自称凡人が参戦する血界戦線!   作:『 』を応援するテト

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今回はオリジナルのお話になります。自己解釈マシマシなのでご容赦下さい。


自称凡人、お高い骨董品を買ってくる。

その日スティーブンは執務室である報告書を見て唸っていた…。

スティーブン「…うーん…。これほんとに如何しようかな…」

1枚の書類を見て悩むスティーブンにレオナルド達は声をかけた。

ザップ「んな書類とにらめっこして珍しいッスね。」

ツェッド「貴方と違ってスティーブンさんは色々考える事がありますから悩みもするでしょう?」

ザップ「おやぁ〜?この魚は三枚卸にされたいのかなぁ〜?」

ケンカは何時もの事なのでスルーするレオナルド。

レオ「その書類がどうかしたんですか?」

スティーブンは話しかけてきた3人を見て喋る事にしたようだ。

スティーブン「この書類、ちょっと見てくれ。」

3人はスティーブンから渡された書類を見る。

ツェッド「これは請求書の統計表?」

スティーブン「そうだ、しかもそれは鍾離に渡したカードからの請求書。」

レオ「ゲッ…これ、金額が少しずつ上がってる?」

ザップ「んあ?別に払えねえ訳じゃねえんでしょ?」

レオ「あんたは支給金を25分で全額ゴミに変えるッス、聞くのがそもそも間違ってる。」

スティーブン「うんまあそうなんだけどさ、問題はここだ。」

問題の部分を指差すスティーブン。

そこには『月額』の文字があった。

スティーブン「……1ヶ月分の数字がこれだよ。」

レオ「うわっ!何ですかこの金額!?︎」

スティーブン「最初はこんなんじゃなかったんだ……最初の頃は月に200ゼーロくらいだった……。それが今や1万7千ゼーロに……。」(日本円で約200万です)

ツェッド「そんなに使ってるんですか?!」

ザップ「なら鍾離のカード取り上げちまえば済む話っしょ?」

スティーブンはザップの答えに困った顔をした。

スティーブン「それができればね、悩んでないんだよ。鍾離のお金を使う理由って骨董品を買うか食事に使うかのどちらかなんだけど…食事はまぁいいんだ偶に少し高くなるくらいだから支給金の範囲内だし…問題は骨董品の方。」

ツェッド「骨董品?」

レオ「そういえば偶に何か持って帰って来てますね。」

スティーブン「買ってきた骨董品や美術品を鍾離は俺とクラウスに1回見せに来るんだ、何かあるかもしれないから。」

ザップ「何かある?ガラクタに?」

スティーブン「鍾離曰く価値がある物らしいよ。」

レオ「でも僕達には分からないんですよね?」

スティーブン「ああ、全く。」

ツェッド「では何故?」

スティーブン「少年にはさ鍾離が買ってきた骨董品が魔術媒体だったって話したよな?」

レオナルドは以前鍾離がマフィアに襲われた話を思い出した。

レオ「はい、確か鍾離さんが隕石落として騒ぎになったやつ。」

ツェッド「隕石って…」

ザップ「ほんとにアイツ落すからな、隕石…」

スティーブンはそれそうになった話を戻す。

スティーブン「ゴホンッ、問題は鍾離が買ってきた骨董品は高確率で後から再確認する羽目になる。邪神召喚用の重要遺物とか古文書の行方不明になってたやつとかとにかく俺達が探そうと思った品を鍾離が先に買ってるんだよ…」

ツェッド「それって高い買い物に注意したいけど後から必要になるかもしれないから注意しづらいって事ですよね?」

レオ「あ~確かに…それは悩む…」

話を聞いたレオナルド達にスティーブンはあるお達しを出した。

スティーブン「だからなお前達、鍾離が骨董品買いに行きそうならついていけ。」

3人「「「えッ?」」」

スティーブン「鍾離からの説明だとアイツ良いものなら店側の言い値で買ってるらしいからぼったくられてる場合があるんだよ。しかも鍾離がH・Lに来てから暫く立ったから業界で噂になってるんだ『貴重な品を一発で見抜くカモがいる』ってな…だからお前らは鍾離がカモられそうになったら止めるのがお仕事だ。」

レオ「でも僕ら骨董品の知識とかないッスけど…」

スティーブン「一言鍾離に注意すればいいんだ、ちょっとは値切れってね…」

3人「「「えぇ…。」」」

こうして3人は鍾離の買い物に付き合う事になったのだった…。

 

ーーーある骨董市

鍾離の買い物に付き合う事になった3人は鍾離の後について歩いていた。

鍾離は当初3人が何故付いてくるのか聞いたが変な対応をされたので気にしない事にしたようだ。

レオ「うぅ……緊張するなぁ……。」

ツェッド「大丈夫ですかレオ君?顔色が良くないですよ?」

レオ「いや……だってさぁ……。」

レオナルドは周りを見渡す。周囲には所狭しとアンティークショップが立ち並んでおり、そのどれもが高価な商品が置いてあった。

レオ「なんか場違い感半端ないよ……こんなとこ初めて来たよ……。」

ツェッド「僕もです、こんな雰囲気の場所は初めて来ました。」

レオとツェッドは初めての場所に戸惑っていた。

一方ザップは慣れた様子で歩いている。

普段からお高い店で女をハシゴしているので高級な雰囲気に慣れている様だ。

ザップ「おい魚類、レオ、シャキッとしろい!スティーブンさんに言われたろ?『鍾離が骨董品を買いそうだったら一言注意してくれ』ってよぉ。」

レオ「そりゃ分かってるッスけど……うぅ……胃が痛くなりそうだ……。」

そんな事を考えている内に鍾離はとある骨董品の店に入っていった。

そこは表通りとは違い、小さな店が数軒並ぶ路地裏にあった。

店の中に入ると天井まで棚があり様々な品が並んでいる。

客はおらずカウンターの奥で店主らしき異界人の男が新聞を読んでいる。鍾離は店内の本を眺めながら奥へと進んでいく。

そして一つのショーケースの前で立ち止まる。

そこには大小さまざまな品が置かれており、鍾離はその一つ一つを丁寧に見ていた。

ザップ「ほれ、さっさと声かけねえか?」

ザップは急かすように言う。レオナルドは鍾離に近づき小声で言った。

レオ「あの鍾離さん……今回あまりに高い物だったら僕らに一言言ってから買ってくれないっすか?」

鍾離は首を傾げる。

鍾離「ん?別に構わんぞ。」

レオ「ありがとうございます、じゃあ……えっと今回の予算はいくらなんですか?」

鍾離「?特に決めてないが?」

レオナルドは絶句した。

レオ「え?!決まって無いんですか!?︎」

ツェッド「何も考えずに買い物してたんですね……」

ザップ「だからぼったくられてんだな…」

そんな風に話す3人に鍾離は言った。

鍾離「俺は値段と価値が見合っていない物は買わないぞ。」

レオ「そ、そうなんですか?」

鍾離「ああ、例えばこの皿だが。」

鍾離は1枚の古びた皿を指差す。

鍾離「恐らく100年前の骨董品だろう、だが大した値段にはならない。」

レオ「え?何で分かるんですか?」

鍾離「この品には柄がついているからだ。」

ザップ「はぁ?それだけでわかるのかよ。」

鍾離「骨董品の価値は時代によって変わるがこの品は柄が無いものに後から柄をつけた量産品だろうだから価値が低くなる」

その話を聞いていた店の店主が興味を持ったのか話かけてきた。

店主「へぇお兄さん最近ここら辺でいい品を見つけては買ってく噂の人類だな?俺の店は見ての通り客が少ないがなんでこの店に来た?」

鍾離「そうなのか?それは偶然だ。たまたま入った店で良い物が置いてあったから来ただけだ。」

店主「ハハッ!嬉しい事いってくれるねぇ。なら兄さんには良いもの見せてやろうじゃないか。」

鍾離「ふむ……では見せてもらおう。」

店主はカウンターの下から大きな木箱を取り出した。

店主「こいつは年代物の茶器セットだ。」

鍾離「ほう。」

その品は白い陶器で出来たティーポットとカップが2つずつ入っており、他にも金縁のソーサーとスプーンが3本、銀のフォークとナイフが入っていた。

店主「保存状態もいいしかなり値打ちものだぜ。」

鍾離「なるほど……確かにこれはいい品だ。だが……。」

店主「だがなんだい?」

鍾離「これらにイミテーションが何個か混ざっているな?」

レオ「そうなんすか!?」

ザップ「全然わかんねぇ…」

ツェッド「僕も分かりません……。」

店主「ほぅ……なぜ分かったんだい?」

鍾離「まずは……。」

鍾離は一つ手に取る。

鍾離「このポットの取っ手の部分を見てみろ、少し歪んでいる。」

店主「!」

鍾離「次にこのカップだが、こちらの方が形が良い。」

店主「……。」

鍾離「最後に……。」

鍾離は残りの3つのソーサーとスプーンを見る。

鍾離「これらの食器にメッキが使われている。」

店主「……参ったよ。その通りさ。」

店主は肩をすくめながら言う。

店主「あんたが言ったとおりだ。ほんとに見る目あるなぁ、これなら奥の品を見せてやっていいぜ。」

店主はカウンターの奥に隠し扉を開ける。そこには様々なアンティークの品が置かれていた。

ザップ「奥にまだ部屋があったのか?!」

店主「ほんとに分かってて来た訳じゃ無いんだな、うちの店は表はただのガラクタと少ない高価な品を見せてるが見抜いた客は見る目がある。紹介でなきゃうちの店に一見さんは来ないのさ」

店主が案内した店の奥には表と違い数が少ないが貴重な品が置いてあった。

店主「こいつらは表に置けない代物さ、まぁ見てみな?」

鍾離「……これは。」

鍾離は一つのガラスケースの前に立つ。

店主は鍾離に品物の説明をする。

店主「うちの店は神性存在の息がちょっと掛っててな、貴重な品とか表沙汰に出来ない危険物とかを取引するのに使われる事が多いが、そんな関係でレア物も手に入りやすいんだ。」

鍾離「………この品は?」

鍾離は古くなった革に装飾が施されている古書の詳細を聞いた。

店主「そいつも中々のお宝だよ。なんでも昔魔術結社が禁術の研究をしてたらしくてな?だが魔術の研究内容で揉めて解散、その中の散らばった品のうちの一つだかなりの貴重品だせ。」

鍾離「ふむ、この古書を貰おうか。」

レオ「え、鍾離さんその本買うんすか?」

店主「その本は2万2千ゼーロだ。」(約250万円)

ザップ「はぁ!?たかが古本がか?!」

ツェッド「なんて高価な値段……」

鍾離は懐からカードを出す。

鍾離「これで頼む」

店主「まいどありー。」

店主は本を丁寧に包み鍾離に渡す。

レオナルド達は呆気に取られて値切る間もなく支払いが終わってしまい鍾離は足早に店を出てしまった。

レオ「って鍾離さん?!」

ザップ「おい待てよ!!」

ツェッド「失礼しました!!」

店主「またきなよ〜。」

 

ーーー

店を出た鍾離は何やら急いだ様子でライブラの執務室に向かっていた。

そこでスティーブンはクラウスと雑談していた。

鍾離「スティーブン殿は居るだろうか?」

スティーブン「ん?鍾離じゃないかどうした?ついていった3人は?」

3人も後から執務室に入って来た。

ザップ「おい俺らを置いてくな!」

ツェッド「如何したんですかそんなに急いで…」

レオ「ちょ…待って…」

鍾離は今購入してきた古本をスティーブンの前に置いた。

鍾離「この本を早急に調べて欲しい。」

スティーブン「この本は?」

鍾離「骨董品屋で見つけた品だ。」

クラウス「随分古い本だな……。」

スティーブン「確かに、表紙の文字も掠れてるし……なにより傷んでないか?大丈夫なのかい?」

鍾離「あぁそう見えるが、外見に術がかけられて隠蔽されている様でな…」

レオナルドは鍾離の指摘に神々の義眼を使う。

レオ「えっ?…うん?あっ本当です!本全体に偽装してますね……。」

ツェッド「隠蔽に見抜いて急いでいたんですね。」

スティーブン「わかった、調べてみよう。」

鍾離「頼んだ」

スティーブンはライブラのデータベースの照合と隠蔽解除の為動き出した。

 

ーーー 2日後、ライブラオフィスにて。

ライブラの事務所では全員が集まっており、スティーブンは例の古書について報告を始めた。

スティーブン「結論から言おう、あれは古書の形に隠蔽した『インドラの火矢』という魔導兵器の設計図の一部だ。」

ツェッド「インド神話の武器ですか……。」

スティーブン「ああ、その威力は都市を丸ごと焼き尽くす威力らしい…」

レオナルド「うわぁ……想像できないっすねぇ」

チェイン「流石はお手軽壊滅兵器沢山なインド神話産ですよね…」

スティーブン「元々は古代に造られた対魔神用の魔導兵器だったようだが、製作者が仲間割れで設計図が分割、それもいつの間にか紛失していて、今まで一部しか見つけられていなかったんだ。」

ザップ「一部しかって何冊か見つかってンすか…?」

スティーブン「2冊発見されていたよ…鍾離の買ってきたこれは3冊目の新発見だ。」

チェイン「1冊目は発見された時は只の本として図書館に寄贈されてたけど、2冊目を異界人学者が手に入れて発表した事でその価値が跳ね上がったってわけね。」

レオ「これ、あと何冊あるんだろう…」

鍾離「俺も中身を確認、解読した所全部で5冊の本に分割して偽装を施した様だ。これが気になったのは装飾の部分が本にしては派手だったからなんだが…よく見て見たら偽装されているのに気付いてな。」

レオ「それで急いでたんスね…何にかあると思って…」

スティーブン「この設計図は一部だけでも様々なマニア達が高値で取引してるんだ、3冊目が見つかった事が表沙汰になればこぞって手に入れようとして来る連中が騒ぎを起こして混乱が起きてただろうね。」

クラウス「鍾離殿が先に入手してくれたお陰で混乱は避けられたのだな…」

クラウスは今回は先に事件の芽を刈ることができたと喜んでいたのだが…スティーブンの携帯が鳴った事で事態が動く。

 

プルルルルルル…

スティーブン「_スターフェイズ、あぁ確かに調べていた件だが…え?マジか…?……分かった。」

スティーブンは電話を切り、メンバーに通達する。

スティーブン「……たった今近日オープン予定のH・Lライノーム博物館で4つ目の本が発見されたかもしれないと報告があった。」

全員『!!』

鍾離「…まだ本物と決まった訳では無いようだが、何故続けて発見が相次ぐ?…今までの設計図も全て偶然発見された物の筈だが…」

クラウス「…スティーブンからの報告通りなら設計図が表沙汰になった事で騒動が予想される、早急に対処する必要がある。」

チェイン「どう動きますか?」

クラウス「まずは設計図が本物か如何かを確認したい。」

スティーブン「それなら俺とクラウス、鍾離、レオで行こう。チェインは美術館の人間に調査。他の者は博物館付近で警戒態勢で待機してくれ。」

ライブラメンバーはスティーブンからの指示で動き出した。

 

ーーー H・Lライノーム博物館

博物館に到着したクラウス達は人気が無い館内を進んでいた。

クラウス「所で設計図は一体どの様に発見されたのだ?」

レオ「確かに。偽装されてるから今まで見つからなかったんですよね?」

スティーブン「この博物館はオープン前だが研究施設も兼ねていて検品をしている時に魔術の検査装置が反応したんだそうだ。で、俺が古書の調査を依頼したのがここに務める予定のうちの研究員だったからすぐに報告してくれたのさ。」

そうして館内を歩いている中鍾離とクラウスはゆっくり展示品が見られないのを残念に思っていた。

鍾離「……実に興味深い物ばかりなのだが……」

クラウス「うむ、緊急事態でなければ観覧していたい所だな。」

レオ「すみません、我慢してください……。」

スティーブン「まぁ仕方ないさ、騒動が落ち着いたらゆっくり見るといいよ。」

そうして設計図と思われる古書がある保管室に到着した。

そこには件のライブラ研究員が扉の前で待っていてクラウス達に声を掛けてきた。

ライブラ研究員「スティーブン!早く来てくれて助かったよ。君から調査依頼を受けてすぐに別の本から魔術反応が出るから怪しくて…」スティーブン「……その話は後だ。」

スティーブンは部屋のドアを開け、中に入る。

レオ「……うわぁ……すごい数ですね……。」

部屋の中には頑丈なケースに保管されている品が大量にありその中に一つ装飾が施された本があった。

スティーブン「……これがその古書かな?やはり俺が見ても只の本にしか見えないな…鍾離、レオ2人なら本物か如何かわかるだろうから確認してくれ。」

ライブラ研究員がケースから古書を取り出し鍾離に渡す。

鍾離「…同じ様には見えなくとも装飾に施された隠蔽魔術は同じ構成をしている…少年、神々の義眼で見れば中身にかけられている魔術が同じ物だとわかる筈だ。」

レオ「分かりました、見てみます」

レオナルドも神々の義眼を使って古書を確認する。

レオ「……これは……!?」

スティーブン「わかったか?」

レオ「はい、間違いありません。この本は魔導兵器の設計図の一部です。鍾離さんが買った古書と同じ隠蔽と術式があります」

スティーブン「……本当にこれで4冊目か……あと1冊何処にあるんだ……?」

クラウス「まさか5冊目も近くに…?」

その時、博物館の警報が鳴り響く。

ビー!! ビー!!!

全員『!!』

スティーブン「ザップ、ツェッド!!外で何か起きたか!?」

スティーブンが外にいるザップ達に通信をしている時、

外では大量のロボットが博物館に攻め込もうとしておりザップ達は応戦していた。

ザップ「くそっ……こいつらキリねぇぞ!!」

ツェッド「……どうやら博物館の警備ロボの様ですよ!」

2人は迫り来るロボット達を次々と破壊していく。しかし……

ドォンッ……

突如として爆発が起きて辺りは煙に包まれた。

館内にいたクラウス達も外に出ると吹き飛ばされてきた2人の姿があった。

レオ「ザップさん、ツェッドさぁん!!」

クラウス「2人とも大丈夫か!?」

ザップ達は爆発で少し傷を負っていた。

ザップ「足元から爆発されて吹っ飛ばされただけだ!!」

ツェッド「防御が間に合って傷は少しです。」

合流したクラウス達だが博物館を囲む様にロボット達が包囲していた。

鍾離「狙いはやはり設計図か…。」

???「その通りだよ、ライブラの諸君。」

声のする方を向くと全身に黒いスーツを着た金髪の男がおり隣には黒服の女と眼鏡を掛け、帽子を被った男が立っていた。

3人組の登場と同時に周りを取り囲むロボットが停止する。

ライブラメンバーに緊張が走る。

スティーブン「お前らは……何者だ……?」

???「お初にお目にかかるね、私はジェロニモ。この設計図を書いた開発者の子孫さ。隣の2人も同じ子孫さね、まぁ彼らは私が操ってるんだけども…。」

そう言ってジェロニモは笑う、そしてその手には5冊目の設計図の本があった。

ジェロニモ「今まで見つからなかった設計図の断片が次々と見つかるから不思議に思ってたろう?設計図は始めからマスターキーの様な物が1冊あり血筋が求めれば隠蔽が弱くなって集まる様になっているんだ…まぁ3人以上の血筋がいるから彼らを操ってるんだけども…。ここに来るまでに先に発見されていた2冊は回収したよ!」

ジェロニモがそう言うと隣にいる男女が同じ様に本を取り出した。

スティーブンは情報を次々と暴露するジェロニモに更に警戒を強めた。

スティーブン「随分ペラペラと喋ってくれるじゃないか…」

ジェロニモ「いやね、この博物館にある設計図は2冊の筈だったんだけど君達が邪魔してくれたみたいだからさぁ…デモンストレーションも兼て潰させて貰おうと思ってねぇ!あのライブラを揃っていない計図で作製された博物館の警備ロボットに偽装した魔導ロボット達に蹂躙されるのを知らないで死ぬのは嫌だろう?安心したまえ設計図は君達が死んでからゆっくり探すから!!」

ジェロニモが持っている本が操っているのかロボット達がまた動き出し、博物館ごと破壊するつもりか次々とミサイルなどの攻撃を発射してきた。

だが鍾離がクラウス達前に出て元素スキルを発動した。

鍾離『難攻不落!!』

石柱は等間隔で出現し博物館の前に障壁が発生、ミサイル攻撃を防いた。

鍾離「この博物館には貴重な展示物も多く存在している、破壊しようと云うのならば容赦はしない…!」 

クラウス「これ程の防御を…!!流石は鍾離殿…この機を逃す事はない!!」

クラウス達はロボット軍団に攻撃を繰り出した!

クラウス「ブレングリード流血闘術『02式散弾式連突』(シュロートンフィッシャー)!!」

クラウスの攻撃らロボット軍団を纏めて吹き飛ばす!

スティーブン「あ~あ~突っ込んで行っちゃって…」

スティーブンも呆れながらも攻撃を仕掛けた。

スティーブン「エスメラルダ式血凍道…『絶対零度の地平』(アヴィオンデルセロアブソルート)!!」

スティーブンの足下から氷結が広がりロボット達の足を凍結させていく。

スティーブン「これで動けまい……ザップ、ツェッド、一気に片付けるぞ!!」

ザップ・ツェッド『了解!!』

2人は次々とロボット軍団を破壊していく。

ジェロニモ「ほぅ……中々やるようだね……でもまだ序章だよ?」

ジェロニモの言葉と共にロボット達の動きが変わった。

ザップの背後からロボットが襲いかかるがザップが振り向きざまに刀を振るとロボットの首が飛び胴体が地面に落ちた。

ザップ「なんだ……こいつら急に強くなりやがったぞ!?」

ツェッド「一体どうなっているんですか……!」

スティーブン「恐らくロボットのプログラムを今書き換えたな……!」

ジェロニモ「ご名答、この設計図は魔導兵器の物だ。たとえバラバラになっていても残っている術でこの様な事も出来る!」

そう言ってジェロニモは本を掲げる。

するとザップ達に襲い掛かっていたロボット達はザップ達を無視して博物館に向かってきた。

ザップ「おい待てっ!!」

ザップ達は追いかけようとするがロボット達に追いつけない。

だが障壁を維持していた鍾離が今度は元素爆発を発動した。

鍾離『天道万象!!』

ロボット軍団に元素爆発が炸裂しロボット軍団は砕け散った。

スティーブン「やっぱり凄まじいなぁ……あれだけの数のロボットを一瞬とは……。」

クラウス「我々も負けていられない……行くぞ!!」

ライブラメンバーは残っているロボット達を撃破しながらジェロニモの元へと走り出した。

ジェロニモ「おやおや……私の可愛い人形達が簡単に破壊されてしまうなんて……仕方がない、私自ら相手をしてあげようかねぇ……!」

ジェロニモは控えていた2人の本を取り上げると何やら呟き出した、すると本はページ毎にバラバラになり一つの本に纏まった。

纏った本を使いジェロニモは残っているロボットを合成し始めた。

そしてジェロニモを取り込み出来上がったのは5mの巨大人型のロボットだった。

ロボットはゆっくりと歩き出す、その一歩ずつ歩く度に地面が揺れる。

レオ「こんなデカいのどうやって倒すんすか……!」

スティーブン「確かにデカすぎる…けどやるしか無いんだよねッ!!」

鍾離「ならばやれる事を試すだけだ、スティーブン殿とザップは交互にあの巨人の関節を攻撃。ツェッドとクラウス殿は敵の注意を引きつけてくれ、少年は俺が合図を出したら中にいるジェロニモの視界を遮断できるか?」

レオ「やってみます!」

クラウス「よし、ならば行こう!!」

作戦が決まりライブラは戦闘態勢に入った。

まずはクラウスの技でロボットを怯ませツェッドが追撃、ロボットの気を引いている間にスティーブンとザップが鍾離の指示通りに関節に攻撃をしていく。

ジェロニモ「無駄さぁ!!本来の『インドラの火矢』は都市を丸ごと焼き尽くす火災巨人を産み出すが3冊集まって出来たこの魔導ロボットも十分に強力なのだぁッ!!」

巨大なロボットは拳を振り回し攻撃してくる、しかしツェッドは攻撃を受け流し攻撃を繰り返す。

ツェッド「この程度ならなんとかなりますよ!貴方こそそんなデカブツでちゃんと戦えるんですか?」

ツェッドの言葉にジェロニモは不敵な笑みを浮かべた。

ジェロニモ「舐められたものだねぇ……これでも私は魔導科学者として名を馳せた男だ、君達のような武闘派と一緒にされては困るなぁ!!」

ジェロニモはそう言うとロボットに指示を出し、ロボットは腕を剣に変化させツェッドを攻撃したがクラウスが割り込み防御する!

クラウス「ブレングリード流血闘術『117式絶対不破血十字盾』(クロイツシルトウンツェアブレヒリヒ)!!」

ツェッド「助かりましたクラウスさん!!」

ツェッドは礼を言うと再び攻撃を仕掛けた。

クラウス「ツェッド君無事だな!……まだまだ行くぞ!!」

クラウスはロボットの攻撃を防ぎつつツェッドと連携を取る、それを見ていたスティーブンはザップに声をかける。 

スティーブン「流石だねザップ、連携もバッチリじゃないか?」

ザップ「当たり前っすよ、伊達に番頭の下で働いてないんでね!!」

ザップも動きのキレが増してきておりロボットの関節を狙い正確に攻撃している

そんな中、玉璋シールドを全員に維持しながら魔導ロボットを観察していた鍾離がレオナルドに合図を出した。

鍾離「そろそろだな…少年!ヤツの視界を奪ってくれ!」

レオナルドに合図を出した鍾離は魔導ロボットに向かって行く。

レオ「了解!!…『視界支配』!!」

レオナルドはジェロニモの視界を乗っ取り真っ暗な風景を映した。

ジェロニモ「なんだこれは!?何も見えないぞ!!」

動きが止まった魔導ロボットに鍾離は自分の足元に石柱を発生させ飛び上がった。

鍾離「お前にはスティーブン殿とザップが起こした溶解反応で貯まった元素が蓄積している、それを利用する!!」

魔導ロボットの頭部に上がった鍾離は槍を魔導ロボットに突き刺し大量の岩元素を魔導ロボットに送り込んだ、すると…

ビキビキ、バキバキバキバキッ!!

魔導ロボットの内部から次々と赤と青の結晶が発生していった。

レオ「ロボットの中から結晶が?!」

鍾離「岩元素の元素反応は他の元素に対して結晶反応を起こす。2人が攻撃して貯めてくれた元素を本来はシールドを貼る役割を起こす結晶を完全凝固させて内側から発生させた。」

ジェロニモ「私がいるコア内部にまで結晶が?!このままではエネルギーがコアに逆流して!?」

やがて魔導ロボットは内部から発生した結晶により爆発、バラバラに砕け散った。

ドカァーン!!

バラバラになったパーツは地面に落下し大きな音を立てて崩れ落ちた。

ザップ「あ~ようやく終わった…。」

スティーブン「はぁ…今回は最初から最後まで鍾離に振り回されたね…」

そうして事後処理の事を考えながらスティーブンはメンバーに撤収指示を出したのだった。

 

ーーー翌日のライブラオフィス。

レオナルド達は先日の魔導ロボットについて話していた。

ザップ「あのデカブツが爆発して中にいたやつと古本は真っ黒焦げになったんだよな?」

ツェッド「術者が死んだからか本も燃え尽きてしまい魔導兵器は永遠に完成しなくなったという事ですね。」

レオ「残った設計図はどうなるんだろ?」

そこにチェインがザップの頭の上に現れた。

チェイン「そこで追加ニュースがあるわよ。」

ザップ「オイコラメス犬…なに人の頭の上に遠慮なく乗ってんだコラ!!」

チェイン「そこに踏んでも良さそうないい足場があったからに決まってるじゃない!!」

ザップ「俺の頭は足場じゃねぇ!」

ツェッド「そんな事より追加ニュースってなんです?」

ザップ「そんな事ってなんだ魚類てメェ…(ꐦ°᷄д°᷅)」

ザップを無視してチェインは話始めた。

チェイン「5冊あるうちの3冊目が焼失してマニア達の間では更に高値がついて在り処が公表された博物館に押し寄せてるらしいわ、博物館はお陰で大盛況よ。」

チェインの話を聞いたザップは鍾離が購入した本について思い出した。

ザップ「じゃあアイツが買った古本も価値が上がったって事か?」

ザップの疑問に机で書類を捌いているスティーブンが答えた。

スティーブン「それね…鍾離がライブラの資金で購入した時の値段が2万2千ゼーロな訳だが今の界隈での値段は最低でも1700万ゼーロになってるよ…。」(約2億円です)

3人『ヒエッ!?』

ツェッド「そ、そんな値段に…?!」

スティーブン「設計図その物は血筋じゃなければ使えない事は分かってるからね、うちも追う必要無くなって超価値がある世界にたった2冊の骨董品になった訳さ。」

ザップ「よしアイツの本売っぱらおうぜッ!!」

レオ「駄目に決まってんでしょッ!!」

チェイン「はぁ…このSSはやっぱり死なないと厚生しないでしょうね…」

ツェッド「何処までも駄目な人ですね…。」

スティーブン「でも鍾離の買い物が高価な事は変わらないままか…はぁ…」

レオ「そういえば元々そんな話でしたね…。」

ツェッド「その鍾離さんはどちらに?」

ギルベルト「鍾離様でしたらクラウス坊ちゃまとH・Lライノーム博物館へ行かれましたよ。」

その頃の鍾離とクラウスは…

鍾離「………」( ー̀ ー́)⁾⁾

クラウス「………」( ー̀ωー́)⁾⁾

2人で博物館を満喫していた。

 

こうして鍾離の骨董品が呼び込んだ事件は幕を閉じた。

 

レオ(ちなみに僕が鍾離さんにDVDレンタルの映画をオススメしたらそちらに興味を持ってくれたのか骨董品の購入頻度が減ってスティーブンさんが嬉れしかったのかお高いお店を奢ってくれたのでした…。)

 

__古書の呼び声__終幕。


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