ーーー自分の部屋ーーー
俺はみんなが帰ったあと、さっさとシャワーを浴びて寝てしまうことにした
(今日は…充実した一日だった…)
(あの頃の俺には考えられなかったな…)
(あの頃…か…)
(こんな生活がずっと続けば…いいのに、な…)
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「…"透"か、久しぶりだな」
「…そうか、そういうことか。お前は今元気でやってるんだな」
「…すまなかったな。謝って許されることではないが、"父さん"はみんなと一緒にお前を罵倒することしかできなかった」
「おかげでお前を自殺に追い込む羽目に…くそ! 」
「周りに流されずにお前を守ってさえいればこんなことにはならなかったのに…」
「結局は父さんの弱さが悪かったんだ。恨むなら父さんを恨んでくれ」
「…しかしまあ」
「父さんは今のお前の幸せそうな顔を見ることができてよかったよ」
「だから父さんはせめてもの罪滅ぼしに透の願いを叶えてあげよう」
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俺は目を覚ました
全身が冷や汗でビショビショである
(…透か…)
(まさか夢でも父さんに名前で呼んでもらえるなんてな…)
今日は棒倒しの第4回戦、綱引きがあるはずだ
俺はさっさと体操服に着替えて棒倒し開催地の競技場へ向かった
ーーー公園ーーー
俺が公園を通り過ぎようとすると、飛行船が目についた
(今日は、緑川アリーナにてLevel5による第0位の耐久テストがあります…ってはあ!?それは昨日やったじゃねえか!?)
(飛行船がバグってんのか?)
俺が携帯で日付を確認すると、"九月二十日"と表示されている
つまり大覇星祭の二日目である
(…サーバーが壊れてんのか?)
そう思い、垣根に日付を確認すると、九月二十日と返ってきた
(…おかしい、明らかに時間が遡っている)
その後、昨日と同じようにLevel5勢と戦い、棒倒しで圧勝し、パーティを開き、フィアンマと遭遇した
垣根と一方通行が再び聖人化したので、どうやらドッキリではないらしい
(どういうことなんだ?)
結局答えが出そうに無かったので、寝たら戻ってるだろうと考え、さっさと寝ることにした
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「やあ、透。父さんのサプライズに驚いたかな? 」
「きっと今は戸惑っているだろうが、そのうち本質がはっきり見えてくるはずだ」
「…透の願いを叶えるというのは建前で、本当はただの父さんのわがままなんだがね…」
「それでもお前に会えるなら…」
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俺が目を覚ますと、また冷や汗でビショビショだった
俺は急いで携帯で日付を確認すると、九月二十日のままであった
(それにしても…夢で誰かに話しかけられたような)
俺は同じような体験を4回繰り返した
どうやら夢の人物は日に日にクリアになっていっているようだ
そしてとうとう7日目に突入した
流石に俺の精神も病みかけていた
(どうすれば…!どうすれば抜け出せるんだ!!)
(…もういいや、寝よう)
(これでダメなら、アレイスターに相談…)
ストレス発散のために聞いている音楽を止めるのを忘れたまま寝てしまうほどストレスが溜まっている俺であった
ーーーーーーーーーー
夢の中で目を覚ます、というのは変な表現だが、そんな感じになった
「やあ、とうとう会えたね、透」
「誰…って親父!? 」
「昔なら父と呼ぶな!って怒ってたところだろうね」
「…今日はお前に謝りに来たんだ…」
「謝りに…? 」
「そうだ」
親父は深呼吸すると、凛とした顔で喋り始めた
「父さんは前の世界でお前にひどいことをしてきたよな? 」
「…ああ」
「実はな、父さんがお前にしてきた仕打ちは…全部やりたくなんかなかったんだ」
「…なんだよ今更…! 」
「透が怒るのも無理はない。というか当然だろう。だがこれから言うのは一人の愚かな父親の言い訳だ」
「透は生まれつき、背中に"翼のようなもの"が生えていた。しかしそこには太い血管や神経などが通っていて、切除するのは技術的に不可能だった」
「…」
「それに透はとても頭がよかった。それも天才と言えるレベルでな」
「それ故に、世間やマスコミはお前のことを"天使"として取り上げるようになった」
「…」
「しかし一般の人から見たら透がただの奇形児にしか見えなかったのだろう。家や父さんの事務所には"なんであんな化け物に才能が開花するんだ"など書かれた手紙が何通も送られてきた」
「…」
「賢かった透に適応できなかった友達はお前をいじめ始め、友達の親御さんたちは母さんを村八分状態にし始めた」
「…」
「そのせいか、母さんはノイローゼになり、次第に透に当たるようになっていった」
「その挙句、透を壊さないと透を殺すなどと書かれた脅迫文も送られてきた。母さんはそれに喜んで賛成した」
「…」
「警察に相談もしてみたが、何一つ証拠が上がらなかったし、ヒトモドキにつける護衛なんて無いとも言われた」
「…」
「父さんは思わずそのクソ野郎を殴ってしまってね、おかげで自主退職というか、議員を辞めることになったんだよ」
ちなみに父さんは県会議員であった
「母さんは出て行くし、父さんはストレスで潰れそうになった」
「父さんは断腸の思いで脅迫文に従ってお前を罵倒し続けた。ものすごく辛いはずなのに必死に耐えている透を見ているのが辛かった。しかしそれに慣れていく自分が一番怖かった」
「…」
「そして、ついに透は自殺してしまった。父さんも本気で後を追おうかと思ったよ。しかしそれでは透をまともに覚えていられるのは世界に誰一人居なくなるということになると考えて、自殺はできなかった」
「…」
「それからしばらくして、後悔が一気に押し寄せてきた。父さんが強ければ透を守れたはずなのに、自分の努力が足りないから、弱いから透を守りきれなかったってな」
「…」
「しかし、世界っていうのは残酷らしい。父さんは通り魔に殺されてしまった」
「…」
「殺された人間は役職を選べるらしい。透がこの世界に転生したのと同じように、父さんは多世界の観測者となることにした」
「…」
「父さんは必死にお前を探し出した。寂しがってはいないか、ちゃんと生活できているか、幸せであるか…全部確認するためにな」
「…」
「それで何年経ったのかはわからないが、途方の無い時間をかけて、ついに透を見つけ出した」
「…」
「そこで、父さんはお前に謝ったら成仏しようと思っていた。たが、お前に接触するためには同じ夢を何度も見てもらわないといけない」
「…」
「どうしたものかと考えていると、透がこの生活が続いて欲しいと言ったのでな、透の願いを叶えるのを建前に、父さんは何度もお前の時間をループさせた」
「…」
「つまり、巡り会えた今日が運命の日だ。今日を境目に時は進み始める」
「とはいえ、父さんのわがままに付き合わせてしまったことは事実だ。だから…すまなかった」
「…いいんだよそんなこと。それよりも…父さんがそこまでして俺のことを愛してくれているのは嬉しいよ」
「それに、今の生活は幸せだから…父さんは安心してくれていいよ」
「透…」
父さんの目に涙が浮かび始める
「父さんは俺のたった一人の理解者なんだから、胸を張って天国で俺を待っとけばいいんだよ! 」
「透…っ! 」
俺と父さんは抱き合った
「透、お前は…父さんのたった一人の息子で最高の息子だ。だから…幸せを取り戻すんだぞ? 」
「…わかった」
「そうか…じゃあ、お別れだな」
父さんの体が透けていく
「じゃあな、透…待ってるからな」
「…なかなかそっちに行ってやらないからな! 」
「…正直複雑な気分だよ」
「…今度は本当にさよなら」
「ああ、またな、透」
父さんの体はすでに消え去っていた
ーーーーーーーーーー
俺は目を覚ました
起床後すぐに日付を確認するのが癖になってしまった
携帯で確認すると、ちゃんと九月二十一日と表示されている
「や、やった…」
そう言った俺の目からは涙が溢れていた
昨日聞きっぱなしだった音楽のトラック番号は1つ進んでいた
これを書いてる途中、父親が居ない自分は涙がぼろぼろ出てきました…
みなさん、お父さんは大切にしましょう