」

 

 北上が戦艦扶桑なみの不幸体質なのかもと落ち込んでいる間に、紅葉提督は最後の開発をした。

 

 ぽよよ~ん、ぱっ。

 

「ナニコレ、赤い釣鐘? 銅鐸?」

「三式弾ですね。対空対地に効果のある特殊砲弾です。残念ですが使えるのは重巡か戦艦です」

「使えないわね。やっぱりクソ提督だわ」

「その前にさあ、それも出てくるのおかしいと思うんだよねえ」

「いいのいいの。すぐ重巡や戦艦を建造すればいいだけだから。今日できてるかもしれないよ?」

「建造時間20分だったなら絶対違うよ。一応規定のセリフを言っとくよ。新しい艦が進水したってさー。進水した後に艤装工事して完成させるから、就役が正しいと思うんだけどねえ」

 

 ドックの完成している艦をGETすると、まあ皆の予想通りだ。

 

「特型駆逐艦『曙』よ。って、こっち見んな! このクソ提督!」

「特型駆逐艦『曙』よ。って、こっち見んな! このクソ提督!」

「いつもの曙ちゃんズだ! いらっしゃーい」

「「はあ!? 気持ち悪いのよ、このクソ提督」」

 

 建造されるのはいつものように曙。今日は北上の近代化改修に回された。

 

 

 




 作者はオンラインゲームのシステム構成や、艦これの中の構造は全く知りません。勝手に想像して作っておりますので、そのような前提で読んでくださいね。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。