HLのとある昼下がり…一機のヘリが重傷患者を緊急搬送していた。
患者はザップ・レンフロである。
ババババババババ…
救急隊員1「多発外傷、血圧90の60、脈拍140で微弱、意識レベルは?」
レオ「ザップさん聞こえますか?自分が今何処に居るか分かります?」
救急隊員2「…駄目だ…!!どこの救急もマキソン橋崩落の患者で手一杯で空きが無い…!!」
レオ「ザップさん!!ザップさあああん!!」
救急隊員1「うるせぇ!!黙ってろクソ餓鬼!!これ以上騒いだらデメロール見舞うぞ!!」
ヘリの操縦をしていたパイロットが何かに気づいた。
パイロット「おい…!!あれ…」
救急隊員1「…何だ…⁉」
ヘリの目の前にはそこには無かったはずの病院が表れていた。
救急隊員1「…なんだこりゃあ病院か?」
救急隊員2「そう…みたいっすね」
救急隊員1「なあ、俺は毎日この51番街上空を飛び回ってるがこんな所にこんなものがあるとは知らなかったぜ」
救急隊員2「俺もッス。てか20分前にここ通ってます」
救急隊員2は病院のヘリポートで受け入れ準備が出来ているのを確認する。
救急隊員2「……受け入れ準備万端っすね」
救急隊員1「ヤバ過ぎだな~ヤバ過ぎだろ~…だがどの道このままじゃ患者はおっ死ぬ…降ろそう」
レオ「え⁉え⁉」
そしてヘリは病院のヘリポートに着陸した。
救急隊員「「1・2・3ッ」」
ガシャッ!
救急隊員1「ザップ・レンフロ24歳、重武装トレーラーと正面衝突、何故か人の形を残したまま頭蓋骨陥没、右大腿骨複雑骨折、現場で大量出血、止血と固定は施した、グラスゴースケール8点、後は宜しく…!!」
バタタタタタタ…
そう言って救急隊員達は慌ただしく飛びったっていった。
???「あらあら」
ビクッ
レオナルドは目の前にいる白衣を着て眼鏡をかけた女の子がいた。
???「嫌われちゃったものね」
レオ「あの…貴方が…先生?」
???「そうよ」
レオ(そうよって…!!まだ子供…!!)
病院の者がザップを乗せたストレッチャーを病院内に運ぼうとして咄嗟にレオナルドは掴んだ。
レオ「あ!ちょっと…!!」
ガシャッ
???「手を離しなさい、患者を殺すつもり?この病院の敷地内に入ったからには安心して、必ず治すわ」
そう言って子供女医は病院内にザップを運んで行ったがレオナルドのキャパシティーは限界だった。
レオ(ヤバイヤバイ!!完全に僕のキャパ超えた…相談だ、とにかく助けを呼ぼう)
レオナルドはスマホでスティーブンに連絡をして…スティーブンは呆れた声で返事をした。
スティーブン『またか』
レオ「…はぁ…僕もそう思います…でも今回は痴情のもつれとかじゃなくて純粋に恨みを買って…あ、はいそですよね変わんないっすよね、ええ、ええ、…お願いします…!!」
レオナルドから連絡を受けたクラウス、スティーブン、鍾離はその病院へと急行した。
クラウス達は病院前に到着したがクラウスとスティーブンは病院を見て驚いていた。
スティーブン「ど…どういう事だ⁉」
鍾離「どうしたんだ、スティーブン殿?」
レオ「僕に聞かないで下さい~!!小一時間前まで存在しなかったこんな奇妙な病院の事なんて分かりません~!!」
スティーブン「……どういう事だ…クラウス…」
クラウス「うむ、あの時のままだ」
レオナルドはクラウスとスティーブンの様子を見てわけがわからなくなり鍾離は2人に質問した。
レオ「え?え???」
鍾離「何かこの病院について2人は知っているのか?」
スティーブン「……3年前の大崩落の時にな…俺たちはこの建物に居たんだ」
レオ「……え?」
鍾離「…何?」
ーーー
3年前…紐育が謎の霧に包まれてから17時間が経過…
建物や車、瓦礫が宙に浮かびあがり巨大な四角い柱が上空と地面から伸び繋がっていく光景が広がっていた。
ゴン、ガン、ゴン…
そんな中でクラウスとスティーブンはジープに乗り移動していた。
スティーブン「まだ持ってるのかそんなの、なにもかもが入れ替わっちまって約になんか立たないだろう?」
クラウスの手にはニューヨークのガイドブックがあった。
クラウス「建物の形状が手掛かりになる、さっき頭上を通り過ぎたのはGEビルの先端だ」
スティーブン「照らし合わせてるのか…!!一つ一つ⁉」
スティーブン(何て記憶力とマメさだ…!!)
クラウス「…南からの銃声は止んだな…」
スティーブン「ああ…これでマンハッタンの武力は殆ど底をついた」
スティーブンはジープの運転をしながらクラウスにこれからの事を聞いた。
スティーブン「…どうなる…?これから…」
クラウス「?」
スティーブン「…仮に…世界が…世界全体がもう既に霧に覆われてるとしたら…?」
クラウス「……分からない」
スティーブン「今まで相手にしてきた血界の眷属と次元が違うぞ、こんな風にニューヨークをレゴブロックみたいに組み替える存在相手に俺達の技は届くのか⁉」
ばッ!!
スティーブン「!!」
クラウスは手を伸ばしスティーブンに静止を促した、すると2人の耳には赤ん坊の鳴き声が聞こえた。
おぎゃあぁ、おぎゃあぁ
赤ん坊の傍では母親が崩落からかばったのか亡くなっており、クラウスは赤ん坊を抱きあげた。
クラウス「___スティーブン、何も分からない内に判断するのは早計だ。まずは全力をもって生き残る、その過程で情報を収集。だが何よりも先にこの子を安全な場所へ届けよう」
そうして2人は病院にたどり着いた。
クラウス「ブラッドベリ総合病院…の中央棟のみだ」
スティーブン「………」
ブラッドベリ総合病院へと向かう道はかなり削られて細い崖の上に立っているような状態だった。
スティーブン「信じたくないね、まさかこの細くなった地面だけで支えてる訳じゃあ無いんだよな?」
2人が病院に近づいていくと銃を構えた複数の民間人がいた。
民間人「止まれ…!!」
スティーブンは両手を上げクラウスが呼びかけた。
クラウス「赤ん坊が居る…保護して頂きたい」
病院内に入った2人が見たのは慌ただしく動きまわる病院職員たちと沢山の患者だった。
「脈触れない、心臓マッサージ開始‼」
「ルート確保と採決お願い」
「エピ1アンプル静注」
「輸血4単位オーダー!」
「挿管するぞ、0.5ミリの気管内チューブをくれ…よし入った」
ビューア、ビューア、ビューア
「波形VFです!!」
「除細動だ200から始めるぞ、下がれ!!」
バッコンッ
「……戻りません」
「250でもう一度だ」
バッコンッ
「バイタル安定」
「よーしCT行こう」
そんな光景に2人は立ち尽くしていたが、1人の初老男性医が声を掛けてきた。(以下先生と表記)
先生「…はて、こんな大男がこの病院に居たかな?」
クラウス「外から来ました」
先生「何と」
クラウスは赤ん坊を先生に見せた。
クラウス「この子を拾いまして、保護して頂けないかと」
先生「手配しよう、おい君」
先生は近くにいた看護師を呼びクラウスは赤ん坊を預けた。
先生「外の様子はどうだね」
スティーブンは先生に外の様子を説明しようとしたが何と説明したらいい分からず声が出なかった。
スティーブン「………」
先生「筆舌に尽くし難いか…さっきエンパイア・ステートビルの展望台が目の前を横切ったとの話を聞いたよ」
看護師「先生、2番の患者が痛みで眠れないと…」
先生「ああ、モルヒネを5ml 、緩下薬と制吐薬を忘れるな。…こっちはぶっ続けでこの調子さ、この歳になると流石にきつい」
ふと先生が廊下に立っている黒髪ショートヘアで眼鏡をかけた女医が目に留まった、彼女はかけている眼鏡に蝶が止まっているのに気づいていないようだ。
先生「起きろ!!ルシアナ君!!ベッドは一杯だが控室のソファは空いているだろう」
ハッ!
ルシアナ「____先生…やだ私寝落ちしてました?」
先生「ああ立ったままな」
ルシアナ「あら⁉…確かに心なしか体が軽いわ」
クラウス「熟睡されていた様ですな、あそこまで優雅な立ち寝姿は見たことがありません」
ルシアナ「あらお上手、こんな時でなければ健康診断一回分オマケする所だわ偉丈夫さん?」
クラウス「クラウス・V・ラインヘルツです」
ルシアナ「…ルシアナ・エステヴェス、ようこそ当院へ」
2人は握手を交わした。
クラウス「…大変な事になりましたね」
ルシアナ「ええ、もう私も何が何だか…私も『仕事』に没頭するお陰でおかしくならずに済んでいる様なものです」
廊下を歩いていた4人だがクラウスは物陰に隠れている小さな女の子に気づいた。
びくっ、バタバタバタ
女の子は見つかった事に驚いて部屋のベッドの陰に隠れてしまう。
ルシアナ「あらあらあら」
ルシアナは隠れた女の子に声をかけた。
ルシアナ「このお兄さんが怖い?良かったわね、クラウスさんは貴方の味方よどんな怪獣も近寄って来れないわ」
じっと見ている女の子にクラウスは近くによりしゃがんだ。
スティーブン「あ、あ~」
スティーブンは止めようとしたが少し遅かった。
クラウス「大丈夫、私が君を守ろう」
にごお…。
クラウスの笑顔は元々強面なのもあってとても怖かったのだ…。
女の子「うえ~ん!」
ルシアナ「いや、笑うともっと迫力が増すんですねちょっとビックリしちゃって…」
クラウス「?」
スティーブンは分かっていないクラウスを見て顔を抑えた…。
ルシアナ達と別れたクラウス達は先生にある物を見せて貰っていた。
そこには解剖した後の異形生物があった。
先生「御覧のとおりだ、皆目分からん。地球上の分類から尽く外れた生物群だ…そう多くはない個体を解剖した結果に過ぎないが何かの悪ふざけとしか思えんよ、今の所全て全く違った体構造だからな。ただ…ひとつ気になるのはこの奇怪な存在とともに行動する『人間』の姿が目撃されてるんだ」
先生の言葉にクラウス達は目を合わせた。
病院の外では民間人が再び銃を構えていた。
民間人「…止まれ!!…何者だ…⁉」
そこには見たこともない生物に首輪とリードを繋いだ『人間』が立っていた、そして…
ドパタタタタタタタタタタッ!!!
きゃーッわーーッ
男性「みんな!!建物の奥へ移動しろ、窓から離れて…!!」
避難誘導をしている男性の目の前をクラウス達は通り過ぎた。
男性「おい…!!あんた達…!!」
スティーブン「大丈夫、それよりここを護るのに集中してくれ」
クラウス「宜しく」
クラウスは振り返り男性にグッドサインをした。
2人が外に出ると変わらず『人間』と謎生物がそこに居た。
スティーブン「英語…通じると思うかい?」
クラウス「私と君で9ヵ国語までは試せるな」
スティーブン「…驚いた、君がそんな冗談を言うなんて」
クラウス「ああ…緊張している様だ」
クラウスは持っている手鏡を前に立っている『人間』に向けた、そしてその姿は手鏡に映らなかった。
クラウス「いや違う__あれは__血界の眷属…‼」
???「…ははあ、観光がてら愛犬と散歩に出てみれば…何だ、君たちは『牙狩り』か。」
(以降飼い主と表示)
飼い主「こんな『特別な日』に『外』と同じ争いを繰り返すのかい?」
クラウス「貴殿らが行ったのか?」
飼い主「これを?違うよ、君僕らのことを神様か何かかと勘違いしてないか?だが薄々は気づいているはずだ、この霧の世界はずっとあった。君等の世界のすぐ隣に存在し時折噴き出すように繋がっていた。伝承の怪物、掻き消えた航空機、万里を超える人間、存在する筈のない宝物、復活する聖者。今日はね元旦なんだよ、それも1月1日。紀元を書き換えても良い位特別な日だ」
動植物犬「ガウルルルル!ヴァキッヴァオ!!」
飼い主「…おっとゴメンゴメン…お喋りが過ぎるかい?僕もさすがに興奮してるみたいだ、柄にも無かったな勘弁してくれ。さてそんな訳でそろそろ…うちの子に餌をやりたいのだがそこをどいてくれるかな?」
血界の眷属は凄まじい殺気を放つが臆する事なく2人は構えた。
クラウス「ブレングリード流血闘術」
スティーブン「エスメラルダ式血凍道」
2人「「推して参る」」
構えた2人に対して血界の眷属は笑っていた。
飼い主「全く、恐い恐い。こんなものを持っていては闘えないほど恐いよ」
そしてリードを手放してしまった。
動植物犬「ガウ!!」
病院に向かうペットに気を取られて飼い主から一瞬目を離してしまい…そのスキに一瞬で距離を詰めて来た。
飼い主「余所見をするな」
そして攻撃を繰り出してきたがクラウスが防御しスティーブン上に飛び上がりが攻撃に出た。
スティーブン「『絶対零度の槍』‼」(ランサデルセロ・アブソルート)
スティーブンの攻撃は飼い主の左腕を凍結させ砕いた。
飼い主「…ははッ‼やるな‼牙狩り…!!」
クラウスとスティーブンが両脇から飼い主を攻撃するが…飼い主の砕いた左腕は既に形まで再生していて防がれてしまった。
ダン!!!
飼い主「だが…人間に我々血界の眷属は止められない…この霧に蝕まれていく紐育の様にな…!!」
飼い主はクラウス達に猛攻撃を仕掛けていき、2人も攻撃しているが…。
ぎゅばッ
スティーブン(…なんて再生スピードだ…‼過去の記録にもここまでのものは無いぞ…‼)
クラウス「スティーブン‼」
スティーブン「駄目だクラウス!どちらか一方になった瞬間食い破られる!後ろは…諦めろ‼我々は今君を失うわけにはいかないんだ…‼」
クラウス「………目を凝らすのだスティーブン、光はある。」
スティーブンはその言葉に目を見開き、クラウスは拳を固く握る。
ギュッ…
クラウス「諦めて引き返すにはもう半歩ある。たった半歩だと思うか?違う、我々が全身全霊を賭ける半歩だ…‼」
スティーブン「……全く、ずるいぜそれ…」
クラウス「1分40秒、その間にあの獣を斃し戻ってくれ」
スティーブン(いい数字だ、奢りも謙遜も無い君の性格そのものだな。世界の何よりも盤石の100秒だ)
クラウス「3・2・1・GO!!」
クラウスのカウントと共にスティーブンは病院に走りだした。
ガゴガガガガガン
病院にあと少しという距離でスティーブンは足元に巨大な影ができているのに気付いた。
スティーブン「⁉」
頭上から巨大な柱が迫って来ていた…あと少しで潰されてしまうという距離で…
ガゴォン…
スティーブン「…と、止まった…⁉」
その様子を見ていた飼い主は…
飼い主「……ふん、どうやら今回はここまでの様だな。人界にも桁外れの術者は居るらしい…」
霧に飼い主が紛れていく中2人は意識を失ってしまった…そして…
通行人「だ…大丈夫…ですか?」
ガバッ!!
起きたクラウス達が見た光景は今のHLと変わらない物だった。
ーーー
クラウスとスティーブンは3年前に起きた大崩落の時に起こった出来事を鍾離達に語り終えた。
クラウス「意識が戻った時そこには今と同じHLの風景だった、『再構築』は終了していた。それ以来我々は何度もこの病院の姿を探したがついぞ見つける事は出来なかったんだ」
クラウス達が病院を眺めているとすぐ後ろで猛スピードで走る車があった、そして…
ドシャン!ドシャン、ガシャン、ズシャン、ゴン、キキキキキ、バゴシャン!!!
レオ「わあ‼わあ‼わあ‼」
突然の大事故に驚いたクラウス達は急いで救助をしようと駆け寄った時、病院内から次々と救助隊が現れて怪我人を救出し始めた。
てきてきぱきぱき…
レオ「おおおおおお…!!」
鍾離「凄い手際だな…」
そこに救助隊に声を掛ける初老の男性医が居た。
先生「急げ、順番に助けるぞ!」
そしてその人物はかつてクラウス達が出会った「先生」であった。
先生「⁉おお…‼君達は…‼生きていたか…‼」
クラウス「先生‼そちらこそ…‼」
先生「…と、積もる話もあるが御覧のとおり今手が離せん。程なく終わるから待合室に居てくれ給え」
鍾離「……この大人数を程なく…?出来るものなのか?」
クラウス「いや…こちらも分からない…」
病院内に入ると急患と防護服を着た異界人医療従事者が沢山いた、その中にはレオナルドが見た子供女医の姿もあった。
ワイワイワイワイ…
子供女医「首、背中、腹部に損傷。赤タグ付けて外棟2号へ、こっちは黄色カーテンの4番。CT空いたらすぐに回してオペ4号室へクロスマッチ6単位大至急‼急いで‼」
そして後ろを向いていてクラウスに気が付かずぶつかってしまった。
子供女医「きゃ」
クラウスはぶつかった子供女医の姿を見て驚き、子供女医もクラウスの姿を見て驚いていた。
子供女医「わっ…!!わわわわわわわわわわ、わっ私忙しいのでこれで…‼」
子供女医は逃げるように走って行ってしまった。
スティーブン「…おい、見たか今の。こいつは一体…」
ドン
また人がスティーブンの背中にぶつかり振り返るとそこには走り去って行ったはずの子供女医の姿が…
子供女医「わあ‼わあわあわあ‼あーすいませんちょっと急いでるもので、はいすいません、はーいすいません」
鍾離「??…先ほど走って行ったはず?」
レオ「何が何やら…?」
次にクラウス達の後ろの治療室から声が聞こえてきた。
「おい…マジかよ、ここは…どこだ…‼何だガキ‼テメェ何縫合してやがんだ…ってあれ?…うめぇな」
バターン!
治療室から出てきたのは生死の境を彷徨っていたはずの治療され車いすに乗ったザップだった。
4人『⁉』
レオ「ザップさん⁉ありえない…‼」
スティーブン「少年!確かこの男は生死の境と…」
そして治療室から出てきたのはまたしても同じ姿をした子供女医だった。
子供女医「そうよ、元の形に戻してるだけ。あんまり動くと傷口が片っ端から開くかんね?」
そしてまた子供女医クラウスとスティーブンに気づいて逃げようとした。
子供女医「あ、わ、わわわわわわわわわわ‼」
クラウスは子供女医の腕を掴み止めた。
クラウス「待ち給え…‼ミス、エステヴェス…‼…ですな?」
むにゅん。
4人『!!?』
なんとおそらくルシアナである子供女医は分裂し腕を掴まれた方は残り別れた子供女医は廊下を進み指示を出していく。
スティーブン「え?えっ⁉」
レオ「( ゚Д゚)」
鍾離「…こんな事が…」
クラウス「………」
ルシアナ「…ええ、御無沙汰しています。ミスタークラウス」
よく見ると院内にはルシアナと思われる同じ姿をした子供女医が沢山おりそれぞれが治療や指示を行っていたのだ。
ルシアナ「…もう3年も経ってしまったのですね、何もかもがあっという間でしたわ」
クラウス「…何があったのです、病院と…貴方に…‼」
???「それは私が答えよう」
声を掛けてきたのは何と『本』だった。
???「…お初にお目にかかる。院長のマグラ・ド・グラナだ。猜疑の色は隠せないか、無理もない。人間の医療に異界存在が絡むなど私が君達だったら同じ表情をしている」(以下院長と表記)
だが4人が驚いていたのは院長が本で喋る事だった…
レオ「本が喋った…」
スティーブン「本が喋っている…」
鍾離「…今度は本が喋っている…流石に一気には理解出来ないないぞ…」
クラウス「本当に何があった…」
そして院長は3年前異界側であった出来事を話し始めた…。
院長「3年前のあの日はこちら側にも相応の混乱があってね、助けを求める者が続出した。治療を続けながら彷徨っているうちに崩れ落ち取り込まれたこの建物を発見したのだ。中には植獣動植物に食い散らかされたと覚しき夥しい数の人類、どうしていいものか途方に暮れた時彼女を見つけた」
………
ルシアナ『…⁉』
院長『怖がらなくていい、と言っても無理かね?』
ルシアナ(本が喋った…)
ルシアナ『あなたドイツ語を?』
院長『ああ。君達の世界の医学書を手に入れて解読した事がある、もう何十年も前の話だが…』
ルシアナ(本が本を…)
ルシアナ『というか貴方お医者さん…なの?』
院長『うむ、君達の概念だとそれが近い』
ルシアナ『……私を治療して…出来ない?』
院長『…いや…君達の体の構造は把握している』
ルシアナ『…お願い…まだ間に合うなら一人でも救いたいの』
院長『…非効率だ』
ルシアナ『⁉』
院長『君一人で治療にあたった所でたかが知れている』
ルシアナ『………』
院長『………だが一つ方法がある、全員を救う道だ。しかし一度これを使えば君は人類ではなくなり別の存在へと変貌する。融合式思念直結医療機具「ファーデムトリガ」残酷な選択肢とは思うが時間がない。10分待つ、その間に決だ』
ルシアナ『使って、早く…‼』
院長はルシアナを手術台にのせ「ファーデムトリガ」を取り出した、そして…
ぎゃああああああッ……
………
院長「手術は成功した。己自身を複数の個体に分裂させて同時高速処置を行う…彼女の意思はそれだったとういうわけだ」
ルシアナ「まあね~ほらこの仕事って人数頼みの瞬間あるから」
クラウス「……改めてお詫びする、我々があなた方を護れてさえいれば…‼」
ルシアナ「やめましょうよミスタークラウス、どんな相手だったかは貴方の表情で分かります。あの時の我々では及ばない出来事だった、それだけです。加えて結果手に入れた新しいこの躰、私は満更じゃないと思ってますよ」
ルシアナは4人をある部屋に案内した。
ルシアナ「そしてあの時あの場に居た247名に関してはまだ終わってません」
ゴゴン…
クラウス「……これは…‼」
そこには沢山の人型の繭が存在していた。
ルシアナ「殆どの患者を人繭状態にして『延命』しています、ただあと一歩の所で完治・退院まで及びません。あの食獣動植物が放った『種子』は患者の体内に留まり融合し今もまだ生命エネルギーを吸い取り続けています。それが分かったのが13時間前、だからこちら側に浮上したの。栄養素の転送なんて思ってもみなかったわ、衰弱していく患者の生命維持経費に幾らかかると思ってんのよ…‼あのクソ犬野郎にはきっちり落とし前付けさせて貰わないと…‼」
ルシアナが説明を終えた時…
ズンッ…
繭状態の患者達からエネルギーが吸い取られ始めた。
ルシアナ「……来たわ…‼」
ブラッドベリ総合病院の玄関口には3年前は四本足で立っていた食獣動植物が二足歩行をしていた。
ルシアナ達「何あれ」「チョー進化してるんですけど」「腹立つなー」
食獣動植物が病院の玄関口から院内に入ってきた。
動植物犬「…何だ、攻撃して来ねぇのか…」
院長「…当院は医療機関、遍く生物の治療がその目的だ」
動植物犬「あ、そ。まあ、俺とあんたんトコの患者は繋がってるから何かあったらタダじゃ済まないかもだけどね」
食獣動植物が大きく息を吸うと繭状態の患者達からのエネルギー吸収が酷くなった。
動植物犬「……ふう…」
ルシアナ「…一つお願いがあります、患者の治療の為貴方の協力を…」
動植物犬「あのさァ、この病院いつ『向こう』に戻るの?腹減って仕方ないんだけど」
ルシアナはその言葉に強く手を握りしめる…
院長「駄目だエステヴェス君、奴が栄養素を吸い取っているという医学的確証は無い。それを調べるには今は任意協力を願うしか無いのだ」
動植物犬「まさかこんな人類臭い場所で今後やってくつもりじゃないよねェ?悪いこた言わないから早く元」
ザップ「おいコラ」
いつの間にかザップが食獣動植物の足元に来ていた。
ザップ「さっきから聞いてりゃデッケェ態度だなコノヤロウ、犬畜生如きが吹き上がってっと命落とすぞこのシャバ僧が」
ザップの悪態にライブラメンバーは呆れていた…
鍾離(…あの怪我の状態でよく悪態が出るものだ…逆に関心する…)
ザップ「二本脚で立てたのをハシャいでる様なら教えてやんけどそりゃチンチンっつー芸だ、おやつジャーキーくれてやるからさっさと赤い屋根の小屋に戻って昼寝してろボケカスドッグ。なんなら今から棒に当てて泣か」
ボガッ‼
動植物犬「うるさい」
食獣動植物がザップを殴り飛ばしてしまうがルシアナはニタリと笑った、そして次々と分身ルシアナが集まり食獣動植物に向かいメスを取り出し切り刻むそして…。
キィィィィ‼
ルシアナ「ファーデムトリガ『幻界執刀』‼」
ルシアナ達が一人に合体し黒髪ロングの女性が現れた、食獣動植物はすれ違いざまにメスと糸でバラバラに縫合されたいた。
動植物犬「ぎゃああああああ!!!おおお俺のててて手がああああ脚があああああ」
ルシアナ「大丈夫だ命に別状はない、そのように縫合した」
動植物犬「ててて…てめぇ…‼ここここ…こんな真似をして許されると思ってるのか…‼」
ルシアナ「許す?ならば私の患者に手を出した事は許されるとでも?」
ぞくっ…
動植物犬「はひっ…‼ひぃ…‼」
ルシアナ「いいか?この病院内で我々の医療を邪魔するものに人権は無い、貴様は今ただの被験体だ。247名を救うため存分に腑分けさせてもらうぞ」
動植物犬「…や、やめろ…やめてくれ…」
ルシアナ「大丈夫、統合した時の私の技術は正確無比だ命に別状はない」
動植物犬「ひいいいいいい‼」
ガシャァァァァン‼
病院入り口を割って『飼い主』が乱入してきた。
飼い主「うちの愚犬が失礼した、それでは…死ね」
鍾離『顕如盤石‼』
ゴン、ガガガガガガガッ‼
飼い主の攻撃がルシアナに当たる直前鍾離が元素スキルを発動し間に石柱を発生させ攻撃を防ぎ、クラウスがルシアナを庇う為前に出た。
飼い主「これは…私の攻撃をこの石柱が防いだ?それに…お前か牙狩り」
飼い主はクラウスを見てニタリと笑った、スティーブンは病院の者達に避難を促す。
スティーブン「さあ走って…‼全力で‼ここから先は…とばっちりじゃ済まないぞ‼」
鍾離はさらに石柱を発生させ通路を塞ぎ壁にしクラウスの玉墇シールドの上に岩元素で発生した結晶を操りシールドを追加した。
鍾離「クラウス殿…‼3年前の決着を付けると良い‼守りは任せろ‼」
クラウス「鍾離殿…感謝する‼」
そしてクラウスは飼い主に向かって攻撃を繰り出した。
ガオッガガガガガガガガ‼
飼い主「ははははッまるで同窓会じゃないか…‼本当に昨日の続きのようだ…‼」
飼い主の攻撃はクラウスの体を次々に掠っていくが鍾離のシールドが効いている為まだ無傷だった。
飼い主「ほう?先ほどもそうだが3年前には居なかったそこの男が君をサポートしているのか。だが攻撃に関しては変わっていない…‼何故学ばん私の再生能力は確認済みの筈、続けようにも技の為に先に失血で闘えなくなるは貴様の方だぞ‼」
だが飼い主はクラウスが諦めないのに疑問を持った。
飼い主(何かある…守りを担っているあの男の他に、3年前とは違う何かが)
飼い主は攻撃しながら辺りを見た。
飼い主「____そこか」
飼い主はレオナルドを見つけ攻撃を仕掛けたがスティーブンにより凍らされた。
スティーブン「やるじゃないクラウス133秒ももったよ、鍾離のおかげで無傷のパーフェクト達成だ」
レオナルドは諱名を読み終わりアプリ入力を済ませていた。
ポチッ、シュークホウ‼
クラウスのスマホが鳴り諱名を確認した。
クラウス「ザメドル・ルル・ジアズ・ナザムサンドリガ」
ドクン‼
飼い主「!!?今何をした、何故私の名前を…‼」
飼い主はクラウスに攻撃をしたが先に懐に潜りこむほうが早かった。
クラウス「貴公を『密封』する 憎み給え 赦し給え 諦め給え 人界を護るために行う我が蛮行を‼ブレングリード流血闘術『999式_久遠棺封縛獄』‼(エーヴィヒカイト・ゲフェングニス)」
ガガガガガガガ、カチン…
クラウス「人間の3年を侮った、それが貴公の敗因だ」
クラウスとスティーブンは3年前のやり残しに決着をつけた。
ルシアナ「血界の眷属固有名詞打ち込み専用アプリ⁉何とまあ…千年生きてきて散々人類の技術革新を見てきたでしょうけどまさかスマホにしてやられるとは、さすがの超存在でも想像の外だったでしょうねぇ」
レオ「えへへ」
クラウス「…ミスエステヴェス、感謝する貴方のお陰で私は刺さり続けていた刺を抜く事ができた」
ルシアナ「水臭いこと言いっこ無しですよ、お互い3年よく粘りました。さっき守ってくれたしこれでチャラということで…あっでも鍾離さんにも守って貰ったんだった‼」
鍾離「ルシアナ殿、気にする事はない。だがもしよければ医療の心得を少し教えて貰えればそれでいいぞ、覚えるのは得意なのでな」
ルシアナ「鍾離さんがそれでいいなら…でも医療の心得って言っても、簡単な応急処置とかで良いなら…それで」
ジリリリ!
受付男性「院長‼地下鉄ブリターニャ駅構内で魔法陣暴発事故発生、人類型重症18名軽傷29名、異界存在重症4名軽傷33名、現場に力場が残っていて救助が難航中、負傷者数は更に増える模様です」
院長「…よおし、今日3回目の嵐が来るぞ、急げ‼総員第一体制で待機だ…‼」
こうしてブラッドベリ中央病院での事件は終わった…ところでザップはと言うと怪我が増え全身包帯巻きになっていた…
レオ「…鍾離さん以外みんな忘れてますけどぼかぁ今回のMVPはザップさんだと思いますよ」
ザップ「ウルセェあの犬野郎どこに行きやがったバラバラにしてやらぁ‼」
レオ「もうなってます」
ザップ「ハァ⁉」
ーーー幻界病棟ライゼズ__終幕__