始めての中編です。
ーーーアイテム 麦野サイド 素粒子工学研究所ーーー
「オラオラぁー!!!道開けねえとテメェらの粗末な×××焼ききんぞゴルァ!!!! 」
「ひ、ひぃっ! 」
とてもテレビで放送することができないような言葉を発しながらビームを放つ麦野が率いる素粒子工学研究所を襲撃しているアイテム。
浜面と滝壺は研究所の裏口で車内待機中である。
「絹旗ァ!!悪いけど死体を袋に詰めて浜面に処理させてこい!!ここは私とフレンダでやる!! 」
「超わかりました!! 」
華の女子中学生が死体を袋に詰めろと言われて何も感じないのはどうかとは思うが、やはり暗部に長居していることによって感覚が麻痺しているのだろう。
「はぁ〜、結局、貧弱な研究者だけじゃつまらないって訳よ。」
「そうよねえ…第3位ぐらいが来たらちょっとは面白いのに。」
「そういうのはフラグって言う訳よ…。」
ーーーアイテム 浜面サイド 研究所の裏口ーーー
「まったく、なんで俺はこんなことしてんだか…。」
「はまづらはどうしてアイテムに来たの? 」
「なんだ?滝壺は知らないのか? 」
浜面は怪訝な顔をする。
「普段からアイテムの運営はむぎのがやってるから…。」
「そうか…。」
「俺はさ、落ちこぼれだからスキルアウトで好き勝手やってたんだけどよ。」
浜面は滝壺に自らの過去を語り出した。
「ついにバチが当たったのかは知らないけど、アイテムのアシ係として選抜されたんだよ。」
「どうして? 」
「さあな…暗部には俺よりも運転がうまいやつなんかいくらでも転がってるはずなのにな…。」
「はまづらは今の生活が嫌い? 」
「まあ好きとは言えないけど、給料も入るしかわいい女の子に囲まれてるしでなんだかんだで幸せかな? 」
はまづらは自嘲気味に笑う。
「そっか…。」
「そうだ…。」
(どうしましょうか、超入りづらい空気です…。)
ーーーグループサイド 東條サイドーーー
『今回の作戦は覚えてるな? 』
耳のBluetooth端末からは何処かで待機している土御門の声が聞こえる。
「もっちろんだよ〜やっと誰かを殺せるチャンスだからね〜。」
『履き違えるなよ。今回のターゲットはあくまでもアイテムが奪い出したピンセットだ。研究者や一般人じゃない。』
『いつも自分にやってるような攻撃はしないでくださいよ!?特にピンセットでは!! 』
エツァリはいつも拗ねた東條に椅子などを投げつけられているのだ。
毎回それを避けて壊したり、トラウィスカルパンテクウトリの槍で分解したりしているのでグループの経費がバカにならないのだ。
「わーかってるってー!そんなことよりも、」
「人を殺した方が100万倍は楽しいからさ! 」
『…ピンセットを回収するのは私なんだからちゃんと規定の場所に来なさいよ…。』
「人を殺すためならなんでもするから安心してよー!約束は守るよー? 」
『…人殺しに精を出し過ぎないようにな。』
「精?私女だから卵しか…。」
『ちょっと黙ってください!! 』
ーーーアイテム 麦野サイドーーー
麦野とフレンダはピンセットの保管室についた。
「さあーって、どこにあるのかにゃーん? 」
「いつも思うけど麦野がにゃーんって言うのはちょっと痛いって訳よ…。」
「なーんか言ったー!? 」
「な、なんでもないです!!ハイ!! 」
「それにしても…。」
周りにはコンピューターのディスプレイと本体、ミミズの集まりのようなケーブル群しか見当たらない。
「ホントにこんなところにあるのかしら? 」
「まさか上の情報が間違ってるって訳ぇ? 」
するとピンポンパンポーンとアナウンスの開始を知らせる音が流れた。
『ちょ、ちょっとやめてください!! 』
『いいからそのマイク貸せってwww貸してくれないと鼻の穴爆発させんぞwwwwww』
『鼻の穴!? 』
『あ、どうもww学園都市第2位、顔面偏差値は学園都市第1位の垣根帝督でーすwwwww』
「第2位…! 」
『ピンセットが入っているスーツケースには背景と同化して見えなくする未元物質を貼っつけておきましたwww手探りで探してくださいねーwwwwwwwww』
「そ、それって全く見えないスーツケースを探さないといけないって訳!? 」
『あ、それと俺は優しいからヒントとしてスーツケースに紙っきれを貼っておいてあげましたwwwがんばってくれよーwww』
ピンポンパンポーンと今度は低めの音が鳴り、アナウンスが終了した。
「紙っきれ…。」
フレンダは麦野と一緒に探そうと麦野の方を見ると、麦野の右手にはスーツケース、左手には紙っきれがあった。
「さ、さっすが麦野!!もう見つけたの!? 」
「…。」
「む、麦野〜? 」
「…第2位…第0位…絶対殺してやらぁ!!!! 」
麦野が激昂して地面に叩きつけた紙っきれには『むぎのんって学園都市第4位だけど足の太さはLevel5の中では第1位だよねwwwwwby垣根&天上。』と書いてあった。
(よ、余計なことをしないでよ第2位と第0位!!)
麦野はそれをビームで焼き払った。
ーーーアイテム 浜面サイド 車内ーーー
「…。」
浜面は人間を棄てたことによって人間の命の重さについて考えている。
なのにその空気をぶち壊すように車内が激しく揺れた。
駆け込んで来た麦野とフレンダのせいである。
「浜面ぁ!!今すぐ車出せぇ!! 」
「え、あ、おう!! 」
浜面は慌てつつも車を出した。
「スピードは最大にしろ!!うちが強奪した後に横取りしようとしてるとこに追いつかれるぞ!!! 」
「ざんねーん、もう追いつかれてるんだよねー!! 」
ーーーグループ 東條サイド 箒の上ーーー
「ざんねーん、もう追いつかれてるんだよねー!! 」
「「「「「!!! 」」」」」
アイテムが一斉に東條の方へ向いた。
「…アンタが噂の第8位か。」
「そだよー?驚いたー? 」
絹旗は東條の足元を見て、
「…超魔法使いみたいに箒に乗って飛んで私たちと並走してるのは超驚きですね。」
「あ、これー?いいでしょー?私の能力なんだー!! 」
すると麦野からビームが放たれた。
東條は首を後ろに傾けただけでそれをかわした。
「あーあーやめてくれない?私電子とかそういうのは防ぐの苦手だからさー、避けるしかないんだよねー。」
「そいつはいいこと聞いたなあ!! 」
「ま、キミとは相性が悪いからさー、」
東條は助手席の隣まで移動した。
「悪いけど今回は引かせてもらうよー!! 」
すると運転席と助手席の間のスペースにあったスーツケースが浮き上がり、助手席のガラスに押し付けられた。
「浜面ぁ!!それ掴めぇ!!! 」
「無理無理無理無理!!今掴んだら事故るって!!! 」
そう言ってる間に窓ガラスは破られ、スーツケースは東條の手に渡った。
「ちょっ、ガラスをどうやって破った訳!?そんなので割れるわけ…。」
「チッチッチー、今の時代にはこんなものがあるんだよー? 」
すると東條は右手の先が尖った車用緊急脱出ハンマーを見せた。
「なっ…! 」
「じゃ、アディオーース!!! 」
「…やられたわ…。」
東條を乗せた箒は遠くへ飛んで行ってしまった。
「…むぎの、私の能力使う? 」
「そうね、お願い滝壺。」
滝壺が透明のケースから体晶を取り出すと、それを口に入れた。
すると滝壺の目がカッ、と開いた。
ーーーブレイクサイド ???ーーー
「んんwwwwww東條氏がピンセットを奪いましたぞwwwww」
「んんwwwwwwアイテムからグループにピンセットが渡ったのですなwwwwww」
「んんwwwwwwそうですぞwwwww」
「んんwwwwwwこれは強奪以外ありえませんなwwwwww」
「んんwwwwww上げて落とすというやつですなwwww」
ーーーグループ 東條サイド 集合地点ーーー
東條が結標との集合地点に来ると、すでに結標が待っていた。
「ちゃーんと奪って来たよー!! 」
「ご苦労様、じゃあテレポートするからこっちに…。」
「んんwwwwwwそうは行かせませんぞwwww」
「「なっ!? 」」
んんwwwwwwどこからか俺は現れたんですぞwwww
結標は東條と一緒にテレポートするが、その先にも俺が現れた。
「ど、どういうこと!? 」
「んんwwwwww貴殿の得意分野のテレポート以外にありませんなwwwwww」
「ありえないわ!!デュアルスキルなんて…! 」
「いいなー!!いいなー!!それってどうやったのー?? 」
「んんwwwwww11次元を解析する以外にありませんなwwwwww」
ちなみにこれが新ワザである。
街でテレポーターを見てテレポートできたらいいなーと思い、学術書を頼りに11次元を解析したらなんかできた。理由は知らぬ。
「今度教えてよー!!もう殺したりしないからさー!! 」
「んんwwwwwwいいですぞwwwww」
「やったー!! 」
「ってまた今度にしてよ!?とりあえず今は逃げるから!! 」
「んんwwwwwwさっさとそれを我に渡すんですぞwwww」
結標が学園都市中の路地裏にテレポートするが、どこに行っても俺は着いて来る。
未元物質製の発信機をつけているので逃げることは不可能である。
何度もテレポートしているところを見ると、トラウマを完全に忘れて居るようだ。
「ぜぇ…ぜぇ…なんで学園都市最大のテレポーターの私に着いてこれるのよ…。」
「今となっては学園都市最大のテレポーター(笑)ですなwwwwwww」
「学園都市最大のテレポーター(笑)! 」
「」
結標は呆然としている。
俺は結標のスーツケースに触れると、テレポートした。
何故か無接触のテレポートはできないのだ。
つまり黒子の距離だけ上位互換バージョンという感じである。
「あっ。」
そこには今だに機能停止している結標と東條だけが残った。
『お前たち!?どうした!? 』
『どうやら声からして天上さんが奪っていったようですね…。』
ーーーブレイクサイド どこかのビルの屋上ーーー
「おかえりwwwwテレポート裏山www」
「ただいまwwwwいいでしょwww」
垣根は何故かできないらしい。
おそらく垣根は未元物質だけで演算が限界なのだろう。
まあ俺もテレポートをする時は壁を展開できないし多少時間がかかるが…。
一方通行ならできるのだろうか…?
そういえばアビニョンから帰ってきた後に打ち止めから代理演算を解除されてビクンビクンしていたとの報告が打ち止め自身からメールされたので不安である。
「よっしゃwwwさっそくピンセットつけたるwwwwww」
「おwwていとくんやっちゃうんですかwwwww」
「やっちゃうんですよwwwww」
垣根は右手にピンセットを装着した。
「うはwwwwwていとくんかっけぇwwwwwww」
「ちょwwwwwさっそく何か掴んだんですけどwwwwwww」
どうやら滞空回線を掴んだようだ。
「うおwwwww"ドラゴン"って何wwwwww」
「そwうwいwえwばwwwエイワス忘れとったwwwww」
「エイワスって何ぞwwwwww中二病かよwwwww」
「今度アレイスターんところ行って会いに行こうぜwwwwww」
「アレイスターの友達か何かかよwwwww」
「そwうwwwwww」
「うはwwwwアレイスターマジかっけぇwww」
そういえばアレイスターからピンセットをどこかに隠せと言われてたような…。
「よっしゃwwwそれ貸せwww」
「いwいwぞwwwww」
俺は垣根からピンセットを受け取ると、適当な道路に放り投げた。
「ちょwwwwwそれってヤバくねwww」
「未元物質製の発信機つけてるから大丈夫wwww」
「そwうwかwwwwww」
ちなみに未元物質製の発信機は電波では無くAIM拡散力場で探知するのである。
よってジャミングの心配も無く、安全に探知できるのだ。
ーーー上条サイドーーー
「ふっふふーん♫」
上条は幸福であった。
「まさかクジ引きで鍋を当てるなんてなー♫」
上条にしては珍しくスーパーのクジ引きで鍋を引き当てたようだ。
「今までのは壊れかけてたから丁度よかっ、たあああああああ!!! 」
上条の目の前に何か鋭いものが落下し、アスファルトの地面に刺さった。
「ふぅ…今日の上条さんは幸運なんですよー。」
「それにしてもなんだこれ?新種の手袋か? 」
手袋に新種もクソも無いのだが学園都市だからと言うと納得できるのが不思議である。
「右手にはめるのか…? 」
そう言って上条は自らの右手にピンセットを装着した。
するといつもの幻想殺しの音が響いた。
「な、なんだ!? 」
ーーーブレイクサイドーーー
「「あ。」」
俺たちは発信機からの発信が途絶えたことに気付いた。
「ちょwwwwwなんか発信途絶えたったwwwww」
「ジョーカミじゃねwwww」
「ああwwwwwジョーカミ マトウかwwwww」
「なんで業界人みたいな喋り方したんだろ俺wwwww」
「知らぬwwwwww」
ーーー上条サイドーーー
「カミやん、それを俺に渡すんだ。」
「土御門!? 」
上条の前には仕事モードのシスコン軍曹が現れた。
「悪いが、こっちも仕事だからな。渡してくれないならカミやんでも容赦しないぞ。」
「…また"裏"の仕事か? 」
「そうだ。」
お互いに沈黙が流れる。
「あ、そうそう。一つ言っておくが。」
「それを持ってたらLevel5の第0位、第2位、第4位、第8位に狙われるぞ? 」
「俺はなんちゅうもんを拾ってしまったんだー!? 」
(ま、ぶっちゃけかおるんとていとくんは狙ってこないと思うけどにゃー。)
すると上条に誰かが殴りかかろうとしたが、上条がそれを右手で受け止めると、また幻想殺しの音が響いた。
「ありゃ、私の超窒素パンチを受け止めたってことは超常人じゃないってことですね、では殺します。」
「ちょ、え!? 」
「チッ、絹旗最愛か…! 」
「そっちはグループのツチミカドさんでしたっけ?まあ敵なら潰してあげますから超ゆっくりしててくださいね! 」
(このまま第4位が来たらマズイ!東條を出すしか手が無くなる!)
「カミやん!!とにかく走り回って逃げろ!! 」
「わかった!! 」
土御門はここでLevel5同士の衝突があれば周りの建物や一般人の危険があると判断し、場所を変えることにした。
ーーーメンバーサイドーーー
「…さて。」
博士は立ち上がる。
「そろそろ動くとしようか。」
ーーーアイテム 土御門サイド 廃工場ーーー
土御門は上条を誘導しながら途中で東條と合流し、廃工場へ辿り着いた。
絹旗はまだ辿り着いていない。
すると廃工場の壁がオレンジにドロドロになったと思ったら爆発し、煙の中から緑色に輝くビームが飛び出した。
「っ…ぐっ!! 」
「あれぇー?威力が強過ぎちゃったかなぁー? 」
爆風で転がった土御門と上条に言う。
東條は転がっていた鉄板で防御したようだ。
「あれー?おばさん、また戦いにきたのー?? 」
「だーれがおばさんだゴルァ!!! 」
麦野がキレてビームを放つと、東條は何かでそれをガードした。
「へへーん!いいでしょこれ!! 」
すると東條は自身の半分ほどの大きさがある盾のような何かを見せた。
「なんだぁ?それは!! 」
「うーん、確か演算型•衝撃拡散性複合素材だったっけ?それの盾バージョンだって!!すごいでしょ!! 」
ちなみにアレイスターが土御門に渡させたものである。
窓の無いビルの演算型•衝撃拡散性複合素材よりも小型なので演算力が弱く、割と簡単に解析されて破壊されてしまうものなのだが、麦野では破壊できないだろう。特定のパターンの衝撃を与えられないと破壊することは不可能なのだ。
それに、充電式なのでバッテリーが1時間しか持たないという問題もある。
また、研究者に渡ると研究されないか?という疑問が湧くが、裏の蓋を開けられると強酸が回路全体に漏れ出し、導線、CPU、衝撃発生装置などは全て溶けてしまうらしい。
つまりただの柔らかめの板となるのだ。
『ふふふ、まあそんなものは私の前では無力となるのだがね。』
廃工場の中に居る全員の全身が激痛に見舞われた。