ヒト>ウマ>ヒト   作:ゼン◯ロブロイ

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雑なあらすじ

年末始で半ば共有財産状態になった我らが妖怪…もといサイト君
一先ず順番にアプローチをかけて行く事が蚊帳の外で決定し、ラモーヌさんとのデートだ!
外付け鋼の意思ことオトモダチ(■■■■■■■■■)にたっぷりと(夢の中で色々と)吸われて準備万端だ!

がっ、ダメ!
アッサリと揺さぶられて既にピンチだぞサイト君、オマエ元々おさかんだったもんな…
負けん気>闘争心>ギアシフト>確かな足取り>優位形成されてるぞサイト君…(ありったけが無いだけ有情)
そんなこんなで午後編へ突入

短いけど許してクレメンス


これにはラモーヌさんもにっこり

 

 喫茶店を出て、再び二人で歩き出す。

 風は冷たいけれど、寄り添い、絡め、繋いだ今は気にならない。 隣の彼の温もりが、頭一つ程上から注がれる視線が、耳朶に届く息遣いが私を昂らせる。

 むしろ風の冷たさに感謝しても良いかもしれない。 私の頬の熱さをするりと拭い去ってくれるのだから…。 彼が導くに任せて歩いた先には、広々とした公園があった。 大回りのランニングコースに芝生広場、脚をつける事も出来る噴水もある。 夏場はきっと親子連れで騒がしい事だろう。

 年明け早々の、寒空の下であるにも関わらず…走り回る子供達と、見守る保護者がそれなりに目に映る。 歳の頃も同じくらいのウマ娘も駆けているのを見て、エッジがここに居たら走り回っているだろうか、と考えたが…あの子は、どちらかと言えば資料館の刀剣コーナーに張り付いてるだろうな、と思い直す。

 縁あって何度か面倒を見た事があったから知っている。 えぇ、数時間張り付いて動かなくなったあの子にアルダンと私の二人掛かりで何とか動かしたのよね…。 何故かはわからないけれど、あの子の刀剣好きというか、刃物好きは病的一歩手前だから…まさか走るよりも優先するなんてね。

 彼と出会ったらどうなるかわからないけれど…()()()()()()()()()がある。 近いうちに出会いの場をセッティングするのも良いかもしれない、そこまで考えて視線に気づく。

 どうやら私は随分と思索に耽っていたいたようね、子供を目にして動きが止まってしまっていたようね。 で、()()()()()()()? その、私の頬に向かって伸ばされた人差し指は何かしら?

 あら、冷や汗かしら? 別に、私は怒っていないのだけれど? ほら、その伸ばした指はどうするのかしら? ねぇ?

 

 

 「や、柔らかそうだったのでつい…」

 

 

 へぇ…頬よりももっと柔らかい場所もあるのだけれど、其処には手を伸ばさないのかしら? それと、別に指は戻さなくてもよろしくてよ。 貴方が私に触れる事そのものは私も……いいえ、やはりなんでもないわ。

 

 

 

 

 

 …まったく、随分と手慣れた真似をするのね? けれど、私の頬に手を添えたなら額ではなく唇になさいな。 私と貴方ならばその方が自然ではなくて?

 

 

 「いやあの、流石に子供の眼がある場所なんでね?」

 

 

 あら、そういう割には他人の眼を遮るように私を抱き寄せてからの口付けだったじゃない。 それとも…我慢が効かなくなるから、かしら?

 答えなくてもいいのよ、外套に隔てられても届く貴方の鼓動が雄弁に語っているもの。

 

 

 「そういうラモーヌさんだって、私に負けないくらいの早鐘が鳴ってるようだね」

 

 

 随分と意地悪になったのね、貴方。 そういう事は気づかぬふりをしなさい。 それと、何時まで抱きしめているつもり?押し倒すわよ。

 ふぅん…随分と大人しく離れるの…ちょっ、何で私を抱き上げ…あ、あの、流石の私も少々恥ずかしいのだけれど? ねぇ? ちょっと?

 

 

 「ちゃんと捕まってね、少し予定変更するからさ。」

 

 

 彼の囁き声に急に顔に熱が宿る。 いけない、こんな私を誰かに見せたくない。 だから、これは仕方ないのだ。 これは緊急避難だから仕方ないのだ。

 誰に聞かせるでもない言い訳が脳裏を駆けるが、それは私が彼の胸に顔を伏せるのとどちらが早かっただろうか。 それはそれとして、子供の眼云々言ってた彼がこんな真似をするとは想定外ね。 前も今も面白い子なんだから…。

 心地よい揺れと彼の心音にほんの少しだけ、えぇ、本当に僅かな時間でしょうけれども惚けていたら、()()()()()()()()()()()()だった。 ばぁやに案内されて来たらしいが、記憶に無いので完全に惚けていたようね。

 

 

 

 「ラモーヌさんも可愛がっているツインターボのインタビューがそろそろ流れるんだ、見るだろう?」

 

 

 

 私を抱き上げたままソファに腰かけた彼は、硝子細工を扱うように慎重な手つきで私を膝の上に載せてからそんな事を言う。 確かにあの子の事は邪険に扱った覚えはないけれど、特段可愛がった覚えもないのだけれど? 私の耳と尻尾の動きからそれを読み取ったであろう彼が苦笑いを浮かべた気がする。 …まぁ、有馬記念前に並走に付き合ったのもあるから、見るのも吝かではないわ。

 ゆっくりと私の腰に腕を回し、僅かに抱き寄せる動きをする彼にゆっくりと身を預けて気づく。 今日はコートを着ていたのに今は着ていない事に。 まさか、とも、間違いないとも思いながら僅かに視線を横に滑らせれば、私のコートを抱えてメイドに指示をするばぁやが目に入る。 普段から柔和な表情のばぁやだが、普段以上に満面の笑みである事が雰囲気でわかる。 これはきっと、揶揄われるのでしょうね…。

 テキパキとモニターの用意がなされ、リモコンを彼に渡すと粛々と退室していくメイド達とばぁやを見送ると、何となく腹が立ったので彼の左手を持ち上げて軽く噛んでおく。 大きいが太いという感じは余りない彼の手は、今の彼の肉体で気に入っている部分でもあるので痛くない程度に気を使ってあげよう。

 薄っすらと私の噛み痕が付いた事で満足して解放すると、今度は私の左手が掴まれた。 仕返しか、と考えれば薬指に彼の唇が落とされ、思わず掴まれていた左手を見つめてしまう。 …いやだ、今日の私は随分と心乱されてばかりね。 それが嬉しいのが一番の困り事かしら…?

 

 

 

 

 

 

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 それでは本日のゲストのお二人、ナリタブライアンさんとツインターボさんが激突した有馬記念の映像をご覧いただきましょう。

 

 

 『年末の中山に15万人近いファンがつめかけております、昨年はトウカイテイオー奇跡の復活の舞台となった有馬記念。 間もなく出走です。』

 【今年は新たな三冠バナリタブライアンがクラシックの勢いそのままに殴りこんできましたからね、姉妹対決こそ実現なりませんでしたが…あくまで噂ですが、菊花賞後に医師の治療を受けた、という話もありましたが杞憂だったようですね。】

 『さぁ、今年最後のG1のファンファーレが鳴り響き、各ウマ娘がゲートインしていきます』

 

 『間違いなく大逃げを打つであろうツインターボが、メジロパーマーの再来となるか? それとも三冠バがその強さを見せつけるのか、或いは犇めくG1バが勝利するのか…今、ゲートが開きました!』

 『シャドーロールの怪物ナリタブライアン、ぐんぐんと加速してハナを取るかと思われましたが、そうはさせじとツインターボがエンジン全開で駆けていく! やはり大逃げで勝負のようです!』

 

 『先頭はツインターボ、少し離れてネーハイシーザー、ナリタブライアンは5・6番手辺りで控えているようです。 一周目正面スタンド前で…既に10バ身以上の差をつけて駆けるツインターボ。 今日のターボエンジンは快調なのか?』

 『後続はネーハイシーザー、内にアイルトンシンボリ外にチョウカイキャロル、更にその外にナリタブライアン。 サクラチトセオーとライスシャワーはナリタブライアンをマークしているのか控えていますね。』

 『ベテランナイスネイチャ、女傑ヒシアマゾン、更に外からマチカネタンホイザと続きます。』

 【ライスシャワー、菊花賞ウマ娘であり生粋のステイヤー。 私の一推しです。 頑張って欲しいですね。】

 『…少し離れてヤシマソブリン、マチカネアレグロ、ムッシュシェクル、ダンシングサーパスという隊形となっています。』

 『早くもツインターボは向こう正面に入るか、リードはおおよそ15バ身程か。 最初の千メートルのタイムは…56秒9!? 尋常ではないハイペースですが、これは持たないでしょう! 後続にはネーハイシーザー、早仕掛けかナリタブライアン三番手、続いてチョウカイキャロル、その内アイルトンシンボリ外からライスシャワーがぐんぐんと前に迫っていく!』

 【掛かってしまっているのかもしれません、冷静にレース運びが出来ればよいのですが。】

 『サクラチトセオー、ヒシアマゾンも上がってくる、続くヤシマソブリン、ナイスネイチャ、少し離れてマチカネタンホイザ、マチカネアレグロ、ムッシュシェクル、シンガリはダンシングサーパスとなっています。』

 

 『ツインターボはまだリードを保っているが、もう壊滅してしまったのか…もはやリードは保てないか! ぐんぐんぐんぐん後続が伸びてくる!第四コーナー手前でツインターボをナリタブライアンがかわ…かわせない!? ツインターボが再加速した! 再び二バ身三バ身と差が開いていく!』

 『もう直線だ! 残り310メートル! 雄叫びを上げながらじりじり迫るシャドーロール、女傑ヒシアマゾンと刺客ライスシャワーも外から飛び込んでくる! 残り200! ナリタブライアン後続を振り切ってツインターボを捉えるか! 捉えられるのか!?』

 【残り100を切った、逃げ切るかツインターボ! 逃げ切れツインターボ! 三着争いはライスシャワーがヒシアマゾンを躱して前に出た!】

 『譲らない! 最後の力を振り絞るように吠えながら駆ける! どっちだ!? ツインターボとナリタブライアン、完全に重なってゴール板を駆け抜けて…あーっと、ツインターボが力尽きて倒れた!? 咄嗟にナリタブライアンが襟首を掴んで持ち上げたようですが…ぐったりしてますね、大丈夫でしょうか?』

 【あれ、クビ締まってるんじゃないですかね…? 審議のランプが灯りました、三着ライスシャワー、四着ヒシアマゾン、五着マチカネタンホイザが確定しましたが、一着二着は審議が終わり次第お伝えします。】

 

 

 

 

 いやぁ…前評判ではナリタブライアンさん一強で二着は誰になるか、なんて言われていたレースでしたが、終わってみればレコード決着と、素晴らしい内容のレースでしたね。

 三〇分以上の審議の末、同着勝利の裁定で観客席から盛大な拍手が鳴り響いたのも感動的でしたねぇ。 ところで解説も言ってましたけど、ツインターボさんのクビしまってたんですか?

 

 「うん! キュウってなってびっくりしたんだぞ!」

 「…アレはちゃんと謝っただろう。 それに、あのまま転ぶよりは良かっただろう?」

 

 

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 彼の手からリモコンを奪い取り、モニターの電源を落とす。 彼女達のレースで滾る身体から熱を逃がしたいのか、留めたいのか…。 はしたなくもリモコンを放り出し、彼の膝の上で向きを変えて胸板に顔を埋める理由がどちらなのだろうという考えが過るが…考えるのは後回しにして、今はしっかりと抱きしめていよう。

 驚いただけかはわからないけれど、一際おおきく高鳴った鼓動を感じて頬が緩む。 今は構わないだろう、見られはしないだろうし、見られても構わない相手なのだから。

 暫くは私の為すがままだった彼は、驚きから立ち直ったようだが無言のままだ。 不用意に詮索しないのは及第点、なんて思っていたら、柔らかく抱きしめるようにして、ポンポンと背中を叩きつつ私の頭を撫でる。

 

 まるで子供を寝かしつけるような真似をする、と感じる私と、緩やかに熱を落ち着かせてくれている、と感心している私が居る。 忙しなく動いている耳と尻尾は…まぁ、仕方ないわよ、ね?

 ゆっくりと滾っていた熱が、全身に流れるようにして落ち着いていく。 安心感や居心地の良さを感じているのも大きいのかもしれないが、段々と意識が落ちていく。 これは、寝かしつけられてしまうけれど…心地よさに抗う気もしないから、悪いのは彼ね。

 

 もっと、色々と話したい事もあったのに。

 まぁ、機会はまた巡ってくる。 今日の所は大人しく眠るとしよう。

 

 

 『やぁやぁ、ここは夢の中。 アンタの夢だから好きに過ごしな。 アイツの相手は今日の所は譲ってやるからさ。』

 あら、随分と愉快な夢ね? 貴女、彼にへばりついていた子でしょう? それに、譲られる謂れはないわね。 私が彼のモノなんだから、彼が選ぶ側なの。

 『…へぇ、特別ですってツラだなおい。 ま、いいさ。 お互いアイツに焦がれてるんだ、仲良くしようや。』

 貴女も彼の特別だって表情ね、それにその野生を隠しもしない雰囲気…素敵よ。 なかよくしましょう。 差し当たってはこの夢では二人掛かりで、如何?

 『乗った! 話せるねぇ、オジョウサマ?』

 貴女もね、幽霊さん?

 

 スッキリとした目覚めだが、隣に彼が居ない事に少しばかり寂しさを感じてしまう。 着替えは…ばぁやの仕事でしょうね。 今から次の機会が愉しみ…そうね、次はエッジに会わせても面白いかしらね?

 貴方は憶えているかしら、幼い日に私たちが出会っていた事を。

 貴方は知っているかしら、その時の出会いからレースを愛するようになった事を。

 貴方は理解っているかしら、レースに注ぐ愛が貴方への愛だという事を。

 

 勿論、今はレースはレースとして愛しているけれど、幼き日から焦がれ続けた貴方。 運命でも宿命でも奇跡でもない、きっと私達にとっての必然の出会い。

 此方で知ったのだけれど、メジロの女は一途で、愛した相手を逃がさないらしいわよ?

 私、今は賑やかなのも嫌いじゃないの。 だから、あまり待たせないでね、アイアンサイト。




 ラモーヌさんに消されたインタビューの続き

 カッコ付けないインタビュアー
 「」付けるなりぶー
 『』付けたらたぼぼ




 お二人とも仲が宜しいのですねぇ。 ところでナリタブライアンさん、何故ツインターボさんを膝の上に載せておられるので?

 「…? あぁ、すまん。 クセみたいなものだ。」
 『ブライアンはターボにサラダ食べさせてくれたりするんだぞ!』

 な、なるほど。
 ええと…有馬記念ではマイルや中距離並のハイペースで大逃げを打ちましたが、再加速出来たのは一体どういうからくりで?

 『えっとなー、最初から全開でバーッて行ってグっってやってドーンだぞ!』
 「カンペを預かってるから読むぞ、体質的なモノが大きいが、やらせた事はシンプルに息を入れさせただけ、だそうだ。」

 それはつまり、上手く息を入れる事が出来た時はあの走りができると?

 「いや、無理だろうな。 ターボは加減が出来ない。 実際有馬でも最後は力尽きていただろう?」
 『いつだって全開で走っていいってトレーナーは言ってたもん!』
 「そうだな、オマエはそれでいい。 次は私が勝つ。」
 『ターボだって負けない! 絶対かーつ!』

 ハハハ…それではCMどうぞー。




尚、このインタビューを見た保護者一同はガタッとなったそうです。

因みにパドック終わりにターボ、ブライアン、マチタン、ネイチャ、アマさんで仮〇ライダー電〇のイマジン名乗りごっこをポーズ再現完璧で披露していたそうな。

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