ヒト>ウマ>ヒト 作:ゼン◯ロブロイ
ここのサイレンススズカさんは何か…違う…
いかん、キャラの把握が甘すぎたか
妖怪の好き嫌いハッキリ出てて震える
逃亡しますね
ライスシャワーさん…?呼び捨てで良い?
えっと、ライスシャワー?え、ライスで良い?
わかったわ、ライス。そう呼ばせて貰うわね?私の事もスズカでいいわ。私と兄さんの話を聞いてちょうだい。
兄さんとの出会いは小学生時代、私が迷子になっていた時に助けられたのが最初。当時の私は誰かと競うことよりも、ただただ走ることが好きだったの。その日も何時ものように走り出したわ。学校から帰って直ぐに飛び出してたから…今思えばやんちゃだった、のかしら…?
それで、その日は何時もよりも走りたくて、走ったことのない道を走ったの。そしたら、その、見たことのない場所に出る訳で、ね?
知らない場所で、何処に向かって走れば良いのかも解らなくなって、不安で、怖くて、心細くなって…そんな時、兄さんが声を掛けてくれたの。
「どうしたの、困ってるの?」
って。不思議なんだけど、見た瞬間にこの人は信じていいって思えて、素直に迷子なんですって答えたのよね…何でだったのかしら…?
あ、話がズレたわね、えっと…お互いに自己紹介して。
「私は鉄再人、まぁ、好きに呼んでくれていいよ。君の事は何と…うん、スズカ、だね。わかった。誰かと一緒に来てはぐれたのかな?」
って聞かれて、素直に走るのが楽しくて走り続けていたら迷子になりましたって伝えたら、ぽかんとした表情になってたのは、なんだかおかしかったなぁ。
それから兄さんは少し考えてる風だったんだけど、なんだか胸がソワソワ?うん、ソワソワして、落ち着かなくて、気づいたら兄さんを中心にグルグル歩いてたのよね。目は兄さんに吸い寄せられたみたいに離せなくて、でも少しも嫌じゃなくて…。
ぐるぐる回ってる私に少し驚きながら、少しかがんで目線を合わせながら優しい声で。
「私もこの辺は不案内でね、引っ越してきたばかりなんだ。だから、交番を探そうか?」
そう優しく言って。差し出された手に、なんだか嬉しくなりながら握り返したのを今でも思い出すわ。それから、私が走り出さないように気をつかってくれながら、一緒に交番を探して歩き回ったの。そんなに時間はかからなかったと思うけど、あんまり自信はないかな。兄さんと手を繋いで歩くのが、とても楽しくて嬉しくて、なんだか初めてなのに懐かしくて…もっと、ずっと手を繋いでいたかったくらいだもの。最後は一緒に駆け出しちゃったのも、楽しくて仕方なかったからだから…大丈夫よ、ね?
交番に付いたら、兄さんがお巡りさんに事情を説明してくれて、子供のウマ娘で名前がわかってれば、案外調べるのには困らなかったみたいで、直ぐに住所まで調べてくれたわ。でも、その、当時の兄さんよりももっと大きな、大人の男性って怖くって…思わず兄さんの後ろに隠れちゃったら、お巡りさんが何か考えて、メモ帳に地図を書いて兄さんに手渡したの。今考えてみれば、兄さんが家まで送る理由なんてないし、普通に考えればお巡りさんに後を任せて帰ってしまっても仕方なかったのよね…。
兄さんはちょっとだけ困った顔をして地図を受け取ると、しゃがんで私に眼を合わせて、一緒にお家までいこうか、って。私は嬉しくて嬉しくて、なんで嬉しいのかもわからないままに、胸の中の嬉しいに突き動かされて兄さんの手を引いて歩きだしたのよね…ちょこちょこそっちじゃないよって言われながら。でも仕方ないじゃない?私、迷子だったのよ?その時はそんなの忘れてて兄さんと一緒って機嫌よく歩いてたけど、今考えるとちょっと恥ずかしいかな。
兄さんの手の暖かさと、兄さんから漂う仄かな汗と男のヒトの匂いにドキドキしながら歩いていたら、あっという間に知ってる場所まで戻ってきて、兄さんの手を握ったまま家の門まで駆け出しそうになるのを我慢しながら歩いたけど、兄さんには御見通しだったのか、軽くだけど走ってくれたのは嬉しかったなぁ。私が走りたいのをわかって走ってくれてるんだ、って。
兄さんがインターホンを押そうとした時に、丁度お父さんとお母さんが帰ってきて、少し驚いてたかな。まぁ、ほんのちょっぴり人見知り気味だったような気がする当時の私が、明らかに年上の見ず知らずの人にくっついて手も繋いでたら、驚く、かも。お父さんは何故か外した眼鏡を握りつぶしてたけど…アレは何だったのかしら?
『少年…君は娘の何だね?正直に言ってくれたまえ。でないと私は冷静でいられないかもしれないからね。』
「迷子になっていたお嬢さんを送ってきた唯の通行人です。」
『疑ってすまない!それと娘が迷惑をかけたようで、重ねてすまない!』
「あの、もしかして今回みたいな事って…?」
『あぁ…いや、元気なのはいいんだがね、その、走るのが好き過ぎて…心配が尽きないのだよ…』
お父さんと兄さんが何か小声で話してたと思ったら、何だか仲良し?になってたのは不思議だったかな。お母さんは『男のヒトには色々あるのよ?』って笑いながら言ってたんだけど…
お父さんとお母さんが、夕食でも一緒にどうかな、って誘ってくれたのが嬉しくって、耳と尻尾が忙しなく動いてたのを見て、お父さんは『随分気に入ったようだね』って言いだして、私もうっかりお兄さんが出来たみたいで嬉しいって答えちゃって…。
二人して私をからかいだすんだから酷いと思わない?まぁ、とても良い両親だし、感謝もしてるし、大好きな人達なんだけど…なんていうか、愛情表現が過激になりがちというか、まぁ、変わった人たちだから。あっ、でも少し暴走しがちなのは多分、私が走り続ける事の大本なんじゃないかしら。ほら、遺伝っていうか、あるじゃない?
『鉄少年、君は善良な人物なようだが、娘をどう見るかね?』
「どう、とは?」
『あー…そうだね、直截に言うなら、迷子になるまで走ってしまう癖は治せると思うかね?』
「難しいとおもいますよ。結局の所は本能に根差す衝動があると思いますから。もう少し年齢を重ねれば理性の配分も増えるでしょうけど。」
『そうかぁ…なぁ、鉄少年、もしよければ、で良いんだが、娘を見てやってくれないか?』
「あの、両親に紹介されたアルバイトがあるんですが。」
『それでも、頼めないか?娘があれだけ懐くのは初めてなんだ。君が見ていてくれれば私達も安心出来ると思うんだよ。』
「あー…バイト先、喫茶店なんですよね。そこにお客さんとして来る分には邪険にはしませんよ。そこで約束すれば、休日に遊ぶこともあるんじゃないですかね?」
『はっはっは、やはり君は善良だね、それで構わないさ。じゃあ、それを君から告げてあげてくれないかな?その方が喜ぶだろうしね。』
「そういうもんですかね?よくわからないんですけど…」
『そういうものさ、じゃあ頼んだよ(おおっと、所謂鈍感という手合いか…)』
兄さんが帰っちゃう、もう会えないのかなって考えてたら、兄さんに「普段は喫茶店でバイトしてるから、学校が終わったら遊びに来るかい?」って言われて、行く!って即答しちゃったのは…はしたなかったかしら?耳も尻尾もせわしなく動いてたと思うし。それから兄さんが帰る前に地図を書いてくれて、場所もわかりやすかったから、明日も会えますね!って言っちゃった。
翌日からは、学校が終わったら真っ直ぐ兄さんが働いてる喫茶店に駆け込んでたなぁ。兄さんは、一度帰ってからにしなさい、って言われたけど…でも、ちょっとでも早く兄さんの所に行きたかったから、仕方ないと思わない?
喫茶店の店長さんは丸眼鏡の似合う髭のおじさまで、私が駆け込んでも嫌な顔一つしたことのない人。むしろ私を可愛がってくれた人で、おじいちゃんみたいな人。ニコニコしてる顔以外を私は見たことが無いのは、少し不思議な感じもしたけど、私は挨拶をしたらすぐに兄さんの所へ行って、こんにちは兄さんって元気に挨拶してたのよね。今みたいに静かな感じになったのは割と最近だもの。
兄さんはニコリと笑って、私にココアを出してくれて。偶にクッキーなんかも焼いてくれて、嬉しかったなぁ。でも、ケーキ作りは何度か失敗してたのは、少し可笑しかったかな。結構美味しかったのに、不満そうで、まだマスターには及ばないなぁ、って。
そんな事が日常になって、毎日が楽しくて、偶に兄さんと一緒に走りに行ったりして…そんな毎日。そんな日々が何か月か続いて、夏休みには兄さんと一緒に海に行ったり、キャンプに行ったり…。お祭りに一緒に行ってもらった時に、屋台で取ってもらったカチューシャは今でも大事にしてるのよ?
兄さんに貰って、嬉しくて毎日弄ってたら、一度壊れちゃって…兄さんに怒られる…ううん、嫌われちゃうんじゃないか、って不安になって、喫茶店にも行かなくなって…。一週間も兄さんに会ってなかったら、兄さんが家に訪ねてきて。
「どうしたの?何かあったの?それとも嫌な事でもしちゃったかな?」
って、少し困った顔で兄さんが言うから、私は泣きながら兄さんは悪くないの、って。ポッキリ折れてしまったカチューシャを兄さんに見せながら、壊しちゃったの、ごめんなさいって。そしたら兄さんが優しく頭に手を乗せてくれて。
「これなら直せるから、預かってもいいかな?」
って、怒らないで、優しく頭を撫でながらそう言ってくれて…。兄さんに抱き着いて、お願いしますって…泣きながらだったから、ちゃんと言えたかわからないんだけど。
「うん、任せて。だから、明日お店においで。」
兄さんがそう言いながら抱き返して、背中をぽんぽんしてくれて。…気づいたら寝ちゃってたのよね。
『なぁ、鉄少年。娘とは付き合ってるとかは無いのだよな?』
「いや、小学生相手にそういうのは無いです。(真顔」
『う、うむ。だが娘は大層君を気に入っている…というか、惚れ込んでいるように見えるのだよ、親の眼からはね。』
「気のせいじゃないですか?いくら何でも小学生ですよ?」
『鉄少年、女はな、何歳でも女なんだよ。…女、なんだよ。』
「そういうものですか…?」
『君にもわかる時が来る。間違いなく。そしてその時は手遅れになっていない事を祈るよ。』
「不安になる事言わないでくださいよ…じゃあ、私はこれで。コレ、ちゃちゃっと直しますんで。」
『うん、よろしく頼むよ。また、何時でもきたまえ。私も君の事を気に入っているんだからな?』
「ハハハ…まぁ、機会があれば、ですね。」
翌日、私は不安半分、期待半分で一度家に帰ってから、喫茶店に向かったわ。途中から走ってしまったのは、落ち着かないのもあったと思う。一週間ぶりだったけど、店長さんは何時も通りにこにこしながら、いらっしゃい、って出迎えてくれて、アイツなら奥に居るよってカウンターの奥に通してくれて、ありがとうございます、って伝えながら駆け出したら、丁度奥から出て来た兄さんにぶつかっちゃったのよね。わぷっ、とか言いながら兄さんのおなかにぶつかっちゃって、つい匂いも嗅いじゃったりして…あっ、何時もやってたとかじゃないのよ?偶に、ほんとに偶に兄さんの上着に潜り込んで匂いを嗅いだりしてただけだから…。
あっ、話が逸れちゃったわね。それで、受け止めてくれた兄さんがしゃがんで、私に眼を合わせてから。
「はい、ちゃんと直しておいたよ。少し色が変わってるけど、そこは勘弁してね?」
って、私の手にカチューシャを乗せてくれて、綺麗に直ったそれは、とてもピカピカしてるように見えたの。実際にはそんな事は無かったと思うけど、その時の私にはとても輝いて見えたの…えぇ、今でも大事に身に着けてるコレが、その時のモノよ。
それからまた、兄さんと仲良くしながら過ごして、偶に悩みを相談したり。うん、普通に仲良く出来てたと思うわ。それに、一度凄く悩んだことがあったんだけど、その時の言葉が今でも残ってるの。私って、走ってると楽しくなって、そのまま他の子を振り切ってしまう事が結構あったんだけど、それはいけない事なのかなって、悪い事なのかなって、兄さんに相談した時に言われた言葉。
「人は、後悔しないように生きるべきなんだ。自分の思い通りに。自分の人生を狭くするのは、他人じゃない。本当は自分自身なんだ。…受け売りだけどね、私もこの言葉には一理あると思ってる。」
それを聞いて、じゃあ好きに走ってもいいの?って聞いたら
「うーん、流石に授業とかではちゃんと合わせた方がいいかな?でも、君の、スズカにとって走りたい時が、誰かに迷惑をかける時じゃなければいいと思うよ。」
「それに、君は将来レースで走る事もあるかもしれない、そんな時に走っていいか、なんて悩むのは論外だ。」
「
「だから、スズカが走るべきだと思ったなら、それは必要な事なんだ、だから、その時は走るべき時なんだと思うよ?」
走る時はちゃんと選べ、って事?
「そうだね、それが出来れば一番良いけど、我慢だけしなさい、というのも難しいものだからね。まだ難しいだろうけど、憶えていてくれればそれでいいかな、今は。」
私は、元気よくうん!って答えて、兄さんに抱き着きなおしたら、兄さんは少し困った顔で私の頭を撫でて。
「そろそろ、仕事に戻らないとだから、カウンターにいこうか。」
って、私の手を引いてカウンターに向かったの。店長さんが何時もの3割増しくらいにこにこしてたけど、何だったのかしら…。それから兄さんのココアとクッキーを頂いて、何時もの様に家まで送ってもらって。
それが、最後に兄さんと過ごした時間だった。翌日、学校から帰った私をお父さんとお母さんが待っていて、兄さんが事故にあって、亡くなったって言われて。全然現実感が無くて、私は何時もの喫茶店に走り出して…。
店長さんが喫茶店の前に居て、私を見ると驚いた顔をして、何で泣きながら走って来たんだ、って言われて、初めて私が泣いてる事に気づいた、気づかされたの。それから、兄さんが、って繰り返す私を落ち着かせるために、中でココアを御馳走してくれた。店長さんは、「なぁに、そのうちひょっこり顔を出すさ。だからお嬢ちゃんは自分を磨いて待ってな。待てるなら、だけどな。」って。
それを聞いて、私は店長が何かを知っている、と感じたけれど、それを口に出す事も無い、と感じた。これはもう、私の感性でしかないから、根拠も何もない、単なる勘としか言いようがないけれど。
その時、兄さんから聞いた言葉を思い出したの。自分の人生を狭くするのは、他人じゃない、って言葉を。兄さんを忘れて生きれば、友達とも楽しく過ごせる日々が来ると思う。でも、私は兄さんと再会出来る可能性を狭めたくない、忘れたくない、絶対にもう一度会うって決めたのがこの時ね。
それから、店長さんにお礼を言って、ゆっくりと考えを纏めながら家に帰って…お父さんとお母さんが凄く心配してて、ごめんなさいって謝って。そして、兄さんが死んだ証拠が無いのではないか、状況から死亡とされたのではないか、そう問えば、お父さんは酷く驚いていた。それもそうよね、昨日までは兄さんと走る事だけ考えてたような娘がこんなことを言い出せば驚くとおもう。
驚きながらも、お父さんは私を真っ直ぐ見つめて、仕方ないって感じに生きている可能性はゼロではないが、限りなくゼロに近いぞ、とだけ呟いた。私は、ゼロじゃないなら大丈夫、って答えて。そしたらお母さんがとても大変な決断になるかもしれないのよ、って言ったけど…もう決めたから。それに、私は今頑張って凄いウマ娘に、兄さんがびっくりするくらいの美人で凄いウマ娘になるだけよ、って言ったら二人して笑いだすんだもの…失礼よね?
まぁ、私はそんな感じかな?それから勉強も走る事も頑張って、ここに、中央トレセン学園に来た。
私と兄さんの話はこのくらい。ライスの話も聞いたし、私達はトモダチになれそうね?これからヨロシク、ライスシャワー。
あ、そろそろ仕事が忙しくなる時期になるんで失踪します
来年には帰ってくるような来ないようなそうでもないような気がしなくもない
アイアンサイトの孫(マゴハル)に付ける種牡馬ってアンケで募集していいと思う?
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アンケはよ
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アンケすな
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知らん、好きにしろ
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そんな事よりラモーヌさんまだ?