超天才魔法TS転生者ちゃん様監修@バカでもわかる究極魔法の使い方   作:柳之助@バケつ1~4巻発売中

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マキナーー友としてーー

3477:マキナ

ウィルとアルマはいるか!?

 

3478:名無しの>1天推し

うおっ

 

3479:名無しの>1天推し

びっくりした、脳髄ニキか?

珍しいなその名前

 

3480:名無しの>1天推し

いないと思ってたんだけど、どうした?

 

3481:自動人形職人

>1なら今街の中で魔族と戦ったり住民の避難誘導したりしてます。

天才さんは未だ連絡が取れず

 

3482:名無しの>1天推し

状況が状況だけに>1、ここ見てないぽいんだよな

一瞬だけ天才ちゃんと連絡取れないか確認してたけど

 

3483:名無しの>1天推し

どうしたんだ?

 

3484:マキナ

ウィルが来たら学園に来いと伝えてくれ!

アレスが多分洗脳キメられてロボットアレスになって襲ってきている!!

 

3485:Everyone

何してんの!?!?!?!?!?!?

 

 

 

 

 

 

 

 掲示板から意識を外した時、マキナは既に空を舞っていた。

 胸の量子プラズマコアから両手のひら、両足の裏の噴射機へ供給されるエネルギーを推進力とし、太ももの裏、背中のスラスターによって姿勢制御。

 

「何がどうなっている……!」

 

 ≪ディー・コンセンテス≫の技術を以て鎧を纏うアレス。

 ヘラに何かされたのか、元々秘めていたものを爆発させたのか、そのどちらもか。

 掲示板で洗脳とは言ってしまったが、先ほどの彼には確かに彼自身の意思があった。

 願いは一つだけと、彼は言った。

 ならば、それゆえか。

 一気に垂直に飛び上がりながら考え、

 

「むっ……!」

 

 高速で追ってくる黒鎧の姿を見た。

 即座に頭部のモノアイの視覚素子が重装の駆動を解析する。

 全身にフレームを並べた重装故に機動力は左程だろうが、単純な加速力は己を上回っている。

 足裏、太もも裏、腰、肩裏にそれぞれバーニアがあり、それらにより莫大な加速を生んでいるのだ。

 背面のほとんどから赤黒の雷を放出しながら、こちらに迫ってきている。

 

「ちっ……!」

 

 上昇から円へと軌道を変え、アレスを誘導する。

 何にしても、戦うとなると場所が良くない。

 現状、王都のあちこちで戦闘が発生しているが中央部分は比較的魔族の発生が少ない。特に広大な敷地を持つ学園は避難場所としては適しているし、実際既にそう使われていた。

 講堂や特別なギミックの無い闘技場などに多くの人が避難してくるだろう。

 そうなると戦場では適していない。

 それに、

 

「……あまり衆目を浴びたら困るぞ」

 

 異世界技術しかない自分にしても、アレスにしても。

 戦いの後を考えた場合、人眼には触れたくない。

 そうなるといっそ王都から出るか、或いは避難場所として使われなさそうな所に行くしかないが、

 

「っ!!」

 

 砲撃がスーツをかすめた。

 推進力にも使われている赤雷の閃光だった。

 マキナのナノマテリアルパワードスーツの装甲は単純な熱量だけでも1500度までなら完全断熱を可能とし、大気圏突入も単独でこなせるが、

 

「ちっ……!」

 

 速度を重ね、連続して放たれた砲撃を回避する。

 単なる熱量は機体限界に届いていない。だが、計測機器は回避推奨。

 現状を演算しても、計算が成り立たない。

 その原因は一つだ。

 

「―――魔法か。それもただの魔法ではないな」

 

 超科学世界、俗な言い方をすればSF世界から来たマキナにとって魔法というのは意味不明、というわけでもない。

 そこに存在しているのなら観測し、考察し、解明するのが科学だから。

 この世界の魔法でも、系統や魔力というエネルギーは観測基準に取り込んでいるし、魔法という結果も大半が解析可能だ。その気になればある程度の再現もできる。

 それでも。

 惑星一つ分の管理運営を行っていたマキナでさえ、未だにブラックボックスな領域が明確に存在している。

 即ちそれは、

 

「―――アルマのアカシックライト、或いはその再現か!?」

 

 

 

 

 

 

 

『この兵装術式は≪天才(ゲニウス)≫の力を模したものでのぅ』

 

 空を舞い、背と腰の砲門から攻撃を行いながらアレスは義母の声を聞いた。

 声だけ、頭の中に直接響くそれは状況に関係なく伝わってくる。

 

『数多の世界にはズレがあり、そこには無が広がっている。≪天才(ゲニウス)≫はその無を有として無限という言の葉が誇張ではないだけのリソースを引っ張っているそうじゃ。まぁそれは妾たちにはまだ為しえないことじゃがの。―――似たようなことはできる』

 

 初めて使う上に、原理が全く分からない武装ながら使い方が何故か分かる。

 本来使えない飛行を当然と実行し、見慣れない火器を扱えている。

 

『次元のズレから虚無に干渉して存在する物として観測し、引き出せるのならその際にエネルギーが生じるらしくてのぅ。その変換を利用して魔力を確保しておる。≪天才(ゲニウス)≫はそういう引き出しからの変換プロセスを無視してそのまま力を確保しているらしいが』

 

 それでもと、ヘラは笑う。

 

『事実上は無限のエネルギーじゃ。ゴーティア……ゼウィス様は、次元相転移エンジン、などと呼んでいたがの。完成させたのはヘスティアじゃが。向こうも向こうで、この世界から数千年近く進んだ科学技術のようでもあるのぅ』

 

 話の内容は分からなかった。

 エンジンがどうとか、アレスにとってどうでもいい。

 だけど。

 

「アンタも、別の世界から来たのか……!」

 

 肩から砲撃を射出しながらマキナを追い、問う。

 超音速の中、届かぬはずの声はしかし彼に届き、

 

「そうだ」

 

 両手両足のブースターを器用に使い、砲撃を避ける男が答えた。

 肩の主砲は回避し、腰の副砲の砲弾は掌から放たれる光弾で迎撃を行いながら、

 

「俺は別の世界で生まれ、死に、色々あってな。今はアルマの計らいでこの世界で生きている」

 

「……っ! なら!」

 

 確かめたいことがある。

 現状、マキナは円に、アレスは直線の三次元軌道を描くドッグファイトを行っている。単純な最高速度ではこちらが勝るが、小回りは向こうの方が上なので追いきれていない。

 届かない。

 

『求めるがよかろう』

 

 だが母の囁きは耳に届いている。

 

『その力は、お主の為のものじゃ。お主の願いを叶える為のものじゃ。狼の戦神よ、主が求めれば武器はその意のままに従うじゃろう』

 

「―――」

 

 明確な形は思い浮かべなかった。

 魔法はともかく、こんな複雑な機構を持つ鉄の鎧の仕様なんて知らない。

 だが、求めることは明確だ。

 

「聞かせろ、マキナ……!」

 

 

 

 

 

 

「―――!?」

 

 この日、何度目かの驚愕にマキナは支配された。

 アレスの攻撃手段は肩と腰の主副合わせた四砲。加えて手にしている斬馬刀だった。

 スーツの解析機能を使ってもそれだけであったのだが、

 

「肩に追加武装か……!?」

 

 主砲が備え付けられた装甲が展開し、そこから無数の小さな影が飛び出した。

 短い筒であり、それ自体が加速しながらマキナへと飛来する。

 マキナよりも、アレスよりも速度を持つそれは、

 

「マイクロミサイルか!」

 

 赤い残光が軌道を描き、マキナを追う。

 

「ちっ……!」

 

 即座に思考演算に誘導ミサイルの速度と機動が追加され、それを加味した飛行経路を視界に展開する。

 人間がスーツを着ているのではなく、実際にはナノマシンで構成された仮想肉体の表面がスーツに計上変化しているためそのロスはほぼ無いに等しい。

 示されたのは、さらに真上だ。

 両足のスーツの表面が波打つように胎動し、膝下全体がブースターに変化。

 準備は淀みなく整う。

 飛び上がった。

 

「―――!」

 

 大気を破裂させ、水蒸気爆発を起こしながら上昇。

 一瞬でさらに数百メートル跳ね上がり、ミサイルを振り切って、

 

『―――逃がさない』

 

「なっ―――」

 

 閃光が、マキナの左腹をぶち抜いた。

 全身のシステムが狂う。

 それは数秒で復旧し、状況把握を自動的に開始した。

 故に、見た。

 肩の追加武装どころではない。

 

「っ―――()()()()()、か!?」

 

 アレスの黒鎧が、根本的に形状を変えている。

 長方形のフレームが重なっていた装甲、その配置が変わっている。

 肩に砲門として二門追加、腰の副砲を覆う様に展開し大型化。さらに両腕上腕部にも接続されハンドキャノンの様相を為す。

 

 騎士が、人型の戦車に変貌していた。

 

「っ……ただの装甲ではなく、兵装も兼ねた自律兵器……!」

 

 理解は一瞬。

 返答は、

 

『―――フルブラスト』

 

 合計八門、さらには全身の装甲から射出されたマイクロミサイルが一斉に天上へと放たれた。

 マキナの判断は一瞬だった。

 真下から迫る砲撃の壁。

 

「最大加速……!」

 

 それに対して飛び込んだのだ。

 両肩から機動制御ウィング、全身にスラスターも増設し制動の自由度を上げる。

 砲撃の柱はその隙間を抜け、マイクロミサイルは爆発するよりも先に落ちて行く。

 距離を取るのも、横にずれるのもダメだ。 

 アルマのアカシックライトと同等のリソースならエネルギーの枯渇は期待できない。さらには先ほどの急上昇に対応して砲撃して来たのなら下手に平面機動をしても効果は薄いだろう。

 故に、最も危険な場所に飛び込むことで活路を見出すのだ。

 

「はっ……!」

 

 思わず笑ってしまう。

 遠い記憶。

 もう何年、何十年前なのかは分からない。

 それでも、そうやって戦ってきた。

 相手が半分機械化したのはむしろ都合がいい。

 結果的には慣れた攻撃を受けているのだから。

 当たれば装甲が消滅する砲撃は途切れることは無く、落下するマキナに照準を合わせて微調整されていく。

 だからそれを計算し、予測し、疑似的な未来予知とでもいうべき落下機動を算出する。

 それは時間にすればほんの数秒程度に過ぎない。

 だが、その中で声が上がった。

 

『アンタがスぺイシアさんと元々繋がっていたというなら!』

 

 引き絞るような声だった。

 通信回路に割り込まれたのか、超加速の中でも声は鮮明に届き、

 

『アンタが――――――アンタが俺の下に来たのは、俺を監視するためだったのか!?』

 

 

 

 

 

 

 アレスは覚えている。

 マキナと初めて出会った時のことを。

 魔族信仰者たちが王城を襲った次の日。

 そしてウィルやアルマがアレスの下に訪れて、事情聴取――そう言えるものかどうかは甚だ疑問だったが――をした、その直後だ。

 その時は彼らの繋がりを知らなかったからただ奇特な隣人ができたなと思った。

 だけど、彼らの繋がりがあると知った今はそう思わずにはいられない。

 そういう立場には慣れている。

 ゼウィス・オリンフォスという魔族の首魁の息子だったのだ。

 公にはならず、まだ国の英雄として国葬が上げられたがそれでも知っている者は知っている。

 だから、懐疑の目で見られるのは仕方ないのだ。

 それでも。

 

「っ……アンタが……!」

 

 喉が引きつった。

 

「アンタはその為に、ずっと俺に関わって来たのか!?」

 

『―――そうだ』

 

 答えは静謐さを秘めていた。

 今まさに、自分が放った閃光と爆発の軍勢が襲い掛かっていることを感じさせない静かさ。

 

「―――」

 

 対し、自分は言葉が出なかった。

 それは落胆だったのか。

 やはりそうだったのかという納得だったのか。

 自分でも分からない。

 ただ、≪偽神兵装≫の変化は明確だった。

 両肩に二門づつ連結された砲身。

 右肩の砲身フレームが離脱し、自律浮遊で左肩の砲口に接続。

 砲身の長さが倍になった所に左腕で支えれば、左腰砲身フレームも移動してそれらを接続、エネルギーの供給経路を確保。

 一瞬、砲撃も弾幕も途切れ、

 

「――――!」

 

 極大の光が、柱となって左肩から放たれた。

 単純計算で三倍のエネルギー放出を以て空へ伸びる。

 衝撃波が空を駆け抜け、アレス自身も数十メートル落下するほど。

 そして。

 強化砲撃は、その範囲と速度ゆえにマキナを飲み込み、空に赤黒い爆発の花を咲かせ、

 

『―――だが!』

 

「!?」

 

 そこから飛び出す影がある。

 マキナだ。

 アレスにとって自分の知る限りの魔法では最大級の攻撃魔法を上回るものであり、龍だろうと一撃で屠れるであろう威力だったはずなのに。

 鉄の男は五体満足、どころか無傷だった。

 どうやってと、一瞬脳内が驚愕に染まる。

 その一瞬の間に、マキナはアレスへと到達していた。

 激突する。

 

「っ……!」

 

「だが、それが全てだったわけではない!」

 

 視界が高速で回転する。

 全身をナノマシンが覆うマキナとフレーム装甲が重なっているアレス。

 鋼を纏う二人が共に空を落ちていく。

 兜内の視界に投影された高度計が見る見るうちに数字を減らして行く中、叫びが上がった。

 

「確かに初日は監視の為にお前の下に訪れたが、最初だけだ! それ以降はただ、お前の友人として……!」

 

「今更そんな詭弁を信じられるか……!」

 

「詭弁だと!? そんな監視の為に1年近くも週末だけとはいえウザ絡みできると思うか!?」

 

「ウザ絡みの自覚あったのかよーーー!」

 

 叫びと共に、二人の鋼鉄は学園に落下した。

 

 

 

 

 

 

 

 二人が落下していく先は学園内の闘技場の一つだった。

 風属性を象徴として作られた第四闘技場。

 そこは四階建ての円柱状の建造物。

 中心の直径約三十メートルは吹き抜け構造になっており、そこを石造りの橋から頼りなく掛けられた縄一本、簡易的な吊り橋らが大量に掛けられ疑似的な多層構造になっている。外周の壁面部には簡易的な踊り場と螺旋階段があるだけ。

 主に三次元的な機動の訓練の為の闘技場。

 今、この場は無人だった。

 まともな足場の少ない吹き抜けの円柱状建造物と言うこともあって避難場所として適していないという理由があり、特別な構造のない第一や地下に閉所戦闘訓練用に作られた第五闘技場などに基本的には民衆は逃げ込むだろう。

 それを、マキナは分かっていた。

 激突して空中でもみ合っている間に、細かく落下機動を誘導していたのはその為であり、

 

「止めてやるぞ、アレス……!」

 

 それもまたその為の行動に他ならない。

 共に円柱の頂点に入った瞬間、マキナは背からウィングユニットをパージ。

 さらに位相空間からナノマシンを抽出し、離脱させたのも合わせて構造変換。

 形成されたのは、 

 

「レーザービット……!」

 

 自律飛行型のレーザー兵器が四つ。

 小型量子リアクター内臓の為、それ自体が高出力プラズマレーザーを照射可能であり、マキナの意思に応じて自在に動く。

 一瞬で散開し狙うのは、

  

「どこを……、っ!?」

 

 アレスでは無かった。

 そしてアレスはすぐにレーザービットに意識を向けられなくなった。

 マキナは既に新たな行動を起こしていたからだ。

 

「巨人……!?」

 

 そう。

 落下する中、マキナの背後に巨人の上半身が形成される。

 

「デウス・エクス・ヴィータ……!」

 

 本来全長十メートル級の機械巨人。

 腰から上だけ、左肩から先は存在しないがかつてのクリスマスの戦いでマキナが変形したもの。

 一瞬で出現した巨影にアレスは悟ったように息を飲む。

 

「さっきの砲撃もそれで……!?」

 

「肯定しよう! 半身分のナノマシンが消し飛んだがな!」

 

 先刻の強化砲撃。

 あれはマキナにも回避不可能なものだった。

 だから直撃の寸前で巨人を召喚し、文字通りの肉盾とした。

 膨大量のナノマシンが蒸発したが、マキナ自身は無事で済んだのだ。

 そして今。

 

「機械相手の戦い方を教えてやる……!」

 

 巨人のスラスター噴射させながら、アレスの機体を蹴りつけ落下を加速。

 地上部に片膝立ちで着地し、即座に両足をアンカーに変形し固定。

 マキナ自身が右腕を突き上げれば、巨人もまた同じ体勢になり、

 

「武装展開……!」

 

 巨人の左脇腹部分がごっそりと抜けながらも右腕に武器が作りだされる。

 極太の杭が装填された射出兵器。

 狙いは僅かに遅れて落下してくるアレスへ。

 さらに、

 

「ビット!」

 

 頭上に残されていたレーザービットは既に役目を終えていた。

 円柱状の吹き抜けの中、網目を描くように照射されたレーザーが焼き抜いたのは壁面。

 崩壊機動は計算されたレーザーにより、内側に流れ込むように倒壊した。

 

「前門の杭、後門の瓦解―――!」

 

 本命は勿論杭。

 それが対処されたとしても、純粋質量落下による攻撃による生き埋め。

 攻撃の失敗を前提とした段取り。

 かつて機械たちと戦っていた時の戦法だ。

 人間よりも遥かに強大なそれらはこちらが必死で用意した攻撃手段がまるで効かないなんてことも普通にあった。

 故に斃せなくても次に繋げられるように動くようになった。

 そこまでして、なんとかレジスタンスとして活動できる、そういう戦いだった。

 対等に戦えるわけではない。

 ギリギリの瀬戸際を渡り歩く戦いだった。

 

「だが、今は……!」

 

 頭上、崩落する建物を背にしたアレスへ右腕を向け、思いを口にする。

 体の全ては敵だったナノマシン。

 残っているのは、心しかないから。

 

「お前を張り倒しても止めるぞ―――友として……!」

 

 右腕の杭打機が撃鉄を起こす。

 そして、射出の為に叫ぶ言葉は一つ。

 

「パイルッバンカーアアアアアアアア!」

 

 轟音と共に射出した。

 

 

 

 

 

 

 そして、マキナは見た。

 水蒸気爆発を引き起こしながら突き抜ける撃杭。

 アレスへと延びる中、しかし彼に動きがあった。

 

『≪一意戦神(マルス・ディスティニー)≫――――――』

 

 アレスの装甲フレームだ。

 戦闘用に加速させていた思考の中、飛来する瓦礫よりも、突き進む撃杭よりもそれらは早く動いていた。

 これまで、彼の装甲と砲身として動いていたものがこれまでと違う動きを得る。

 重装甲を為していたフレームの半数がパージ、彼の両手に集結し、新たな形に合一する。

 それは刃渡り五メートルはある巨大な機械二刀。

 握りしめ、

 

『――――第二(セカンド)進軍戦型(マーク・グラディウス)

 

 一瞬で最適化が実行された。

 剥かれた装甲の内部機構が新たに銀の表皮を再形成、兜も目を覆うバイザーとなり重装から中装装甲へ。

 黒鉄の重機械から黒銀の二色鎧となり、

 

「オリンフォス式戦神術――――四式・周く陽輪」

 

 巨大刀が閃き、赤雷が円環を描いた。

 一瞬だ。

 二刀は上下へ。

 上へ振られたものは崩落に斬線を通した後、赤雷が蹂躙し。

 下へ振られたものは撃杭を両断、巨人を断ち切り、

 

「―――――」

 

 マキナの右肩から左腰まで駆け抜けた。

 

 

 

 

 

 

「―――――なるほど、それがお前の力か」

 

 アレスは勝手に変形した鎧の身軽さを感じながら、マキナの声を聞いた。

 

「戦神という存在からどういう能力が出てくるかと思ったが……状況における装甲の進化変形か。先ほどの砲撃特化の姿からさらに装甲の形式も変化しているあたり、まだまだ派生がありそうだな」

 

「冷静だな、アンタも」

 

 自分でもまた感覚的に理解できない力を冷静に分析する彼に思わず嘆息する。

 第四闘技場は既に半壊していた。

 四階分の内、一階部の外壁が残っているだけであり、周りには瓦礫の山が作られている。

 その中でマキナは横たわっていた。

 

「そんな、頭と左肩しかない姿で」

 

 先の攻撃により右肩と胸から下は無くなっている。

 だが、奇妙なことに血は流れずマキナは平静なまま。

 代わりに切断面から粒子のようなものが漂っているだけだ。

 

「生憎、人間の体ではないからな。自分でもよく分からん」

 

「そうか」

 

 頷いて。

 右の巨大刀を向ける。

 

「残った体を蒸発させれば、お前も死ぬのか?」

 

「―――さてな」

 

 マキナは苦笑する。

 誤魔化しではなく、本当に分からないような力の無い笑み。

 

「自前のナノマシンの大半が消し飛んだが、それが消えたら死ぬのかやはり自分でも分からん」

 

「……まぁいいさ」

 

 アレスは肩を竦め、バイザーの奥から目を細めた。

 やることは、変わらない。

 

「どっちにしても、今のアンタは消す。……俺にはやらなきゃいけないことがある」

 

「――――」

 

 死に体の男はただ目を伏せた。

 何を思うのか、肺が残っているかも怪しい体で息を吸い、

 

「―――おっ?」

 

「?」

 

 急に、真上を見上げた。

 唐突な動きだった。

 数秒何もない空を見据え、

 

「…………確かに俺ではお前を止められない」

 

「何を今さら―――」

 

「だから、本命に任せるとしよう―――頼んだぞ」

 

「!?」

 

 言った直後。

 マキナの姿が消えた。

 地面に広がった白い火花が円になり、落ちて行ったのだ。

 転移をしたと理解し、しかしどこに、と思う間は無かった。

 なぜなら。

 

「――――えぇ、頼まれましたよ」

 

「……!」

 

 背後に振り返り、声の主を見る。

 黒髪黒目、黒い戦闘衣、片肩の赤いマント。

 この一年、嫌と言うほど関わり、何よりもアレスの心に焼き付いた少年。

 

「ウィル・ストレイト……!」

 

「えぇ、お待たせしました。アレス・オリンフォス」

 

 その瞳は、真っすぐに己を貫いていた。

 

 

 

 

 




一意戦神(マルス・ディスティニー)
第一・開戦戦型/マーク・ボレアス
重装強襲型
派生として砲撃形態有り
第二・進軍戦型/マーク・グラディウス
中装広域殲滅型
状況に応じて特化し、変形・進化する戦神の鎧
理論上は無限に進化する。

アレス
本当は友人だと思っていた。
友を切り捨て、そして。

マキナ
必殺技は滅茶苦茶大声で叫ぶ
本当に友人だと思っていた。

ウィル
お待たせしました
ボーイミーツボーイ。




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