魑魅魍魎、超常犯罪、魔道科学などが跋扈する
元ニューヨーク「ヘルサレムズ・ロット」
そんな異界文化あふれる町中を鍾離は散策していた…。
ヘルサレムズロットにやってきてから1ヶ月ほどたった頃の話…
鍾離「ふむ、この通りにある料理店は粗方巡ったな。しかしこの世界の技術力には関心するしかないな、フォンテーヌでもまだ長距離で連絡できる手段はないというのにこんな小さな箱でできてしまうのだから…」
鍾離はスマホを片手に持ち地図アプリを開いて関心していた。
彼のいた世界ではこのような機械など存在しなかったためだ。
鍾離「しかし……こうもあちらこちらで事件が起こるというのはどうにかならないものか?いくらなんでも多すぎるだろう?」
そうつぶやく鍾離だったが、異界同士が接触し混ざりあって維持しているのだというヘルサレムズロットに関して深く考えるのはよそうと思い直した。
鍾離「さて、そろそろ帰るか……」
鍾離が帰宅しようとした時、後ろから声をかけられた。
レオナルド「あ、鍾離さん奇遇ですね!今から帰るんですか?」
鍾離「ああ、そうだが。」
レオナルド「良かったらご一緒してもいいですかね?」
鍾離「構わないぞ。それにしてもこの街の住民は賑やかなのだな。俺の世界では考えられない事ばかり起きる」
レオナルド「まぁ、ここが特殊な場所ですからねぇ~。それで今日はどこに行ってきたんですか?」
鍾離「この世界の料理が食べたくてね、色々回っていたんだ。この世界の料理は素晴らしい物ばかりで驚いてしまったよ。この店は野菜のスープが美味しかった。あと、この店の揚げ餃子という物は絶品だった。」
レオナルド「へぇーそれは気になりますね。僕も食べに行こうかな」
そんな他愛もない会話をしていると、ライブラのオフィスに辿り着いた。ドアを開けるとギルベルトが出迎えてくれた。
ギルベルト「お帰りなさいませ、鍾離様、レオナルドさん。お茶の準備ができております。」
そう言ったギルベルトは鍾離達をソファへと通す。
鍾離「ありがとう、ギルベルト殿。」
レオ「ありがとう御座います、ギルベルトさん!」
ギルベルト「いえ、仕事なのでこれくらいは当然ですよ。それに私にとっては孫のような年齢の方々とこうして過ごすのは楽しいものでございます。」
ギルベルトは穏やかで優しい笑顔を浮かべながら言う。
すると書類をチェックしていたスティーブンが口を開く。
スティーブン「それにしてもこの前のは驚いたな。」
レオナルド「何があったんすか?」
スティーブン「実はな、3日前にHLPDからの極秘の通報が入ったんだ。曰く、『霧の中から突然隕石が降ってきた』ってな。そこで我々ライブラが出動することになったわけなんだが、
現場に行くとそこには大量のマフィア達と瓦礫と山ができてた。」
スティーブンの言葉にレオナルドは驚く。
レオナルド「え!?そんなことが?あれでも隕石ってもしかして…」
レオナルドの疑問にスティーブンは苦笑いしながら答えた。
スティーブン「そう犯人はそこの鍾離だよ。」
レオナルド「やっぱり!」
鍾離「いや、あの時は貴重な古美術品を入手できたのでオフィスに飾ろうと道を歩いていたところマフィア達に襲われたんだ。」
鍾離「最初はこちらも攻撃を避けながら気絶させていたんだか、マフィア達が魔術媒体を使って怪物をけしかけて来たので元素爆発で対応してしまったんだ…。」
鍾離が困ったように眉を下げながら答える。
スティーブン「そのせいで街の一部が吹っ飛んだんだよ、幸い人的被害はなかったけどな。後からわかったんだが鍾離が入手した古美術品が奴ら狙っていた魔術の上級素材だったんだよ…。」
お陰で追っていた案件1つ片付いたがね、と言ってスティーブンは紅茶で一服する。
レオ「はぁ鍾離さんって料理も美術品にも理解があるんですね〜。ところクラウスさんはまたプロスフェアーですか?」
パソコンに向かい集中するクラウスを見た。
クラウスは集中しているようでこちらを見ていない。
レオ「ところで鍾離さんの世界ってどんな所なんですか?」
ふと思いついてレオナルドは聞いてみた。
鍾離「そうだな……俺の住んでいる国、璃月についてならば話してやれるぞ。」そうして鍾離は璃月について語り出した。
ーーーー 岩王帝君の治める地、璃月。
そこは岩と契約の国。
岩神が地を治めるにあたり最も重視したのは「契約」だった。
岩神が契約を重んじる性質上、契約が破られることは許されない。
岩神モラクスは璃月の民たちから岩王帝君と呼ばれ民たちに信仰される。
岩王帝君が守る土地に住む人々は、何度か危機に見舞われたが仙人達の守護もあり何不自由なく暮らすことができていた。
年月が立つに連れ民たちも契約を重んじるようになり、やがて璃月は商売に関しての要所になっていった。
商売のやりとりが盛んになると岩王帝君は自らの血肉から金貨を生み民たちに普及した。この金貨は岩王帝君の名前にちなみ「モラ」と名付けられた。岩王帝君の血肉から生み出された貨幣である「モラ」は七つの国に流通することになる。
流通の中心となった璃月はテイワット1の貿易港として栄えている。
鍾離「だから璃月はあらゆる富が沈着する場所だ。」
こうして鍾離は長くなった璃月の説明を一区切りした。
スティーブン「なるほど。岩王帝君という神が君の国をおさめているのか。」
ゲームが終了したのかクラウスも話を聞いていたようだ。
クラウス「岩王帝君か、どのようなお方なのか一度会ってみたいものだ。」
レオ「なんかすごい神様ですよね。」
実はその岩王帝君、モラクスとは鍾離自身の事なのだがあくまでも別人の事として話していた…。
またしばらくお茶を楽しんでいるとザップが返り血塗れでオフィスに入ってきた。
レオ「うわぁ……また派手にやりましたねぇ……。」
ザップ「うるせぇ陰毛頭!なんかの薬キメたやつが襲って来たから頸動脈なで斬りにしたんだよ。」
ギルベルトからタオルをうけとりソファにドカっと座る。
ザップ「首掻っ切ったのにそれでも向かって来たんだよ!スターフェイズさんまたエンジェルスケイルみたいな薬物が出回ってるんすか?」
スティーブン「いや、今回はそういう噂は聞いていない。
僕が把握してないだけで出回っている可能性はあるけど、今のところは確認できていない。」
スティーブンは少し考えザップにそう答えた。
少しすると窓からザップ目掛けて足蹴しながらチェインが入って来て、ザップの顔を床に擦りながら着地した。
ギルベルト「おかえりなさいませ、チェインさん。」
チェイン「これ報告書です。あとはよろしくお願いします。」
ギルベルトは受け取った書類に軽く目を通してから スティーブンに手渡す。
スティーブン「ご苦労だったな、チェイン。」
ザップ「テメーこのクソメス犬!!わざわざ俺目掛けて足蹴しやがって!」
チェイン「うるさいわねSS(シルバーシット)、そんな事よりアンタ何日風呂に入ってないのよ? ちょっと臭すぎじゃない!?︎」
ザップ「あぁん!お前だって女捨ててんじゃんかよぉ! 臭いなら近寄るんじゃねぇ!!」
二人ともお互いの顔を近づけ睨み合う。
クラウス「そこまでにしたまえ。」
クラウスが2人をたしなめる。
チェイン「そうだ、追っていた魔道兵器事件の件足取りが掴めました。」
クラウス「それは本当かね?」
チェイン「はい、間違いありません。例の魔導書盗難及び兵器強奪事件がおきてから頻発しているんですが、 その現場付近で市民が突然凶暴化して襲い掛かってくる事件が起きているんです。襲った者は例外なく、体の組織が変化していて倒してもしばらく活動するみたいです。」
チェイン「暴走した市民がいた場所で必ず目撃されている情報があって何か奇妙な光を見たと。」
スティーブン「奇妙な光…魔導書は確か場所で起きた出来事を再生する術式だったな…」
チェイン「はい、そう言われています。なので、恐らく今回の一連の事件は……」
スティーブン「その術式を発動させた可能性がある。おそらくザップが関わった奴は魔導書の餌食になった人物だな。」
鍾離「ザップ殿が先程言っていた麻薬の件…同じ症状ならばその麻薬の情報が再生されているのでは?」
クラウス「ふむ……だとすれば厄介極まりない、また被害者が出る可すぐ能性もある。」
クラウス達の意見を聞きスティーブンがを出す。
スティーブン「よし少年はザップと鍾離を連れて現場に向かってくれ。現場の痕跡から足取りを更に追うんだ。」レオ「了解しました!」ザップ「へぇ~い。」鍾離「了解した。」
スティーブンの指示で3人は現場に急行する。
残されたメンバーは引き続き調査を続行する。
クラウス「さて、我々も行こうではないか。」
そしてレオナルド達3人は現場に到着した。
ザップ「ここだな今日ぶった斬った場所。」
レオ「まだ痕跡が残ってるといいんすけど…」
レオナルドはゴーグルをして神々の義眼で痕跡を始めた。
レオ「おっし!まだ痕跡残ってます!この方向…セントラル方面に向かってますね。」
鍾離はそんなレオナルドを見て関心していた。
鍾離(初めて見た時から思っていたが俺の元素視覚でも見えない痕跡を辿るとは…少年から聞いた神々の義眼について情報は驚きを隠せなかったな。)
レオナルドから聞いた神々の義眼…神性存在御用達の眼科技師が作った特殊な目で、普通の人間には見ることが出来ない物質やオーラを見る事が出来るらしい。レオナルドは妹の目を契約の対価としてなくしてしまい神々の義眼を無理やり渡された。だから妹の目を戻す為にこのヘルサレムズロットに来たという。そんな話を知り合ったばかりの鍾離に話してくれるのだからレオナルドはやはり相当なお人好しであると再確認したのだった。
レオ「スティーブンさん達には連絡しました、距離的に此処から近いので先行しろとの事です…」
ザップ「うんじゃさっさと片付けるぞ、今晩はロザリーとデートがあんるだよ。」
レオ「あんたはほんとに懲りない人だなぁ…」
3人が歩いていると目の前に霧が立ち込めてきた。
レオ「この先に奴らのアジドがあるみたいです。気をつけて行きましょう!」
そうして3人で慎重に進むとそこには異界生物の巣窟になっていた。??「「「「ギィヤァアアーー!!」」」」
異形の化け物達が奇声を上げ襲いかかってきた。
ザップはジッポを取り出し技を仕掛けた!
「斗流血法 カグツチ 刃身ノ壱 焔丸!!! 大蛇薙!!」
ザップが向かって来た異業を斬り払うと鍾離が元素スキルを発動しレオナルド達に玉璽シールドを貼った。
鍾離「俺がサポートする、ザップはそのまま殲滅してくれ!少年、例の魔導書は何処にある?!」
レオナルドは辺りを見渡し、
レオ「恐らくあの本棚の奥に隠し扉があります、そこかと!」
と指を指した。
鍾離「よし、ではあそこに進むぞ!」
そういうと、3人は一斉に動き出した。
その頃アジト近辺では他のメンバーも戦闘を開始していた。
スティーブン「エスメラルダ式血凍道
絶対零度の地平(アヴィオンデルセロアブソルート)‼」
クラウス「ブレングリード流血闘術
11式旋回式連突(ヴィルベルシュトュルム)‼」
スティーブン「少年達がアジトに突入したから自暴自棄になったか?!」
クラウス「ここで時間をかけてはいられない、早くレオ達と合流するぞ!」
クラウス達は怪物を殲滅しながらアジトを目指した。
一方、3人も無事に目的の場所へ到着した。
レオ「この奥の部屋です!」
そういうとレオの声に反応しザップが扉を蹴破った!
すると、中には禍々しい気配を放つ黒い本があり術者と思われる人物が息絶えていた。本のページが勝手に開き、そこから大量の触手が飛び出して来た!
ザップ「ウオ?!鍾離のシールドがあってよかったぜ。危うくミンチになるとこだ…」
触手が消えた後、部屋の真ん中に魔法陣が現れ、その中から巨大な蜘蛛が現れた。
その大きさは10メートルを超え、口からは毒液が滴っていた。
鍾離「まさかあの怪物を召喚する為に自分を生贄にしたのか!?」
レオ「そこまでして何がしたかったんだよ!?」
巨大蜘蛛が3人に襲ってくる。
ザップ「クソ!無駄に足が多いんだよ!」
斗流血法「カグツチ」刃身の四 紅蓮骨喰!!
炎の斬撃で敵を焼き払う。
鍾離「魔導書を回収出来れば送還できるかもしれんが、近づけん!」
鍾離を槍を振るい攻撃をしているがレオナルドの守りの為離れられずにいた。
その時、突然壁が崩れ瓦礫が崩れそこからクラウス達が
合流した。
クラウス「ブレングリード流血闘術
111式十字型殲滅槍(クロイツヴェルニクトランツェ)!!!」
クラウスの攻撃は蜘蛛の異形に突き刺さった!しかし、その攻撃は障壁があるのか防がれてしまい、
そして、反撃をくらってしまう。
クラウス「ぐわぁああ!!!」ドサッ…………
スティーブン「くそっ、なんて硬さだ」
スティーブンは氷の壁を作り、敵の攻撃を防ぐ。
だが、敵の猛攻に耐えきれずに破壊されてしまう。
クラウスは敵に殴りかかるがダメージは通らない。
スティーブン「まずいな、このままじゃジリ貧だ…」
クラウス達が合流したが魔導書の守りが堅く攻めあぐねた。
鍾離「俺がやつの動きを止めるその間に魔導書を回収してくれ!」
そして鍾離は元素爆発を発動した。
鍾離「天理長駆!!」ゴゴゴゴゴゴ!
頭上から降ってきた隕石の攻撃に異形は石化した。
ザップ「はぁ〜?!まじかよ、知ってたけどまじかよ!!」
レオ「実際に見るとやっぱりありえないですよ、これ!」
レオナルドは驚愕しながら魔導書を回収し事件は終結した…。
その後ライブラオフィスにて…
クラウス「ふぅー、今回の事件も大変だったな」
スティーブン「全くだ、まさかこんなことになるとは思わなかったぞ」
スティーブンはため息混じりで言う。
スティーブン「あの術者はエンジェルスケイルの記憶を再生して製法を再現しようとしたみたいだが場所が悪かったんだ…。そこは以前堕落王フェムトが合成生物を暴れさせた跡地でリソースが足りずに自分が生贄になったんだ…。」
そうしてスティーブンは話を締めくくった。
クラウス「そういえば鍾離殿達は何処に?」
スティーブン「あぁいつもの店に食事に行ったよ。」
ここは「ダイアー」レオナルド達の行きつけの店である。
ビビアン「へぇ~レオにこんな顔がいい知り合いがいたなんてねぇ。」
レオ「いや知り合ったの最近なんすよ!ここを紹介しようと思って…。」
鍾離「鍾離という。食事はとても美味かった、また来させて貰いたい。」
鍾離はハンバーガーを初めて食べたがモラミートに少し似ていると思っていた。
こうして鍾離はヘルサレムズロットでの生活を始め璃月に帰る方法を探す前に異界の食事を楽しんでいたのだった…。