超天才魔法TS転生者ちゃん様監修@バカでもわかる究極魔法の使い方   作:柳之助@バケつ1~4巻発売中

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ナイトフラグメンツ

 

「≪夜の卵≫ヘクセンナハト、こいつは現象であり、儀式のことだ」

「あるアースに訪れるとやつは自らを七つに分割し、その世界の生きる少女たちに宿らせる」

「それは、彼女たちにこう言うんだ」

「同じ力を持ったものを殺せばーーーーどんな願いも叶えよう、って」

「チープだよね」

「だが、これはよく効く」

「精神誘導も掛けられるし、そもそもが鬱屈した願いを抱えた人間、どんな手段を使ってでも叶えたい夢がある、そういう人間をヘクセンナハトは選ぶ」

「そうしてヘクセンナハトのかけらを宿した『夜の母』たちは、願いのために殺し合いをすることになる」

「ただし、その果てにあるのは願いの成就ではなく、ヘクセンナハトの誕生だ」

「そう、儀式が終わるまでヘクセンナハトは生まれていないんだよね」

「欠片の状態では単なる異能の種にすぎない」

「存在を確立していない」

「不死を殺す手段なんていくらでもあるけれど」

「生まれてないものはーーー殺しようがない」

「つまり、やつを斃すには儀式の終わった瞬間、≪夜の卵≫が孵る時しかないんだが、そこも厄介でね」

「ヘクセンナハトは生まれるのと同時に世界を滅ぼす」

「そう、同時にだ」

「ヘクセンナハトの欠片は殺した相手に吸い込まれるから、最終的に生き残りはその身にヘクセンナハトを宿すことになる」

「誕生時、ヘクセンナハトは宿主の願いを叶えるだが」

「これもまぁチープだが、拡大解釈して、世界をめちゃくちゃにする方向にもっていくんだよな」

「誰よりも幸せになりたい、という願いに対して全てを壊してあなたが一番とか」

「好きな人に愛されたい、という願いなら本人とその相手以外を生存できなくするとか」

「誕生と同時に、別の世界に移動するエネルギーを集めるために星をリソースとするわけで」

「悪辣というより無造作、かな」

「ヘクセンナハトは人格を持たない。繰り返すが現象だ」

「生命として活動するのは生誕の瞬間だけ」

「生まれて、卵になり、また次の世界で生まれ直す」

「厄介だよ」

「何度か儀式を邪魔したり、誕生の瞬間に拘束しようとしたが失敗してる」

「欠片を得た人間はそれこそ命を懸けて願いを叶えるために殺しあうし。物理的に儀式に参戦不可能なとこに隔離したら自害するやつもいた」

「誕生の瞬間に立ち会って、止めようとしたこともあるが、あれの世界崩壊は物理的というよりアース丸ごとにも及ぶ現実の改変だ」

「それだけの規模のことを止めるのは難しい」

「…………ん。いや、無理とは言ってないがね?」

「儀式そのものは止められないから、誕生の瞬間の現実改変だけを防ぐようにしている」

「そうなると、次の儀式へのリソースが足りなくなるから間隔が大分空くんだよね。現在は数十年に一度くらい。五百年ほど前から」

「なんだいその顔は」

「対処法くらいは確立してる」

「ただこれも先延ばしなんだけど」

「ともかく、ヘクセンナハトと戦うということはやつの儀式に参戦するということだ。参加できればやり方もあるんだが」

「これが問題でね」

「この儀式には参加資格がある。叶えたい願いがあるというのを前提として」

「――――二十歳前後までの少女でないとダメなんだよね」

「うん」

「二十歳が少女判定かはおいておいて」

「僕じゃ参加できないから後手に回るというか後回しだったんだよね。この場合、夜の欠片を宿せないってことなんだけど」

「参加さえできれば、簡単だ」

「夜の欠片を奪って、そのまま保持し続ければヘクセンナハトは孵らない」

 

 

 

 

 

 

「儀式の参加してヘクセンナハトの欠片を確保し、私とトリウィアさんで保持し続けるというわけですね」

 

 摩天楼の中、日本庭園を別の屋上から見下ろしながらヴィーテフロアは対ヘクセンナハトの攻略法を口にした。

 単純といえば単純だ。

 儀式の参加者、≪夜の母≫が殺し合い、最後の一人になればヘクセンナハトが顕現する。

 だったら、最後の一人にさせなければいい。

 最終的にヴィーテフロアとトリウィアで欠片を保有し、それを維持し続ければ顕現を阻止できる。

 

「なんというか、力技でありますなぁ」

 

 ヴィーテフロアの右隣、巴の姿はタンクトップとツナギ姿からこの世界に合わせて装いを変えていた。

 蛍光グリーンのビキニとレギンスという水着のようなインナーに、チューブや装甲板が付いたタクティカルパーカー。

 両腿には自動式拳銃が二丁、背にはアサルトライフルとショットガンがパーカーの背のハードンポイントにラックされている。

 ポニーテールをまとめたキャップはいつも通り。

 露出度が高いが、この世界ではさほど珍しいものではないらしい。

 

「ヴィーテさんも、不安はないであります?」

 

「元々陰湿影ババアにストーカーされていましたからねぇ。今更ですよ」

 

 ヴィーテフロアもまたアース111の修道服から着替えていた。

 光沢感のある慣れない素材のシルバーのノースリーブと黒のズボン、腰にはゴテゴテとしたベルトと右側の丈だけが長いハーフスカートだった。

 ヴィーテのノースリーブ、体に張り付くタイプでボディラインが浮き出ている。

 とりあえず自撮りして、後でアレスに送るとヴィーテは決めていた。

 

「ははは、流石であります」

 

「流石といえばよォ」

 

 左隣、フライトジャケットとウィングパックを背負った彼は眼下を見下ろし、呆れと感嘆が混じった苦笑を零した。

 

「あの先輩、流石って言葉じゃ足りネーんじゃねぇのか?」

 

「で、ありますな。流石は我が最推し」

 

「ですねぇ。流石は私達の最強です」

 

 ヴィーテフロアもまた、その光景を見ていた。

 つい先程ヘクセンナハトの断片を持つ儀式参加者、≪夜の母≫二人の戦いに飛び込んで。

 

「終わりましたよ、皆さん」

 

 普通に二人を倒したトリウィアだった。

 

 

 

 

 

 

「ふぅー……」

 

 トリウィアは橋の欄干に腰掛け、タバコを蒸していた。

 周囲日本庭園のあちこちが燃え、装飾は砕け、風景を壊している。

 しかし、自分にとっては斬新なボディスーツ姿で、夜の闇とネオンと炎に照らされているのはそこそこ絵になると判断したので良しとした。

 

「心配はしていませんでしたが、それにしたって無双してますねぇ」

 

 庭園に降りてきた三人のうちヴィーテフロアが周囲を見回して微笑む。

 それから見やるのはトリウィアの周囲で、

 

「思ったほどではなかった、というのは外野の勝手な意見でしょうか」

 

 気絶した少女と女がいた。

 少女の方は外傷は少ないがずぶ濡れで、女の方は四肢の義体が砕かれている。

 対して、トリウィアは当然のように無傷。

 

「そうですねぇ」

 

 煙を長く吐き、

 

「思うに、別のアースから来た人間と戦闘する場合、問題となるのは既存の経験とのブレだと思います」

 

 二人との戦いを踏まえ、言葉を作る。

 

「そのアースにおける常識、経験。強さとはそれの積み重ねというのが大きな要因でしょう。その上で、別のアースの人間が相手の場合、それまでの経験が全く使えなくなってしまう。これが一方的であると、かなり厄介です」

 

 思い当たる例は、去年経験している。

 

「≪龍の都≫で、≪ディー・コンセンテス≫に龍人族の方々がいいようにやられたんがそうですね。竜に対する特攻概念、というのはアース111には存在しない能力でした。≪偽神兵装≫にしても、≪オクタヴィア事変≫では科装化したせいで見慣れないものであり、手こずった人もいましたしね」

 

「つまりは、その世界におけるジャンル違い、というわけでありますね」

 

「ですね」

 

 ジャンル、便利な言葉だと思う。

 トリウィアには馴染みないが、掲示板の面子は良く使っていた。

 ファンタジー、SF、現代ダンジョン、異世界等々。

 この世界のことはサイバーパンクと呼んでいた。

 アースゼロの2000年代とやらを基準にした近未来のディストピアだとか肉体を機械で改造した社会だとか科学技術が発達しただとか、聞く相手によって微妙に解釈が違ったし、そもそもアースゼロの2000年代とやらがよくわからなかったがともかくそういう世界。

 アース111はファンタジー。

 そのあたりの感覚はまだ学んでいる最中だが、

 

「ジャンルが違うと常識も戦闘技術も能力も違う」

 

 トリウィアの世界なら七属性七系統の魔法。

 巴の世界なら固有の異能力。

 景のこの世界ならネオニウムのよる科装。

 似ているところもあれば決定的に違うところもある。

 

「その差異が致命的な要素になり得るわけですね」

 

 ≪龍の都≫以外では≪オクタヴィア事変≫の終盤、王城に出現したゴーティアの眷属たち。

 様々な世界の人類の敵対種は、その世界ごとに様々な特徴を持っていたのだから。

 

「ンー、先輩さんヨ」

 

「はい?」

 

「今の話っテ、苦戦した時にすることじゃねェのか? 全然余裕で勝ってるけどヨ。そっちの義体の女は生産区画から上がってキた口だからともかく、スーツの方は明光の役員で見た目はともかく中身は高性能な義体化してタぜ? どうなんだよそノあたり」

 

「単純な話です」

 

 トリウィアは煙を深く吸い、吐いて、

 

「―――――その差異も実力で埋めれば関係ないという話ですね」

 

 明光グループの役員という少女は高い身体能力と指先からビームを射出したり、手刀自体にそのビームを宿らせた上で、周囲から燃える槍を無数に生み出してきた。

 義体の女は、その四肢がロケットやガトリングに変わったりした上で、伸縮自在の鎖を彼女の思うように伸ばしてきた。

 前者はこの世界の技術、後者は≪夜の母≫としての能力だったのだろう。

 このアースの人間からしたら、その複合は驚くべきものだったはずだ。

 今話した通り、ジャンル違いだから。

 だが、トリウィアからすれば驚くものでもない。

 科装という意味なら≪ディー・コンセンテス≫で経験済みだし、≪夜の母≫の能力はトリウィアが知る魔法と大差ない。

 ジャンル違いではあるが、戦闘面においては変わらない。

 

「だから、普通に戦って、普通に倒しただけですよ」

 

「…………」

 

 景を含めた三人が、三歩ほど下がって円を作った。

 

「なんだロな。事実なんだがあぁも言われるとちと困るナ」

 

「そう言われればそうなんでありますが、そうはならんやろとしか言えないでありますなぁ」

 

「今思うと≪オクタヴィア事変≫でヘラを倒してアレスやウィル先輩と合流した時、アルマさんと並んでなんかピンピンして強化モード維持してのほんとどうかしてましたねぇ」

 

「御三方? 褒め称えてくれるのならば正面からお願いしますよ」

 

 肩をすくめつつ、身を翻し橋の上に立つ。

 向かう先は倒れた≪夜の母≫二人。

 動かない二人を前に、トリウィアは愛銃を握る。

 服装は変わっても変わらないそれの弾倉同士を打ち鳴らし、二人に向けて構え、引き金を引く。

 

「さて―――」

 

 銃弾は飛び出なかった。

 代わりに、銃口の先に白い線が立体的な魔法陣を描き、二人の体からあるものを抽出していく。

 濃紺色の結晶のようなそれは、魔法陣に閉じ込められながらもトリウィアの前に浮遊する。

 ヴィーテフロアがそれらに覗き込み、言う。

 

「これが≪夜の欠片≫、というわけですか」

 

「そういうことになりますね」

 

 ≪夜の卵≫ヘクセンナハトの、文字通り断片。

 これが七つ集まると世界を食らう怪物が生まれるわけだが、現状ではそんな風には見えない。

 魔法陣の白は、普段トリウィアが使う魔法の色ではない。

 アカシックライトだ。

 

「ヘクセンナハトの欠片を回収するにはアルマさんの使う魔法系統が必要で、本来なら欠片回収もアルマさんが必要ではありますが。トリウィアさんなら同じものが使えるので問題無し、というわけでありますな」

 

「アルマさんのそれと比べるとできないことが多すぎますけどね」

 

 実際、マルチバースの力を用いるアカシックライトはできないことが多い。

 転移は苦手で、特定のものの引き出しは可能。幻術は覚えたものの、使用用途は限定的。

 アルマのように万能ではない。

 それでも、幸いなことに≪夜の欠片≫の抽出は使用可能だったのだ。

 だからこそ、今回の方針が可能だったわけだが。

 

『なんというか……君、本当に無法だねぇ』

 

『やっぱり今からでも≪ネクサス≫に入らない? ダメかぁ』

 

 身につけた際、苦笑気味のアルマと真面目な顔の艦長が印象的だった。

 

「あとの問題は……」

 

 トリウィアは結晶に手を伸ばす。

 正確にはそれを囲う魔法陣に。

 両方にそれぞれ指先を触れさせて、数秒維持し、

 

「ふむ……ダメですね?」

 

 手を離した。

 

「欠片を奪うにしテも、相性があるんだったカ?」 

 

「えぇ。アルマさん曰く、それぞれの精神性に応じて、最初の一つは適正のある欠片でないとダメだそうです。元々の持ち主に似た精神性でなければダメというわけで」

 

 欠片を奪うまではどうとでもなりそうだが、これに関しては完全に運だろう。

 儀式に無理やり参加しているので、このあたりは仕方がない。

 一つ相性がいいものを見つけて取り込めば、二個目からは適正は関係ないというのだから次に期待するしかない。

 

「ヴィーテフロアさんはどうでしょうか」

 

「試してみましょう」

 

 続いてヴィーテフロアが魔法陣に手を伸ばした。

 まず、義体の女のものに触れ、

 

「ダメみたいですね」

 

 首を横に振り、続いて少女のそれに触れ、

 

「おや」

 

 ヴィーテフロアの胸の中に吸い込まれていった。

 

「おー?」

 

 彼女が軽く手を振れば、

 

「どわァ!?」

 

 景の目の前から燃える槍が突き出し、とっさに彼が飛び退くが、

 

「おイ! 前髪焦げたゾ!?」

 

「し、失礼しました。ぬるっと出ちゃいましたね」

 

 次は橋の下の水面に向けて掌を向け、手首を返すと、

 

「おぉ」

 

 十数本の炎槍が出現し、すぐに消え去った。

 

「…………ずいぶんとあっさりしたものでありますな?」

 

「正直拍子抜けという感じですけど、願いがあるだけの人に与えられるものと思えば、存外使いやすくあるべきかもしれませんね」

 

 それにしても、とヴィーテフロアは倒れている少女の方に目を向けた。

 

「この人、私と何か似通ったものがあったのでしょうか?」

 

「……」

 

 トリウィアは巴と景と共に三歩下がって円を作った。

 

「つまり、彼女はヤンデレだった……?」

 

「見た目ガキだが、明光の役員だと色々ありそうだしナぁ」 

 

「誰かしらをストーカーしてたのかもでありますな」

 

「くすくす、みなさん? 早速これの試し打ちに付き合ってくれるというわけですか?」

 

 

 




トリウィア
あいも変わらずの無法の人

ヴィーテ
ぬるっと新技&新衣装ゲット


巨乳をさらけ出すことにためらいはない



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