ヒト>ウマ>ヒト 作:ゼン◯ロブロイ
※注意、今回は色々溜まった仕事のストレスぶち込んだので酷いです。
許して?
アイアンサイト号の平凡な隠居生活
ンッンー、気分爽快。 今日も元気だ飼葉がうめぇ! 畜生、私がウマだから! まぁ畜生だもの多少はね?
おっ、今日も朝から馬房のチェックからか。 仕事熱心だねぇ相棒君は。
「今日もご機嫌だなサイト」
まぁの! 今日も朝から走ってきたからなぁ。 何キロ走ったか気にしてないが、結構広いこの牧場…牧場? まぁ、牧場を何周か駆け回ってきたから程よく身体もほぐれたってもんよ。
ところで相棒君、そのポッケに入ってる人参を私に寄越さないか? なぁええやろ? 一本だけ、な?
「とと…やっぱ解かってるか。 一本だけだぞ? 残りはウララとコハルとマゴハルの分なんだからな?」
わかってるわかってる、こちとら畜生とはいえ元人間ぞ? ちょっと足りない感あるけどそれぐらい理解するおつむは搭載してますよっ、てね。 しかしま、相棒君もすっかりツナギ姿が板についたなぁ。
初めて会った時は若々しかった君も、今では皺が目立つようになってきた。 私が言う事ではないが、君も歳をとったのだなぁ…。
それはそれとして…人参ウッマ! フルーツ程じゃないがしっかりした甘みがたまらん! くぅ、この身体になって走るのと人参とフルーツを我慢するのがツライと思うようになったのは良いのか悪いのか。
引退してから(精神的に)辛かったのはレースに出れない事と種付けだけだと言えるくらいには良い生活させてもらってるからなぁ。
ま、代わりに好き放題走れるし、懐かしい顔ぶれと年に一度とはいえレース出来るのは愉しみだし…種付け自体も嫌いじゃないというかむしろ好きだから実質問題なしだな!
出した直後の罪悪感がやべーけどな。
「ぅえっ!? な、何か思い出したのか? いきなりハイライト消すなよびっくりするから…。」
ん? お、おう。すまんすまん。 仕事で種付けに行かなくなってからは心労も減ったしヨシ! まぁ、プライベートでは誘われるとホイホイ種付けしちゃうんですがね。(大問題)
だって…だって、畜生だものウマだもの、
ふんぬうううううううううううう! もう一本、どっせい! だらっしゃあああああああああああああああ!
「まーた奇行を始めたか。」
「ですねぇ…多分筋トレみたいなもんだと思うんですけど。」
「…筋トレ?」
「えぇ、先日僕が見てたばんえい競馬の映像見て思いついたみたいですよ?」
「なぁ、鉄喜君。 彼は本当に妖怪か何かなんじゃないかな?」
「いやぁ…一応、本当に一応ですけどサラブレッドなのはJRAのお墨付きですから。」
「そうか…私は警備部詰め所に戻るから、用事があれば気軽に連絡してくれ。」
「アッ、ハイ。」
ぬはははは! なんか楽しくなってきたぞぉ! そぉれもう一本だぁ!
「あ~ぁ…程々にしとけよサイトー。」
今日は目が覚めるとソリが用意されていた。 なんか、警備のおっちゃん達が気合入れてソリに丸太詰んでるな…もしかしてこれは、私の
イィヤッホオオオオオオオィ! 相棒君! はよ! はよ着けて! そのソリを私に引かせるんだ! はよ! はよ!
「うぉ、おち、おちつ、落ち着け! 袖を加えて振り回すな! わかったから放せ!」
うんうん、私のサイズに多分特注で作ってくれたであろう
もういいか? もう走っていいか? いいよな? 走るぞ? ひゃあ我慢できねぇ! うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!
「うわぁ…本物のばんえい競馬に比べたら軽いっつっても、丸太積んだソリ引っ張って上機嫌で走ってる…。 250キロ近い重量を人間の小走りくらいで…しみじみ化け物みたいなスペックだな、僕の相棒は…。」
この負担、キツさ、いいじゃないか! 老いたとはいえこのアイアンサイト、散々妖怪呼ばわりされたのは伊達ではないのだぁ! いずれは本場並みの重量をばんえい馬レベルの速度で引き回したいものだな!
やはり運動は良い! 性欲の発散には程よいトレーニングは適当な選択肢だと言えるだろう。 おっと、危ない危ない…柵にひっかけたら壊れるからな。 それに思い切り動いた後の岩塩や水、飼葉は実に美味いのだ。
これぐらい動き回ると現役を思い出すなぁ…やっぱ、またレース走りたいなぁ…。 いや、流石に引退したから無理なのはわかってるがね?
年に一度のレースは一日中走り回っていいから楽しいんだよなぁ。 毎週走るのも良かったんだが、体力の続く限り走るのも楽しいんだよ。
因みにこれは昔馴染みやレースに参加する奴らに言うとドン引きされる。 された。 唯一ディープインパクト君だけは走るのもレースも楽しいよね! って返してくれた良い子だったなぁ。 すんごい良い子だったから牝馬だったなら種付けしたかもしれんな! はっはっは!
ふむ、今日は馬運車が来たという事は…そうか。 もうそんな時期か。
ファインモーションの牧場へ遊びに行くんだな? そうなんだろ? なんだよもー、相棒君。 最近ソリ引き回してばっかりだったからちょっと洗ってくれないかね?
ほれ、このホースを持つのだ。 はよ。 はよはよ。 ファインモーションに会うんならちゃんとカッコつけたいじゃないか、わかるだろ? だから洗って。 洗え。
「流石、嫁さんの所にいくのはしっかり理解してるんだなオマエ…って、つつくな! わかった! ちゃんとピカピカに洗ってブラッシングまでするから! 馬着も用意してるから!」
うんうん、物分かりの良い相棒で嬉しいよ。
なんだかんだ、馬運車に乗るのも運ばれるのも慣れたものだ。 そうは思わないか相棒君? お互いにさ。
年に一度のイベント、というのが私にはいくつかある。
その中でも特に楽しみなのが彼女に会いに行く事と、レースだ。 まぁ、昔馴染みに会える機会でもあるから楽しみにしているともいうな。
…私達サラブレッドの寿命を考えれば、何度会えるかわからないからな。 私とて人間に換算すれば老齢の域にある。 サイレンススズカも、ライスシャワーも随分と年相応になっていた。
遠からず、彼らを見送る側になる…と思う。 何となくだが、彼らはそろそろだろうと感じるからだ。
いかんな、歳と取ると感傷的になりやすいのは…人もウマも変わらないのかねぇ? 比較対象が少ないからな、よくわからないが。
或いは…ナイスネイチャやウイニングチケット辺りに問えば、答えてもらえるのかな?
馬運車の中で暇すぎたのでウトウトしていたら目的地に着いたようだ。
真面目な相棒君は、比較的こまめに私の様子を見る。 一応、私とて生身の生き物なのだ。 トラブルがあった場合はいち早く気づく必要がある。 それもあって、彼は何時もよりも幾分慎重に私の様子を見るようにしているようだ。
まぁ、現役の頃から今に至るまで一度たりとも体調を崩す事はないのだがな! 何しろ健康かつ頑丈なのでね。
相棒君が向こうの牧場関係者に挨拶しているようだな。 聞こえてくる声音から今回も問題なさそうで何よりかね。
「あー…サイト、あけるぞー。」
おっ、ゲートを開けてくれるか。 いやはや、現役時代から慣れ親しんだ馬運車とはいえ…やはり狭い場所よりは広い場所だな。 こういう所もウマになってから変わったところかもしれんな。
さて、それではファインモーションの馬房へ…いや、今の時間なら放牧地かな? ともあれ、会いに行くとしようか相棒君。 一応よそ様だから私が柵を開け閉めするのも飛び越えるのもまずかろう。 さぁ、頼んだぞ相棒君!
「はぁ…お前、ここに来ると露骨にテンション違うよな? 気持ちはわかるけど、人をドアボーイ代わりにしないでくれよ。 仕方ないけどさぁ。」
はっはっは、些細な事を気にするな、禿げるぞ相棒君。 おっ、あそこに見えるのはファインモーションと子供達か。 って…お、おいファインモーション? 何故そんなに耳を絞ってるのかな?
いやいや、久しぶりじゃないか。 元気そうでとても嬉しいよ? だから何故耳を絞ってまえかきしてるのか教えてくれるかな?
えっ? 牝馬の匂いがする? 馬鹿な、相棒君に丁寧に洗わせたからウララ達の匂いが残っているはずガァッ!?
「おー、噛まれてますねぇ」
「あぁ、やっぱり噛まれてますねぇ」
「やっぱりというと? そちらに牝馬も繫養しているので?」
「えぇまぁ、ハルウララとその娘と孫娘がいましてねぇ…多分、その残り香に気づいたんでしょ。」
「…わかるもんなんですね。」
「…人でもウマでも、女は怖いって事ですかね。」
ちょっ、相棒君!? そんな、生温い目で見てないで私を助けアーッ!
「おー、娘達まで集まりましたね。」
「モッチャモッチャ噛まれてますね。」
「ま、いつも通りという事で…今回ものんびりしていってください。」
「お言葉に甘えて、サイト共々お世話になります。」
相棒君? 相棒君!? そろそろ助けて!? ちょっ、鬣モッチャモッチャしすぎぃ! それはもうグルーミングのレベルじゃないんよ! ンアーッ!
…うん、落ち着いたみたいだね。 そうか、自分達の匂いを念入りに刷り込んだから満足したと。 そっかぁ…そっかぁ……。
結局、相棒君や此方の厩務員達は助けてくれなかったが、満足したファインモーションと娘達は穏やかに寄り添うまで落ち着いた…落ち着いたんだよ? うん、落ち着いては居るんだ。
私が落ち着いているとは言ってないがな!
だって仕方ないだろ? 娘達は兎も角としてもだ、おてんばだが美人さんな嫁さん(個人の感想です)がピッタリ寄り添ってるんだぞ?
こちとらまだまだ枯れてないんだ、反応ぐらいするわ! いや、気合で抑え込んでるけども!
流石にウマになったとて、人間だった頃の倫理観が消え去った訳じゃないんでな、娘の前で盛るとか無いわ。 それ以上に此方の牧場関係者に迷惑かけちゃいかんでしょ…。(他所の牧場で牝馬に誘われてホイホイ種付けしちゃう奴のセリフです)
こんな時は…走るに限る! 逃げるともいうな!
くっ、追ってきてるのが分かるから全力疾走出来ない…! ヘタすると怪我に繋がっちゃうからな…程々に走るか。
でもまぁ、うん。 走ってるうちに落ち着いてきたな。 こんな時はウマの身体サマサマってところかねぇ。 ところでファインモーション? 君さらっと私の隣にピッタリつけてるけども、別段調教というかトレーニングしてない筈だよね? 私はこれでも自主トレを欠かしてないんだが? 幾らか加減してるとは言え現役から10年以上遠ざかった君が追い付けると流石にショックがね?
…あぁ、流石に少々無理をしてたのか、もう息が上がってしまっているね。 うん、私も落ち着いたからそろそろゆっくり戻ろうか? ま、暫くは此方でお世話になるんだ…ゆっくり過ごそうじゃないか。
穏やかな一週間だったなぁ。 私も走り回るくらいしか出来なかったとはいえ、ファインモーションや娘達とのんびりできたのは良かったと言える。 だから娘達に色目を使ってた小僧共を威嚇したのはセーフだよね?
あ、ダメっすか。 うん、過保護というか、偶にしか会えないから大げさすぎると言われればそうだねと認めざるを得ない。 わかっていても止まれんのが私なんだが…うん、そんなにジト目で見ないでくれファインモーション。 もうしないから。
だがほら、私の威嚇にも負けずに娘達にすり寄った多少は見所のある小僧も見つかったんだからいいじゃないか。 あ、種付けにはそういうの関わらないからダメですか、そうですか。 というか、君その辺きちんと理解してる上に割り切れてるんだな。
や、君は子煩悩だと聞いていたからね。 息子達には少々厳しかったとも聞いていたが…娘達には割と甘かったとも聞いていたんだ。
あぁ…成程、牧場の人間の反応からある程度理解していたと。 君も大概賢いな。 ところでだな、ファインモーション。
そろそろ私の馬着を離してくれると助かるんだが?
いやね? 私も好き好んで君と離れ離れになってるわけじゃないのは理解してるだろ? うん、理解してるけど納得してないのね、そっかー。
毎回このやり取りやってるから相棒君も牧場の人達も物凄く生暖かい眼差しでこっち見てるじゃないか…な? うん、必ずまた来るから。
よしよし、良い子だ。 次に会いに来るまで綺麗で元気な君のままでいておくれ。 では、またな。
「お、イチャイチャ終わりみたいですね。」
「ですねぇ、ウチの新人達が思わず真顔になってましたし。」
「あー…普段のファインモーションとは大分違うみたいですし?」
「未だにウチの序列最上位ですからね、やんちゃはしなくなりましたし、良い母親してるのしか知らんですからなぁ。」
「つまり、サイトがいるからはっちゃけてると…。」
「いやぁ…来なくなったら多分大暴れするか体調を崩すと思うんで、来てくれるのは本当にありがたいんですよ。」
「ですか。 ウチもサイトが露骨に態度に出してくるんで助かってますよ。」
「またお願いしますよ、お互い健康に再会させるのが私達の楽しみでもあるんですからね。」
「ですね、それじゃあそろそろ…また来年もよろしくお願いします。」
「こちらこそ、気を付けてお帰りください。」
さて、帰ろうか相棒君。 我々の帰るべき場所へ。
前回のあとがきで次は掲示板と言っていたな…?
すまん、ありゃ嘘になった。
年内は多分もう更新無いんで許して…。
次の掲示板は…
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競走馬じゃろ
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ウマ娘さね
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トレセン学園やな
-
ジョッキー回ですぞ