人生二回目、楽しみ尽くしてやる!   作:かきねん

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今回はいつもより長めです
地の文を多めにしてみました


0930事件 後編

ーーー垣根サイドーーー

 

「んだぁ?テメェみてえな車椅子に乗ったババアが俺に何ができる? 」

 

「そうですねー、例えばこんなのはどうでしょうか? 」

 

すると車椅子の後ろから30cmほどの小さな何かが発射される。

 

垣根はそれを難なく翼で受け止めるが、その何かが翼を蝕んでいき、貫通した。

 

垣根は避けることに成功したが、それが何かはわからなかった。

 

「なんだそりゃあ?俺の未元物質を破るってのはなかなか常識が通用しねえな。」

 

「ふふ、これは長点上機の原石さんを解析して作られた"槍"ですよ。」

 

(…やべえな、聖人の弱点を看破されてやがる。)

 

そう考えてるうちにまた槍が飛んできた。

 

(なんだ?バカの一つ覚えみたいに何度も撃ってきやがって。)

 

それを避けると背中に激痛が走り、その後全身に激痛が走った。

 

(な!二撃目だと!?…そうか、暗部から抜けたからすっかりなまっちまってたな。)

 

天上の時は全身にフルパワーでテレズマを循環させてたので失神まで持ち込まれたが、垣根は完全な聖人状態ではない微弱なテレズマを循環させている普段の状態だったので、失神には至らなかった。

 

それでも倒れこみそうになるレベルではあるが。

 

「ふふふ、大当たりーですねー。」

 

垣根はバタンと音を立ててついに倒れこんでしまった。

 

「クソが…。」

 

「あんな甘っちょろい世界に居るから鈍るんですよー。」

 

「ささ、早く行きましょうよ、最暗部の世界へ。」

 

「…うるせえ。」

 

「はい? 」

 

「うるせえつってんだよ!!! 」

 

垣根は全力で立ち上がる。

 

「今更最暗部に行けって? 」

 

「俺はなあ!!表の世界に救い上げられちまった!!! 」

 

垣根の白い翼にヒビが入り始める。

 

「そこで甘い蜜を吸っちまった!!! 」

 

翼が完全に割れ、さらに輝く翼が生えてきた。

 

「そこで友達ってのを手に入れちまった!!! 」

 

翼が二対、四対から八対へ増えた。

 

「そこで平和ってのを知っちまった!!!! 」

 

垣根の瞳が緑色へ変色し始める。

 

「だから…」

 

「今更元の生活には戻りたくねえんだよおおお!!! 」

 

垣根は病理へ全速力で突っ込む。

 

ソニックブームがどうとかの問題ではなく、地面に亀裂が入り、橋の手摺などが全て吹き飛んだ。

 

「な…! 」

 

常人の反射神経の限界に近い速度の垣根を病理が全力で自身の未元物質で受け止めるが、それでも吹き飛びそうになる

 

(未元物質が…合わせられる!?)

 

Equ.Dark Matterや今回の木原病理のようなパターンの未元物質は、"炎"のような元の未元物質に対して、"炎で加工された鉄"のような未元物質であるので、垣根の未元物質よりも加工に適しており、さらに垣根の未元物質とは元の構成が違うので垣根からの攻撃は通らないはずなのだが。

 

「いつまでも俺が進歩してないとでも思ったかあああああ!!!! 」

 

垣根が病理の未元物質の構成を解析、垣根の未元物質の構成を適合させたことにより、ついに病理の未元物質は砕かれ、体は空に打ち上げられた。

 

何が言いたいのかというと、うち砕かれないはずの病理の未元物質が垣根に砕かれたのだ。

 

あまりにもの速さにプラズマが尾を引くレベルだったので、流石に死んでいるだろう。

 

全力を出した垣根は気絶してしまった。

 

ーーー窓の無いビルーーー

 

「ていとくんはホルスの域へ一歩進んだか…。」

 

「ま、あくまでも一歩だがね。」

 

「それにしても…。」

 

「ヴェントが倒されたのにヒューズカザキリを起動させる意味ってあるのかな? 」

 

「いやエイワスの顕現とか戦争への布石とかはよくわかるんだけどね、やっぱり打ち止めが可哀想になってきたよ。」

 

ーー早くしたまえ、私も早くそちらの世界に行きたいのだよ。

 

「…木原数多がやってくれるから少し待ってくれないか? 」

 

ーー傍観者だけではつまらないのだよ。

 

「そんなに面白いのかい? 」

 

ーーホルスに近付きつつある者が3人、人型の幻想殺しが君の元に居るんだよ?これ以上愉快なことはないね。

 

「…まあうちのトップ三人は問題児ばかりだがね。」

 

ーー悪の道から善の道へ歩み始めた者、自分が悪であると信じ続け、それでも光の世界にて輝きたい者、

 

ーー何よりもその二人を導いた者の存在が面白いね、この世界最大のイレギュラーだよ。

 

「ま、彼が居たからこそ私もこのような立場に居るのだがね。」

 

ーー私もそのような立場に立ってみたいものだね。

 

「彼ならなんとかできるんじゃないか? 」

 

ーー何故?

 

「彼はこの世界の変革者だ。そういう点ではもっともホルスの域に近いだろうね、あの問題児の中では。」

 

ーーつまり彼なら私を受け止められると?

 

「ま、物理的には無理だろうがね。流石にエネルギー量が違いすぎる。」

 

「彼は精神的には寛大…というかこの世界の人間とは一歩離れていると言った方が正しいかな?」

 

「この世界を自分とは関係の無い世界であると定義することができるのが強みだね。故にこの世界の住人に対して残酷にもなれるし、逆に何でも受け止められるだろう。」

 

ーーふふ、彼はぶっ飛んでいるね。

 

「魔術サイドでも右方のフィアンマ、雷神に目をつけられている。実力としてはかなり上の方に食い込むだろうからそのうち私をも超えるんじゃないか? 」

 

ーー魔神を可愛がれるほどの君をかい?

 

「あくまでも期待値だがね。少なくとも魔神クラスにはなれるだろう。」

 

ーー不完全な知識と才能だけでそこまでのし上がるものかい?

 

「ま、そこは彼の努力次第だろうな。」

 

ーーなるほど、話だけでも彼に興味が湧いたよ。

 

「そこまでの存在とは、彼はとんでもないね。」

 

ーーまあ私も退屈していたしな。

 

ーーそういえばプランをやめたそうだが…本当によかったのかい?

 

「今更この世界の限界点を見たってつまらないしね。」

 

「それなら彼が元の世界をどう変えていくのかの方が気になるよ。」

 

ーーなるほどな。

 

ーーま、私も少し我慢するとしよう…。

 

「そうかい。」

 

エイワスの声はそこで途切れた。

 

ーーー一方通行サイドーーー

 

「なにをしてるの? 」

 

その言葉に木原くンが反応した瞬間、一方通行はインデックスを連れて待機中の黒ワゴンに乗り込み、運転席の隊員の首に手を当てる。

 

「冥土帰しの病院へ向かえ、そうしねェと…わかるな? 」

 

「は、はひぃ!! 」

 

黒ワゴンは猛スピードで冥土帰しの病院へ向かった。

 

ーーー上条サイドーーー

 

「ん?何かおかしくねえか? 」

 

「…完全下校時刻過ぎとはいえ人が少な過ぎるし静か過ぎるわね…。」

 

上条はミコっちゃんを寮まで送っている途中に街の違和感に気づいた。

 

「いつもならスキルアウトや不良たちが騒いでるはずなんだけど…。」

 

「…上条さんは優しいからあまり深追いしないであげましょう。」

 

「ま、早く帰っちゃいましょ? 」

 

二人が少し歩調を上げて歩き始めると、後ろから銃声が聞こえた。

 

「「!!? 」」

 

幸い弾は足元に着弾したようだが、的になったまま帰るのは危ないと判断し、二人(主にミコっちゃん)は応戦しながら寮まで走ることにした。

 

ーーーアレイスターサイドーーー

 

ーー幻想殺しと超電磁砲が銃撃戦に遭遇したようだが大丈夫かね?

 

「超電磁砲がなんとかしてくれるんじゃないか?それに、どうせ幻想殺しは因果律か何かの影響で死なないから大丈夫でしょ。」

 

ーーそれもそうだな。

 

ーーー木原サイドーーー

 

史実のように上条と出会うことが無かった打ち止めは木原くンに回収され、今は何処かのビルの机の上に寝かされていた。

 

頭にはコードが繋がれ、そのコードの先には木原くンのノートパソコンがあった

 

「パスワードは…"Angel"?ウイルス名と同じで大丈夫なのかよ? 」

 

セキュリティが甘すぎるパスワードに疑問を感じつつも"Angel"と打ち込む木原くン。

 

「ホントにこんなので大丈夫なのかぁ?まあ上からの直々の依頼だからやるしかねえけどよ…。」

 

木原くンがEnterを押した瞬間、打ち止めの顔がゆがみ始めた。

 

「お?上手く行ったか? 」

 

Angel起動の成功を確認すると、木原くンは一方通行に電話することにした。

 

作戦にはAngel起動と一方通行の殺害が成功条件に含まれているのだ。

 

「元気かなー?一方通行? 」

 

ーーー一方通行サイドーーー

 

インデックスを病院に降ろした一方通行は打ち止めの落下予測地点を探し回っていたが、やはり見つからなかった。

 

(チッ、遅かったか…!!)

 

すると一方通行の携帯が震え出す

 

「…。」

 

一方通行は無言で非通知の相手からの電話に出る

 

『元気かなー?一方通行? 』

 

「…何の用かなァ?マゾ太くゥゥン? 」

 

『めちゃくちゃ殺したいのは我慢するけどよお、またおたくの娘さんを預かってんだわ。』

 

「…クソがァ…。」

 

『ま、早く来た方がいいかもよ?どうなるかわかんねえからなあ!! 』

 

ツーツーと電話が切れた音がやけに耳につく

 

「…ふっざけンじゃねェぞおおォォォ!!! 」

 

一方通行はチョーカーの電源を入れ、地球の自転エネルギーの演算を始める。

 

「舐めやがってよおおォォォ!!! 」

 

側のビルに手を当てると、ゴムボールのように腕が沈み込んだ。

 

「っあああああァァァァァァ!!! 」

 

そのビルを窓の無いビルにぶつける。

 

(…あ。)

 

よくよく考えると今の時点でアレイスターが悪いのかはわからないないことに気づいた。

 

(…ごめン、アレイスター。クロだったら今度殺すけどシロだったらごめン。)

 

窓の無いビルにぶつけられたビルは既に粉々になっていた。

 

ーーー俺サイドーーー

 

みんなは忙しいはずであるが、俺はひじょーーーーーーーに暇である。

 

仕事と言えば木原ビルのインデックスと打ち止めと一方通行の事後(意味深じゃない)の回収ぐらいだ。

 

暇だなーと思いつつミコっちゃんに消し飛ばされていく猟犬部隊をビルの屋上から眺めていると、後ろに誰かが飛んできた。

 

…後ろ向きたくないなー…。

 

「天上馨であるか? 」

 

「…はいはいそうですよどうせ戦いにきたんですよね? 」

 

仕方なく後ろを振り向くと、予想通り青ゴリラが居た。

 

「ま、私はヴェントの回収役に来たのだがな。貴様も殲滅対象としてローマ正教内で定められている以上、この機会に貴様と戦わぬ道理は無い。」

 

おいおい予想以上にやべえぞこれ。

ローマ正教に狙われているだって!?なんじゃそりゃ!?

 

「ったく、いくら俺が能力者と聖人のハイブリッドだからってハードモードすぎない?"後方のアックア"なんて無理無理。」

 

「ほう、私のことも知っているのであるか。」

 

「まあそれなりには。」

 

「では楽しませて欲しいのである。」

 

アックアは様子見に水の槍を放つ。

 

当然壁で防ぐが。

 

「ふむ、流石にこれ程度は通じないであるか。」

 

「当たり前だ。お前も聖人ならわかるだろうが。」

 

「能力は使ったことが無いのでな。」

 

「それもそうか。」

 

次にアックアは右手に水の槌を作り出す。

 

「情報によると世界最大の原石の解析不明の力を受け止めたそうだがこれはどうであるか? 」

 

「はは、お前がマジならヤバイかもな。」

 

「では本気を出させてもらうのである。」

 

アックアは槌をさらに大きくし、構えた。

 

俺は六対十二枚の翼を展開した。

 

「では行くのである。」

 

とにかく俺はこの攻撃を受けなければ街にクレーターができるのでかなりマズイ状況である。

 

聖人一人分のテレズマと学園都市全員のAIM拡散力場で何処まで対抗できるか…それは未知数である。

 

俺の翼とアックアの水の槌が激突し、衝撃波が発生する。

 

翼と槌がお互いきしめく。

 

水の槌なのにきしめくとはどうなのかとは思うが。

 

俺とアックアはこれ以上は無意味だと判断し、お互いが後ろに飛ぶ。

 

「ふむ、やはり防御力は飛び抜けているな。」

 

「まあそれがウリなんでね。」

 

「では私のスピードにはついて来れるであるか? 」

 

アックアは槌を大剣に変化させる。

 

俺は翼を折りたたみ、体に癒着させる。

 

そして手には爪を作り出す。

 

「鉤爪で戦うのであるか。」

 

「そっちこそそんなデカイ大剣でついていけるのかよ? 」

 

「できないなら最初から出さないのである。」

 

二度目の衝撃波が起こる。

 

俺は目にも止まらぬスピードで連打するが、アックアはそれを全て大剣で受け止めた。

 

俺が一瞬手を休めると、アックアが切りかかってきた。

 

(これって本当に大剣なのか!?幾ら何でも早すぎる!!)

 

反応できないわけでは無いが、完全に物理法則を無視しているだろうというスピードで攻撃してきた。

 

一撃一撃も重く、聖人の体であるのにも関わらず、徐々にスタミナを削られて行く。

 

(このままじゃ…俺がやられる!)

 

AIM拡散力場も体内で循環させられたらアックアにも追いつけるはずなのだが、生憎テレズマしか循環できないので二重聖人であるアックアには到底テレズマ量では勝てない。

 

このままでは不利と判断してので後ろに下がろうとすると、街中にAIM拡散力場が溢れ、それらが一点に収束し始めた。

 

(…!これはチャンスか!!)

 

そう考えていると、アックアは後ろに飛び、吐血した。

 

「…"界"に接触したか…。」

 

どうやら五行機関・虚数学区が学園都市と融合したため、学園都市全体に蔓延しているAIM拡散力場によって学園都市に居る全員が能力者である…と定義されたのだろうか。

 

能力者は魔術使用で深刻なダメージを受けるという事実。

 

史実でもヴェントの魔術使用によって吐血したので、事実を踏まえた上でそう考えるのが妥当であろう。

 

定義による攻撃というのは魔術に近いので、限りなく魔術に近い科学なのか?

 

(ヴェントとアックアの)テレズマとAIM拡散力場の集合となったヒューズカザキリは俺と似たような存在であると言える。

 

まあ俺はアヘ顔なんてしないが…。

 

魔術回路を作っといてよかったー…と思ったら翼からは禍々しい目玉模様が消えていた。

 

ちょっ、やばくね!?能力と弱体化しつつある聖人の体だけで戦うの!?アックア相手にそれは無理でしょ!?

 

「…お互いに弱った体で戦うのは望ましくないのでな。今回は引かせてもらおう。」

 

「そうしてくれ、俺も無理だ。」

 

「ではこれが連絡先なのである。」

 

アックアは俺に紙切れを渡してきた。

 

「あ、どうも…っておい!連絡先渡していいのかよ!? 」

 

「久しぶりに好敵手を見つけたのでな、このまま戦えなくなるのはあまりにも惜しいのである。」

 

「…ああそう。」

 

「ではさらばなのである。」

 

「…バイバイ。」

 

そういう相手は騎士団長だけにしてください…。

 

ーーー木原サイドーーー

 

「はっはァ!!すげぇなオイ!一体ありゃあなんだ? 」

 

木原くンは窓の外の巨大な光の翼を見て言う。

 

「科学であんなことができるなんてなぁ、いや魔術か? 」

 

猟犬部隊の隊員たちも息を飲む。

 

「科学の街で科学を否定するたぁ、なんたる科学者だよ?見ろよてめえら!科学ってのはいつから飛び出す絵本…あぁ? 」

 

木原がもう一度窓の外を見ると人が上から飛んで来た。

 

「木ィィィ原くゥゥゥゥゥゥン!!! 」

 

ガラスを割って飛び込んだ一方通行は猟犬部隊の隊員たちの血液を次々と逆流させて行く。

 

「あーあーこりゃまるで血の海じゃねーか。」

 

「打ち止めを攫ったンだからこれぐれェは普通だろォがよォ。」

 

「流石に引くわー、やりすぎだろうがよ。」

 

「お前も肉塊にしてやるからさっさと来いよォ! 」

 

「じゃあそうさせてもらうぜえ!! 」

 

木原くンが一方通行に殴りかかると、一方通行の20cmほど前で木原くンの腕はありえない方向に曲がった。

 

「うがあああああ!!! 」

 

「あれェ?お得意の木原神拳はどォしたンですかァ? 」

 

「てめえ…何しやがった…。」

 

「よくよく考えたらよォ、あんなにバカみてェに同じことしかしねェからお前に負けたンだよなァ。」

 

「何しやがったか教えやがれ!! 」

 

「じゃあお前の敗因を教えてやるよォ。」

 

「ただの情報不足だクソッタレが。」

 

一方通行は聖人化し、木原の顔を掴む。

 

「ま、後は地獄で考えやがれェ。」

 

「…クソが…。」

 

一方通行が木原くンを空に向かって投げる(本気で)と、病理と同じようにプラズマの尾を引いて消滅した。

 

木原一族は同じ死に方しかしないのだろうか。

 

ちなみに木原くンの敗因は反射壁を知らなかったことだ。

 

「はァ…呆気なかったなァ…。」

 

「さて…。」

 

一方通行は机の上の目を覚まさない打ち止めを病院に連れて行くことにした。

 

もちろん冥土帰しのだ。

 

ーーー上条サイドーーー

 

「…!!あれは!? 」

 

「…何よあれ…。」

 

二人は巨大な光の翼を見て愕然とする。

 

「Hey!そこのカップル!!何かお困りかい?? 」

 

そこに空気の読めない俺参上!!

 

「「…何やってんだ(の)天上(アンタ)…。」」

 

「ちょっと神の右席二人を潰してきた。」

 

「ちょっとトイレ行ってきたみたいな感じで言うの!?化け物かよ!! 」

 

「よくわかんないけどすごいのはわかるわ…」

 

「ま、そんなことはどうでもいいんだけど。」

 

「いやよくねーから!? 」

 

「率直に言うとあれは風斬だ。 」

 

「風…斬? 」

 

「そうだ。」

 

「…(とりあえず黙っときましょ)。」

 

ミコっちゃんは話を聞くことに専念し始めた。

 

「ま、俺が原因なんだけどな。」

 

「…どういうことだ。」

 

「俺が原因であのバケモノが産まれた。それだけだ。」

 

「テメェ、もう一回言ってみろよ…。」

 

「厳密に言えば、俺があのバケモノを産んだ。」

 

「ふっざけんじゃねぇ!!! 」

 

「なんだ?風斬をバケモノって呼んだことか? 」

 

「そうだ!!あいつを人間って言ったのはテメェじゃねぇか!!今更何言ってんだよ!! 」

 

「…じゃあ一つ面白い話をしよう。」

 

「…。」

 

「ある日、戦争が起こりました。Aの国は勝ちましたが、Bの国は負けました。」

 

「…。」

 

「Aの国は勝ちましたが、Aの国に住んでいた少年は家族を失いました。」

 

「少年はひょんなことから過去に戻り、家族のために戦争をやめさせました。じゃあ世界はどうなったと思う? 」

 

「…平和になった? 」

 

「違う。答えはまた戦争が起こった、だ。」

 

「なんでだよ!! 」

 

「この世界には因果律っていうものがあるんだよ。」

 

「…なんだそれは。」

 

「言い方を変えれば世界線の収束だな。」

 

「…つまり運命は変えられないってことよね? 」

 

「そうだ。ま、どちらかと言うとこれはどうでもいいんだ。」

 

「どういうことだ? 」

 

「この世界ではどちらにしても戦争が起こるんだよ。」

 

「「…!! 」」

 

「風斬が人工天使(あのバケモノ)になることによって、魔術サイドがパワーバランスが崩壊するとかなんとか言って戦争を起こす。風斬がならなくてもいずれフィアンマが起こす。」

 

「…なんでそこまで知ってんだよ? 」

 

「秘密に決まってんだろアホタレ。」

 

「ま、それはいいんだ。運命だからな。しかしマズイのが一つ。」

 

「風斬がバケモノにならなければ一方通行、打ち止め、そしてお前が死んで世界が滅ぶ。」

 

「どういうことよ!! 」

 

「…。」

 

「ま、流石にこれ以上は言えない。が、あいつを助けたいなら黄泉川先生の家に居るインデックスを回収して冥土帰しの病院に行け。」

 

「…。」

 

「信用できないなら風斬を苦しませとけばいいじゃないか。ま、そうなったらお前は俺と同レベルのクズ野郎だがな。」

 

「…。」

 

上条は無言で俺に殴りかかる。

 

しかし俺はそれを避け、横腹を思いっきり蹴っ飛ばした。

 

上条がおよそ5mは吹っ飛んだ。

 

「お前は何がしたいんだ!!風斬を助けたいのか!?一方通行たちを見殺しにしたいのか!?今俺を殴ってストレス解消でもしたいのか!?俺を疑って風斬を見捨てるのか!? 」

 

「それともそのまま寝転んだままなのか!?じゃあ今までのお前は何だったんだよ!!一方通行を助けるだけ助けといて後は殺すのか!? 」

 

「…お前には…。」

 

「みんなのためとか言って風斬を使ったお前には言われたくねえ!! 」

 

「何が因果律だ!!んなもん知るか!!俺たちは今の世界を生きてんだよ!! 」

 

「それでも俺は一方通行やみんなを見殺しにすることはできない!!あいつはお前と一緒で俺の友達だ!!だから絶対にイレギュラーなんかで死なせない!! 」

 

「お前にとってイレギュラーでも俺たちにはそれが現実なんだよ!! 」

 

「そこまでして世界を滅ぼしたいか!! 」

 

「じゃあテメェとは違う方法で止めるよ!! 」

 

「オーケイ、一回落ち着きましょう。」

 

ミコっちゃんが俺たちの間に入る。

 

「一回も名前で呼んだこと無いけど天上?のやったことはいいこととは言わないけど間違ってはいないわ。」

 

「…。」

 

「で?アンタは誰も犠牲にならないのを求めてるようだけど、はっきり言って無謀よね。それはただ単に理想を述べてるだけ。具体的な案を出せないのに偉そうに言い過ぎよ。」

 

「…でも。」

 

「じゃあアンタは死んだ妹達をなんとかできたの?第1次の実験の時点で気付けたの?助けられたの? 」

 

「…。」

 

「アンタはいつも誰かを犠牲にして解決してるんだからあまり理想を求め過ぎないことね。」

 

「で、天上はなんでその案を思いついたのよ。」

 

「…これ以外の案は実行してはいけなかった。ただそれだけだ。」

 

「なんでよ? 」

 

「…これは言ったらマズイ…というかお前が殺されるから言えないな。」

 

「ふーん、じゃあ今は聞かないでおくわ。」

 

「どうも。」

 

「アンタたちはね、結局同じようなことをしてるんだから今更喧嘩してどうすんのよ!そんなことしてる暇があるならさっさと風斬って人を助けたらどうなのよ!! 」

 

「…上条、行け。」

 

「…お前も来いよ。」

 

「ダメだ。俺はそこのバナナを倒さないといけない。」

 

「「…は? 」」

 

「あっらーん??もうばれちゃったーー?? 」

 

「テメェも懲りねえよなあ…。」

 

「だってえ、折角ターゲットが2匹も集まってるのよー? 」

 

「…上条、ミコっちゃんと一緒に行け。ここは俺がやるよ。」

 

「…死ぬなよ。」

 

「俺がこんなピアス野郎に負けるわけ無いだろ?? 」

 

ちょ、俺死亡フラグ立て過ぎじゃね!?

 

「…さっきからバナナとかピアス野郎とか好き勝手に言ってくれるわねえ!! 」

 

「天罰術式がお前にも効いたら俺って圧勝なのにな。」

 

「あれー?ばれてたー? 」

 

「なんのためにお前を大好きになってたと思ってんだよ。」

 

「ま、それもそうよねー。」

 

「じゃあ死ねやクソガキが!! 」

 

ーーーアレイスターサイドーーー

 

ーーどうやら2人は仲直りしたようだね

 

「やっぱり他の方法を考えるべきだったかな? 」

 

ーーおい、それだと私が。

 

「ジョークだよ。」

 

ーーー垣根サイドーーー

 

「…いってえな…。」

 

「…そうか、俺は勝ったのか。」

 

「暗部に戻りたくない…か…。」

 

「ハハハハハハハッ!!! 」

 

「そうか、俺はそんなくだらねえ理由で勝ったのか。」

 

「…いや、くだらねえとは言い切れねえか。」

 

垣根は軋む体を無理やり奮い立たせ、立ち上がった。

 

「そこでなにしてるの? 」

 

「あん? 」

 

後ろを向くと帽子を被っていないインデックスが居た。

 

「…なんだ、インデックスちゃんか。どうしたんだ?上条は? 」

 

「とうまは私を放って短髪とデートに行ったんだよ!! 」

 

「そ、そうか。」

 

(あいつなにやってんだよ…。)

 

「で?お前は何してんの? 」

 

「あの白い翼が見えるよね?あれ、私の友達のひょうかなんだ…。」

 

「で、助けに奔走してるって訳か。」

 

「そうなんだよ!今あの翼の力のもとに向かってるんだけど結構遠いんだよ…。」

 

「よし!じゃあ俺が送ってやるよ!! 」

 

「ホント!?ていとくは優しいんだよ!! 」

 

「あの状態じゃその友達と遊べないだろ?そんなのは辛いよな!! 」

 

「まったくなんだよ!!早く助けに行こうよ!! 」

 

以外と気が合う2人であった。

 

ーーー一方通行サイドーーー

 

「ふむ、これは私には難しいんだね。」

 

「悪いけど私にも無理よ。」

 

打ち止めの非常時だということで病院に来ていた芳川。

 

「…クソったれがァ…。」

 

「これは魔術とされる技術だ。ま、厳密に言うと魔術を科学で再現したような状態だがね。」

 

「…じゃあ俺が魔術を解析すれば…。」

 

「無理だ。これを解析すれば君は…「そんなこたァわかってる。」

 

「それでも俺はこのガキを助けねェといけねェンだよ!! 」

 

「…そこまで言うなら好きにしたらいいさ。せいぜい死なないようにな。死なない限りは助けてやる。」

 

「…そいつはありがてェな。」

 

「あまり無理してはダメよ?一方通行。」

 

「そんなことする必要は無いぞ!! 」

 

病室のドアがドン!と音を立てて開く。

 

「魔術のエキスパートの私が来たからにはもう大丈夫なんだよ!! 」

 

ーーー上条サイドーーー

 

「…インデックスは? 」

 

「インターホンを鳴らしても反応が無いわよ…。」

 

「…黄泉川先生には悪いけど、この鍵ってハッキングできるか? 」

 

「…仕方ないわね。」

 

ミコっちゃんは電子錠に手を当てると、ハッキングし始めた。

 

「…ハッキング完了。もう開いてるわよ? 」

 

「ありがとな。」

 

2人は中に入ってインデックスを探し回ったが、誰も居なかった。

 

「…まさか本当にあいつは騙しやがったのか? 」

 

「いえ、あり得ないわ。」

 

ミコっちゃんはソファの上を指差す。

 

「だってあの子の帽子がそこに…。」

 

「…何処に行ったんだ?あいつは…。」

 

ーーー俺サイドーーー

 

「ヴェントちゃんかわいいよ!!愛してる!! 」

 

「だから気色悪いって言ってんでしょうがあああああ!!!…ゴボッ!! 」

 

ヴェントが風の塊を放とうとした瞬間、吐血した。

 

「…あれが原因か。何しやがったんだアレイスター…。」

 

光の翼を見てヴェントは言う。

 

そして何故か俺の携帯に着信が入る。

 

「もしもし? 」

 

『天上か?インデックスからの質問なんだが…えーっと、テレズマってなんだ? 』

 

「神の力のことかな!俺もあんまりわからん!! 」

 

『じゃあ電磁波による巨大ネットワークってのは? 』

 

「そこに居るのは打ち止めだろ?だったらミサカネットワークのことじゃない? 」

 

『あ、インデックスがありがとうだってさ。』

 

「なんでそんなクソみたいな説明でわかったの!?ってうわっ!! 」

 

俺の居たところに風の塊が着弾した。

 

「あーら戦いの途中に電話なんて随分余裕なのね? 」

 

「あれれー?他の女の子にヴェントちゃんは嫉妬してるのー?妬いてるヴェントちゃんかわいい!! 」

 

『何言ってんだ天上!? 』

 

「ごめん!切る!! 」

 

「…相変わらず気持ち悪いやつね。」

 

「だってこんなところで負けられないし。」

 

「ま、それは私も同じなんだけどねえ…。」

 

「そういえばさ、ヴェントちゃんはなんで俺に会いに来てくれたんだ? 」

 

「襲いに来たんだっつーの!! 」

 

「性的に? 」

 

「ああもう!!ちょっとでも語ろうとした私がバカだったわ!! 」

 

ヴェントが怒ると、また吐血した。

 

見てて可哀想になったので、さっさと当て身をして気絶させた。

 

「…。」

 

俺は無言でヴェントの服の隙間に封筒を挟んでおいた。

 

すると、目の前にアックアが飛んできた。

 

「では、回収させてもらうのである。」

 

「ご苦労様です…。」

 

「気軽にメールしてくれても構わないのであるよ? 」

 

「メールして欲しいってのは伝わったから早く行け!! 」

 

ーーー一方通行サイドーーー

 

「こういうのを解くには…歌!歌なんだよ! 」

 

「歌だとォ? 」

 

「ふむ、歌かね。」

 

「興味深いわね。」

 

「そういえば昔、戦地に治療に行った時にシスターさんが歌で負傷者を治療してたんだね? 」

 

「そりゃすげぇな…。」

 

「じゃあちょっと歌を考えるから静かにしてね? 」

 

しばらくすると、急にインデックスが声を出し始めた。

 

「〜♪」

 

(美しい声ね…。)

 

数分後、苦しんでいた打ち止めの顔が緩んだ。

 

「打ち止めは!?打ち止めは大丈夫なのかァ!? 」

 

「うん!多分大丈夫だと思うよ!! 」

 

「…。」

 

一方通行が打ち止めの頭に手を当てて解析を始めると、全て正常値になっていた。

 

「…治ってやがる。」

 

「マジで!?インデックスちゃんすげえ!! 」

 

「えっへん!なんだよ!! 」

 

芳川が窓の外を見ると、光の翼は消えていた。

 

「今度音声での治療プログラムを考えてみようかしら? 」

 

「ふむ、面白そうなんだね? 」

 

ーーー俺サイドーーー

 

「もしもし? 」

 

『おい天上!!インデックスが居なかったぞ!! 』

 

「あー多分病院に居ると思うわ。風斬ももとに戻ったし。」

 

『ホントか!? 』

 

「ああ、本当だ。さっきはバケモノとか言って悪かったな。」

 

『…謝るなら風斬に謝れよ。』

 

「ああ、わかってる。」

 

俺は電話を切ると、風斬のところへ向かった。

 

そして風斬の手にも封筒を握らせておいた。

 

ーーーアレイスターサイドーーー

 

「やっと終わったようだね。」

 

「ああ。それよりも眩しいんだけどその光って抑えられないの? 」

 

「ああ、すまない。忘れていたな。」

 

エイワスはそう言うと美青年に変身した。

 

「少女じゃなくていいのかい? 」

 

「もう乙女心なんて忘れたからね、今の喋り方で通用する男の姿でいいよ。」

 

「そうかい。」

 

「ところで史実では一方通行が暗部堕ちしてグループに入っているようだがどうするのだ?暗部堕ちさせるのか? 」

 

「ああ、…と言いたいところだが、問題児のイレギュラーが現れたから彼を入れるよ。」

 

「ほう、どのような者だ? 」

 

「"新たなるLevel5だ"。」

 

ーーー手紙ーーー

 

今から記すのはヴェントと風斬に渡した封筒の中身である。

 

ーー前方のヴェント様へ

 

ーーあんな形の出会いだったからまともに話し合えなくて悪かったな。

 

ーー実はお前が弟を亡くして学園都市を憎んでいるということは知ってた。

 

ーーそれを踏まえた上で言わせてもらおう。

 

ーーいつまで引きずるつもりだ?

 

ーーお前は復讐を糧に神の右席まで登りつめたのかもしれないが、弟はそんなことを望んでいるのか?

 

ーー弟は何のために自分を犠牲にしてお前を助けたんだ?

 

ーーお前の幸せを望むから犠牲になったんじゃないのか?

 

ーー魔術師を辞めろとは言わないし、学園都市を憎むなとも言わないが、

 

ーー弟のためを思うならもっと人生を楽しんでもいいんじゃないか?

 

ーー弟を殺した科学に触れてもいいんじゃないか?

 

ーー辛気臭い顔したって、ピアスで素顔を隠したって、

 

ーーお前が辛いのは隠せてないんじゃないのか?

 

ーー1日ぐらい復讐なんて忘れて自由に生きてみろ、嫌いな科学を好きになってみろ。

 

ーー自分が変わらないと、前に進まないと弟は報われないままだぞ。

 

ーー俺の言いたいことはそれだけだ。

 

ーー天上馨より

 

 

 

ーー風斬氷華様へ

 

ーー先に言わせてもらおう、ごめん。

 

ーー俺はお前を見てバケモノだと言ってしまった。

 

ーー俺はそれが許せないから、こんな状態でお前とは会えないからあえて手紙で伝えさせてもらう。

 

ーーお前よりも俺の方がバケモノなのに何言ってんだろうな…。

 

ーーこんな最低な俺でも会ってくれるというのなら、

 

ーーまだ友達で居てくれるというのなら、

 

ーー俺を見かけた時に声をかけてください。

 

ーー天上馨より




いつも地の文少なめで書いてるからちょっと増やしただけで疲れた((((;゚Д゚)))))))
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