俺は一方通行と連絡先を交換した後、帰路についていた
(さて、一方通行をこちらに引き入れたし、今日は帰るか)
(…っていうか今日はステイルがボコられてインデックスが切られる日じゃね?)
(まあ小萌先生がなんとかしてくれるか…)
(今のうちに上条に魔術を教えておくか? )
(…いや、下手にインデックスの首輪に気づいて破壊されたら"樹形図の設計者(ツリーダイヤグラム)"を破壊できなくなるかもしれない)
(…ここは史実通りでいいか…)
(ということは首輪破壊までに7日あるのか? )
(魔術習得しにいくか? )
(うん、そうだな、そうしよう。イギリス清教にでも行くか)
(いや待てよ、教えてもらうだけならアレイスターでもよくね?行ったら行ったでローラのせいで学園都市に影響出たら腹立つしな)
(…もうアレイスターでいいや)
そう言って俺はアレイスターに電話をかけ始めた
ーーー七月二十一日ーーー
「…楽しそうだね、あの子たちは」
「…」
「僕たちはいつまであの子の居場所、記憶を引き裂き続ければいいんだろうな…」
「かつてあの少年と同じ立場に居たあなたとしては複雑ですか? 」
「…いつものことじゃないか、僕たちはあの子を救う最善の手段を持ち合わせていない。手段が見つかるまで、僕たちは何度もこんな気持ちを味わうことになるんだからわざわざそんなことを気にしてられないよ」
ーーー窓の無いビルーーー
「それで?やはり魔術を学びたいときたか」
「なんだわかってたのかよ」
「君が反応すること前提であの話をフったんだ、当然のことだろう? 」
「まあそうだな。よし、早速教えろ」
ちなみに学校にはLevel5の研究という名目で休んでいる
「そんなに焦らなくても魔術は逃げないよ」
「まあいい、とりあえず『炎よ』と唱えてみたまえ」
「『炎よ』…うわっ!火が出た!すg…ゴボァァァァ! 」
唱えた瞬間、全身に激痛が走り、口から血を吹き出してしまった
「ふむ、やはり聖人だからか威力は高いな」
「ゲホッ、ゴホッ…おいテメェアレイスター!!死ぬじゃねぇかこの野郎! 」
「当たり前だ天上君。君は能力者だからな」
「…このまんまじゃ俺は出血多量で死ぬんじゃないか? 」
「大丈夫だ、冥土返しが居るし、何よりも君が魔術を取り込められれば良いんだよ」
「どういうことだ? 」
「全身の血管を君の能力で保護したりするなどして、君にダメージが行かないようにすればいい」
「なるほどな。じゃあこうすれば良いんだろ? 」
俺はそういうと、オレンジ色の翼を展開した。
そして、魔術を使用した時に流れた『魔術回路』の感覚を翼にイメージすると、三対六枚翼から、六対十二枚翼になり、見事に魔術用の『第2の脳』を作り出した
…脳というよりは回路そのものであるが、血管のように浮き出て居て結構気持ち悪い
その代償にまた血を吹き出してしまったが
「驚いたな…まさか翼に脳の代用をさせるとは…もう君Level5でいいよ」
「どうも。しかしここまでうまく行くとは驚いたな」
「よし、君を学園都市第0位にしよう、うん
一方通行と同じぐらいの強さだし、一般には公表出来ないが魔術によって無限の可能性があるしな」
「あーそういえばこの前Levelを偽装しといてって言ってたけど、やっぱいいわ、0位で登録しといてー」
「わかった」
「ちなみに弱点だが、その能力は拒絶とイメージによって生まれるものだから、心を許した者には自動防御がはたらかない。まあ拒絶すれば防御はできるがね。また、核弾頭に耐えられるクラスの防御力を誇っては居るが、テレズマやあまりにも巨大な力には弱く、簡単に破壊されてしまう。テレズマは君の能力に組み込むことができれば対応はできるので大丈夫だが、やはり神の右席クラスになると突破されてしまうな」
「そうか」
「では、これから教えてあげよう。そんなに難しいものではないがね」
ーーー七月二十四日 正午ーーー
結局、アレイスターが教えてくれたのはルーンの描き方だけであった
紙に描いたルーンをスキャナーでデータ化し、それをスマートフォンに取り込む
使用したい時は翼を展開し、スマートフォンでそのルーンを表示してから魔力を精製するだけで発動する、という方法をとった
魔術師も皆こうすればいいのに…と思ったのはここだけの話
魔術と能力の安定、強化の為に三日消費し、窓の無いビルから出たのである
これで俺はLevel5の第0位、というわけだ
一方通行と並んで、最もLevel6に近い存在になったらしい。これはアレイスターと俺しか知らないことだが
あ、そうそうもう一つ、樹形図の設計者はインデックスに頼らなくても俺と一方通行で破壊できると気づいたので、結局上条達に知恵を授けることにした
「ま、神裂戦までは時間があるし、一方通行と遊びに行きますか…」
俺はそう決意し、一方通行に電話をかけた
『…なンの用だ? 』
「今から遊びに行かね? 」
『…断る』
「というのは冗談で、お前に面白い物を教えてやる。第7学区のレストランに来い。場所はメールに添付する」
『…わかった』
ーーー第7学区 とあるレストランーーー
「で?面白い物ってなンなンですかァ? 」
ブラックコーヒーをすすりながら一方通行は俺に問いかける
「"魔術"って知ってるか? 」
「オマエは俺をバカにしてンのかァ? 」
「いやいや大真面目だよ、最近習得できたからお前に見せてやろうと思ってな」
「ハァ…ようやくできた友人がまさか頭までやられてたとは思ってなかったぜェ…」
「まあいいから見てから言えって! 」
とは言ったものの、こんな狭い店内で翼を展開するわけにも行かず、俺達は河川敷へ向かった
「今から魔術の炎を出すから反射してみろ、多分上手く反射できないはずだ」
「ハイハイわかりましたァ…」
俺はそう言って禍々しい翼を展開、一方通行が「なんだその翼はァ」とか木原くンの台詞を取っていたが気にしない。『炎よ、直進せよ』と唱えると一方通行に向かって炎が飛んで行った
一方通行はそれを反射しようとしたが、あらぬ方向に飛んで行ってしまった
「へェ…本当に魔術ってあったのか。確かに上手く反射できなかったし、未知のベクトルだったなァ。まァ認めてやるよ、しかしどォやって発動したンだ? 」
「実はな、唱えるだけで人は皆魔術を使えるはずなんだけど、学園都市の生徒は皆開発を受けてるから使えないんだ。使ったら死ぬか血を吐いて倒れてしまうぞ」
「じゃあなんでオマエは使えてるンだ? 」
「俺はな、魔術を解析して、魔術を使うのに必要な魔力回路をこの翼に作り出して、代わりに魔力を精製させてるから使えるんだ。まあ第2の脳みたいなもんだよ」
「なるほどなァ、流石"第0位"サマは格が違うなァ」
「あ、もうバレてた? 」
「研究員どもが第0位の誰かさンの話しかしてなかったからなァ」
「そ、そうか。俺そんなにも有名になってたのか…」
「そりゃァ急に登録されたLevel5の第0位だからなァ」
「やっぱりそうだよな」
「で?用はこンだけか? 」
「あー一応聞いとくけど魔術教えて欲しい? 」
「俺は第2の脳なンて作れねェからやめとくわ」
「そうか、わかった。じゃあまた今度なー」
「あァ」
そう言って俺達は別れた
一方通行は自分のマンションへ、俺は一回家に帰ってから銭湯に向かうことにした
ーーー21:00ーーー
俺は銭湯に向かう道で"偶然"、孤独な上条と出会った。もちろん嘘だが
「よう上条、どこに行くんだ? 」
「だ、誰だ!?あ、天上か…お前も銭湯行くのか? 」
怪しまれないために着替えを持って来といてよかったー
「まあな、うちの風呂が壊れちまってな」
「そうか…お前もついてないな」
そこから雑談をしながら歩いて行くと、急に人が居なくなった
(来たか…)
「おい上条、今何時だ? 」
「今か?今はだいたい9時だけど…」
「9時にしては人が居ないってなんかおかしくないか? 」
俺はさりげなくヒントをふる
「そういえば誰も居ないな…」
「"ルーン"」
「「ん? 」」
俺と上条は一斉に後ろを向いた
「人払いのルーンを刻んでいるだけですよ」
「テメェは…」
「神裂火織と申します」
「私の用があるのはそちらの上条当麻だけなので、できればあなたは離れていただきたいのですが」
神裂は俺に言うがもちろん逃げない
「いいだろ別に俺がいても」
「…まあいいでしょう」
神裂は俺を危険だとみなしていないのか、あっさりと許可した
「率直に申し上げます。上条当麻、私が魔法名を名乗る前に彼女を保護したいのですが」
「…嫌だと言ったら? 」
「仕方ありません」
「名乗ってから彼女を保護するまでです」
神裂はそういうと、刀を抜き、風車のプロペラを切り飛ばした
「もう一度問います」
「魔法名を名乗る前に彼女を保護したいのですが」
「な、何言っt「おいおい上条、足震えてんじゃねーか、ここは俺に任せとけ」
「天上!そいつは魔術師と言って、能力者とは違うんだ!いくらLevel4でもそいつには敵わないぞ! 」
「ん?俺はLevel4じゃねーぞ? 」
「え…お前もこの前言ってたじゃないか」
「まあ確かにそう言ったがな」
「そこの魔術師さんとやらにも自己紹介しよう、俺は学園都市のLevel5"第0位"天上薫だ。以後お見知り置きを」
「第…0位!? 」
「というわけで俺の親友の上条を傷つけるというのなら俺はお前と戦う」
「いいでしょう、あなたが第0位だからといって私が彼女を諦める理由にはなりません! 」
そう言うと神裂は七閃を放つが、俺は咄嗟に翼を展開(魔術使用モードではないので魔術師、及び聖人と気づかれない)、七本のワイヤーを防ぎきった
「本当に…第0位なのか…」
「おうよ、だからお前は守られとけ」
俺は神裂の方を向いて
「テメェ、手加減してんじゃねぇよ。本気で来い、魔術とやらを使ってなぁ! 」
「…いいでしょう、あなたに単純な攻撃は意味無いようですしね」
「"Salvere000(救われぬ者に救いの手を)"!! 」
「やっと本気になったか…よし、名乗られたら名乗り返さないとな」
「名乗り返す?…天上お前まさか! 」
俺はチョーカーのスイッチをONにし、聖痕(スティグマ)を開いた(窓の無いビルでマスターしました)
「"Connexio314(我が翼は架け橋となる)"!! 」
俺が名乗ると翼の表面が割れ始めて血管のような筋が浮かび出し、さらにその翼の数が二倍になった
「な、何故能力者が魔法名を!? 」
「天上…お前…」
「なんで俺が第0位が知ってるか? 」
「科学と魔術のハイブリッドだからだよ! 」
俺はあらかじめスマートフォンにルーンをセットしておいたので詠唱(と言ってもものすごく短いが)を始めた
『炎剣よ、我が手に』
そう言うと俺の手に炎の剣が出現した
「これでテメェと同じ条件だよなぁ、神裂さん? 」
俺は唖然としていた神裂に斬りかかった
神裂は咄嗟に七天七刀を抜き、それを防いだ
どちらが弾かれるということもなく、ギリリと火花を散らせながらせめぎ合う
「この力とテレズマ…まさかあなたは聖人!? 」
「流石に気づくよなぁ、そうだ、俺は聖人だ」
俺がそう言うと、神裂は七天七刀で炎剣を受け流し、後退した
「本当は聖痕を開かなくても能力だけでお前倒せるんだがなぁ、折角魔法名を名乗ってくれたんだし、魔術も使って相手してやる」
というのは嘘だ
普段の能力じゃ魔術による唯閃で突破されてしまう
「仕方ありません、本気で行かせてもらいます」
神裂はそう言うと七天七刀を鞘に戻し、居合切りの構えを取った
「"唯閃"!! 」
俺が神裂を本気で拒絶すると、薄いオレンジ色の壁がおそらく10m四方程度の八角形の壁が出現した
七天七刀が壁に触れると、その部分に収束、神裂を弾き返した
隙ができた神裂の足を払い、転んだ所を障壁で押さえつけ、地面に張り付けた
「お、おいそれぐらいにし「上条、こっちに来い」
言葉を途中で遮られた上条は渋々俺と神裂に近づいた
「今更だがお前らに質問する、嘘吐いたら障壁で頭殴るぞ」
上条は頷き、神裂は「わかりました」と答えた
「まずお前らが言う彼女って誰のことだ? 」
わかりきってはいるが一応聞いておく
「…インデックスという白い修道服を着た女の子です」
「なるほど、で、そいつは何故怪我をさせてまで保護しないといけないんだ? 」
上条が「なんでそれを…」と言いかかったが手で制す
「彼女は完全記憶能力を持っており、更に10万3000冊分の原典の記憶によって脳の85%を占めているので、一年ごとに記憶を消さなければ脳が圧迫され、死んでしまいます」
「…ふーん、で?そんだけか? 」
「?そうとしか聞いておりませんし、今までも一年周期で彼女は苦しんで来たのですが…」
「ハァ…魔術師っていうのはそこまで科学に疎いもんかね、まあ俺も魔術師だけど」
「いいか?人間の脳の容量ってのはなぁだいたい10TBはあるんだよ、新聞に換算すると200万年分だ」
「まあ原典10万3000冊分の容量なんて知らないからなんとも言えないけど、85%も占めるわけないだろう?残り15%を一年で消費するんだったら完全記憶能力者は6年ちょいで死んでしまうことになる」
「だがどうだ?実際完全記憶能力者は軽く60年以上は生きているぞ?」
「それに、原典などの知識を記憶する領域と思い出を記憶する領域は別れて居るんだから尚更一年で死ぬわけないだろう? 」
「で、ですが、今までにインデックスは一年ごとに苦しんで来ました! 」
「お前達の組織がそんな重要な人物を何も対策せずに放っておくと思うか?普通は保険をかけておくだろう?つまり、そういうことだ」
二人は愕然としている
「お前達は運がいいな、そこのバカは魔術も能力も打ち消す幻想殺しを持ってるんだぜ? 」
「な、なんでそれも知ってるんだ? 」
「禁則事項です♩」
言ってから自分の気持ち悪さに気付いた
「じゃあこれからインデックスを助けに行こうか」
俺はそう言うと、神裂にかけている能力を解き、小萌の家へ上条に案内させた…もっともも俺が二人を抱えて飛んで行ったのだが
ーーー第十九学区 研究所の跡地ーーー
俺たちはステイルとインデックスに合流し、事情を説明した
インデックスは最初は怯えていたが、二人が全力で謝ったので、一応和解した
ステイルが「あの女狐め…」とか言ってたがとりあえず自動書記(ヨハネのペン)が発動しても大丈夫なように、第十九学区の寂れた研究所の跡地へ来た
「とりあえず、強引に術式を壊そうとすると暴走するはずだから、ステイルはルーンを刻んでおけ」
俺がそう言うと、ステイルはそこら一帯にルーンのカードを貼り出した
「それと上条、インデックス、お前らが普段の生活で気づかなかったということは体内に術式があるはずだおそらく口の中にあると思うが、そこに無かったら最悪…腸内か膣内にあるかもしれない」
そう言うと二人は顔を赤らめたが、俺は気にせず上条に口内を探すよう指示した
上条が右手を突っ込むとパキーンという幻想殺し特有の音が鳴った
それと同時に自動書記が起動した
「警告、第3章から第2節、第1から第3までの全結界の貫通をかk「よっしゃ行けェ!上条! 」
俺はそう言って聖痕を解放し、上条を持ち上げて投げた
「うわあぁーーーー!!! 」
と言いつつちゃっかり右手を構えていた上条によって自動書記が破壊された
ステイルと神裂は唖然としていた
(僕のルーンって意味なかったんじゃ…)
俺はあっさり終わったことに安堵していたが、因果律はそこまで甘く無かったらしい
自動書記が破壊されると何故か羽が降り注いでいた
そしてインデックスに抱きついていた上条の頭に直撃、俺は走り出そうとしたが間に合わなかった…
「ちくしょおぉーーー!!! 」
俺は上条の"死"を回避することができなかった
自動書記戦が適当だって?
…すいません、絶対こうすれば早く終わるのにと思ってたのでこうしました