後悔はしてない
ーーー学園都市第8位に関する報告書ーーー
先日、新たなLevel5が生まれたので、詳細をここに記す。
名前:東條 真(トウジョウ マコト)
性別:女
年齢:16歳
所属校:長点上機(不登校)
能力名:永遠操作(Object Manipulator)
備考:自らが指定した無機物を最大5つ、破壊されるまで操る能力。絶対等速の上位互換である。
能力名については本人からの要望である。
普段から合金製のパチンコ玉を所持しており、非常に危険。
Level4の頃から能力によるスキルアウトの殺人を繰り返しており、スキルアウトでは知らない者は居ないほどである。
この度、学園都市統括理事長の決定により、暗部組織グループへ配属されることとなった。
以上で報告を終了する。
報告者:木原乱数
ーーー十月三日 窓の無いビルーーー
「どういうことだアレイスター。」
報告書を読み終えた土御門が静かに激怒する。
「どういうことも何も、彼女がLevel5になっただけだ。」
「じゃあグループに配属されるのもおかしくないってのか!? 」
「本来、グループに配属されるのは一方通行だったはずなのだが。」
「…。」
「君の友人の代わりに暗部堕ちしてくれたんだぞ?彼女に感謝するべきではないのかね? 」
「お前が決定したことじゃないのか。」
「これは彼女が申し出たことだ。学園都市目安箱に実名、連絡先も書いて申し出てきたのだよ。」
「…そんなものあったか? 」
「つい一週間前に設置したものだ。」
「…ああそう。」
「その後、連絡をとってみたんだよ。そうしたら『殺人にしか快楽や楽しみを感じない』って言ったんだ。いやマジで中二病かと思ったけど、頭覗いたらガチだったよ。」
「えー…。」
「じゃあもうどうにでもなーれ☆って感じでグループに所属させた。」
「何故そうなる!? 」
「だってぇ…人数が不釣り合いじゃん。アイテムが4人なのにグループが3人って…。」
「それだけで決めたのか!? 」
「まあいざとなれば天上君を派遣するから大丈夫でしょ☆」
「天上が不憫すぎないか!? 」
「女の子だって伝えたら『性なる快楽を教えて…グヘヘ』とか言って快く了承してくれたよ。」
「下心満載じゃねーか!!東條逃げて!! 」
「ということで安心したまえ。彼女は殺人に快楽を覚えるだけで別に気性が荒いわけではないからな。むしろ天上君の方が危険だよ。」
「そしてスキルアウト殲滅の依頼、か。」
「正直あんまりやりたくないんだよね、これ。」
「なぜだ? 」
「スキルアウトにもさ、いい奴ってのが居るんだよ。無能力者狩りからスキルアウトを守ろうとする奴らが。」
「第7学区の駒場か。」
「そうだ。しかし、今回は目に付く行動を取りすぎたようだ。」
「そうなのか? 」
「ああ、学園都市の機能を麻痺させ、無能力者狩りを行う能力者を潰そうとしている。」
「それで統括理事会が文句を言っているのか。」
「その通りだよ。だから私は理事会に条件を付けた。」
「なんだ? 」
「第0位が第7学区のスキルアウトの説得に向かうからそれでも活動をやめない者を殲滅せよ。とな。」
「…天上に負担をかけすぎじゃないか? 」
「全ては性なる…「もういい。」…らしいよ。」
「…とりあえず東條との顔合わせの機会が欲しい。」
「わかった。取り付けておこう。」
ーーー第7学区 路地裏ーーー
今日はLevel5の研究ということで学校を休んでここに来ている。
「たのもーーーー!!!! 」
大声出すっていいよね、気持ちが軽くなるよ。
「ん?なんだ? 」
浜面!!浜面じゃないか!!
「あ、こちらに駒場利得さんはいらっしゃいますかね? 」
「ああ、リーダーならこの奥に居るけど…あんた何者だ? 」
「ああ、別に襲いに来たとかじゃないんだ。ただ伝えることがあってな。」
「そうか…。」
「リーダー!! 」
「駒場利得…だよな? 」
「いかにも。俺が駒場利得だ、学園都市第0位の天上馨。」
「Level5だと!? 」
「だから戦いに来たんじゃないって!! 」
「なんだ? 」
「Level5だってよ! 」
ああ…どんどん人が集まってくる…。
騒ぐなよこの馬鹿面!!
「…とりあえず奥に来ないか。」
「…そうさせてもらうよ。」
ーーー個室サロン 試撃場ーーー
パン!パン!と銃撃音が鳴り響く。
「調子はどうですか? 」
海原(偽)が東條に話しかける。
「ん?ああ、これいいね!いつもパチンコ玉しか使ったことなかったからさー!これなら殺しまくれそうだよ! 」
「それは良かった…っていうか無駄に殺さないでくださいよ? 」
「わかってるってー!無関係の人を殺し過ぎたらあたしが殺されるっていう契約だもん! 」
「そ、そうですか…。」
ーーー路地裏 応接間(?)ーーー
「それで今日は何のようだ。」
「最近、学園都市の機能を潰して回ってるそうだな。」
「…ああ。」
「俺はそれについての警告と解決策を持って来たんだが…要るよな? 」
「…できる限りの情報は欲しい。是非いただこう。」
「まず警告について。理事会がお前たちの行動に目を付け始めた。そして今日、ここは殲滅される。」
「…なんだと? 」←駒場
「おいそれってどういうことだよ!! 」←浜面
「どういうことだ? 」←半蔵
浜面、お前は半蔵レベルで静かにしろ。
「お前らは目立ち過ぎたってことだよ。」
「…そうか…。」
「どうすんだ?リーダー? 」
「…解決策は? 」
「お前らが俺の言うことを聞いて学園都市の麻痺を回復させることだな。」
「…悪いがそれはできない。」
「そうだ!今更そんなことができるわけねえだろ!! 」
「…じゃあもう一つ、とびっきりの条件を付けてやる。」
「…なんだ。」
「俺が無能力者狩りを止めてやる。」
「「「!! 」」」
「できるのか!? 」
「なあに、学園都市中に放送で『無能力者狩り、能力者狩りをやめない人はLevel5のみなさんが全治1ヶ月ぐらいにしまーす♪』ってな感じで放送すればいいだけだ。」
「…それはありがたいが無理があるんじゃないか? 」
「ま、確かにこれは効果があるやつと無いやつが別れるな。」
「じゃあどうすんだよ!! 」
「俺とお前たちのコネクションを作れば良くないか? 」
「!…しかし、いいのか? 」
「いいっていいってそれぐらい。確かにお前らにとっちゃ能力者は憎いかもしれないが、今こそ手を取り合う時じゃないのか? 」
「…どうします?リーダー。」
「どうすんだよ!? 」
「…コネクションというのは俺たちが要請したらお前が来てくれるということか? 」
「ああ、そうだ。」
「…なら、お願いしようか。」
「リーダー!? 」
「本当にいいのか!? 」
「能力者に報復する以前に、お前たちが殺されては意味が無いのでな。それに、学園都市のトップが手を貸してくれるらしいからな。これほど心強いことは無い。」
「リーダー…。」
「うっし!じゃあこれ俺の連絡先な? 」
「ああ、すまないな。」
「というわけでお前ら!!逃げろーーー!! 」
「「「…は? 」」」
「いやーどうやら殲滅係に連絡が行ってなかったようでさー、この路地裏に居る奴らは全員殲滅ってことになってるんだよねー。だから逃げろ!!後3分で"紅"が来るぞ!! 」
「紅!?あんたはどうすんだ!? 」
「うーん、そいつが満足するまで戦う。」
「Level5すげえなおい!! 」
ちなみに紅とはスキルアウト内での東條の通称である。
〜〜〜3分後〜〜〜
スキルアウトたちは全員廃ビルの中などに隠れている。
路地裏の前にゴミ収集車が停まる。
すると助手席から赤毛でショートの女の子が降りてきた。
「あっれー?誰も居ないのー? 」
「俺なら居るけど。」
「違う違うスキルアウトだよー! 」
「あー残念ながらあいつらは全員俺の条件を飲んだから殺せないぞ。」
「えー!?せっかく人を殺せると思ったのにー…。」
「まあまあそんなことは置いといて俺にその慎ましやかなオムネを…。いや、なんでもないです。」
見たところAカップほどである。
「何ー?キミってこんな邪魔なものが好きなのー? 」
東條は自分の胸を指差す。
あれか、自分の胸は大きいと信じてるタイプか。
「お前…その大きさなら邪魔にならないでしょ…。」
「もーうるさいなー!!じゃあキミが代わりに殺されてよ!! 」
「話が飛躍し過ぎだ!!それとLevel5になったからって調子に乗るなよ!! 」
「じゃあ行っくよーー!! 」
東條は俺に弾丸を放った。
俺は聖人機動で東條との間合いを詰めた。
「そんなのが効くとでも? 」
「じゃあ聞くけどそんなので避けられたとでも? 」
俺の背後で障壁が展開し、破られた。
聖人機動なので簡単に避けられたが。
「ふーん、能力については知ってたけどその動きは厄介だねー。」
「なんだ、知ってたのか。」
「Level5になったんだから他の人たちも調べるのが当たり前じゃない? 」
「ま、それもそうか。」
東條は弾丸を上下左右に一発ずつ放った。
それらの弾丸は全て東條の上に飛んで行った。
俺はそれを避けるために構えていると、突然右目が痛みだした。
「ぐおおお…なんなんだ? 」
「あははー!お目目がウサギみたいに真っ赤っかだよー? 」
「元から赤眼だっつーの!! 」
「ふーん、ま、それはいいとして目に入ったのは塩の結晶だよ? 」
「塩…そういうことか。」
塩は無機物であるので操れるのだろう。
指定できる無機物が5つということなので不便だろうと思っていたが、逆に便利だったようだ。
小さい物をそんなスピードで飛ばされたらいくら俺でも見えない。
「砂とか目に残るようなキッツイのじゃなかっただけマシだと思いなよー? 」
「塩でも十分キッツイから!! 」
「ま、キミはもうすぐ殺されるんだけどね? 」
すると4発の弾丸が上下左右から飛んできた。
俺はものすごい低くお辞儀をするスタイルで上左右の弾を避け、下からの弾は反射壁で防いだ。
あれだ、マト○ックスの避け方の反対版みたいな感じだ。
自然と下からの弾に壁を張ったのは仕方ないよね、"玉"が危なかったからね!
「あーやっぱり精密操作は難しーなー。咄嗟に曲げられたら殺せたのに。」
つまりギリギリで躱せば大丈夫ということか。
それに、弾は一度スピードを失うとそれ以上は動かすことができないらしい。
今度は俺から攻撃に出るため、殴りかかろうとすると、俺の拳がチリチリとし始めた。
「なんだ? 」
「おーうまくいったねー! 」
しばらくすると俺の拳がカサカサし始めた。
「…!水を排出してるのか!? 」
「最大で分子を5個ずつでしか出せないのが辛いんだけどねー、案外うまくいったねー。」
こいつが成長したらヤバイ。いやマジで。
俺の拳がミイラ化しても困るので、さっさと倒すことにした。
「当て身。」
「うぎゃっ! 」
あれ、あっさりと気を失ったな。
すると携帯に着信が来た。
「もしもし? 」
『あ、かおるん?東條はショタコンに回収させるから心配しないでくれにゃー。』
『誰がショタコンよ!! 』
「わ、わかった。」
「あ、ハンドクリーム持ってない? 」
『悪い、持ってないにゃー。』
「そうか、わかった。」
俺が通話を切ると、目の前に結標(ショタコン)が現れた。
「わ、私はショタコンじゃないからね!絶対違うからね!! 」
「わ、わかったからさっさと連れて行ってやれ!! 」
かくして、スキルアウト殲滅作戦(笑)は幕を閉じた。