超天才魔法TS転生者ちゃん様監修@バカでもわかる究極魔法の使い方   作:柳之助@バケつ1~4巻発売中

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チート転生者の王道を歩み続ける>1よ

 

 決闘の準備は滞りなく行われた。

 この場合の滞りなく、という意味はバルマクが参列者に向けて、

 

「決闘となるので帰っていい。巻き込まれないように気をつけろ」

 

 それだけ告げたということだ。

 式に乱入者が現れ、龍が降り立ち、鬼の姫が現れ、また別の姫をかけて決闘なんて。

 間違いなく聖国の歴史と御伽噺、どちらにも刻まれることになるだろう。

 結局、大半の参列者はバルマクの言葉通りに立ち去ることとなった。十数人が見届けるために残ったくらいに。

 中庭をそのまま試合場になり、噴水を中心とし、それぞれ両端でウィルとバルマクが準備をしている。

 噴水の前では、御影と甘楽。

 

「―――」

 

 その光景を睨みつけ、親指の爪を噛むパールにフォンは隣から語りかけた。

 

 

「ねー」

 

「何かしら」

 

 視線は動かない。

 フォンもまた準備ーーといっても儀礼服や上着を脱いだりしているだけだがーーするウィルを視界の中心に置きながら答える。

 

「どっちのパールも好きだけど、今のパールはちょっと怖いかなぁ」

 

「―――」

 

 彼女は目を見開いた後、恥じるように伏せ、そして器用に片手で髪を結ぶ。

 

「……ごめんねー、フォンち」

 

 険しかったまなじりが垂れ下がり、表情も柔らかいものに。

 やっとこっちを向いたので彼女も苦笑しながら視線を合わせる。

 

「ちょっと……うーん、めっちゃピリピリしてたぁー」

 

「いいさ、今のパールの気持ちはよくわかるよ。去年の私がそうだったからね」

 

「あー……」

 

 一年前、負傷したフォンの代わりにウィルが鳥人族の未来を決める戦いをした。

 今回と違う点もあるが、似ている点もある。

 この国の当事者であるパールの代わりに、ウィルが体を張るということだ。

 

「ほんとはさ、私が戦わないとだめなんだよね」

 

 できることならそうしたかった。

 けれどカルメンの威圧、甘楽という存在を加味すれば最も可能性が高かったのは御影を巡っての決闘だ。

 そしてそれができるのはウィルだけしかいない。

 後輩にそんな迷惑をかけるがどうしたって心苦しい。

 手入れを欠かさない爪を噛んでしまう。

 

「あのおじさん……おじさん?」

 

「今年30とかそんなだからおじさんでいいよー」

 

「なるほど。思ってたのとだいぶ違ったりしたあのおじさんと随分仲悪いけど、どんなことがあったの?」

 

「あははー。数えていけばキリがないね」

 

 少し考え、

 

「初めてあれと会ったのは私がまだ子供で、聖女じゃなくて。自分の部族にいた時。その時私の住むところは井戸が枯れちゃっててね」

 

「へぇ、そりゃ大変だ」

 

「ちょー大変。砂漠の井戸やオアシスは文字通り命綱だからねー。昔から井戸をめぐっての争いがいくらでもあったわけ。まー、何にしてもその時から珍しく水属性の魔法をそこそこ使えた私はどうにかその井戸から水がもう一度湧き出ないか試してたんだよね。砂漠の井戸は一度枯れてももう一度復活することはあんまり珍しくないんだ。何年、何十年経って、急に湧き出たりするとか」

 

 この国では、砂漠は生き物だ。

 天気や風の強さで砂漠は蠢き、表情を変える。

 時に出ないはずの水が出ることも。 

 伝説では地下に眠る大きなサンドワームが動いたからという。

 

「その井戸はあーしたちの部族にとっては……うん、精神的な支えっていうか? 何世代もその井戸を守り、生かされてきた。だから私は必死だったし、水の魔法が使えない私の家族も部族のみんなも必死に神に祈りを捧げてたんだ」

 

 思い返す。

 喉の渇き、照りつける日差し。祈りを捧げる家族たち。

 部族という小さな世界の中心で、幼いパールは必死に神に祈り、地下深くに眠る水を探し求め続けていた。

 

 土魔法により井戸を掘ることもできるが、最大の違いは水を呼ぶことができるということ。

 水源を掘り起こすのではなく、ある程度離れた水源から文字通り水を引っ張ってこれるのだ。

 だから、この国では水属性の使い手は貴重だった。

 

「それで……」

 

「結果的に、一週間祈り続けて水が出てきたよ。それのおかげで私は聖女になったわけだしね。……ただ、この話を聞いたバルマクはこう言ったんだよね。『一週間かけてでるかわからない水を求めるより、他の井戸を探すなり、移住すればよかったのでは』って」

 

「…………それは」

 

 フォンは何とも言えない表情になる。

 苦笑いのような、苦虫を噛み潰したような。

 そんな彼女に微笑みを返す。

 

()()()()()()()()()()

 

「……へぇ?」

 

「あの男は、要約の天才ってわけでー。確かにさ、生きるためだけだったら、その通り。別の部族に助けを求めて水を分けてもらって、新しい水を探せばいいって話」

 

 だけど、

 

「私はさ、ただ生命活動をするってことと生きるってことは違うと思うんだよねー」

 

 にへらと彼女は笑う。

 

「フォンちは、別に飛ばなくても生きていけるでしょ? って言われたらー、どう思う?」

 

「ふざけんなって感じ」

 

「たはは、だよねー。あの男は人の人生を生まれて、生きて、死ぬってことだと思ってるんだよ。そんでもって、生きるってことを食べて、寝て、子供を作るとか、そんな風に要約しまくって考えてる。だから、その過程にあるものを見てないぽいんだよね」

 

 生まれて、生きて、死ぬ。

 或いは、三大欲求を満たすことが生きることの大前提であり、最優先。

 それが根底にあるから、あの男はどこまでも効率を優先し、無駄を省こうとする。

 ある一面見ればそれは正しいけれど、

 

「人ってそういうのだけじゃ、生きていけないから。前歩くための杖として祈りがあるんだと思うよ」

 

 この砂漠ではただ生きることすら難しく、より豊かに発展するために精神的な支えはどうしても必要なのだ。

 幼いパールは一週間かけて水脈を呼び寄せたけど。

 ただの子供がそんなことをするのには、信仰が、祈りが不可欠だった。 

 日々を安らかに、或いは懸命に生きる為に。

 

「あいつは人は人の力だけで生きていけると思っている。私は、誰もがそうじゃないと思ってるわけー。この砂漠の国では、特にね」

 

 肥沃な土地の王国域や痩せているとはいえ水はある帝国では≪七主教≫にここまで影響力はなかっただろう。

 過酷な土地故に、厳しい戒律や風習が生まれたのだ。

 

「生活に適した場所も少ないから、どうしたって土地への愛着心が沸くしぃ。限られた土地を大事にしようってね。もちろん! さっさと捨てるなんて以ての外でー」

 

「……よく分からないな」

 

 フォンが頭の後ろに両手を置きながら、唇をすぼめる。

 

「土地への愛着心? ってのは鳥人種にはない考えだよ。私たちは遊牧民ってやつだし。それに、住んでる土地で宗教の根付き度合いが違うのも、ピンと来ない。どうして君たち人種は住む場所で、ここまで考え方が変わるんだろ。どこにいようと同じ形をしているっていうのに」

 

「人種は、神が作った天秤の中央に立つ存在だから」

 

 よく分らないなと、フォンは唇を尖らせる。

 聖国に来る前、教皇や導師の分かりやすい説明をしてくれたパールはどこへ行ったのだろう。自分の国に帰ってきたからなのか、この状況のせいなのか、言っていることが難解だ。

 ウィルなら一緒に悩んでくれる。

 御影なら笑い飛ばす。

 トリウィアなら生物学的な違いを教えてくれる。

 アルマなら分かりやすくかみ砕いてくれる。

 けれど、フォン1人では彼女の言葉を正しく理解するのは難しい。

 

「うーん、ようし! 考えるのは苦手だ。何がどうだって、私とパールにできることは今たった1つだよ」

 

「ほへー? っていうと?」

 

「主を信じる! 全力で応援する! ……おっと、2つになっちゃったな」

 

 肩を竦めるフォンに、パールはお腹を抱えて笑っていた。

 

 

 

 

 

 

 

1004:暗殺王

我が思うにバルマクの計画の担保は洗脳と物理的距離の2つだった。

 

1005:名無しの>1天推し

うん?

 

1006:名無しの>1天推し

その2つ

 

1007:名無しの>1天推し

洗脳は分かるけど……距離ってのは?

 

1008:暗殺王

洗脳に関しては分かりやすいな。詳細は分からんが彼は国を自らの手中に収めた。

宗教的・政治的なトップを操り、自身が導師になる。洗脳もできるのだから教皇もどうとでもなろう。

 

なので上げた2つは完全な別軸。

鬼姫殿との強引な婚姻は皇国との物理的距離により計画の遂行が担保されていると言えよう。

 

1009:暗殺王

つまりだな。聖国の理屈で鬼姫殿と婚姻を結んだら、当然皇国から抗議が出るのは予想できる。

仕組上、皇国の皇女と聖国導師の妻が兼任できるとしてもあまりにも急だからな。

それによる衝突は当然予想されてしかるべきだろう

 

ここで問題なのが物理的距離だ。

 

1010:自動人形職人

鳥ちゃんが一日で往復した数百キロ

 

1011:名無しの>1天推し

中世ファンタジーの速度感じゃないよ~~

 

1012:名無しの>1天推し

……あっ! そういう?

 

1013:暗殺王

うむ。今回は鳥ちゃん殿によるファインプレー……ファインフライト? が炸裂したが、この婚姻が皇国に届くのはいつになる?

仮に律儀に通達をしたとしても、片道一月は掛かるなら、皇国が聖国にこの件に関してコンタクトを取るのに最短で二か月か。

 

>1の世界の通信や郵便事情は分からんが、それにしても数日というのは難しいだろう。

皇国から抗議があり、それに対応するまでの時間があればどうとでもできる。

 

1014:名無しの>1天推し

姫様を洗脳して言いなりにしたり?

 

1015:暗殺王

それもあるが……我なら、洗脳を完了させて返還させてもいいな。

聖国に利益を齎すように意識誘導だけ掛けて後はそのままに。

 

一時的な謝罪のために不利益を被るかもしれんが、長期的に見れば利が多い。

なにせ、女王を洗脳しているのだから。

 

1016:名無しの>1天推し

なるほど……

 

1017:名無しの>1天推し

はえー

 

1018:名無しの>1天推し

暗殺ニキ、この手のことには流石詳しいな……

 

1019:暗殺王

ふっ……我は洗脳からの自爆命令暗殺も誘拐からの拷問暗殺も隣国からの謀暗殺も経験済み故な!

 

1020:名無しの>1天推し

それはもう暗殺じゃないんよ

 

1021:自動人形職人

草ですよ

 

1022:名無しの>1天推し

うーんこの積みたくない経験値

 

1023:名無しの>1天推し

なんで生きてるんですかね……?

 

1024:暗殺王

無論……筋肉!!!

 

1025:名無しの>1天推し

おかしいだろ

 

1026:名無しの>1天推し

筋肉とは一体……

 

1027:暗殺王

とまぁ、我の予測はこんな所だな。

龍人先輩殿も、早々に威圧を抑えたのはこういう理由であろうな。

鬼姫殿の姉上が現れたせいで、今言った担保が崩壊した。

 

そりゃあもう焦ったであろうよ。

どうあがいてもあの男は皇国との衝突を避けられないし、思っていた時間の猶予が吹っ飛んだのだからな。

 

1028:名無しの>1天推し

はー

 

1029:名無しの>1天推し

龍人パイセンよりもあからさま焦ってたのなんで?って思ったけどそういう……

 

1030:名無しの>1天推し

なるほどなぁ

 

1031:名無しの>1天推し

未来予知とかはどーなんだろ?

 

1032:名無しの>1天推し

んでも、ばーっと天才ちゃんが洗脳解いて解決! じゃだめったんか?

 

1033:暗殺王

未来予知もどきに関しては我は専門外だな……たまにそうなのかという軍師や策略家がいるが……

天才ちゃんのやつはまぁ……

 

1034:天才1年主席

暗殺の彼の推測は概ね正しい。

僕たちとしても同じような考えだ。

 

洗脳に関しては解除自体は簡単だが

現状、どういう手段なのか分かってないからな

 

1035:天才1年主席

解除してから、再洗脳とかされても困る。

看破するには洗脳自体を目で見る必要があるが、現状一度も使ってないし僕はそれ待ちで観察中。最悪使わなくても洗脳は僕が解除できるけどね

 

1036:名無しの>1天推し

おぉ、天才ちゃん

 

1037:名無しの>1天推し

忙しそうね

 

1038:暗殺王

なるほど、理解した

 

1039:名無しの>1天推し

>1が視点だけ繋げてくれてるけど、見ないからどうしたと思ったわ

 

1040:名無しの>1天推し

これからあのなんか面白おじさんとバトルだけど大丈夫そう?

龍人先輩の威圧見るに結構、強そうだけど

 

1041:天才1年主席

そこはまぁこれから見れば分かる

 

1042:名無しの>1天推し

まぁそれもそうだ

 

1043:自動人形職人

>1なら大丈夫でしょう

 

1044:名無しの>1天推し

ちょいと嫌な話なんだけど、これ、>1が負けたらどうすんの?

 

1045:天才1年主席

いくつか向こうの出方によって考えはあるが……最悪は大暴れするしかないね。

戦力的にはまぁ問題ないだろ。色々と後始末が面倒そうだから避けたいけど。

洗脳を全く使わなかったら意味がないし。ウィルに問題なさそうだったら、戦ってる途中に導師と教皇の洗脳を解除しようかなと思う。

 

洗脳方法を目視で検証というのは安全策なので、即興でどうにかしてもいい。

まぁちょっと色々気になることもあるから、なるべく僕は様子見したいところ

 

1046:名無しの>1天推し

やはり最後は……暴力!

 

1047:名無しの>1天推し

国と喧嘩か~

 

1048:名無しの>1天推し

チート転生者の王道を歩み続ける>1よ

 

1049:名無しの>1天推し

ほんそれ

 

1050:自動人形職人

1年目は鳥人族の代表になって連合と

2年目はお姫様を懸けて聖国のクーデター首謀者と

 

1051:名無しの>1天推し

波乱万丈の夏だな

 

1052:脳髄

それはいいけどよ

 

1053:名無しの>1天推し

おっ

 

1054:名無しの>1天推し

脳髄ニキだ

 

1055:名無しの>1天推し

今日は重役出勤ね

 

1056:名無しの>1天推し

脳髄が出勤するって? ワハハ

 

1057:名無しの>1天推し

まぁ出勤しないこともないだろ。問題はむき出しなところ

 

1058:脳髄

もっとこう……触れなくていいのか?

ログ攫ったけど、さらっと流されたというかバルマクへの言及が多いというか。

いや、あのやり取りは笑っちゃったけど

 

1059:天才1年主席

>1が鬼姫様の婚姻受け入れた話かい?

 

1060:脳髄

そうだよ

 

1061:名無しの>1天推し

それは……まぁ

 

1062:名無しの>1天推し

あんま驚きが無いというか

 

1063:自動人形職人

時間の問題だったかなって

 

1064:名無しの>1天推し

せやねんな

 

1065:名無しの>1天推し

あの場で受け入れたことは驚いたけど

受け入れを宣言したことには驚かないかなって

 

1066:暗殺王

我らが>1もハーレム転生者としての道を……踏み出した?

元々先輩殿や鳥ちゃんもいるしな。かなり進んだという話だ

 

1067:天才1年主席

まぁそんなもんだろ

 

それより、そろそろ始まるよ

 

1068:名無しの>1天推し

おー、上裸>1じゃん、セクシー

 

1069:名無しの>1天推し

真っ赤な腰巻いいね、>1赤もわりと好きじゃん

 

1070:名無しの>1天推し

バルマクおじさんは……短剣二刀?

 

1071:名無しの>1天推し

短剣つーか、ククリナイフかな

 

1072:暗殺王

むぅ……大きくはないが、無駄なく引き絞られた見事な筋肉……!

我が大腿四頭筋と僧帽筋が、奴を強者と告げている……!

 

1073:名無しの>1天推し

大きくない……?

 

1074:名無しの>1天推し

いや、結構なマッチョだよ!

 

1075:脳髄

まぁいいけどよ

 

 

 

 

 

 

 

 

1112:奴隷童貞(大剣豪)

あー、これ。

>1と相性悪いけど良いタイプの相手っすね

 

1113:名無しの>1天推し

この手の世界じゃ見ないタイプだな、このおじさん

 

1114:名無しの>1天推し

大丈夫かこれ?

 

1115:奴隷童貞(大剣豪)

序盤はちょっときついかもっすね

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1191:脳髄

>1いいいいいいいいい!?

 

1192:自動人形職人

ど、どうして……!!

 

1193:暗殺王

こ、こんなことがあっていいのか……!?

 

1194:奴隷童貞(大剣豪)

うわあああああああああああああああ

 

1195:サイバーヤクザい師

>1……そういう感じだったのカ……?

 

1196:ステゴロお嬢様

どなたか! 天才ちゃん! 今すぐにでもどうにかしてあげてくださいまし!!!

 

1197:冒険者公務員

こんなの不許可であります!!!!

 

1198:アイドル無双覇者

あんまりにゃあああああああああああああああ!!

 

1199:名無しの>1天推し

かっこいいーーー!!!!!!

 

1120:名無しの脳髄自動暗殺童貞サイバーステゴロ公務覇者>1天推し

正気か?????

 

1121:天才1年主席

うお、バグった

 




パール
バルマクおじさんの言うことも一理あるけど言い方ってもんがあるだろ。性格的にも主張的にも相いれない
おじさんにレスバで負けまくり表現力を鍛えた女だが
ここもバルマクおじさんと同じ、普段はあんまり発揮されない模様

フォン
気持ちはわかる
それはそれとしてやることは1つ! いや2つ


脳髄
まぁいいけどよ

>1
なんかやらかした模様

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