超天才魔法TS転生者ちゃん様監修@バカでもわかる究極魔法の使い方   作:柳之助@バケつ1~4巻発売中

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ミソロジー

 

2964:2年主席転生者

 

「余は何百年か置きに番いを得て、子を産む。カルメンの父は……600年ほど前だったかな」

 

「お爺様、男も女も関係ないですしのぅ」

 

「左様。余にとって肉体の性別は曖昧なものだ。気に入った人の子がおれば、それに合わせた性別に変え交わるだけである。20年前はそれがダンテだったという話だな。フラれたが」

 

……………………くぅ!!

 

2965:名無しの>1天推し

あぁ、>1が!

 

2966:名無しの>1天推し

なんか見たことがない反応を!

 

2967:ノーズイマン

このドラゴン……未来に生きてるな……

 

2968:2年主席転生者

 

「長く生きていればそういうこともある。少々余談ではあるが、こうしてダンテとベアトリスの子に出会えたことは私も嬉しい」

 

………………ぬぅ!

 

2969:名無しの>1天推し

うーんこの

 

2970:名無しの>1天推し

アレス君が凄い目で見てるよ

 

2971:自動人形職人

まぁ……そりゃ……

 

2972:名無しの>1天推し

俺らもびっくりだよ

 

2973:ノーズイマン

長く生きてると……そっか……そういうこともあるよね……そう……ふぅん……

 

2974:1年主席天才

なんだよ

 

2975:ノーズイマン

いや……やっぱ長命種ってそういう……

 

2976:1年主席天才

………………言っておくが

 

2977:1年主席天才

僕はウィルが初めてだよ

 

2978:名無しの脳髄自動暗殺童貞サイバーステゴロ公務覇者>1天推し

やったあああああああああああああああああああああああああ!!!

 

2979:2年主席転生者

………………!!

 

 

 

 

 

 

 

 

「それでは話をしようか」

 

 何故かしかめっ面をしながら頬を染めたアルマと毅然さと正しい座る姿勢を取り戻したウィルを見ながら御影はエウリディーチェの言葉を聞いた。

 多分、掲示板で何かやり取りをしているのだろう。

 彼女は目を伏せたまま、柔らかく微笑み、

 

「余にとっては遠い過去であり」

 

 そして、

 

「――――其方らにとっては神話の物語を」

 

 

 

 

 

 

 

 

 神話、と聞いて御影は自身の皇国に伝わるものを思い起こす。

 皇国におけるそれは≪神鬼道≫と呼ばれ、太古に大いなる鬼神が大海を自らの鉾でかき混ぜ大地を生み、その時に生まれた泡から多くの命が生まれたという。

 鬼神による創世神話だ。

 或いは、皇国の三大聖域に封印されたという三大神獣。

 蛇と狐と狗。

 現在においてそれぞれの聖域に眠っているとされているが、しかし本当にそうなのかは御影でも知らない。

 ただ聖なる場所であり、禁じられた場所であるが故に立ち入ってはならぬという御伽噺があるだけだ。

 

 御伽噺。

 

 けれど今、御伽噺であり、神話の張本人が目の前にいるのだ。

 

「遠い、遠い昔の話だ。何万年も前のこと。まだ人の子らが文明らしき文明を生まれる前」

 

 静かに、ゆっくりと龍は語り始める。

 

「あの世を、正確に言語化するのは難しい。今とは随分と違う。かつて、この世界において意味があり、概念があり、観念があり―――しかし、()()()()()()()

 

「……?」

 

 意味や概念、観念があり、しかし言葉がない。

 頭の中で繰り返したが意味が分からない。

 周りを見回すが、皆同じ様子だった。

 

「―――あぁ」

 

 ただ、アルマだけではその時点で全てを悟ったように息を吐いた。

 

「ふふ」

 

 エウリディーチェは笑い、

 

「神話の時代、余のような力ある生き物はひどく曖昧であった。自己認識が薄い、とでも言うのか。余らは生きているが生きてはいない。そこにいるがそこにはいない。ただ、それぞれが持つ意味を持って世界の影響を与える……そういうものだ」

 

 意味が分からん。

 だが、トリウィアが軽く右手を上げた。

 いつものブラウスに白衣とは違い、白いタートルネックのセーターに藍色の男性用のシンプルなジャケット姿の彼女は慎重に口を開く。

 寒くはないのかと思ったが、見た目重視らしい。

 

「…………物理的ではなく、霊的・概念的な存在だったということでしょうか? 確かに、言語化が難しいですが。連合の自然を神とし、信仰するもののような……?」

 

「ふむ。そう言って構わないだろうトリウィア。()()()()()、だな」

 

「……?」

 

 誉め言葉の意味をトリウィアは良く分からなかったらしい。

 御影からすれば話自体が良く分からなかった。

 霊・概念的。

 それを察したのだろう、口をはさんだのがアルマだった。

 

「難しく考えなくていい。それぞれ固有の系統を保有する強大な存在、くらいでいいかな。半分ほど現象……うーん、一日の半分くらいぼんやりしてる、みたいなところだ」

 

「そのような表現でいいんですか、スぺイシアさん」

 

「いいや、アレス。流石は魔術師殿だ、的確だな。確かに()()()()だ。ふふふ」

 

 アレスは納得してなかったが、エウリディーチェに言われては納得せざるを得なかったらしい。

 例によって何とも言えない顔をしている。

 いいのかぁと御影は思った。

 まぁいいだろうとも。

 

「ふむ」

 

 お茶を飲む。

 寒い所だと聞いていたので今彼女は冬装束だ。

 赤の冬用着物と黒の袴。それに外套として王国で購入した同じく黒い厚手のケープを羽織っている。

 それを見せたアルマが『大正浪漫……』と呟いていたがやはり良く分からなかった。

 そんなことを思い出しながらもエウリディーチェの話は続く。

 

「とかく、余らはぼんやりしていた。無論、現代にも在る生き物の祖先らは今と左程変わらない営みを送っているものもいた。そのような世が何万年も続いた。或いはそれは調和の保たれた世界であったであろう。生まれ、生き、死ぬ。ただそれだけだった。だが――――変化があった」

 

 それは。

 

「――――人が、生まれたのである」

 

 

 

 

 

 

 トリウィアは静かに興奮していた。

 神話。

 それはトリウィアにしても、確かめようがないほど過去の時代だ。

 彼女として神話と言えばなんだろうか。

 七主教の創世神話。

 創造神が七つの眷属神を生み世界が広がったというものだろうか。

 或いは帝国の最北の山脈。

 極寒にして最果ての氷の大地に眠るとされる巨人だろうか。

 今となっては確かめようがない。

 それを今、トリウィアは聞こうとしている。

 

「いつの間にか……そう、いつの間にか人というものは生まれていた。と言ってもやはり今とは違う。現代のような高度な魔法もないし石や木を振り回しておったな。だが―――かつてより変わらぬものがある」

 

 それは。

 

「――――()()。それがこの世の在り方を大きく変えた」

 

 言葉。

 強調された単語に、トリウィアは納得と戸惑いを得る。

 なぜならそれはあって当然のものだからだ。

 言葉があり、文字がなければ知識は蓄積も伝達もされない。

 日々読む本から得る知識もそうだし、口伝で伝わる魔法構築、個人が生み出した技法、直近だとウィルにこっそり御影と纏めている『夜の生活で何をしたら喜ぶのか』ノートだ。これは時が来ればフォンやアルマにも渡すつもりなので言葉がないと意味がない。

 だからそれは納得であり、そして今更言われるまでもないはずだという戸惑い。

 顔に出ていたのだろうか、そんな彼女にエウリディーチェは声をかける。

 

「不思議か、トリウィア?」

 

「……はい。エウリディーチェ様のような方が多くいるのなら、我々人の言葉がそこまで影響を受けるとは、私には到底思えません」

 

「――――くっ」

 

「……?」

 

 返事は奇妙なものだった。

 これまでのにっこり、という笑みではない。

 引きつる様な、何かを思い出すかのような苦笑だ。

 

「いや悪いな。……くくっ、人間とは全く相も変わらずだな。()()()()()()()()()()()()()()()

 

「そ、そんなつもりは……!」

 

「いや、悪い。これは余の言い方が悪かったな。忘れてくれ。……話を続けよう。人が生まれた、言葉が生まれ、全てが変わった」

 

 果汁入りワインを少し飲み、話は続く。

 

「人が言葉を生み、余らのようなものらに接触するまでは何千年かあった。その間に人は文明を発展させ、社会を生んだ。やはり今よりも未熟ではあったが純粋ではあった。そんな彼らは、やがて余らの下を訪れ、語り掛け、そしてこう呼んだ」

 

 それは。

 

「――――神、とな。()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 そしてトリウィアは今度こそ困惑に染まった。

 

 

 

 

 

 

「――――おぅい」

 

 カルメンは自分の頬、冷や汗が流れたのを自覚した。

 とんでもないことを聞いている。

 どんなことを隠していたのだろうか、自らの祖父は。

 カルメンは自分が思慮深くはないということを自覚しているが、それでも知識がないわけではない。

 流石にトリウィアやウィル、アルマみたいに実技と学科、どちらも学年トップというわけではないが生徒会会長、現3年主席として実技はトップ、学科試験でも上位3位前後当たりの成績だ。

 だから宗教についても知っている。

 今この世界にある最大宗教は王国と帝国の≪七主教≫だ。

 次いで聖国の≪双聖教≫があり、皇国は≪神鬼道≫、それから連合では特定の名はなくとも神とした自然に対する信仰がある。

 それぞれに特色はあるが、共通していることはある。

 

 即ち、始まりに神がいて、神が人を作ったということだ。

 

 ≪七主教≫は神様が7つの色の主を生み出してそこから世界が生まれたとする。

 ≪双聖教≫は神様がまず昼と夜を生み、そこから七つの属性が分かれたとする。

 ≪神鬼道≫は鬼神が世界をかき混ぜ、そこから生命が生まれたとする。

 自然信仰は神である自然が動物と人を生み、そして最後に亜人を生んだという。

 

 それぞれに違いはあるが、神ありきで人類がある。

 なのに、エウリディーチェの話が真実なら、

 

「人があり……神が生まれたというのか、お爺様」

 

「左様」

 

「………………うぅむ」

 

 前提がひっくり返る様なものだ。

 龍人種にとってはエウリディーチェが神であり、それが人と交わり龍人が生まれたと言われているのにそれが逆だったなんて。

 視線をずらせば皆それぞれ驚いている。

 シュークェは分かっているのか分かっていないのか首を傾げいるのはどういう思考なのだろうか。

 アルマは何も言わず、何の感情も見せずにゆっくりとお茶を飲んでいた。

 パールが来なくてよかったなと思う。

 特に信心深い彼女が今の話を聞いたのなら、どれほどの衝撃を受けただろうか。

 

「―――言葉だ」

 

 エウリディーチェは同じ単語を繰り返す。

 

「我らにとって言葉はないものだった。だが、人は言葉を以て我らを定義づけた。神、或いは火や水、太陽や雨、大地、風、龍。あらゆる言葉で我らに名を与え―――それによって我らは定義されたのだ」

 

 

 

 

 

3004:2年主席転生者

 

「先に言ったように、我らは曖昧な存在であった。自意識すら危うく他者との区別でさえもな。だが我らは名を得て、言葉を知り、自らがいかなるものかという定義を得た。それが個というものを生んだのである」

 

 

3005:名無しの>1天推し

えぇと……

 

3006:名無しの>1天推し

つまり、どういうことだ?

 

3007:1年主席天才

認知による存在確定、の話だね。

 

3008:名無しの>1天推し

あーん?

 

3009:脳髄

シュレーディンガーの猫ってこと!?

 

3010:1年主席天才

それは……また似ているようで違うというか……。

ざっくりとだが説明しよう。

 

いいかい?

 

3011:1年主席天才

アース111の神……というより上位概念存在だね。

 

彼らは生命と自然現象が半々になった存在だったんだろう。

自意識が薄かったというのは自然として調和をしていたからだ。

コミュニケーションは他者と理解し合うための手段だが、彼らはその理解し合う必要がなかったわけだ。

半ば自然としての現象であるが故に、世界の一部として溶け合い、均衡を保っていたわけだ。

 

3012:自動人形職人

僕の世界の精霊のようなものですか?

 

3013:1年主席天才

似ているけど、違うかな。

 

彼の世界の精霊がそれぞれに明確な意味・概念を持っていた。

だがこの世界ではそのあたりがあやふやだったんだろうね。

 

だけど、人間が言葉を以て彼らに意味を与えた。

曖昧なものが明確にされたんだ。

それに関しては分かりやすい言葉がある。

 

―――信仰だ。

 

3014:名無しの>1天推し

あー

 

3015:名無しの>1天推し

なんとなくなら理解できるかもしれん

 

3016:1年主席天才

 

そもそもマルチバースにおける神ってのも色々あるが基本3種類だ。

単純に生命として強靭だから神と呼ばれるか、

固有の概念を持ち、権能としてふるまうことができる現象生命。

そして、そう扱われ、信じられるが故に成立する象徴存在。

 

この場合、アース111はこれら三つが混ざっていると言えるだろう。

 

 

3017:1年主席天才

強靭な生命であり、同時に不確定な現象だった。

それが神として定義されることにより神となった、ということだ。

 

3018:名無しの>1天推し

あー、なんとなく理解できる、かも。

 

3019:ノーズイマン

科学畑からするといまいちピンとこんな。

哲学的つーか思考実験みたいつーか。

 

3020:1年主席天才

まぁ神学ってそういうものだしね。

 

けどまぁ……この世界、35系統も含めてやたらややこしいと思ってたけど、

その理由も理解できたな。

なるほど、確かにこれはエウリディーチェにとっては過去の出来事であり、同時に神話でもある。

 

 

 

 

 

 

 

「斯くして余らは神となり、人の世との関わりを持った。その過程は今は省くとしよう。関係ないからな。フォンとの話に関しては神代の時代の終わり頃、3000年だかそこらの話だ」

 

 そろそろアレスは話についていけなくなったことを自覚した。

 軽い気持ちだった。

 伝説の≪龍の都≫。

 父から行ったことはあるということだけは聞いたがそれだけの場所。

 これ以上ない経験かと思って誘いを受ければ、意味の分からない高度な転移、ちょっと良く分からない性癖をしている龍の神。そして神話の話。

 人が、神を作ったという。

 アレスはそれほど信心深いほどではない。

 それでも驚かずにはいられない。

 特に王国に来る前にいた≪共和国≫は聖国とは違う意味で宗教色が強い。

 多分、≪共和国≫でこんな話をすれば懲罰房行きだろう。

 嘆息しつつ、周囲を見回す。

 誰も彼も困惑と驚きがあり、自分も似たようなものだろう。

 明確に違うのは3人だ。

 

 アルマ、シュークェ、フォン。

 

 アルマの表情は良く分からなかった。

 クラスメイトとして1年近くの付き合いがあり、生徒会に顔を出してそこそこ話しているが見たことない表情だ。

 無表情に近いが、どこか遠くを見ているような、既にもう全てを理解したような。

 

 シュークェは何故か不敵な笑みを浮かべていた。

 良く分からないが想像したら頭が痛くなりそうなので放っておく。

 

 そして。

 今回、張本人であるフォン。

 

「―――?」

 

 彼女もまた戸惑いの表情があった。

 けれど、他とは違った。

 1年生には鳥人族は数人いるが、彼ら彼女らと違い着込んだ大きめのパーカーの袖を通した手で、ジャージの胸元を掴んでいる。

 それはまるで。

 自分に、戸惑っているような。

 

「亜人の話をしよう。ここからが本題だ」

 

 エウリディーチェはフォンを見ていた。

 

「亜人とはかつての人と神が交わって生まれた生命だ」

 

 さらりと、またとんでもないことを口にし、さらに続けた。

 

 

「フォン―――お主は()()()()であるな」

 

 

 




なんとここまでが前振りという。

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