ヒト>ウマ>ヒト   作:ゼン◯ロブロイ

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盛大なキャラ崩壊と魔改造が含まれます(主成分)


『担当を有象無象から守護る』、『レースで結果を出す』。 『両方』やらなくちゃあならないのが『トレーナー』の辛いトコですが覚悟はとっくに済ませました。

 

 すっと意識が浮き上がる感覚、降り注ぐ拍手喝采を受ける彼女の姿がぼやけていく

 

 

 

 懐かしい夢でしたね。 当時の私達は未熟で、色々な人達の手助けを受けてなんとか駆け抜けた…。

 まぁ、用意されたレールと言うつもりはありませんが、あそこまで御膳立てされていたのに苦労の連続でしたからね。

 当時は留学生や持ち込み…国外で妊娠して、国内で出産されたウマ娘が出走出来ないレースが非常に多かった。 …ルールとはいえ、所謂クラシック三冠や格の高いレースがそれに該当していた当時は…。

 例外的に参加可能な国際レースが幾つかありましたが、出走条件を満たすのも厳しいせいで、事実上の締め出しを彼女達は受けていた。

 どれだけ望んでも、どれだけ期待されても。 国内レースを海外からの草刈り場にさせないためとはいえ、日本で生まれ育った彼女の『夢』(憧れのダービー)は踏みつぶされていた。

 

 その現実に必死で抗っていた当時の師匠である東条さんも、私がサブトレーナーとしてトレーニングのお手伝いをしていた彼女、マルゼンスキーさんも…。

 皮肉な話ですが、ダービーに憧れ、走り、競う為に「がんばった」マルゼンスキーさんは、強かった。 認める訳にはいかないと考える人が出るほどに強すぎた。 

 それもデビュー前どころか、トレセン入学前に町内レースで現役時にG3を取っていた大学生のウマ娘相手に、当時小学生だった彼女が「結果として」(全力疾走しただけで)逃げ切り勝ちをするほどに。

 そのまま入学して最短でデビューまでこぎつけた彼女は、強すぎてデビューから4戦しか走れなかったのだから。

 出走予定を出せば回避される、登録申請を出せば取り消しが相次ぐ、当時は頭を抱えたものです。 東条さんは胃痛が酷くて胃薬ソムリエみたいになってましたし…。

 

 事情が変わったのは4戦目の朝日杯を終えた翌週。 沖野さんの担当から紹介された場所で治療を受けたマルゼンスキーさんが今まで以上に…通称である『怪物』(強者からバグ)になって帰ってきた。

 今までのレースですら国内では半年にも満たない期間で出走登録をしただけで出走回避が相次いでゲート割れ、辛うじて成立したレースでは蹂躙もかくや、という結果をたたき出し更に回避される悪循環。

 マスコミも面白がって「弱い者いじめ」扱いする始末で、私達の胃薬が増え、マルゼンスキーさんの心からの笑顔を久しく見ていない日々。

 そんな時に笑顔で帰ってきたマルゼンスキーさんが携えたそれは、「治療ついでのお節介」とばかりに差し込まれた提案は…蜘蛛の糸にも、光明にも見えました。

 

 

 マルゼンスキーさんと私の短期留学、便宜上私が専属トレーナーとして同行するそれは、彼女がレースに出れるという一点で受けるだけの価値があると私達は判断したものです。

 

 

 治療と提案に関わってるのが先生だと聞いて疑いは秒で消えたんですけどね、私の場合は。 東条さんは物凄く悩んだみたいでしたけど、話を聞いて胃薬飲んでましたし。

 まぁ、先生が手を回していた結果、あちらのトレセンでは大歓迎された上に模擬レースも頻繁に行われ、どの子も全力でマルゼンスキーさんに挑戦してきたんですよねぇ…えぇ…。

 12月で準備を済ませて、そのまま年明け前には私達はフランストレセンに短期所属として受け入れられ…連戦連勝、エクリプスの再来とまで言われてたんですよねぇ。

 フランス三冠・凱旋門賞含めて大暴れしたんですよねぇ。 大人気でしたけど、短期留学だったから帰国するとなった時も大変でした…オモイダシタクナイ程度には…。

 

 あちらの理事長のダンシングブレーヴさん、現役競争ウマ娘でありながら理事長の仕事もこなしていた彼女が先生のコネの正体だと知った時は倒れるかと思いましたが、まぁ、それはいいです。

 というか何故イギリスの英雄、しかも欧州最強とまで言われている彼女がフランスで理事長してたのかは真剣に意味がわかりませんでしたが。

 帰国した後の騒動は…えぇ、本当に疲れました。 先生は伝手を大人げなく動員して当時のURA上層部と一部マスコミと静かに塩対応でやりあいましたからねぇ…。

 結果だけ言えば、持ち込みと留学生の出走制限の緩和から撤廃までの流れがスムーズになったのは良い事だったと今でも思います。 何人のクビが飛んだのかは考えない事としますが。

 余談ではありますが、この時URA側が大慌てで制度の整備をしたのですが…地方から中央への移籍、あるいは中央から地方の移籍で度々問題になっていたクラシック登録等に代表される事前登録制度もかなり改善されることになりました。 具体的には期日以降でも条件を満たせば登録できるようになったんです。

 その結果、常識外れのアイドルウマ娘が出てきたんですが…それは、別の話。

 

 

 

 さておき。 まぁ、日本の子じゃない(おめーのゲートねー)からってレースから締め出してた子が、URAの悲願でもある凱旋門賞制覇して帰国してきたけど日本の子じゃないんで関係ないですよねって塩対応すれば、ねぇ?

 留学中も月に一度は直接マルゼンスキーさんの診察に来てくれた先生は、色々と加減も容赦も無いんだなぁってしみじみと思ったものです。 現実逃避してたとも言いますが。

 まぁ、マルゼンスキーさんが楽しそうに走れたのでヨシ!

 私達は実績を積めたし、マルゼンスキーさんはレースを思いっきり楽しめた。 フランス側は世界でも有数であろう新しいスター選手を見れたし、積極的に競った結果全体的なレベルが向上。 結果としては欧州レース界は盛大に撹拌されて様々な戦法や技術が磨かれたのだから…うん、まぁ、ねぇ? 今後、凱旋門賞に挑む後輩達のハードルは上がったかもしれませんね。

 

 

 帰国してからはまたリギル所属には戻ったものの、レースは不成立ばかりで…まぁ、マルゼンスキーさんはもう気にしてなかったみたいですけど。 ミスターシービーさんの三冠やシンボリルドルフさんの三冠は我が事のように喜び、有馬での三冠対決は羨ましそうに眺めてたり…彼女が高等部に上がるタイミングで私がチーム設立、移籍となり…アンタッチャブルみたいな扱いになったんでしたか。

 フランス側から「走らせないならウチで走らせて?」(偉大な選手に舐めた扱いしてんじゃねーぞ)ってお手紙攻勢されてたみたいですけど、こっちは知ったこっちゃないですし。 マルゼンスキーさんが普通にサブトレーナー資格取得したのは驚きましたけど、リギルの面々と並走したり、後輩の面倒をみたりで楽しそうにしてましたねぇ。

 私達が立ち上げた二人だけのチーム「フォーマルハウト」に所属する子がやってきて、何故か問題児軍団の矯正施設扱いされて…。

 

 昔を懐かしむなんて、夢のせいですかね?

 先生との出会いと、あの名作との出会いは私の人生を変えたのは間違いないと思いますけど。 其処からチームに入ってきた子に付き合って特撮やらアニメやら…色々見るようになったものです。

 気づけばウチもそれなりに大所帯になりましたよねぇ、サポート課の子まで所属してるから人数膨れ上がりましたし。

 中央の生徒総数と職員やトレーナーを含めた数がこの10年ほどで三倍近くまで膨れ上がってる、と聞けば私のような若手でもそれなりの人数を抱える必要があるのも理解できますが。

 

 それでも全然トレーナーの人数足りてませんけどね!

 

 現状は引退したトレーナーを外部協力員として非常勤教官に招いたり、トレーナー課程卒業見込みの人員を招いたりとあの手この手を尽くしているようですが、まだまだ夢を目指すウマ娘に対して手が足りてない現実があるのは…いえまぁ、人格面・能力面で基準以上でないと結果に届かないでつぶれてしまいかねない、というのもありますから難しいのでしょう。

 理事長と樫本理事長補佐、理事長秘書である駿川さんの御三方は何時も忙しそうですし…特に理事長補佐はトレーナーとしても活動してらっしゃるので、頭が下がりますね。

 

 沖野さんはサブトレーナーではなく特例非常勤トレーナー助手を迎え、東条さんはサブトレーナーを数人抱えて実習させてるとか。 私は同期の南坂さんと同じチーム持ちではありますが、私の場合はマルゼンスキーさん関係なのでちょっと違うというか…。 黒沼先輩は物凄く嫌そうにチーム結成してましたね、じっくり育てるからデビューは当分先だって愚痴ってましたけど。

 

 

 

 さて、色々と物思いに耽ってしまいましたが…ウチの子達が暴走する前に出勤しなければ。

 

 

 

 本日のスケジュールは…出走予定のレースに向けて移動、チームの方はマルゼンスキーさんが抑える手筈になってますから…大丈夫かしら…? いえ、きっと大丈夫な筈。

 一応念の為に朝のミーティングで釘さしておきましょうか。 えぇ、全然不安は無いですけど。 一応ね? 三日間くらいなら全然問題ないと信じてますけどね?

 問題児殿下御一行様とか言われ始めてるのは…まだ、何とかなりますよね…? 一応胃薬飲んでから出ますか。

 

 

 

 どうして…なんでウチの子達はああも自由なんでしょうねぇ…。 やや気難しいものの素直なホクトベガさんと可愛い可愛い妹分のミークが癒しですよ、本当に。 今期はサイレンススズカさんとライスシャワーさんの移籍編入が内定、マルゼンスキーさんが連れてきたショウセイさんがサポート課からの加入、そろそろ人数的にキツイんですけどねぇ…殿下の加入からこっち、疲れる事ばかり増えたような…。

 いえ! 弱音を吐いている場合じゃないですよね、第四部の先生も言っていたじゃないですか「もっともむずかしい事は自分を乗り越える事」と。 難しいかもしれませんが「弱音を吐く自分」を乗り越えて見せます!

 

 

 

 

 

 

 つ、疲れた…。 レースは問題なく終わったのに、学園に戻ったら理事長室に直行になるとは思ってませんでしたよ?

 殿下と理事長が学園内にラーメン屋を建てようとしたとか…え、なんで?

 詳しく聞いてみたら、殿下が湯切りの練習用に用意した屋台を引いてたら理事長に遭遇、折角なら本格的な店で等々盛り上がって実行寸前までいったと。

 おまけにチームの面々を抑える筈のマルゼンスキーさんは合宿施設の下見でいなかったのでブレーキが…フフフ、いいんですよ。 えぇ、ミークもショウセイさんも止めようとはしてくれたようですから。

 

 

 

 でもやっぱり、事実上のサブトレーナーとしてマルゼンスキーさんがいるからって、加入内定まで合わせたら15人も抱えるのは厳しいです。

 いえ、サポート組が5人だからまだいいんですけどね? 東条さんよりは全然楽だと思いますけどね? 沖野さんみたいにメジロ家に囲われてるとか噂されるような状況でもないですし?

 それでもまだ二十代前半の小娘にはきついです、先生。

 

 

 さて、愚痴は終わり! SP隊の方達も引き込んで片付けて…書類も仕上げれば、取り合えず今日は終わりです!

 

 

 手の届く範囲の夢を手助けする、頑張りますよ!




リギルはほぼ同じだけどオグリがINしてます

スピカはゴルシとテイオー、マック・ライアン・パーマー・ブライトのメジロ軍団にヘリオスという色物集団

カノープスは追加人員が後々(まだメンバー入部してない

黒沼Tはチームミモザを設立したがブルボン・バクシンオーのみ(後々誰か突っ込む



短いけど許してクレメンス

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