超天才魔法TS転生者ちゃん様監修@バカでもわかる究極魔法の使い方   作:柳之助@バケつ1~4巻発売中

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少女は少年に道の歩き方を教えて


ガール・ティーツ・ボーイ

6982:2年主席転生者

 

「二人とも、集まってもらって感謝を。―――随分と複雑になってしまった私たちの話も、これで終わりにしましょうか」

 

先輩に呼び出されてディートさんと集まりましたけど……なんでしょう、これ。

なんか見たことある様な……

 

6983:名無しの>1天推し

なんか凄い推理小説のクライマックスみたい

 

6984:名無しの>1天推し

一応犯人?は捕まったが

 

6985:名無しの>1天推し

或いは刑事ドラマで最後に崖の上で追い詰められてるやつ

 

6986:名無しの>1天推し

逆では?

 

6987:NOZUI

でも態々この前のレストランのプールの縁に立って、

水面の反射光で逆光作ってるあたりわざとだよ

 

6988:名無しの>1天推し

うーんこの抜かりない

 

6989:名無しの>1天推し

解答編助かる

 

6990:名無しの>1天推し

はい……

 

6991:名無しの>1天推し

今回、俺ら完全に先輩の掌の上で踊っていた……

 

6992:名無しの>1天推し

うむ……

 

6993:ステゴロお嬢様

あの先輩なら絶対知識欲で>1に殴りかかるタイプの人間だと思っていましたし……

 

6994:名無しの>1天推し

先輩以外の全関係者が「えっ」で一致した瞬間だった

 

6995:名無しの>1天推し

しかし解答編は迫真のヘファイストスハンマー使いのヘファイストス・ヘファイストスさん(笑)を追い詰めた時だったのでは?

 

6996:名無しの>1天推し

ヴァルカン=ヘファイストス

ウルカヌス=ヘファイストス

とかいうヘファイストスの三重使いよ

 

6997:名無しの>1天推し

腕は八本でしたけどね……

 

6998:復帰軍人人妻

あの噛ませ犬はまぁ

 

6999:名無しの>1天推し

やめてあげてよ!

 

7000:名無しの>1天推し

 

7001:復帰軍人人妻

いえ、私は>1と先輩の合体技でテンション滅茶苦茶上がって最高だったんでありますが

 

7002:名無しの>1天推し

くさ

 

7003:名無しの>1天推し

発狂してたよ

 

7004:NOZUI

合体技はしゃーない

 

7005:2年主席転生者

 

「ふっ……トリウィア嬢。その話だが」

 

あ、ディートさん。

 

7006:名無しの>1天推し

何も知らなかったディートハリスさん!

 

7007:名無しの>1天推し

ほぼずっと痺れてただけのディートハリスくん!

 

7008:名無しの>1天推し

王都に来てマジで>1と観光楽しんでただけのディートハリスさん!!

 

7009:ステゴロお嬢様

ほんとにただの気の良い従兄っぽいディートハリスさんですわ~~~

 

7010:名無しの>1天推し

既にオールバックなのに無駄にキメて髪をかき上げるディートハリス様!!

 

7011:NOZUI

くそっ……

 

7012:NOZUI

>1の世界のおもしれー担当は俺だったはずなのに……!

 

7013:1年主席天才

何を張り合ってるんだよ

 

7014:名無しの>1天推し

 

7015:名無しの>1天推し

うける

 

7016:ステゴロお嬢様

おハーブですわ

 

7017:名無しの>1天推し

うーんこの

 

7018:名無しの>1天推し

ジャンルが違うんだよな

 

7019:NOZUI

それはそうと天才ちゃんは何の話か聞いてるん?

 

7020:1年主席天才

聞いてる。

なので今は色々裏でサポートしてた生徒会面子でお茶してる

アレスも一緒に

 

トリウィアが迷惑かけたお礼にって帝国産の最高級ジャムくれた

 

7021:名無しの>1天推し

草ァ!

 

7022:名無しの>1天推し

アレス君さぁ

 

7023:NOZUI

少年……欲望に弱いのでは……?

 

7024:名無しの>1天推し

おもしれー男しかいないのか?

 

7025:2年主席転生者

 

「それは―――ヘファイストス・ヴァルカンの扱い、そして魔族信仰派に関することだろう?」

 

「いえ、違いますけど」

 

「……」

 

おぉう……

 

7026:名無しの>1天推し

wwwwww

 

7027:名無しの>1天推し

ずるいって

 

7028:名無しの>1天推し

草覆い茂るわw

 

7029:NOZUI

おのれディートハリス……!

 

7030:名無しの>1天推し

何やってもおもしろいなこいつ

 

7031:2年主席転生者

 

「……………………ふっ」

 

!?

 

7032:2年主席転生者

凄い、この人笑い一つで誤魔化すつもりですよ!?

 

7033:名無しの>1天推し

ほんとさぁw

 

7034:ステゴロお嬢様

最早あっぱれですわね

 

7035:名無しの>1天推し

かっこよく笑っとけばなんとかなるって思ってる?

 

7036:名無しの>1天推し

おそらく……

 

7037:2年主席転生者

 

「ヘファイストス・ヴァルカンに関しては一先ず王国預かりで、今後の尋問や処遇は現在相談中でしょう。倒して引き渡したのが昨日ですし。その時点で私の手から離れています。事情聴取はありますけど」

 

「そっか……」

 

 

7038:名無しの>1天推し

そっかじゃないんだよ

 

7039:名無しの>1天推し

ちょっと可愛いのなんなの

 

7040:2年主席転生者

 

「私とディートハリスさん、貴方の結婚のことです」

 

 

7041:復帰軍人人妻

!!!!!!

 

7042:復帰軍人人妻

再起不能ですか!?

 

7043:名無しの>1天推し

こら

 

7044:名無しの>1天推し

公務員ネキさぁ

 

7045:ステゴロお嬢様

ちょっとマイルドになってて草ですわね

 

7046:復帰軍人人妻

静粛に! 静かに聞きましょう!!

 

7047:名無しの>1天推し

無敵か?

 

7048:1年主席天才

無法なんだよな

僕が言うのもなんだけど、やりたい放題だぞ

 

7049:2年主席転生者

 

「結論から言えば。ディートハリスさん、貴方と婚約は出来ません。どうぞ帝国にお帰りください」

 

 

7050:復帰軍人人妻

!!!!!!!!!!!!!!!

 

7051:名無しの>1天推し

落ち着け

 

7052:名無しの>1天推し

でも帝国とかお家的に拙いんじゃないっけ?

 

7053:ステゴロお嬢様

ですわね。

ですが、先輩殿がそう言ったということは……

 

7054:2年主席転生者

 

「……………………ふむ。驚いたな、トリウィア嬢。だが君のことだ、何もかも理解した上での選択であろう。訪れた春も必ず終わりが来る。ならば、次に来る冬に向けて蔵は満たしているかね?」

 

「勿論」

 

 

7055:名無しの>1天推し

うん?

 

7056:名無しの>1天推し

とりみ……ださない……!

 

7057:ステゴロお嬢様

えぇと……どうなるか結果が見えているものに対して、対策なり代替案はあるのか? ということでしょうか

 

7058:1年主席天才

正解だ。やるね

 

7059:名無しの>1天推し

お見事

 

7060:名無しの>1天推し

はえぇ~

 

7061:NOZUI

さらっとそういうの出てくる当たり、大した教養よな

 

7062:2年主席転生者

 

「フロネシス家との繋がりが必要なら私の妹と結婚すればいい。母様曰く、貴方のファンだそうで。流石社交界の花ですね。まだ幼い故に家同士の関係もピンと来ないそうで。私とあなたの婚約話に頬を膨らせたそうですよ」

 

「……失礼。君の妹は確か……」

 

「今年で5歳ですね」

 

「…………」

 

何ともいえない顔してますね……

 

7063:名無しの>1天推し

15歳差かぁ

 

7064:名無しの>1天推し

ろ、ロリコ……

 

7065:ステゴロお嬢様

まぁ貴族同士の婚姻ではある話ですわね

 

7066:2年主席転生者

 

「……こほん。いやしかし、君の妹御を貶すわけではないが。君との婚約に、俺は意義を見出している。トリウィア・フロネシス。掛け値なしに、君は歴史に名を残す偉人だ。その君を、新たな当主の妻として迎えることが肝要だ。―――違うかね?」

 

「確かに。私の価値というものは実に大きい。全く、自分で言って笑えますね。ですから」

 

「ほう?」

 

「――――ふぅぅ」

 

「……」

 

 

7067:名無しの>1天推し

煙草でもったいぶるやん

 

7068:名無しの>1天推し

なんか次に凄いこと言う溜めでは?

 

7069:2年主席転生者

 

「婚約をしなくても、アンドレイア家への個人的に援助はしましょう。ちょっと前に後輩がそういうやり方で上手いことやってたのでそれを学びとさせていただきました」

 

「……解らないな、どういうことだ」

 

「簡単な話です」

 

 

7070:2年主席転生者

 

「フロネシス家のトリウィアを嫁にするよりも―――私という個人からの援助の方が恩恵が大きいということです」

 

 

7071:名無しの>1天推し

ん?

 

7072:名無しの>1天推し

はい?

 

7073:復帰軍人人妻

なんて?

 

7074:名無しの>1天推し

て、天才ちゃん? ステゴロネキ?

どういうこと?

 

7075:NOZUI

おいおいおい、マジかよ先輩

ディートハリスくんも絶句してるじゃん

 

7076:ステゴロお嬢様

………………こ、この女!

とんでもないこと言いますわね!?

 

7077:1年主席天才

ね? 無法な上にやりたい放題だろ?

 

7078:NOZUI

おもしれ―女すぎるだろ

 

7079:2年主席転生者

 

「…………つまり、君はあれか? ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

 

「えぇ。そう思いませんか?」

 

た、確かに……

 

7080:名無しの>1天推し

>1!!!納得していいんか!?

 

7081:復帰軍人人妻

いいですとも!!!

 

7082:2年主席転生者

 

「正体はどうあれ、ゼウィス・オリンフォスはその武勲を以てアクシオス王国学園を設立しました。それは認めざるを得ない。それまで分断されていた国々が、大戦を通し、個人が世界の形を変えた一例ですね」

 

「先人に倣うと?」

 

「学ぶとはそういうことです。そして、私ならそれと同等のことができますし、するつもりです」

 

 

7083:名無しの>1天推し

凄いこと言うな

 

7084:名無しの>1天推し

まぁ……でも先輩だしな……

 

7085:ステゴロお嬢様

有能っぷり、散々見せつけられましたし……

 

7086:名無しの>1天推し

>1と戦った時強過ぎたよ……

 

7087:NOZUI

天才ちゃんもアースゼロならノーベル賞もんとか言ってたなぁ

 

7088:1年主席天才

アカシックライトの幻術すぐに覚えるしもう滅茶苦茶。

ネクサスに残ってて今回の一件見たら絶対勧誘してたよ。

 

というか、アース111用に制限した状態なら、僕より強いんじゃない?

 

7089:名無しの>1天推し

やばすぎんだろ

 

7090:2年主席転生者

 

「…………ふむ」

 

おや?

 

7091:名無しの>1天推し

なんか>1と目あったな

 

7092:名無しの>1天推し

おっ?

 

7093:2年主席転生者

 

「なるほど。トリウィア嬢の価値に関しては異論はない。だが、足りんな」

 

「ほう?」

 

「例えば。そう、例えばの話だが。トリウィア嬢をフロネシス家と別けたとしても、今後君の夫となる者が別の家の血を引き! 帝国の権謀術数渦巻く黒き森の暗黒よりも暗い貴族世界に乗り込んできたと! それが俺の立場を追いやると考えると……やれやれこれでは夜も眠れないな」

 

「………………」

 

「どうだろう、トリウィア・フロネシス。それに対しての考えはあるか? 君の影響力は今君が言った通りだが」

 

「…………ふぅう。えぇ、ありますよ」

 

……

 

7094:名無しの>1天推し

ディートハリスくん……?

 

7095:名無しの>1天推し

これは……

 

7096:名無しの>1天推し

おいおいこの男……まさか……

 

7097:2年主席転生者

 

「これは勿論、相手の同意次第という前提ですが。……私の夫となる者は帝国においてあらゆる権力、継承・相続権を放棄する、という誓約を取るというのはどうでしょう」

 

「ふむ………………あらゆる相続権、は言いすぎではないか? その誰かに、もしかしたらお節介焼きの年老いた親戚が別荘や財産の一つを用意するかもしれんぞ? 或いは従兄弟あたりが歌劇の升席を権力によって招待するかもしれん」

 

「……………………」

 

ディートさん……?

 

7098:名無しの>1天推し

先輩呆れ顔で草だな

 

7099:NOZUI

良い奴か?

 

7100:2年主席転生者

 

「…………ではまぁ、権力とか。そこらへんで」

 

「なるほど、そこらへんな感じで」

 

 

7101:名無しの>1天推し

ふわっふわで草

 

7102:名無しの>1天推し

あのさぁ

 

7103:名無しの>1天推し

ディートハリス兄さん!!!!!!!

 

7104:ステゴロお嬢様

相手と場合によってはこれ面倒なことになる言い方とかもうそんなのどうでもよくなりますね~~~~!!

 

7105:復帰軍人人妻

自分はこんな良い人を殺そうとしていた……?

 

7106:1年主席天才

正気取り戻してて草

 

7107:2年主席転生者

 

「――――――フッ!!! では、仕方あるまいな、俺は俺の立場が安泰ならばトリウィア嬢と無理に結婚しなくてもいいだろう! 妹君の話は!」

 

「はい」

 

「………………10年は先の話なので、帰国してご両親と相談でも?」

 

「えぇ。お任せします」

 

「うむ。…………10年か…………ふっ! まぁいい!!」

 

いいんだ……

 

7108:名無しの>1天推し

おもしれー男(n回目

 

7109:NOZUI

くっ……!

 

7110:1年主席天才

うけるwwwwwwwwwwwwwwwwww

 

7111:名無しの>1天推し

草生やし過ぎて草

 

7112:名無しの>1天推し

うーんこの

 

7113:2年主席転生者

 

「それでは、俺への話は終わっただろうし下がらせてもらおう。そちらで積もる話もあるだろうしな。目的も終えたし、帝国に帰るとしよう」

 

 えっ!?

 

「ははは! それでは、だ。トリウィア嬢、ウィル! あ、来年の春頃には王国しかやらない歌劇を見に来るからその時にな! さらば、我が従兄弟!!」

 

 

7114:名無しの>1天推し

ディートハリス様~~~~~!!!

 

7115:名無しの>1天推し

爆速で帰るじゃん

 

7116:名無しの>1天推し

最後にちょっと>1とハグして背中バンバン叩くのずるいよ

 

7117:ステゴロお嬢様

圧倒的な察しの良さ……

 

7118:名無しの>1天推し

戻って来て~~~

 

7119:名無しの>1天推し

来年春……半年くらいか……

 

7120:名無しの>1天推し

ディートハリス様……トゥンク

 

7121:NOZUI

おかしい、ただの間男だったはずなのに……!

どうしてこんな反応に……!

 

7122:1年主席天才

脳髄の時代も終わりってことだねwwwwwwwww

 

7123:NOZUI

こら!!!!

 

7124:1年主席天才

誰がパパだ!!!!

 

7125:NOZUI

ん?

 

7126:名無しの>1天推し

ん?

 

7127:名無しの>1天推し

ん?

 

7128:ステゴロお嬢様

ん?

 

7129:名無しの>1天推し

ん?

 

7130:復帰軍人人妻

ん?

 

7131:1年主席天才

ん?

 

7132:2年主席転生者

 

「――――後輩君」

 

「はい」

 

 すみません、視界同期切ります

 

7133:名無しの>1天推し

あーい

 

7134:名無しの>1天推し

ま、そうなるわね

 

7135:復帰軍人人妻

うおおおおお

 

7136:1年主席天才

行っておいで

 

 

 

 

 

 

 

 

 中庭に降り注ぐ秋晴れは少しづつ落ちていき、世界が黄金色に染まっていく。

 建物の影が大きくなっていく中、それでもプールを背にしながら煙草を蒸かす彼女を洛陽が包み込んでいる。

 そんな彼女をウィルは見つめている。

 眼鏡の奥の青と黒の双眸。

 目が合い、ウィルは苦笑しながら首を傾け、トリウィアは煙を吐き出した。

 

「……君の≪外典系統≫。凄いですけれど、ちょっと困りますね。困るというか」

 

「恥ずかしい、ですね」

 

 ≪我ら、七つの音階を調べ合おう≫。

 それにより、戦いの中で二人の意識と想いは繋がり溶け合った。

 だからお互いがお互いをどう思っているのか、どうしたいのか知っている。

 

 一度お見合いが破綻して彼女が今の形を考えていたけれど、ヘファイストスのせいでこうして伸びてしまった。

 

 遠回りをしてしまったけれど、それもいいかなと思う。

 共鳴し、調和し合ったあの時間はあまりにも尊いものだったから。

 

「後輩君」

 

「はい」

 

「………………ふむ」

 

 彼女は彼の名を呼び、少し考え、

 

「私の旦那は、つまり私と結婚しても帝国での権力に全く興味がない人じゃないとダメになったんですけど―――君が、適任だと思うんですが、どうですか?」

 

「……ごめんなさい」

 

 答えは苦笑気味の断りだった。

 トリウィアも思わず失笑する。

 同じようなことを言って、一度振られた。 

 そりゃそうだと、今更彼女は思う。

 こんな言い方で、彼が受け入れてくれるわけがない。

 トリウィア・フロネシスは別に最適解を選ぶことが得意ではない。

 間違えて。

 学んで。

 知って。

 そしてやっと正解に辿りつける。

 

「なら――」

 

 だから、口を開き、

 

「――――先輩」

 

 ウィルがそれよりも先に動いていた。

 流れるような足取りでトリウィアの目前に。

 彼女に自らの右手の甲を差し出した。

 

「次は僕から、いいですか?」

 

「―――」

 

 青と黒の瞳が見開かれる。

 驚きは一瞬だった。

 

「……意味は理解しています?」

 

「えぇ、()()()()()()()()()()()()()

 

 頷き、煙草を携帯灰皿に捨てる間に息を整える。

 目を細め、頬の笑みは抑えきれず自らの左手の平を彼の掌に重ねながら答えた。

 ウィルは自分の手と共にくるりと上下を入れ替える。 

 頭を下げ、額を彼女の手の甲に近づけた。

 コツン、と。トリウィア自ら、ウィルの額に触れ、すぐに離れる。  

 ウィルは顔を上げなかったし、トリウィアはその流れを見つめていた。

 左右の手のどちらを受け取るか。それが最初の選別。

 そして近づけた額を触れてくれるかどうか。それが二度目の選別。

 そこまで続いたのなら、

 

「―――んっ」

 

 ウィルは彼女の手に恭しく口づけし、トリウィアは彼の唇の感触に小さく声を漏らした。

 

「先輩」

 

「はい」

 

「僕は先輩が好きです。貴女が僕にとっての幸福です。ですから、利益があって誰かと結婚するのではなくて―――僕が貴方を誰にも渡したくないから、僕と結婚してくれませんか?」

 

 それは紛れもないプロポーズだった。

 かつて舞踏会で、ウィルはその意味を知らずに行った。

 けれど一週間ディートハリスに付き合わされる中でその意味を教えてもらった。

 だから彼は、その名の通りに。

 真っすぐな意思で想いを伝えたのだ。

 

「……っ」

 

 トリウィアの手を握る力が強まった。

 胸の中で暖かいものが爆発しそうだった。

 それは少し前までは知らなくて、けれどウィルとの共鳴が教えてくれたもの。

 だから、その底なしの温もりに彼女は逆らわず、

 

「はい……!」

 

 手を引き、ウィルを立ち上がらせて抱きしめようとして、

 

「あっ」

 

「えっ」

 

 勢いが付きすぎて、背後のプールへ二人で落ちた。

 

 

 

 

 

 

「――――ぷはっ!」

 

 派手な水音を立ててプールに飛び込んだが、幸い水深はさほどでもなかった。 

 水底に足がついて尚、ウィルの肩下あたり程度だ。

 頭を振り、水滴を飛ばしながら目を空ければ、

 

「あ、ちょ、後輩君! わっ、っと……!」

 

「おっと」

 

 妙に慌てた動きでウィルの首に腕を回し縋り付いてきた。

 

「ふぅ…………うぅ……びっくりした……」

 

「…………先輩?」

 

 いつも余裕がある彼女には珍しい姿。

 

「泳げないんですか?」

 

「それは」

 

 トリウィアは表情を崩しながら説明をしようとした。けれど相手がウィルであるのならもういいかななんて思い、彼の首に回した腕の力を籠める。

 

「泳げない、わけではないですけれど。王国で一通り覚えましたし。ただ……その、帝国では泳ぐ習慣もなければ、常冬の国で川に落ちれば命の危機も同然、なので……その……得意ではない……というか……」

 

「……意外です、先輩にもできないことあるんですね」

 

「泳げないわけではないですから。そこは勘違いしないように。ただ、可能な限り腰から上の水深の水場に入りたくないだけです。それだけですよ? いいですか?」

 

「ははっ。えぇ……はい。大丈夫です。先輩は、いつだってかっこいい先輩ですから」

 

「むぅ」

 

 初めて見るような様子にウィルは笑ってしまい、揶揄うような言い方に少しだけ頬を膨らませた。

 それからお互い、額がくっつきそうな距離で密着していることに今更気づいた。

 

「……あはは」

 

「ふふっ」

 

 ウィルは首を傾げながら笑い、トリウィアは小さく笑みをこぼした。

 

「先輩の知らない一面を見れて、嬉しいですよ」

 

「……うん」

 

 彼女ははにかみながら頷く。

 縋り付くのではなく、ちゃんと抱きしめて。

 

「…………私も。誰かに知ってもらって嬉しいと思うなんて、思わなかったな」

 

 濡れた頬と頬が重なる。

 晴れているとはいえ秋の終わりに水の中にいれば当然寒い。

 魔法を使えばいいけれど、今はただお互いの体温を感じたかった。

 

「…………もう、私がやり直そうと思ったのに」

 

「あぁいうのは、僕から言った方がいいかなって」

 

「うーん……私はどっちでもいいけど。でも、確かにすごく嬉しかった」

 

 くすくすと、彼女は笑う。

 いつもの冷静で無表情な彼女とは違う。

 ウィルにだけしか見せないような言葉遣いと雰囲気で。

 

「ねっ、ウィル君」

 

「はい」

 

「トリィ」

 

「はい?」

 

「私の旦那さんになるなら、トリィって呼んで欲しいな。家族はそう呼ぶんだよ」

 

「へぇ……」

 

「あと、君と御影さんが呼び方変わったの見て羨ましいなーなんて思ってた。ついでに敬語も止めてみよう?」

 

「…………そんなこと思ってたんで……思ってたんだ」

 

「実は凄く」

 

「なるほど――――トリィ」

 

「―――――――」

 

「トリィ?」

 

「………………いや、ごめんね。御影さんが凄く興奮するって言ってたの理解した」

 

「あはは……」

 

「私もウィル君でいい?」

 

「勿論だよ、トリィ。昨日、何度か呼ばれてたからそれで通すのかと思ってた」

 

「あれは……ほら。感情が高ぶっちゃった、みたいな感じ」

 

「そっかぁ」

 

「うん、そうだよ」

 

 くすくすと笑い、ずぶ濡れの体を重ね合わせて体温を分かち合う。

 胸に溢れるこの温もりまで相手に届いて欲しいと思いながら。

 

「……」

 

 額を重ね、見つめ合い、

 

「――――ん」

 

 唇を重ねた。

 触れ合うような口づけ。

 すぐに離れて、

 

「……これは、凄い」

 

「うん」

 

「次は御影さんとしているようなやつがいい」

 

「もしかして御影から根掘り葉掘り聞いたりしてる?」

 

「うん」

 

 トリウィア・フロネシスが聞かないわけがなかった。

 頷き、すぐに再び唇を押し付け、啄むようなキスを。

 

「ぁむ……ん……」

 

 唇同士を食み合い、

 

「んっ」

 

「ぇろ……ちゅ――ふぅ……っ」

 

 口が開いた瞬間に、トリウィアが舌をねじ込み、絡め合う。

 そのまま彼女の舌は貪るように、初めての感触と快感に震えていた。

 

「ふぐっ……ちょ、んん……トリィ……!? 待っ……」

 

「ふゅ……ちゅ、ちゅっ……んれぇぉ――」

 

 ウィルの静止も聞こえていなかった。

 彼女の貪る様なキスはたっぷり一分近く続いた。

 やっと唇が離れ、銀色の端が掛かる。

 

「………………ふわぁ」

 

「はぁ……はぁっ……」

 

「…………これは、凄い。今、御影さんへの解像度が滅茶苦茶上がった」

 

「………………」

 

 ウィルは思わず頬を引きつらせた。

 冷静に考えると。

 性欲のお化けの御影とあらゆる知識欲の権化であるトリウィアの組み合わせは色々拙いような気がしてきた。

 脳内で、やっと舌を少しふれ合うようなキスができるかなというアルマが手を振っているような気がした。

 どういう感情なんだ?

 

「……ねぇ、ウィル君」

 

 トリウィアが体を擦りつける様に寄せ、水面下で自らの足をウィルのそれに絡めた。

 そして、彼の耳に口元を寄せて囁いた。

 間違いなくこれも御影から学んだことだと、冷や汗を掻いた。

 

「ここのお店ね。帝国貴族御用達で色々融通も効くし、レストランだけど元々御屋敷を改造したものだから宿泊も頼めばできるんだ」

 

 くすりと、彼女は笑い、吐息が耳元を撫でる。

 その瞬間。

 ウィルには本当に―――――彼女が悪魔に見えた。

 

「だから今から、私の知らないことを―――いっぱい教えてね?」

 

 

―――≪ウィル・ストレイト&トリウィア・フロネシス―――ボーイ・リーズ・ガール―――≫―――

 

 




そして或いは少年は少女をリードする

リード(意味深
このあと滅茶苦茶リードさせられた(意味深

ウィル
自分からプロポーズしたい派
完全に耳を開発されている

トリウィア
諸々の問題を全部自分の力でねじ伏せる。無法か?

アグレッシブ知識欲暴走ガールが性欲魔鬼から知識を得たらもうえらいことになった
敬語の冷静な先輩が敬語崩れずるいと思うんですよね


ディートハリスお兄様
結局何も知らないまま、最後一瞬だけ察して、なんだかんだ目的を達して颯爽と帰っていた
さらに10年童貞の可能性が高まるイケメン

トリウィアの妹
この5年後くらいにハイパーアグレッシブ逆レロリになってディートハリスの貞操を狙い出し、攻防を繰り広げる


というわけで先輩編でした~~
次は勇者ちゃんの方や番外編挟んで鳥ちゃん編ですかね。
先輩が無法しまくった回でしたが、楽しんでいただけたら幸いです。

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このssの略称

  • TS天才ちゃん
  • 超天
  • バカわか
  • 天才ちゃん魔法
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