人生二回目、楽しみ尽くしてやる!   作:かきねん

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今回はオリジナル要素が多いです。
あとは…ちょっと難しいですかね?


暗部組織対抗ピンセット争奪戦 後編

ーーーアレイスターサイドーーー

 

「ふむ、私たちは見事にカットされているようだね。」

 

「まあ大した説明をしていないから当然だろうね。」

 

ーーーグループ 東條サイド 廃工場ーーー

 

痛い、いたい、イタイ…。

 

肺から徐々につま先や指先まで激痛が回って来る。

 

まるで何かに蝕まれているような痛みが。

 

激痛を誤魔化すためにもがきたいのに指一本動かせやしない。

 

溢れ出てくる冷や汗の不快感を忘れてしまうほど痛い。

 

どうすれば…。

 

どうすればこの痛みから逃れられるのだろうか。

 

いっそ舌を噛み切って死んでしまえばいいのだろうか。

 

…それはダメだ。

 

私の代わりに死んだ"お兄ちゃんとの約束"はどうすると言うのだ。

 

私の今までの努力はどうなると言うのだ。

 

…死ねない。

 

私は死ぬわけにはいかない!!

 

「っうあああああああああああああ!!!!!! 」

 

東條の周りに黒い霧が立ち込めた。

 

ーーーブレイクサイドーーー

 

「ちょwwwwピンセット見つからんwwwwどうするよwwww」

 

「もう別に放置してていいんじゃないかなwwwwwww」

 

「それいいなwwwwww」

 

すると俺の携帯に着信が。

 

「もしもしwwww」

 

『アカンwwww諦めないで探しやがれwwwww』

 

「ちょwwwwアレイスターUZEEEEEwwww」

 

ーーーグループ 土御門サイドーーー

 

生暖かいのに寒気を感じる不気味な風が流れ始めた。

 

激痛に悶えながらも土御門が風の元に目を向けると、そこには黒い何かに包まれた東條の姿があった。

 

上条や麦野は気絶してはいるが、死んではいないようだ。

 

東條が向ける視線の先にはいつの間にか現れたモニター持ちの黒服が座り込んでいた。

 

『な、一体なんだというのかね!? 』

 

モニターからは老人の声が流れてくる。

 

黒服は腰を抜かして立つことができないようだ。

 

「…今更諦められないよ…。」

 

東條は片膝をつきながらも立ち上がろうとする。

 

「これだけ人を殺しといて今更後には引けないよ…。」

 

そして足を震わせながらも立ち上がった。

 

『お、"オジギソウ"は効いていないのか!? 』

 

「オジギソウ…?ああ、これのこと?? 」

 

東條は自分の周りに漂う黒い霧を指差した。

 

「キミってさー、よく陰気って言われない?人の体細胞をチマチマ蝕んで殺すなんて悪趣味でしかないよねー。」

 

『な…!!そこまで看破したというのか!! 』

 

「お兄ちゃんをこれで殺しといてよく言うよね? 」

 

「まあ兄妹を二人ともここまで痛めつけてくれたんだからさー…。」

 

「キミも死ンだオ兄ちゃンの一部になッてもらオうかなァ?? 」

 

東條がそう言うと、黒い霧が一瞬にして消えた。

 

すると、腰を抜かしていた黒服が一瞬にして赤いナニカに変わった。

 

「アッはははははははは!!!人間ッてのは脆イよねェ!! 」

 

『く、クソッ!! 』

 

モニターの中の老人の姿が消えた。

 

「あれェ?逃げるのォ??私のオ兄ちゃンはキミたちみたイなクズから逃げなかッたのにィ?? 」

 

『…。』

 

黒服の血に濡れたモニターは故障しているようだ。

 

「イイねイイねェ!!じゃアオイかけッこやろウよ!!私が鬼ね!! 」

 

そう言うと東條が高く掲げた右手に黒い霧が収束しはじめた。

 

「や…めろ…!!今は…ピンセットが最優先だ…!!! 」

 

不思議と全身の激痛は消えていたが、体は動かず、喉がやられており、思うように声が出せない。

 

「ピンセット?そンなの知らなイよ!! 」

 

「やめ…!!? 」

 

土御門がやめろと言おうとした瞬間、東條の体の周りに魔力が充満し始めた。

 

「…検索終了。」

 

東條がそう言うと、口から赤黒い血を吐き出した。

 

「…アーア、やッぱりオ兄ちゃンみたイに上手くはできなイかー…。」

 

(探索術式を使ったのか…!?自分の体だけで!? )

 

「ま、さッさとオイかけさせてもらイますかー!! 」

 

そう言うと、東條は廃工場の天井を突き破り、どこかへ飛んで行ってしまった。

 

おそらくメンバーの博士のところだろうが…。

 

ーーー???ーーー

 

『"お兄ちゃん"!! 』

 

『"真"!! 』

 

秋のススキの中を楽しそうに駆け回る親無しの青年と少女。

 

『"学園都市"に来ないか? 』

 

『断る!!俺たちには俺たちの生活があるんだ!! 』

 

『お兄ちゃん…。』

 

白衣の研究者を守る黒服から少女を庇う青年の兄とそれを不安気に見上げる少女。

 

『いい加減諦めたらどうなのかね? 』

 

『ぐああっ…! 』

 

『お兄ちゃん!! 』

 

研究者がばら撒いた何かに体を蝕まれていく優秀な魔術師の青年。

 

『お兄ちゃん!! 』

 

『…お兄ちゃんを取り返したいなら誰かをお前自身の手でお兄ちゃんの命の価値の大きさに見合うだけ殺せるぐらい強くなれ…だからそれまでは絶対に死ぬな…。』

 

自分を生き返らせられると嘘を吐きながらも妹を強くさせて誰からも殺させまいとする死にかけの青年。

 

『…わかりました、ついていきます。』

 

『よろしい。』

 

『…。』

 

研究者に連れられワゴンに乗り込む少女とそれを見送る骨だけになった青年。

 

『なーんだ、人を殺すなんて簡単じゃーん? 』

 

『…。』

 

少女の強大な力に嫉妬してナイフで斬りかかってきた同級生の少年を殺したLevel3の少女。

 

『アハハハハハ!!人殺しって楽しいねー!!お兄ちゃん!! 』

 

無能力者狩りを始め次第に狂い始めたLevel4の少女。

 

「…今からカタキを取るからね、オ兄ちゃン…。」

 

「ひ、ひぃあ!! 」

 

"たった今"メンバーの"博士"を肉塊にした"Level5"の東條真。

 

「アハハハハハ♪10年かけてカタキを取ッたよ?オ兄ちゃン? 」

 

「人だっていっぱい殺したよ?それはもう数え切れないほどに。」

 

「だから、だから…。」

 

「帰って来てよぉ…お兄ちゃん…。」

 

東條真はそのままメンバーのシェルターの地面で気絶した。

 

彼女の閉ざされた目からは既に澱んでしまった涙が流れていた。

 

ーーー後日談ーーー

 

結局、ピンセットはグループが勝ち取ったようだ。

 

動けない土御門と東條、上条はエツァリと結標に回収され、冥土帰しの病院へ。

 

テレポートできない上条をおんぶして運ぶことになったエツァリが不憫で仕方ないが…。

 

アイテムの麦野は絹旗がどこかへ連れて行ったようだ。

 

メンバーはエツァリと結標によって壊滅したらしい。

 

おそらくショチトルの原典は史実通りエツァリが取り込んだのだろう。

 

それで、俺は今から東條のお見舞いに行くのだが…。

 

「失礼しまーす。」

 

「はーい!! 」

 

ノックして病室に入ると、予想以上に元気そうな東條の声が聞こえた。

 

「元気かー…ってウボア!!! 」

 

「お兄ちゃん!?お兄ちゃん!!生き返ったんだねー!! 」

 

「お、お兄ちゃん!? 」

 

東條に馬乗りされ、危うく胃から麻婆豆腐が飛び出すところだった俺。

 

全く、俺が自動展開の障壁が展開されないようにしてなかったらどうするつもりだったんだ…ってお兄ちゃん!?

 

「ん?お兄ちゃんはお兄ちゃんじゃないのー?? 」

 

「ちょ、ちょっと待て!!俺は天上馨だ!!お前のお兄ちゃんでもなんでもない!! 」

 

「?また偽名使ってるのー? 」

 

「だーかーらー!! 」

 

「ちょっといいかい? 」

 

冥土帰しがドアを開けてそう言った。

 

ーーー冥土帰しの部屋ーーー

 

「どうやら彼女は記憶が無意識で改竄されているようなんだね? 」

 

「は、はあ…で、なんで俺がお兄ちゃん? 」

 

「記憶が改竄されてから始めて目にした青年が君だからじゃないかな? 」

 

「おいいいい!!!なんでそうなるんだよ!! 」

 

「ま、これも彼女のためだと思って兄役を演じてやってくれないかい? 」

 

「…まあいいですけど。」

 

俺は渋々了承した。

 

ーーー窓の無いビルーーー

 

「どういうことだアレイスター! 」

 

「おや、体の方はもう大丈夫なのかね? 」

 

「そんなことより第8位のことだ!!あいつの秘密は何だ!! 」

 

土御門は自身の体のことも忘れて怒鳴り散らす。

 

「ふむ、これは黒歴史だからあまり教えたく無いんだけどね…。」

 

「教えろ。」

 

土御門は短く吐き捨てる。

 

「まあいいだろう。私は10年前、"ディオスクーロイ計画"というものを発動した。」

 

「…何だそれは? 」

 

「まあ神話に基づいた推測でしか無いんだがね。ゼウスと不倫関係にあったレダの二人の子供のうち、兄は人間、弟は神であったというところから考えだした計画だ。」

 

「…。」

 

「ま、我ながらバカだとは思うのだがね。兄、姉が優秀な魔術師で弟、妹が普通の人である兄弟姉妹を徹底的に探しだした。」

 

「…。」

 

「もう大体理解できたとは思う。魔術は元々才能の無い"人間"が扱えるものだ。じゃあ神話通り神となった弟、及び妹はLevel6に辿り着けるのではないか?という発想がこの計画を生み出した。」

 

「…つまり東條家が選ばれたと? 」

 

「そうだ。今現在はLevel5が限界だがね。」

 

「…じゃああの時見せた異常な能力はなんだ?能力の制限である5個というルールを超えてあいつ自身の分だけではなく俺たちの体のオジギソウまで全て排出させた。これは明らかに異常だ。」

 

「…おそらく、あの瞬間だけ演算力が桁違いにあがったのだろう。厳密には効率アップを覚えたと言うべきかな? 」

 

「どういうことだ? 」

 

「彼女は水の分子さえ5個ずつしか動かせなかったが、今回は空気を動かしてみせた。つまり定義の方法が変わったんじゃないか?分子レベルを5つから、ある程度の大きさとしての集まりを5つとして定義できるように。」

 

「…つまり個体などある程度の大きさがあるものと同じように、ある程度の集まりを一つとして定義できるようになったということか? 」

 

「そういうことだ。これは能力診断をすれば序列が変わりかねない進歩だと言えるね。」

 

「…まあそれはいい。もう一つ質問させてもらおう。」

 

「"ドラゴン"とは何のことだ? 」




今回は東條の過去編です。

あ、当然わかっていらっしゃるとは思いますがディオスクーロイ計画とかはオリジナルですからね!?
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