異次元からの客人鍾離はライブラオフィスにて、
レオナルドにある動画を見せてもらっていた。
鍾離「この携帯とやらもすごいがこんなに詳細に当時の記録も残せるのだから異界の技術力はやはり感服するな。」
レオ「いやいや、携帯とかパソコンはこの地球の技術力ですよ。まぁ異界技術も加わってすごいことにもなってますけど…鍾離さんの世界には確か写真はあるんでしたっけ?」
鍾離「あぁ、フォンテーヌという水神が治める国で開発されたものがあってな。あの国では色々な開発を進めている技術者が多い。」
鍾離がレオナルドと一緒に見ていたのはH・Lの3年前の映像だった。
そこにフライドチキンを食べながらザップがやってきた。とても気になる状態で…
ザップ「オウなんだ、随分懐かしいなぁ〜それ。」
レオ「でしょ?最近高画質版がアップされたんで鍾離さんと一緒に見てたんすよ。」
ザップ「おお〜細かく映ってんじゃんタコ足。」
鍾離「このヘルサレムズ・ロットの外にはこのような存在が住みついているのだな…。」
レオ「………………。」
レオナルドは鍾離と一緒に映像を見ているザップのある部分がとても気になっていた…。
元ニューヨーク「ヘルサレムズ・ロット」
一夜にして崩落・再構築され異次元の租界となった街。
地球上最も危険な場所にして異界の境界点となったこの場所には
ゲート以外の外からの侵入を拒むある種の防衛システムのような恐らく生物が存在しているのだった。
ザップは動画を見てからとてもユニークなタコの絵を書いてレオ達に見せていた。
レオ「いや、いやいやいやいや。古代インドか‼」
鍾離「ふむ、とても個性的だな…。」
ザップ「いやでもよ〜?この街の周りって滝みたいになってんじゃん?つか底なしって話じゃん、そこからタコ足だぞ?」
鍾離「H・Lの外はそのようになっているのか?実際に見てみたい気もするが。」
レオ「いや鍾離さんいま気にするとこそこじゃないっす。」
ザップは書いた絵を持って力説している。
ザップ「あながちありえなくもなくねぇか?マジで!」
レオ「……………。この時代にいきなり紀元5世紀の世界観に揺さぶられるとは…。」
そしてようやくレオナルドはザップのある部分についてつっこんだ。
レオ「てゆーかヤバくねぇすかその腹!」
そう、ザップのでっぷりとした腹部に対して…。
ザップ「何がだ陰毛アタマ。」
レオ「いや何がだじゃなくて…。」
鍾離「気にはなっていたが、ここ最近かなり不健康な生活をしていたようだか…。」
するとザップのお腹の上にソファと挟み込む様にしてチェインが現れた。
ザップ「あだだだだだだだだだ!?」
突然現れたチェインに鍾離達が驚いているのをよそにチェインはザップのお腹の上から降り振り向いた。
ボイン!くるくるくる、スタっ。
チェイン「素敵メモその一。」
チェイン「ケンダッチーフライドチキンパークアベニュー店店員、アンジェリカ・ライアン。」
チェインはそのままプロフィールを読み上げているがザップが慌てていた…、そしてレオナルド達は察した。
レオ「……そっすか、そういう事すかその腹。」
鍾離「………貢いていたのだな。」
ザップ「テメェふざけんなよ、ストーカーか‼」
チェインに対してザップは叫んだが…
チェイン「失敬な、あたしは友達のアンジェリカから変なエロチンピラに絡まれてるって相談を受けただけだよ。」
ザップ「何!?」
ザップはチェインの言葉にかなり動揺していた。
ザップ「い、いいいいいい犬女、お前アンジェリカたんと知り合いなのか?!めっめめめめめめめメアド‼」
チェイン「教えるかバーカ‼」
興味を無くしたのか動画の続きをレオと見始める鍾離…
またそんな騒ぐ2人を尻目にクラウスとスティーブンは打ち合わせをしていた…。
ザップ「つれねえ事言うなよチェイン様よう〜、そうだそのチンピラ俺が追っ払ってやんよ!」
チェイン「ハァ?!どう考えてもあんたの事でしょうが‼脳みそかき出してグミでも詰めときなさいよゾウリムシ‼」
そんな時ザップは言いようがないような強烈な悪寒に襲われた。
ピキィィィィィィン…ゾクゾク…
ザップ「ん?!」
レオ「何すか?」
ザップ「オ、オウ。さっきから寒気がな…。」
鍾離「風邪でも引いたのか?」
レオ「いやいや、何とかは風邪を惹かないって言いますし。」
ザップ「喧嘩売ってんのか!?」
その側でスティーブンは緊急連絡を受けており驚いた顔をしてザップの方を見た。
ザップ「…?」
スティーブン「いや動物的勘ってやつか、お前やっぱり凄いなと思って。」
ザップ「え?」
疑問に思うザップにスティーブンは緊急連絡の内容を教えた。
スティーブン「たった今牙刈り本部から連絡があった。インドで血脈門の開放を確認との事だ。」
鍾離「血脈門?」
スティーブン「
その頃血脈門を越えて
ーーー
要請を受けたライブラメンバーと鍾離は移動を開始していた。
スティーブン「目標は半身欠損状態まで追い込むも今尚交戦状態のまま移動中、断片情報のみだが精度は高い。」
ザップはバイクで移動しており通信でスティーブンに疑問を問いかけた。
ザップ「何で断片情報何すか、《牙刈り》本部から何でしょ?」
スティーブン「………最初のエンカウントはインド国軍グワーリヤル空軍基地、3時間前に封鎖された。中はグールだらけで手の付けられない状態だそうだ…。」
ザップ「はあ…。目撃者が皆《転化》しちまってんじゃ仕方ねぇか…、しかし基地丸ごとって…。」
スティーブン「あぁ、相手はかなり上位の存在らしいな。滅殺を諦めてクラウスによる封印を敢行するとの事だ。」
スティーブンの話を聞いていたザップはまた謎の寒気に襲われていた。
ゾクッ
ザップ「…?!…そんな大物一体誰が追ってるんです?」
スティーブン「分からん。」
別に移動していたKKから通信が入った。
K「こちらKK、見つけたわ。フラットアイアンディストリクト南パーキッソスビルのカフェ《空中楼閣》よ。」
KKが発見した先ではビル上での激しい戦闘により大量の瓦礫が道路に降り注いでいた…。
ガガガガガガガドドドドゴガァァン!!
HLPD「退避‼退避ーッ‼」
HLPDの機動装甲部隊が一般市民を避難させていると上空から落下してきた物体が隊員の一人に激突し止まった。
それは大きな杖を持った骨の被り物をした恐らく人類種だったが、その人物に向かって襲い掛かってくる者ががおり避難の完了していない一般人とHLPDを巻き込んで戦闘を開始した。
ガン、ドカン、ゴン、バゴン!
K「…あーあ、ちょっとスティーブン先生早くしなさいよ。バケモン同士のじゃれあいだけでポリスーツ(機動警察)がバタバタ吹っ飛んでるわよ…ハッ⁉」
連絡していたKKの目に車内に取り残されて大泣きしている子供と頭を打ったのか気絶している母親がいた。
KK「ちッ!」KKは車に駆け寄り子供に声を掛け助けようとすると、
KK「ドアから離れて‼耳塞いでなさい‼」
ヒュウ!
KK「⁈」
戦闘していた化け物達がKKがいる場所まで接近していた!
戦闘の余波巻き込まれる前に何とか親子を助け出す事ができたKKだが、大量の吹き飛ばされた車が迫ってきていた。
ゴガギコギン!ドドドドドド!
鍾離が元素スキルで発生させた何本もの石柱とスティーブンの氷の壁がKK達を守った!
KK「ドンピシャ過ぎるよなんかムカツク。きっと陰でタイミング測ってたんだわそーなんだわ。あ、でも鍾離っちはナイスタイミングよ!」
スティーブン「あれ、おっかしいな。褒められこそすれ罵倒される流れじゃ無いと思うんだけど。しかもそれ差別だよ。」
鍾離「遅くなってすまない、KK。」
KK「鍾離っちは大歓迎よ‼だ・げ・ど、ま~た~あ~な~た~⁉」
スティーブン「だからそれ差別…。」
ドシャーンガシャーン!
スティーブン「…。さあさあもう様子見も限界っぽいし行こうじゃないか‼ね?KK…‼」
3人の前には全身コートの人物と骨でできた被り物をした人物がいた。
骨の被り物をした人物は下半身が無いようだ。
KK「で…どちらが敵…?あんた半身欠損って言ってたわよね…‼だったら断然アッチでしょ。」
スティーブン「いやでもこの街において見かけで判断するのもどうかと思うんだよKK…‼」
2人がどちらが敵か判断しかねている時鍾離は元素視覚を使い敵を見ていた。
鍾離「…2人ともおそらくコートの男が敵だ。」
スティーブン「その根拠は?」
鍾離「元素視覚で観察した。あの被り物をした人物からはザップと似た元素反応を発している、関係者だと思うのだが。」
KK「う~んレオっち見たいにオーラは見えなくても似たものは見れるんだっけ。」
鍾離「属性が在るものならな、ザップも炎の血法を使うからか炎元素の反応を常に少し出している。かなり集中しなければ見えないレベルだが。」
スティーブン「それってまさか…後で詳しく聞かせて欲しいねその元素の話…。今はともかく…‼」
3人はコートの男に一斉に攻撃を仕掛けたが骨の被り物をした人物は別方向に向かってしまう。
ゴッ‼
スティーブン「え⁈」KK「は⁈」鍾離「何⁈」
ガガガガガゴギャァン‼
3人の攻撃でブラッドブリードは動きを封じられたが、もう一人の人物の向かった先にはザップがいた。
ザップ「ぎゃあああああああ!!!」
鍾離「ザップ⁈」KK「え~⁈」スティーブン「やっぱりそうなのか⁈」
その人物はザップの首元を掴み上げ空中に浮かせていた。
ザップ「カンベンして下さい師匠ォォォォォォォォ!!!」
3人がザップを締め上げている光景に気を取られている間に敵が攻撃機関を自切し脱出してしまう。
3人≪しまった!!≫
鍾離すぐさま2人の前に立ち元素スキルでシールドを張ろうとしていると、下半身のみで攻撃しようとしていた敵を攻撃した人物がいた。
どっん!シャアッ。パリッ!
???『斗流血法・カグツチ「刃身の百壱焔丸__三口」
ゴォ‼
KK「ヒューッ!!…お見事!!」
鍾離「…いやまだ再生している…!」
スティーブン「構えろ2人とも…‼もう数撃見舞うぞ…‼」
だが既に次の攻撃は繰り出されていた。
シャアァ。
???『斗流血法・シナトベ「刃身の弐、空斬糸」
ゴヴォッ!!!キイァァァァァァァァ!!!
鍾離(一人で炎と風の元素反応を…この御仁、相当な強者だ…。)
スティーブン「………伝説の2重属性使い…参ったな本物中の本物じゃないか…。」
ぎゅば!どさッ!
スティーブン「…これは…!?
???「シャシャァ」
ザップ「いかにも、文献でようやく知るレベルだろう腐れ小童どもめ。これが血界の眷属の最終自閉形態じゃ、せいぜいその憐れな大きさの脳に刻み込んでおけ。」
大分ムカつく言葉を発した吊るされているザップにスティーブンとKKは睨みつける。
ザップ「違うんすよ‼俺は通訳してるだけっす‼何ひとつ盛ってないっす…‼」
ーーー
ひとまず他のメンバーも合流し挨拶をする。
スティーブン「お初にお目にかかります”血闘神”斗流血法創始者『
(以下師匠と表記。)
師匠「ジャシャシャシャシャ」
『世辞はいい、一瞬どちらを攻撃するか迷う未熟者どもに言われても価値は無いわ。』
師匠(…まぁ…もう一人いた小童…いや、おそらく見かけだけか…。そちらは気が付いて注意していたようだが…何故人の形をとっているのか…今は捨て置くか…。)
やはりムカつく言葉に思わず
ザップを睨みつける2人。
ザップ「なっ…!!!だから俺じゃないっすよ!!!」
それはさておきスティーブンは話を続けた。
スティーブン「今回の相手、汁外衛殿に於かれましても強敵でありますか。」
師匠『さあなあ、どうであろう。』
スティーブン(全く捉えどころの無い御仁だ。十年単位の行方不明はザラ、その間かなり高位の
師匠はクラウスを見ると話しかけた。
師匠『貴様が滅獄の術式を付与されし血か。』
クラウス「はい。」
師匠『面構えは面白いが長としては未熟だな。』
クラウス「?」
師匠『これを見よ。』
そう言って師匠は血法でぶら下げているザップのでっぷりしたお腹を杖でツツきだした。
ぽいんぽいんぽいんぽいんぽいんぽいん…。
師匠『儂を師匠と呼ぶこの糞袋が鍛錬のタの字も掠らぬ生ゴミとなり果てとる。まるで浅黒く腐った猛毒の餅じゃ、忌々しさを固めて人型にして蛇蝎を埋め込んでもここまで不快なものになるまい。』
なおこの罵倒全てザップが自分で言わされている…。
師匠『節制とは程遠い自堕落な精神状態で日々を無為に過ごさせとるな?こうなっては目も当てられん、惨憺たる有様。ものを食い屁を垂れる分だけ潰された蟲の屍骸よりやっかいじゃ…。』
レオ(うわ~…。ここまでの面罵を自分で言わされてる画ってもの凄いシュールだなー…。)
師匠『という事でこいつは連れて帰る。』
ザップ「…って、ちょ…‼ちょ待てよ‼ジジイ…‼じゃなくて師匠…‼」
ザップのジジイ発言に怒ったのかザップの頭を血法で締め上げお腹を杖でどつく。
ギリギリギリギリ、ドスドスドスドス!
ザップ「ぎゃああああああ‼」
そのまま2人の言い争いが始まった。
師匠「シャアアァ‼」
ザップ「誰が糞虫だ!」
師匠「シャシャシャシャシャシャ、シャアアァァ。」
ザップ「修行だなんてとんでもねぇ‼」
師匠「シャアアァァ、シャアアアアアア。」
ザップ「有難くなんか思わねーよ妖怪‼ボロ雑巾‼」
ざくざくざくざく。
ザップ「いだいいだいいだいいだい‼」
スティーブン「まあまあまあまあご老体。ザップは確かに度し難い人間のクズですが我々にとって欠く事の出来ない大事なメンバーです。」
ザップ「サラリと出るよね本心は、言葉に気づかず混じるよね。」
クラウス「どうか、お考え直しを。」
クラウスは師匠に深く頭を下げた。
その様子に師匠はなにか考え込むと…。
師匠「シャアァァア!!!」
ザップ「…え?」
スティーブン「通訳しろザップ。」
ザップ「
ーーー
卵の様な形をした真胎蚕に対して銃弾を連射するHLPDだが…。
ドパタタタ!くわっ、バクン‼
なんと装甲をまでを削り取る反撃をしてきた。
HLPD「うわッ‼」
師匠『今奴は内部で急速再生治癒に入っている、外界からの刺激に関しては超反射攻撃で反応。とてもじゃないが運ぶ事すら出来ない。』
ザップ「『このめまぐるしく動く眼球のような器官が6個同時に射抜け』ってアンタ…!」
師匠「シャキギクアア、シャキアアア。」
ザップ「それで大人しくなるって簡単に言うけども…コンマ1秒でもズレたら?」
師匠「シャシャシャキアアア、シャシャアアア。」
ザップ「良くて両腕切断、最悪足首しか残らない…。じゃねーだろ馬鹿かアンタ。」
師匠「シャアッ!」ピッ、バキン!
師匠によってザップと
ザップ「⁈」
クラウス「血の薄膜の…結界…⁉」
ザップ「うう…。」
クラウス「お師匠、やはりどう考えてもこれは度が過ぎています!どうか…」
だが師匠から発生した気迫にぞっとさせられた。
スティーブン(全員が凍りついた、何という気迫…。まあ訳2名全く退かないリーダーと動じた様子のないお客人が居たが…。)
ザップ「…やるぜ、ここまで云うからには師匠にもそれなりの考えがあるってことだろう。」
スティーブン「ザップ…。」
ザップ「斗流血法・カグツチ〈刀身のじゅ…」
ばくん‼
ザップ「う」
ざわッ
ザップは反射攻撃を何とか体を反らし回避したが一気に大量の汗を噴き出した。
ザップ(やべえな、予想以上に…‼)
そうしてザップは今日の寒気の正体に察しが付いた。
ザップ(そうか…寒気の正体はあいつ〈師匠〉だったんだ…。あの野郎は自分の研鑽しか頭に無えから手足の一本や二本無くしても血法で何とかなるから良いとか思ってるし…実際そうしてるし…。)
ザップの心の中で師匠がやらせてきた修行風景が浮かんで来る。
ザップ(つか阿保か‼世捨てとかそう言うレベルを超えてんだよあのデス仙人!!!ああ…俺…またあのド秘境に拉致されんのかな…もうあんな悪夢の満漢全席みたいな修行の日々はゴメンだ…!)
ぐおおおお、やだやだやだやだ…
ザップ(落ち着け俺…‼集中しないと本当にやられんぞ馬鹿…‼)
やだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだ
やだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだ
ザップ(あーゲシュタルト崩壊まで起きてきやがった…。)
そんな極限状態のザップの耳に電話の音が聞こえてきた。
ピルルルルルル、プ。
チェイン「はい、アンジェリカ?」
ザップは電話の内容に耳が大きくなる。
チェイン「うんうん、いや全然取り込み中じゃない。大丈夫ダイジョウブどしたの?え?何?体が火照って仕方がない?今すぐあの銀髪褐色にメチャクチャにされたいそんな状態で色々濡らしてる?」
そのままチェインは色々あれな内容の言葉を話していき…。
チェイン「うーんでも今ちょっとアイツ忙しいんだよいやマジでマジで。これから入院するか鬼籍に入るかするから諦めるっきゃないわ~ざ~んねん。う~んは~いバイバ~イじゃ~~~~ね~~~~~~」
チェインが電話を切ろうとしている瞬間、ザップの思考がとんでもない程の集中力を発揮した。
ドン!!!ブシュー!キイアアアア、しおしお。
ザップは見事に攻勢解除に成功した、あそこをおったてた状態で…。
師匠『見事なり、その集中力儂の熟睡時に匹敵する。認めざるを得ぬな我が一番弟子…。』
スタスタ。
師匠『⁉』
そうしてザップは師匠をスルーしてチェインのスマホに出た。
ザップ「アンジェリカ…今どこだい…?はっはっは、何だい?照れてるのかい?今何時かなんてそんな機械音声で言わなくても時間なんか関係ない世界まで僕らはこれから飛ぶんだ…。」
そうして事実に気づいたザップは拗ねた…。
スティーブン「オラ、拗ねてないで通訳しろ。結果オーライじゃないか、むしろチェインに感謝すべきだぞ。」
レオナルドは真胎蚕を神々の義眼で見たが諱名を読むことが出来なかった。
レオ「駄目っす、全く見える気配しないっす。」
スティーブン「なんだと?諱名が掴めなきゃエルダー級の封印は到底無理だぞ…。」
レオ「そうなんですが…。」
師匠「ギャギャシャシャシャギャキキシャキキ。」
スティーブン「あースイマセン師匠どの、何言ってるか全然分からないんです。」
クラウス「おそらく心臓がここに無いからだ。」
KK「!!なるほど…半身欠損の本体は行動中なのね。」
スティーブン「……おい、ちょっと待ってくれ…それじゃ…ただの千切れた体の一部が俺たちと正面から渡り合ったのか…?」
師匠はうんうんと頷きながらグットサインを出した。
鍾離「…どうやら正解のようだぞ。」
スティーブン「参るな~。」
クラウス「ではその本体は一体今どこに…。」
師匠「シャギキキキギアァ、カギギシャアァァ。」
師匠の言葉に拗ねていたザップが反応する。
ザップ「…⁉何だって?弟弟子⁉連れてくるって…どういう事だ⁉」
ーーー高度4万8千フィート上空。
戦闘機パイロット「防空識別圏の所属不明機に告ぐ!貴殿のコースは転針なき場合、領海侵犯の恐れがある。直ちに識別信号を出すか航路の変更を要請する!」
パイロット「ウォーハンマーよりオペラへまもなく目視距離へ到達……おい、何だあれは…!!」
管制室「オペラよりウォーハンマー、何を見た?報告しろ!」
パイロット「人間だ…。」
ゴォォォォォ…ギリ、ギチ。
パイロットが見た飛行機の先端には上半身だけの生身の男が何かに縛り付けられた姿だった。
パイロット(こ、こちらを見た…。高度4万8千フィート、外気温華氏マイナス67℃、速度900マイル毎時、下半身をもがれた普段着の男がこちらを見た…。縛り付けているあの赤い物は何だ?…血…?!)
飛行機の内部から伸びていると思われる血はある人影?に繋がっていた。
ーーーH・L高層ビル屋内
クラウス達は
ザップ「弟弟子?」
師匠『左様、とは言っても斗流血法・シナトベの正統後継者じゃ。』
チンッ、ガコォン。
師匠『貴様の器が矮小でなければ不要な分派なのだがな。』
ザップ「馬鹿言え。火と風2つの血液を混ぜ合わせねぇで体内循環させ、機に応じて別の血法として遣い分けるなんてえのは人間様のやっていい領域を超えてんだよ。」
師匠『対象の目的は《永遠の虚》中心部への帰還。引き千切られた下半身の回収・合体ともすれば反撃も視野の内じゃろう。』
ザップ「合体?」
師匠『そんな事になれば今度両断されるのは貴様らのうちの何人かじゃ、腹から割かれて生き残る自身が無ければせいぜい頑張る事じゃな。』
ーーー空の上では…
飛行機をロックオンした戦闘機からミサイルが発射されたが血界の眷属により迎撃される。
ドクヮン!!
パイロット「…駄目だ…!撃墜不能…!!ヘルサレムズ・ロットに突っ込むぞ…!!」
ーーー
ザップ「突っ込むってェ!?縛り付けたまま…!?そんな事した飛行物体がどうなっか知ってんのかよ…!?」
師匠『無論、タコ足に叩き潰されよう。だが…そういう相手だ、使えるものは神性存在とて使わせて貰う。』
ザップ「死ぬぜ、その弟子がよ…。」
師匠『……手は打ってある。』
……
ヘルサレムズロットの外が見える被害予想区域ではHLPDが避難を促していたが…
ウゥゥゥゥ〜〜ウゥゥゥゥ〜
“当該区は被害予想区域に入っています。至急移動して下さい。警告無視の際の被害については一切の関知はしません。全て自己責任にて対応して下さい。”
HLPD「オラー!!早く逃げんか馬鹿共!!」
異界人達≪嫌だ‼タコ足が叩き落す所生で見てぇ‼≫
HLPD「……酔っ払いが続々と集まって来ています。」
ダニエル・ロウ警部補「そんなこったろうな。こっちも既成事実が必要なだけだ、ちゃんとムービー撮っとけよ?証拠にする。」
ゴォォ…
警部補「来るぞ…APC(装甲輸送車)に戻れ…‼」
ゴォォォオオオ
飛行機がヘルサレムズ・ロットに接近した次の瞬間!
ぺぎょむ‼
飛行機はタコ足に握りつぶされ先端部分がヘルサレムズ・ロットへ落下する。
クラウス「ブラッドハンマー、GO!」
クラウスの指示で一時釈放中のブローディ&ハマーが動き出した。
ハマー「血殖装甲‼」
飛び出したブローディ&ハマーは落下してくる飛行機先端部分をキャッチし、先端に縛られている
がつん。ハマー「…どうも‼」
航空機B2B(ベリートゥベリー)‼
高層ビルの壁面に思いきり叩きつけた!
クラウス「よし捉えた‼レオナルド君諱名は見えたか⁉」
レオ「まだっす半分しか…‼」
クラウス「そうか。」ガッ
クラウスはレオナルドを抱えるとザップ、鍾離と共に屋上から飛び降りた。
レオ「なっ、ちょ…ええええええ」
クラウスは技を使い壁に足場を作りザップもそれに続き鍾離は風の翼を使い滑空して来る。
クラウス達が穴の開いた壁面に到着すると敵が攻撃を仕掛けてきた。
ビュアッ、ドギンッ‼
敵の攻撃は先に鍾離がシールドを貼っていた為防がれた。
ブラッドハンマーの叩きつけによりミンチの状態になっているが既に再生を初めていた。
ズズ、ズズズ…。
ザップ「おおう…酷えな、潰れた頭蓋を再生しながら攻撃か。」
レオ「やめてくださいよ‼僕今からそっち見なきゃなんないんすから‼」
鍾離「…いや…もう見ても大丈夫だぞ少年、何度みても驚異的な再生速度だ。」
ザップ「逆再生の早回しかよ…。」
敵は再生が終わりクラウス達を見て挑発してきた。クイクイ…
ザップ「どう出る…?」
クラウス「うむ、まずは諱名。確認終了と同時にレオを安全圏へ。機内の”彼”は無事だろうか?」
ザップ「分からねぇ、
血界の眷属の諱名を確認していたレオナルドは同時に機内に人物?のオーラも視認していた。
レオ(何だ、あのオーラの色は。中に居るのは人間なのか?)
クラウス「急いで慌てず確実にだ。」
レオ「…はいっ!」
ほんの少ししてクラウスの携帯から着信が聞こえた。しゅーくほう!
敵「?…その子供からか…。」
違和感を感じたのか
ドンッ!ピタ。
KK「…ビンゴ‼」
敵がKKの狙撃により動きを止めた瞬間ライブラメンバーが行動を始める。
師匠『ほう。』
ブラッドハンマーはレオナルドを戦場から離脱させ、残りのメンバーは戦闘を開始した。
師匠(ふむ…打ち合わせ無しの同時行動、互いの能力を熟知した上で最も効果的な役割を各自が選択するとは。なかなか…)
ザップは飛行機の残骸に向かい弟弟子を救出しようとしていた。
ザップ「待ってろ、今出してやる!」
ザップ(13時間も化け物とサシとか洒落にならねぇ、こいつもあのボロ雑巾の犠牲者だ。)
だが駆け寄った残骸から切れ込みが入っていく。
ザップ「⁈」
バカン、ガドシャン!
弟弟子「下がっていて下さい人類(ヒューマー)」
ブーーー!!
ザップはでできた人物?に向かって思いっきり吹き出した。
じと~。
ザップ「……いや済まねぇ。…半魚人それも闇雲にスマート。」
そして我慢できなかったのか大笑いし始めた。
ザップ「つかマジ半透明!あの質感…くず餅か、ジャパニーズスイーツくず餅か!やべぇツボったwちょまじやめてwww」
ガン!
弟弟子「失ッ…敬だな!!君は!!」
ザップ「…サーセン。」
ゴギン!ザザザザザ…。
敵「…残念、殺せなかったか。」
弟弟子「全く、余所見をしていたら命落としますよ。」
ザップ「そりゃこっちのセリフだ出落ち野郎。」
弟弟子(この刃の形…我が斗流…「彼」がそうなのか?)
ザップ(シナトベも刀身の基本は変わらねぇらしいな、綺麗な三叉槍だ…。三叉…さかなクンが…何突こうってんだ?パパとママか?)
ザップ「プフォw」
弟弟子「……。」じと~
そんなやり取りを見ていた血界の眷属はかなりの殺気を放ってきた。
ズヴ、ビリビリビリビリ…
弟弟子(下半身断裂、人間なら即死。そんな躰で「牙狩り」の精鋭相手に連続十数時間戦闘、さすがに「削れて」いてくれないものか今心からそう思う。)
ニヤリ
師匠『来る』
血界の眷属は天井に向けて膨大な力を放ちビル屋上まで貫通させてしまった。
屋上に待機していたスティーブンと師匠は貫通した竪穴に落下していく
弟弟子(動いた…!!)
弟弟子「斗流血法・シナトベ『刀身の伍、突龍槍』_空斬糸」
弟弟子(師匠…とどめです、どうぞ「劫火」を、完全体となる前に…!!早く…!!)
だが師匠は動かなかった。
弟弟子(…⁉師匠ーーー⁉)
そして血界の眷属は遂に合体を果たし完全体となってしまう。
弟弟子(駄目だ、全員、死…)
だが血界の眷属は突然凍り付いた。
バギン…キィァァアアア!
それはスティーブンが既に技を発動させていた為だった、そして…
ザップ「…チッそういう事か。」
ザップが血界の眷属に刀身を投擲する。
ザップ「先に言っとけ雑巾ジジイ!!」
ザップ(オラ…!!ボサッとすんな!!)
弟弟子(…言われなくても…‼)
ザップ「斗流血法・カグツチ『
弟弟子「斗流血法・シナトベ『
2人の攻撃は一気に血界の眷属を焼き尽くしたがまた超速再生していく中、クラウスがシールドを纏って突貫してきた。
攻撃をするもシールドによって阻まれクラウスは諱名を読み上げる。
クラウス「エルウエル・ルカンド・ロソ・ティエトカゥア・ギ・ムルムハヴァト」
貴公を『密封』する‼
クラウス「ブレングリード流血闘術・999式
(…許し給え 憎み給え 諦め給え 人界を守る為に行う我が蛮行を。)
ーーー
ファンファンファンファン…。
スティーブン「ようし撤収だ。各自解散しポリスを攪乱した後『執務室』に集合、ザップお前はお師さんをお連れしてくれ。」
ザップ「ええッ⁉」
師匠『良い、儂はもう去る。』
ザップ「___みたいすよ?」
スティーブン「そうですか?十分おもてなしも出来ず申し訳ありません。」
師匠『気にするな端から期待してはおらん。だが貴様らは対”
そう話ながら師匠はブローディ&ハマーと会話している鍾離の方を見た。
鍾離「初めまして、俺は鍾離と言う。」
ハマー「こちらこそ初めまして!ドグ・ハマーです。こっちはデルドロ。」
ドグの手首から血が噴き出して細長い小さい顔を形作った。
デルドロ『おい、ハマー勝手に自己紹介してんじゃねぇ!』
ハマー「でもデルドロ挨拶は大事だよ、僕たちは滅多に外に出られないんだから。」
鍾離「…失礼だが血液が意思を持っている、いや人間が血液にされてしまっているのか?」
ハマー「そうなんですよ、なんか偏執王アリギュラっていう女の子に僕ら改造されちゃって。」
デルドロ『お前この間襲われて迎撃したってのにもうそんな反応かよ…。』
鍾離「その様なことが…。」
師匠(あのような凡夫としての振る舞いをし紛れ込んでいるのはただの気まぐれか…?だがこちらに危害を加える気はないのなら干渉はすまい…。)
ザップ「師匠?」
師匠『合格じゃ。』
ザップ「…は?」
師匠『こいつを任せたぞ。』
弟弟子「え?」
師匠『ではな。』
そして師匠は音もなく消えた。
弟弟子「へ⁉」
唖然としている弟弟子にメンバーの視線が集まる。
弟弟子「…聞いて…ないです…。」
バタンッ!
ザップ「おわ!マジかコイツッ!」
スティーブン「過労とショックのダブルパンチだな、気の毒に…。」
ーーー翌日
ライブラの一室に新しく大きな水槽が用意され彼はそこにいた。
レオ(と、いうことでライブラに来た少々奇妙な仲間が加わりました。)
レオ「お名前は?」
ツェッド「ツェッド、ツェッド・オブライエン。」
レオ「まあまあ、元気をだして。」
ツェッド「はあ…ありがとうございます。」
ザップ「てゆーかお前何自然な感じで専用の家具に入ってるの?やっぱなっちゃうの?なるしかないの?そういう感じに。」
ツェッド「………」
ザップ「オイ無視すんな。」
ツェッド「…しかし昨日は色々あり過ぎましたね、間違いなく人生で一番長い日です。」
こうしてライブラに新しい仲間が加わった。鍾離とどの様に関わって行くのかはまた次の機会に…。
ーーーZの一番長い日_終幕。