自称凡人が参戦する血界戦線!   作:『 』を応援するテト

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前回に引き続き血界戦線の原作沿いになります。
内容はとある執事の電撃作戦です。



自称凡人と包帯執事の電撃作戦。

ザップが起こした地下闘技場事件から数十日後の事…

ライブラオフィスの通用口にて、

ギルベルトとレオナルドが食料品の荷受けをしていた。

配達員「ネメシスコーヒー2ガロ、ミストミルク4ギットル、ゼスタロパスタ1.8㎜6パック3ガロ、ギルティペッパーひと缶、眼球タマネギ1ガロ、鬼角人参1ガロ、髑髏ポテト3キロ、胎児キャベツ2ガロ、Dr.ゲロッパー1カートン、13UP1カートン、濃縮レバー18ガロ。」全ての品が揃っているのを確認するとギルベルトがサインをする。

ギルベルト「はい、お疲れ様。」

配達員「まいど~」

レオ「ギルベルトさん、これこっちでいいんスかね?」

ギルベルト「ああ大丈夫ですよレオナルドさん。それは私がやりま……」

ギルベルトがレオナルドに声を掛けている途中、ギルベルトが押している荷物に巨大なスカイフィッシュ?が激突する!

どぐしょへ!!!ギルベルト「す」『ポキ。』

レオ「ギ、ギルベルトさぁぁぁぁぁん⁈」

ーーーーーーーーーーーーーー

その頃鍾離はこちらの世界の骨董品や価値のあるものを見聞きする為に主にテイワットで見られない品を探していた。

鍾離「……。H・Lの品々は俺の理解が及ばない物もたくさんあるな。」

鍾離は店先に展示されているなんだかよくわからない造形の壺?瓶?を見ながらそうつぶやいた。

鍾離「この品…何らかの術に使用された形跡があるな、だが既に術に適さなくなって売りにだされたか…。こちらの置物は欠けてしまっているが強い氷元素を発生させている、異界産であるなら製造過程でなにか施したのだろうな…。この品が完全な状態であればかなりの価値になっているだろうに。」

異界人店主「兄ちゃん見る目あるなぁ~。兄ちゃんが指摘した商品は全部そんな感じの理由とかいわくつきの商品だぜ?特別高い品はうちは扱ってないってのに元々価値がある品しか手に取ってねえ。」

店主は鍾離の見識をみて驚いていた。店に並んでいる商品は大量生産品や中古品が多いうえに値段表記もされていない中、正確に高価な商品の元々の価値を言い当てていたのだ。

鍾離「俺は沢山の芸術品や書物を見てきたが、この場所では通用しない事があるからな。まずは勉強しようと思っているんだ。」

店主「あんたそんだけ分かるなら俺は十分だと思うがな…。で、買ってくれるのか?」

鍾離「この置物を貰おう。」

店主「んじゃ500ゼーロな。」(日本円で約6万程です。)

鍾離が代金を支払おうと財布を出そうとしたが…

鍾離「………?すまない財布を忘れたようだ。」

店主「うちはツケはやってねェぜ、それとも体バラして払うか?」

鍾離「……支払いはこれで頼む。」

鍾離はスティーブンに渡された魔法のカード(クレジットカード)は持っていたのかカードで支払う。

クレジットカードを渡された当初はなぜカードで支払いができるのかと思っていた鍾離だが、後から支払い請求がスティーブンに行くのだとレオナルドに説明された。一応現金も渡されたが相変わらず財布を忘れている…。

今までもモラを忘れては往生堂やタルタリヤが支配人をやっている北国銀行に支払ってもらっている鍾離。

まだ勉強中の為高い買い物をすまいと思っているようだが既に十分高い。

スティーブンが徐々に上がっていく金額について鍾離に問いただす時はいつか来るだろう…。

置物の支払を済ませた鍾離はライブラのオフィスへと向かった。

 

ーーーーーーーライブラオフィスにて

朝方の事故により首にコルセットをつけているギルベルトと言い合いをするザップ、レオナルドがいた。

ザップ「だからスカイフィッシュはカメラに映った残像なんだって‼」

レオ「そりゃアンタが肉眼で見てないから言えるんだよ~ウェ~ン‼」

ギルベルト「ご心配をおかけしましたね皆さん。何大した事はありません、私はこの通りウッ…‼」

2人「「あーあー、あーあーあー」」

2人が心配しているとギルベルトの携帯が鳴った。

ブブブブブブ、スチャ。

ギルベルト「…はい。」

???『お久しぶりですね、ギルベルト・F・アルトシュタイン。』

ギルベルト「これはこれはキャスリーン・ベイツメイド長、ご無沙汰しております。」

キャスリーン『聞く所によると貴方随分な大怪我を負われたそうね。』

ギルベルト「?はて何を仰っているのか私にはさっぱり。」

電話の向こうでキャスリーンは微笑んだ。

キャスリーン『下手な芝居はおよしなさい、クラウス坊ちゃまは隠し事の出来る方ではありませんでしょう。』

ギルベルト「…‼直接お電話をされたのですか⁉」

キャスリーン『ラインヘルツ家のメイド長として当然の事、勝手ながらヘルプの人材を派遣いたしました。』

ギルベルト「何と…‼」

キャスリーン『我々の仕事は完璧が旨、それでは宜しくごきげんよう。』

ギルベルト「………………‼」

話が終わったギルベルトが啞然としていると、鍾離がオフィスに帰ってきたが大怪我をしたギルベルトが目に飛び込んだ。

鍾離「⁉どうしたんだギルベルト殿その大怪我は…‼」

 

ーーーーーーニューアーク国際空港

ヘルサレムズ・ロットの目と鼻の先にある空港に一人の男が飛行機から降りてきていた。

???「嗚呼ヘルサレムズ・ロット、何と異様な街なんだろう…。」

???「うおおおおおおおおおおお‼やってやるぞおおおおおおお‼」

ラインヘルツ家特殊執事部所属ー

      『フィリップ・レノール』来日ーー

ライブラメンバーにギルベルトが派遣されてきたフィリップを紹介していた。

フィリップ「フィリップ・レノールです‼どうぞ宜しく‼」ズバ!

とても大きな声でフィリップは自己紹介をした。

レオ(なんか超声デカイ人来た…‼スゴイ圧の人来た…‼)

ギルベルト「レノール氏には補佐の形で入って頂きます、御用向きがある場合は従来通り私にウッ…!」

2人「「あーあー、あーあーあー。」」

クラウス達が心配してギルベルトに駆け寄る。

フィリップ「大丈夫ですかミスタ・ギルベルト‼」

ギルベルト「大丈夫です、大丈夫です。」

レオ「いや全然大丈夫じゃないですよね?程遠いですよね?」

フィリップ「ミスタ・ギルベルト‼補佐と言わず全ての業務をこのフィリップにドンとお任せを‼キャスリーンメイド長はそのつもりで私を派遣されました‼その為のコンバット・バトラー(以下C・Bと表記)です‼」

またも大きな声で喋るフィリップに近くで聞いたザップは少し耳を抑えていた。

ザップ「声でけえなー」

鍾離「かなり勢いのある御仁だな。」

フィリップが言ったC・Bについてレオナルドが聞き直した。

レオ「え?何…?」

フィリップ「何ってC・Bです。」

レオ「…戦うんすか?」

フィリップ「ええ、必要とあらば‼」

そうして派遣されてやってきたフィリップはギルベルトの代わりに日常業務を開始した。

 

クラウスがパソコンで業務をしていて一息つこうとギルベルトに声を掛けようとしたが、

クラウス「ギルベルト、お茶…」

フィリップはクラウスが声を掛ける途中に紅茶を準備してクラウスに提供する。

フィリップ「失礼いたします。」

クラウス「!………。」

用意された紅茶をクラウスが飲むと気に入ったのかそのまま一息ついた。

スティーブン「紅茶をか⁉あのクラウスが⁉ギルベルトさん以外のを⁉この前の鍾離の紅茶に引き続き2人目か⁉」

チェイン「………………!」こくりとうなずくチェイン。

スティーブン「…こりゃあ相当だぞあの男、さすがラインヘルツ家直接派遣。」

ドタドタドタドタドタ…バターーーーン‼

慌ただしい足音と共にドアが開き左腕に大怪我を負ったザップと心配するレオナルドとソニックが駆け込んで来た。

そんな大怪我を負っているザップを見たチェインはザップの頭目掛けてお盆を振った…。

チェイン「たあ~っ‼」パゴクン!

レオ「何で⁉」

チェイン「ゴメン‼今のは悪かったわ‼弱ってたから…つい…‼」

床に倒れこんでいるザップに駆け寄るレオナルドとソニック。

レオ「ザップさんしっかり‼」

(いやーもの凄いな何一つ理解できないぞ…‼)

そんなやり取りをしているとフィリップが救急箱を持って駆け寄ってきた。

フィリップ「医者を呼びました、到着まで応急処置をしますね‼」

てきてきぱきぱき。

レオ「お、おお~…。」

色々な事が起きながらフィリップは有能な仕事ぶりを見せていった…。

ーーーーーーーーーー

半ば休暇状態のギルベルトはザップ、レオナルドとモ○○ンをしていた。

鍾離はゲームのやり方がまだわかっていないので傍で見学している。

カチャカチャカチャカチャ。

ギルベルト「何と、それは素晴らしい。さすがはベイツメイド長、性格は少々強引だが仕事に対する目に狂いはありませんな。」

ザップ「何呑気な事を言ってるんすか、専属執事の座を奪われちゃうかも知れないんですよ?」

ギルベルト「はっはっは、それは困りますなぁ。」

レオ「全然困ってるふうに言ってないじゃないですか、穴しかけまーす。」

鍾離「む?先ほど見た場面と似ているなそろそろ移動するのではないか?」

ギルベルト「より良い仕事の為になるならそれもひとつの選択です。おっと鍾離様大正解です対象T-2に移動してます、宜しくお気を付けて。」

ギャキエエエオオン

ギルベルト「お、はい尻尾落としました、剝いじゃって下さい。」

レオ「おおお‼」

ザップ「いけいけいけいけ!ウヒョウヒョウヒョウヒョ!」

レオ(ギルベルトさんは不思議な人だ。何というか起こるがまま、起こされるがまま、何かと衝突した所を見たことがない。

もうそれは言っちゃうと存在感がないレベル。ホータイグルグル巻きなのに居ても居なくても分からないぐらいいつもスッとそこに居る。ホータイグルグル巻きなのに。)

 

ーーー翌日

レオナルドはフィリップを連れて街中の案内と注意点の説明をしていた。

ブシュァァァ、ぞろぞろ

レオ「あっちが『永遠の虚』方向です。グイグイ落ち窪んでく割には抵抗なく進めますが近寄り過ぎるのは禁物です。公共交通機関でも赤文字で行先表記されてる所は生還率33.33パー割るって事ですから乗らないで。」

フィリップ「凄いですねレオナルドさん‼H・L…聞きしに勝る場所だ、本当に今までよくぞ生き残られました!」

レオ「いやいやいやいや、言うてもどこもかしこもそこまで危険つー訳じゃないんですよ。路地一本入るとヤバいってのはゴマンとありますけどけっこうフツーの人も沢山暮らしてますし。」

移動しながらレオナルドはフィリップを行きつけの店「ダイアー」に案内した。

からーん

ビビアン「おーうレオ‼」

レオ「ね、ココなんかはフツーの店でしょ?コーヒー美味しいんですよ。」

ビビアン「何々?レオの会社の人?」

フィリップ「あ、私先日からライブ…」

慌ててフィリップの言葉を遮りレオナルドが喋る。

レオ「…パフォーマンスをはじめますよーブルース…。」

ビビアン「そうなの?」

レオ「え?何が?」

ビビアン「いいよ?するんでしょ?ライブパフォーマンス。」

レオ「あ~いえ…その…。」

ビビアン「何だよ、レオもとうとうこの街の瘴気にやられちゃったか…主に脳方面が。」

レオ「すいません全部聞こえてるんスけど。」

誤魔化す様に喋るレオナルドを見るフィリップ。

フィリップ「まずかったですか⁈」

レオ「すいません、ライブラの名前はあまり口にしない方が。」

コーヒー代を払い店を出るとフィリップに説明を始めた。

レオ「けっこう恨み買ったり鬱陶しがられたり警戒されたりしてるんですよね、やっぱり大人しくしていた方が無難です。」

そこへ異界人がレオナルドへぶつかり通り過ぎようとする。

異界人「おっと」

フィリップ「て、いや待ちたまえ‼」

異界人「…何でぇ」

フィリップ「何でぇじゃない‼今彼からスリ取った物を返すのだ‼」

異界人「あ?何を言ってるのかわからねぇな。」

異界人は銃を取り出しフィリップに銃口を向けるが、フィリップは素早く接近し銃を弾き飛ばし足払いをしかけ異界人を投げた。ダン!

腕を絞め上げられた状態の異界人は降参した。

異界人「ま…‼待てっ…‼わかった‼返す…‼返しますから‼」

異界人はレオナルドの財布を置いて逃げ出していった。

レオ「すいません有難うございました。」

フィリップ「いえいえ。」

レオ「いやしかし流石ですね、あの体裁きC・Bの呼び名は伊達じゃないですね。」

フィリップ「これは序の口です重火器の使用まで至らずラッキーでしたよ‼」

レオ「あー…あははは…。」

フィリップ「しかし大丈夫なのですか?あんな事がしょっちゅうじゃ財布と身が持たないでしょう実際。」

レオ「あ、それはですね。」

レオナルドは袖口、靴底、ポケットに縫い付けて隠していた紙幣をフィリップに見せた。

フィリップ「………………。」

レオ「色んな場所に分散させてるんですよ、ちなみに財布はブラフで小銭しか入ってません。」

フィリップ「…つまりレオナルドさんは…盗みに逢うの前提で?」

レオ「はい、トラブってもっと危ない話になっちゃうよりはマシかと。」

フィリップ「………………。」

レオ「ああっ!何か凄く理解出来ないという顔に…‼」

 

ーーーーーーーー

ライブラのオフィスでギルベルトは大量のモニターをコンソールで操作していた。

フィリップ「ミスタ・ギルベルト‼」

フィリップに声を掛けられたギルベルトはコンソールを隠し棚の中へ収納する。

カチャ、ズゥーㇺ。

フィリップ「また隙を見てお仕事されてましたね?お体に障ります、安静になさって下さい。」

ギルベルト「あはは、いや…ありがとう。」

フィリップ「✧……今のは⁉」

ギルベルト「ほっほっほ凄いでしょ?私個人の作曲用シーケンサです。」

フィリップ「まさか!隠さなくてもいいではないですか、ライブラの指令伝達システムですね?ニコニコ」

ギルベルト「……まあそうですが、そんなニコニコされてもこの仕事は貴方に任すことは出来ませんよ?」

フィリップ「何故ですか⁉すぐに覚えてみせます!」

ギルベルトは真剣な眼差しでフィリップに告げた。

ギルベルト「そうじゃなくて危ないんです。」

フィリップ「は?」

ギルベルト「ライブラの全貌を知れば貴方の脳に億単位の価値が付きます。人間人外問わず魑魅魍魎の犯罪者や私的公的機関が貴方を追い回すでしょう。」

フィリップ「ならば退ければいい!その為の戦闘訓練は受けています!」

ギルベルト「まさか、連中が本気になれば人界の技などほぼ通用しませんよ。重戦車の中の特殊部隊が心臓だけ抜かれて見つかる街です。」

フィリップ「……力不足…ですか。」

ギルベルト「いかにも。」

フィリップ「……理屈が通りませんね。」ギルベルト「?」

フィリップ「この町で私が力不足なら貴方はどうなのですか?レオナルド少年が出入りしている理由は?私を排除したければそう仰ればいい!現在の職にこだわって居る様にしか見えませんな!」

言葉を言い放ったフィリップはハッとした表情をしギルベルトに謝罪した。

フィリップ「…ッ‼あ…失礼しましたッ‼」

ギルベルト「いいんですよ、君のその真っすぐさは美徳だ。仰る事も理解できます。だが正面からぶつかる事が闘いの全てではない。」「レオナルドさんと一緒に行動してその様子はいくつか目にされたのではないですかな?そしてどうか信じて頂きたい、私とて単なる虚栄心でこの場に居座っている訳ではありません。見た目以上に厄介なんですよこの爺は。」

「‘’殺しても奪い取ろうとする者‘’に対しては特にね…。」

 

ーーーどこかのバー。

ダン!

フィリップ「全く‼」

女「

やだもー怖いー一体全体どうしちゃったんですかぁ?」

フィリップ「あ、いや…申し訳無い。」

女「きゃー何か真面目ーかっこいいー。でもあんまり溜め込んでもいい事無いんですよー?飲みましょう?あたしバカだからちょっとマズイ愚痴とか言っても大丈夫だよ、覚えてられないの‼」

女の言葉に気を良くしたフィリップは酒をどんどん飲んでいく。

フィリップ(ずっと憧れだった、伝説のC・B『ギルベルト・F・アルトシュタイン』。私がラインヘルツ家に召し上げられた時彼は既にヘルサレムズ・ロットに渡った直後だった、三男のクラウス・V・ラインヘルツ氏と共に。)

(世界の均衡を守る秘密結社ーーー侯爵の血を引くもの自らそんな現場の赴く事を疑問視する声もあったが、護らねばならぬものとそれを為せる者が限られている以上これこそがまさにノブレス・オブリージュ〈高貴に付随する義務〉だろう。

…手助け出来るものと思い込んでいた、だが現実は…)

フィリップ「…くそッ」

そのままフィリップは眠ってしまい酒場だと思っていた場所がどんどん形を変えていき終いにはフィリップを飲み込んでしまった。

???「やったか。」

???「…ああ。」

昼間の異界人「存外あっけなかったな、お前を使わずに薬で眠らせれば良かったか?」

飲み込んだ異界人「ケッ…シケた野郎だ。いいかボコボコにされた相手を指ひとつ動かさず拉致出来んだぞ贅沢を言うな。待っとけ今脳の中覗いてやる、一族野党までなぶり殺そうが自由だぜ。ケケケケ」

グチョグチョ

飲み込んだ異界人「…オイ…オイオイ。オイオイオイッ‼オーーーーイ!!!この男ライブラの関係者じゃねえか‼冗談じゃねえ俺は降りるぞ‼」

昼間の異界人「何だと…⁉どおりで…‼…いや…吸え‼もっと情報吸え‼」

飲み込んだ異界人「嫌だよヤバいよ‼」

昼間の異界人「ライブラに恨みを持ってる奴らはゴマンと居る、売っ払うんだよ‼高値で‼」

 

ーーー翌朝

フィリップ「お早うございます。」

スティーブン「…お早うございます。」

ザップ「チース。」

レオ「ざやーす。」

チェイン「……。」ぺこり。

鍾離「おはよう。」

そのままフィリップは奥の部屋へと進んでいった。

隠し棚のコンソールを操作しようとした時!

ギルベルト「お待ちを。そのコンソールに触れる事は許可していない筈です、今すぐ離れて下さい。」

ト…ト…トト…トト…

ギルベルトは声を掛けながらフィリップの背中に触れモールス信号で問いかけた。

ギルベルト『何かありましたね?何者かに脅されている場合は左手で顔を触って下さい。』

フィリップは覚悟を決めたかの様な顔をして左手で前髪を上げるとそこにはあるべき目が無く杜撰な手術痕があった。

ギルベルト『脳抜き…。これはまた厄介な技に引っ掛かりましたね、あなた自身(脳)はどちらに?』

『…といっても分かりませんか。…コンソールに座って今から貴方にアクセス権を与えます。』

フィリップ「…………‼」

ギルベルト『…自然に‼』

ズウーㇺ、スチャ。カチャカチャカチャカチャ…。

ギルベルト『構いません、慌てず文字を追って。』

 

ーーー某所倉庫街

そこに機械に繋がれた瓶付のフィリップの脳があった。

異界モブ1「ウッハァ!!来たぜオイ!!ライブラの情報〜!!」

モブ2「こりゃあ大事件だぞ、奴らが本当に怖えのは全体像が全く掴めえ事…!!それを俺らが握りゃあ売るも潰すも自由自在よ…他の勢力に流してイイ感じに殺し合わせれば二重に大儲けだ!カカカカカカカ‼」

ブン!フィリップ「カ!?」

突然フィリップから送られて来ていた映像が途切れた。

モブ3「…あ⁉」

モブ1「…何だァ⁉」

映像が途切れたのはギルベルトがフィリップ(体)を気絶させた為だった。そこには突然呼び出され冷や汗をかいているレオナルドもいた。

ギルベルト「…脳抜きの遠隔操作が途切れるのは珍しくない、その間本体脳に納められた情報も吸い上げる事は不可。お願いしますレオナルドさん『神々の義眼』で彼の脳を追尾して下さい。」

レオナルドはフィリップの顔を覗き込んだ。

レオ「うわぁ雑な手術だなぁ…、でも対になってる片方の目を残したのは失敗だったな。」

キイィィィィン。

クラウス「私が往こう✧」

ギルベルト「ご遠慮下さい坊ちゃま。」

クラウス「……‼」

ギルベルト「彼の立場になってお考え頂きたい。自らのせいで主の手を煩わせてあまつさえ危険にまで晒したとなれば、彼は一生その惜念と共に生きてゆかねばなりません。」

ギルベルト「ご心配なく彼は必ず奪還いたします、これは確定事項です。」

様子を伺っていた鍾離はクラウスと話し終えたギルベルトに声を掛けた。

鍾離「ギルベルト殿、俺は同行しても構わないだろう?彼には俺も世話になっているからな。」

ギルベルト「鍾離様…、お願いいたします。」

そうして地下にある車にフィリップ(体)を運び込み乗車しているとザップが割り込んできた。

ガチャ、バタン!

レオ「わ⁉ザップさん‼」

ザップ「水臭えな、こういう時は言ってくれねえとギルベルトさん。」

ギルベルト「…申し訳ありません、丁度お声をおかけしようと思っていた所です。」

レオ「なんだよ~‼カッコつけてるヒマがあるならフィリップさん運ぶの手伝ってくれよSS(シルバーシット)先輩~‼鍾離さんは何も言わずに手伝ってくれたんだぞ~‼」

ザップ「アレー?何だコイツ死にてえのかなコイツー。」

鍾離「二人とも俺を間に挟んで喧嘩をするのはやめてもらえないか…。」(座席の真ん中になってしまった)

そうしてメンバーを乗せギルベルトは車を発進させた。

ドギャギャギャ!

 

ーーー工場内

映像が長く途切れている事に異界人はキーボードを乱暴に叩いた。

ガチャン‼

モブ3「ダメだこりゃあ…‼おそらくバレてる…‼どうする!?コイツもう殺っちまうか…⁉」

そうしてフィリップ(脳)に銃を突きつける異界人。

モブ2「バカヤロウ一部でも虎の子のデータが入ってるんだぞ‼それに一体いくらしたと思ってるんだ…‼」

凄腕異界人「……大丈夫さ…『脳抜き』の遠隔操作はトレース不可だ、どうという事はねェ。」

フィリップは気絶している最中絶望していた…。

フィリップ(…もう駄目だ…。まさかこんな事が起こるなんて想像の外だった…、ミスタ・ギルベルトの言葉は正しかった。)(僕はこのまま放置されて化け物どもに殺されるだろう、文句は言えない。いやもしかしたらライブラそのものに消されるのかも…どっちにしろ『ジ・エンド』だ…。)

フィリップ「…う…う~ん…」

モブ1「目が覚め(回線が回復し)た‼」

目が覚めたフィリップの目には中指を立てるゴーグルをした

レオナルドが映っていた。

モブ2「なんだこのガキは?」

モブ3「おい!邪魔するとおまえ自身が吹っ飛ばされると言ってやれ‼」

異界人たちが騒いでいるうちにギルベルトが喋りだした。

ギルベルト『聞こえますか?荒くれもの(バットアス)達、貴方がたには3つの選択肢があります。』

①今すぐ彼の脳を開放してその場から立ち去る。

②我々と戦い彼の脳を奪還される、これは決着がつくまで貴方がたに犠牲者がでます。

③貴方がたが彼の脳を破壊する、その選択をした場合貴方がたは皆殺しになります。

異界人たち「「「「………。」」」」

ギルベルト『これは脅しではなく一人の例外もありません、全員探し出して八つ裂きにします。…私は①をお薦めいたします。』

ギルベルトの話を聞いた異界人達は一斉に笑い出した。

どっ!

モブ1「ひゃーーーっ‼…おっかねえーーー‼」

モブ2「こんなにデカイ口を叩いた奴は初めてだ!」

モブ3「お花畑にも程があるぜジジイ!返り討ちにしてやるから早く来い、来れるもんならな!」

ギルベルト『①番を捨てるのだな、愚か者どもが。』

普段聞いた事のない恐ろしいギルベルトの声が響いた。

ギルベルト『私は警告した、命乞いは聞かぬぞ…。いいか貴様らは私を怒らせている。』

『我が同胞拉致・改造した罪、貴様らの臓物と血で贖って貰う。繰り返すぞこれは脅しなどではない、確定事項だ。』

ギルベルトの宣戦布告を聞いた下手人達は部下たちに大量の武器を構えさせ待ち構えた。

レオ「あそこです!あの工場…!」

レオナルドの言葉に目標を定めたギルベルトは車の武装を展開させる。

バシャ!ジャキ!ジャキ!ジャカ!

レオ「…⁉マジ⁉ノーブレーキ⁈」

そのまま工場の扉へとノンストップで進んでいく中で、次々と武装が火を噴いていく!

 

ヴィセラルインダストリ製プラズマカッター!! 

 

こちらのカッターで扉を切断。

パギャン‼

工場内に突入すると、

 

ベセスダファイアアームズ製デスカリバー50!!

 

ガトリング砲から銃弾が手下達をハチの巣にする!

ドシャン!

ザップが血法をノズルを通して車外に出し巨大なブレードに形を変え、そのまま車体は旋回し周りにい手下たちを一刀両断する。

後ろから銃を撃ってこようとしていた手下たちに鍾離が元素スキルの石柱を横一直線何本も発生させて壁にする。

鍾離「気にせず進んでくれギルベルト殿。『難攻不落‼』」

ギルベルト「助かります…!」

ザップ「どっちだ…⁉」

レオ「右です‼」

レオ「あった…‼あそこです‼あの2階…‼」

ギルベルトはレオナルドが指示した場所へプラズマカッターを発射する。

ヒュヴパァン!!

プラズマカッターが命中し、部屋が崩れ落ちていく中フィリップ(脳)を発見したザップはブレード状にしていた血法を腕の形にして伸ばすがあと一歩の所で凄腕の異界人に奪われてしまう。

ザップ「くそッ‼」

そのまま凄腕は窓から飛び出し同時に出てきたトラックの上に飛び乗る。

凄腕「はははははは!」

異界人は高笑いしながら逃走しようとしてる。

ザップ「済まねぇ。」

ギルベルト「仔細ありません。」

フィリップは脳が入っている瓶を振り回されている為かなり息が上がり顔が真っ青になっていた。

フィリップ「はっ…はっ…はっ。」

レオ「大丈夫です、フィリップさん。僕ら地獄の底まで追いかけます、見失うことはありません。何より…こんなおっかないギルベルトさんを見るのは初めてです。」

バイクで追跡してきていた手下達にギルベルトは車を操作し一瞬標的を定め武装で撃ち抜いていく。

ドタタタタタタタ!ドガァアン‼

だがそれでも後ろから大量に追ってが来ていた。

鍾離「後ろからの追ってはそろそろ終わりにして貰おうか…。『天道万象‼』」

鍾離の神の目がひと際輝き追手に向かって隕石が落下していく…!

異界人たち≪ええええええええええええ!!!嘘だろう⁈≫

追手達に隕石は直撃し大量の石像が立ち並んだ。

ザップ「…えげつねェ、隕石…。」

レオ「…最近見て無かったけどやっぱりやべェ、隕石やべェ…。」

フィリップ「…………。」

鍾離(旅人とパイモンにも隕石やばいとよく言われているが、そこまでやばいのだろうか…。)

非常食『当たり前だろ⁉』旅人『どうしたのパイモン?急に叫んで…。まだ食べたりない?』

テイワットの稲妻城内にて団子牛乳を飲んでいた相棒兼非常食が何かの電波に反応していたとさ…。

ギルベルト「…ですがこれで後続は気にならなくなりましたね。」

だが前方で逃げている凄腕がトラックからミサイルを発射しようとしていた。

凄腕「まだるっこしいわ‼全弾発射だ‼」

レオ「何すかあれえええ‼」

レオ、ザップ「「わわわわわわわわわわわ」」

ギルベルトはハンドルを操作し車体を斜めに浮かせ飛来するミサイルの間を通り抜けた。

2人「「わわわわわわわわわわ」」

ミサイルは後方で大爆発を起こし車体は難なく着地した。

だが凄腕はさらにつんであったコンテナを崩し落下させて来た。

鍾離「これは⁉シールドで防御しては速さが落ちて取り逃がしてしまう…‼」

ギルベルト「…大丈夫です鍾離様、少し揺れます掴まって下さい。」

ギルベルトはハンドルを右左半分の形に変えると車体もまた変形を始め、

余分な武装や装甲を落としていき車体はスピードに特化したフォルムに変化した。

車はコンテナの僅かに残った隙間を走り抜けた。

ゴガガガガガガガン…。

前方を逃げていたトラックに追いつきプラズマカッターを放った。

パガン‼

レオ「やった…‼…て脳‼脳どうすんすか‼一緒に吹っ飛んで…‼」

レオナルドは視線を上に向けると凄腕が4本の腕で脳を抱えて刃を振り下ろしていた。

【⁉】

振り下ろされた刃はギルベルトを頭から縦に斬れ込みをいれてしまう。

レオ「ギ…ギギ…ギ、ギルベルトさああん!!!」

ザップ「!!…」

鍾離「‼…」

凄腕「カヒッ…」ニタリ

だが頭から斬られたはずのギルベルトはしゃべりだした。

ギルベルト「勝ち誇るな三流め。この程度で…私を殺ったつもりか、笑止だな。貴様の斬ったものはせいぜいがこの包帯ぐらいなものだ。」

凄腕「⁉」

凄腕は驚き後ろに飛ぶが、

ギルベルト「再生者〈レゲネラトーラ〉に挑んだ事、地獄で悔いるがいい。」

異界人は車の銃口に撃ち抜かれ落ちてきたフィリップの脳をザップが血法でキャッチした…。

これにて奪還作戦は終了したのであった。

ーーーーー翌日、病院にて

フィリップとギルベルトは入院していた。

フィリップ「そういう力〈再生者〉があるならそういう力〈再生者〉があると仰って頂かないと…。」

ギルベルト「はっはっは、いやすいませんね。」

フィリップ「では…背骨を傷めたというのも何かの芝居なので…?」

ギルベルト「いいえ、これは本当。致命傷の際かろうじての命を繋ぐ為休息再生するだけで後は老人です、じわじわと治るだけです。」

ギルベルト達が会話している横でまたザップ達がモ○○ンをしており、鍾離だけでなくクラウスも観戦していた。

ギルベルト「この街の総合裏医療が無ければ完治までもう何倍もかかっているでしょうなぁ。痛みは続くしそう便利なものでもありません……。でもね、私はこの体をけっこう気に入っていますよ。何故ならクラウス様のお傍で執務を全うできますからね。」

フィリップ「……今回は本当に勉強になりました。何というか強さというのは1種類では無い事を痛感したというか…僕はまだまだです。

ギルベルトはフィリップを優し気に見つめた。

ギルベルト「…時にフィリップ殿。」

フィリップ「はい?」

ギルベルト「貴方なかなかこの街向けの顔つきになれられた。」

フィリップの顔は手術痕を隠すため左半分に銀の仮面を付けていた。

ギルベルト「どうですかな?改めて正式にライブラの仕事に就くというのは。」

フィリップ「いえいえいえいえいえいえ、い~えッ‼」

こうしてフィリップ(脳)誘拐事件は本当に幕を閉じた。

その頃ギルベルトが入院中のライブラオフィスでは…

クラウスが楽し気に食器洗いをしていた、隣では鍾離がお皿を拭いている。

レオ(クラウスさんは誰も居なければそれなりに何でもこなすんだよなぁ…。)

 

ーとある執事の電撃作戦ー終幕。




如何でしたでしょうか?
今回のお話では鍾離先生にはゲーム内では出来ない元素スキルの使い方をしていただきました。
カッコイイと何処か抜けている鍾離先生が好きなんです…。

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