火牙刀太陽(アポロ)とノインが神羅万象チョコの世界で成長していく話 作:不知火勇翔
本当にアポロと格好が似てますよね。
「報告します!!!『龍喉』の伊達家が襲撃を受けました!!敵は邪神群。数は赤6青3、そして緑が1です!!!!」
平和に過ごせていたが、邪神群はそれを待ってはくれない。
それを思い知らされる一報だった。
集まった俺とノインと真幻さん、それから真幻さんの家臣は部下の報告を再度求めた。
「それで、事の次第を、もう一度話せ」
「はっ!龍喉の伊達家を邪神群が襲撃。一夜にして壊滅状態に陥りました。数は赤6青3、そして緑が1です」
「伊達家の被害は」
「全容はまだ忍の者でも把握できていませんが、壊滅的とだけは」
「壊滅的、か」
真幻さんが呟く。
ヒカリから聞いた話を俺は皆に話した。なので、邪神群の脅威は既に知っている筈なのだが、ここにいる俺とノイン以外の全員は焦りを隠せていなかった。
「報告します!!!」
別の部下が再び走ってきて、膝をついて報告した。
「恐れながら報告します!!『龍背』の龍上家にも邪神群が来襲!!!しかし被害は軽微。大名自らが最下級邪神のアンヘルを鹵獲した模様です!!!」
「何だと!?」
真幻さんが腰を浮かせて驚いていた。すぐに座り直した真幻さんは、高らかに笑った。
「ハッハッハ!!!そうか、流石は俺のライバルだ!!!」
さっきから『龍喉』とか『龍背』とか言っているが、日本列島を龍に見立てると、宮城県が龍の喉元、新潟県を背中、という風に名前が変わっているためだ。ここ甲府、というか山梨県なら『龍腹』だ。
真幻さんは笑っているが、家臣達の顔は厳しかった。
「お館様、ここは戦うべきでございましょうな」
誰か知らない家臣Aが提案した。
「戦うとは?」
「その小僧らを追い出せないのなら、邪神群のねぐらを襲って潰すしかあるまい。そうじゃろう、小僧」
俺に聞いたのか家臣A。
「邪神群は寝ませんよ。なんなら不眠不休で戦えるように『作られてる』みたいですし。ますますロボット感が強まっていきますよね。魂の炎が無いし」
先に否定しながら、関係ないこと言って俺は否定したというマイナスイメージを持たれないように気をつけた。
「しかしこのままでは被害が増すばかりではないか!!」
ドンっと床を叩いた家臣Bは、そんなことを言った。彼も俺達と同じで怖いのかもしれない。
「まずは邪神群のねぐらを知らねばな」
早めに叩くのは賛成なのか、真幻も現実的な意見を出しながら同意した。俺もそうしたいけど、ねぐらが異次元にあるなら皆お手上げ状態になるんだよね。
「閑那、この邪神群の動き、どう思う」
真幻さんが近くに座っている閑那さんに聞いた。
「十中八九、あぶり出しですね。2人は余所者。余所者がすでに住んでいた民が殺されるのを黙って見ている神経の持ち主は少ないでしょう」
「にしても、見境ねぇな。他国の領地じゃねぇか」
「見分けがついてないのかもしれませんね」
邪神からしたら人間が引いた国境などよく分からないのかもしれない、ということらしい。普通にありそうな話だ。
「そうなると、邪神群はウチだけの問題じゃなくなる訳か。話がやりやすくなるな」
話?
「情報提供と停戦を交換条件にする。要するに連合軍を作るって訳だ」
戦国時代にか。普通に無理じゃないかな。
「知ってるか?鬼腹(山梨県)は内陸で塩を余所から流れてくるのに頼っていてな、ある時取引相手と関係が悪くなって塩を止められたことがあったんだ。その時塩をくれたのが剣真だ。塩止めには参加しないって形でな。だからアイツは話ができねぇような頭はしてねぇ。打算で動く奴でもねぇ。『義』を大事にする奴だしな」
敵に塩を送る、って言葉の成り立ちだっけ。「そしてアイツさえ丸め込んで朝廷も使ってやれば停戦には持ち込める。軍を動かしてくれるか分からねぇがな」
閑那さんも目を伏せているし、不可能ではないらしい。事態が事態だけにってかんじか。
「ただ邪神群の脅威が知れ渡るのは待った方がいい。剣真が勝てる以上は、伊達みたいな大国がボロクソに負けてくれるのを期待するしかないな」
「我々が邪神群を退けられれば、それは自分達だけで可能と更に思われてしまいますからね。長引きますよ」
俺とノインを見て説明を引き継ぐ閑那さん。
「周知期間についてはどれくらいになるか現段階では分かりませんね。邪神群のペースに左右されますから」
ペース、か。
「報告します!!『鬼尻』『鬼尾』『鬼爪』にも邪神群が出現!!全ての戦場で邪神群が圧倒的な勝利を収めた模様!!!」
結構、近いかもしれないな。
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京都府がある位置には、鬼龍にも都がある。
『龍玉』や『龍心』と呼ばれるこの場所は、全鬼龍にとっても聖域だった。
だからこそだろう。
暗殺を警戒する諸大名が全員集まれたのも、その聖域で殺しを持ち込まないというルールがあったからだ。
誰も戦闘ができない『龍玉』に帝の呼びかけで諸大名が集められた。
会議の議長は真幻さん。
話す内容は基本的に邪神群の話になる予定だった。
「まず、帝の声かけに集まってくれたこと、帝に代わって御礼申し上げる」
長テーブルの誕生日席に座った真幻さんが、まず口を開いた。
「此度は皆も知る通り、邪神群についてのことで集まってもらったがその前に、あるお方を紹介しておく」
真幻さんが向かい側の誕生日席に目を向けると、この場にいる全員が真幻さんの見ている方向に視線を向けた。
そして視線の先には、ヒカリが神妙な面持ちで座っていた。
「鬼龍の神、ヒカリ様だ」
話を聞かさていない人は全員頭の中で疑問符を浮かべたと思う。
「ちなみに神だと帝がお認めになったから、邪神群のことで解説を求めたという訳だ」
帝がお認めになった、というのは結構パワーが強いため、誰もが何も言わなかった。
「ではまずヒカリ様、申し訳ないのですが邪神群についての説明をお願いします」
ヒカリが頷くと、口を開いた。
「邪神群の個体には九つの階級が存在します。
下級第三位『邪神アンヘル』。最下級の邪神です。
下級第二位『大邪神アーケイン』。青い奴です。
下級第一位『権邪神アルヒャイン』。オレンジ。
中級第三位『能邪神エクソーシア』。緑です。
中級第二位『力邪神デュナメール』。赤。
中級第一位『主邪神キュリオテラス』。
上級第三位『座邪神オファニウム』。
上級第二位『智邪神ケルヴィウム』
そして、最上位『熾邪神セラフ』の4体。
『火のベシュ・テルス』。
『地のアウ・リエル』。
『風のラファ・エール』。
『水のジブ・リール』。
邪神群は上位の個体ほど数が少ないのですが、最下級邪神のアンヘルでさえ倒せていない国があるのが今の現状です。そして、今回鬼龍を襲った邪神群のトップは『火のベシュ・テルス』。アポロさんの故郷であるオリンポス王国があんなに火に包まれたのは奴の炎が原因です」
初耳なんだけど………(汗)。
「単純に言えばセラフの4体を倒せば殲滅戦になるのですが、アンヘルに敵わない人が殆どなのですよね……」
「だからこそ、俺は提案する」
ヒカリの説明を引き継ぐと、再び集まった人達の視線が真幻さんに集まった。
「邪神群を退けるまでの停戦。そして連合軍の結成だ。これは帝の指令でもあるが、俺は提案としてアナタ方に提示する。」
ここに来る前に説明してもらったが、本国を守る兵の予備だけを出す、くらいでは全く数が集まらないらしい。
なので、命令ではなく提案。
自分の領地と民を最優先に守りたいのは分かるが、それでは解決せずジリ貧だ。だからこそ、諸大名には思い切った決断をしてもらわないといけないらしい。それこそ、自分の所の民を見捨てるぐらいの覚悟が。
「連合軍だと!?」
戦国の時代。手柄争いも激しい時代で、同盟はあっても共闘は有り得ない時代だ。現状がこうでなければ荒唐無稽な話だ。
「自分の領地の守りを捨てろと言うのか!!!そんなことできる筈がない!!!」
「貴様にも妻子くらいならいるのだろう!!」
真幻さんは頷いた。
「だが、このまま全てが殺し尽くされるのを待つか?既に立て直しが不可能なほどやられた国だっているんだぞ?」
隻眼蒼鎧の男がピクッと反応したが、結局は何も言わなかった。代わりに真幻さんの背後に控えていた閑那さんが口を開いた。
「邪神群はただ殺戮するためだけに作られた存在。なので邪神群は人の密集地を狙う、と先ほどヒカリ様に教えてもらいました。でしたら、邪神群が人の出払った領地ではなく連合軍を狙う確率の方が高いかと」
「黙れ!!今は大名同士の話し合いだ!!家臣ごときがししゃり出てくる場ではないぞ!」
態度に腹が立ったのか、どこぞの大名が閑那さんを叱りつけた。
まぁ閑那さんが話す場面ではないよね。真幻さんが呼んでないし。
蒼鎧の人が暴れる前に牽制しときたかったのかな?
「連合軍を作るのは、私も賛成です」
場が混沌としかけた所で、『剣上剣真(けんじょう けんしん』が口を開いた。
『剣上剣真』は、スカートを履いているし容姿も普通に女の子だった。
カチューシャをつけていて、青いストッキングに白い靴、そして青いマフラー。
俺も赤いマフラーをしているため、少しだけかぶっていた。
俺は赤目に赤毛に赤いマフラー。全体的に赤と白の服。剣真さんは青い目に青い長髪に青いマフラー。青いストッキングに白いスカートと全体的に青と白が目立つ服だった。
「連合軍を結成するとして、邪神群は人数が集まっただけで現れるでしょうか」
「もっともな質問だな、我がライバルよ」
「それはどーも。それで、どうなのです?」
「秘策があってな、アポロ、ちょっとコッチ来い」
ノインは呼ばれない。普通に危険だからだ。
それにノインも狙われている以上は戦場に連れて行く予定だ。
味方と思っていた奴でもノインという元凶の1人が変な気を起こさないとは限らない。
俺が真幻さんの背後に立つ。
「コイツは別の世界の住人だった。しかし邪神群に祖国を破壊し尽くされて、今は俺の所に身を寄せている。それで邪神群なんだがな、邪神群がコイツの祖国を狙ったのはコイツみたいな王族の血が邪神群の天敵になる能力だったからだ。つまりコイツを野に晒しておけば、必ず邪神群は出てくるって訳だ」
聡い奴なら気づくだろう。
「つまり此度の邪神群の攻撃は、全てこの少年を狙っての行動ということですか」
代表して剣真さんが言った言葉に、諸大名らはザワついた。
「そうだ」
真幻さんが頷くと、更に場がザワついた。
所々から「追い出せ」やら「殺せ」とかが聞こえてきた。
これが普通の反応なんだろうが、結構くるものがあった。
「確かにコイツが招いた邪神群だ。だがな、」
雑なこと言って耳を傾けさせた真幻さんは続けた。
「邪神群は殺戮のために作られたのなら、いずれ鬼龍に来る『敵』だ。それを先延ばしにした場合、戦を忘れた天下太平の世の世代には少し厳しいだろう。そうは思わないか?」
言葉の意味を理解した諸大名が問う。
「……真幻公は、この戦乱の時代が終わると?」
真幻さんは深く頷いた。
「剣真よ」
「……」
「邪神群を倒したら、〆の戦をしないか?後腐れ無く、負けた方の全面降伏を賭けて」
再び場がザワつく。
言わば真幻さんの問いかけは、天下の趨勢を決める問いかけなのだ。
全面降伏とは即ち一気に属領となるということ。
普通は勝っても負けても得られるのは少ない領地だけ。だから真幻さんや剣真さんのような二大勢力を倒すなら何度も出陣して何度も勝って何度も領地を切り取る必要がある。
勝っても反抗勢力が残るし、だからこそこの時代は戦が絶えない。
全面降伏とは、それら全てを一度に決めてしまうことなのだ。
妨害も無い。反対も無い。そういう決め方があるのなら、それは人死にが極端に少ない結末を迎えることとなる。
「……考えておきましょう。」
それだけ言った剣真さんの口元には、少しだけ笑みがあった。
「……剣真公と真幻公、どちらかが全面降伏したのなら、天下は決まったようなもの…」
諸大名の1人が現状を把握して呟いた。
今でさえ二大巨頭と呼ばれているのだ。
合体すれば、それはもう戦ではなくなるだろう。他が戦って勝てる物量と国土ではない。
大袈裟に言えば千の時代に万の軍を動かせる国ぐらい巨大になるのだ。
「………決まりじゃな」
諸大名の1人、年老いた白髪白髭の老人が締めくくると場は静まった。
頷いた真幻は、言った。
「連合軍結成は一月後、場所は鬼龍の中間地点にある『龍玉』の東にある平野だ。皆様方、よろしく頼む」
締めくくった真幻さんだが、そこで剣真さんが手を挙げた。
「龍上が連合軍に参加する条件を出してよろしいか?」
いきなりのブレーキに、再び場が聞く体勢になった。真幻さんもここで来るとは思っていなかったのか、警戒ぎみだ。
「…何だ?」
「そこのアポロくんを、連合軍結成までウチで預からせて欲しい。彼がアンヘルを単独で撃破したのは知っている。切り札なら、私がある程度鍛えておくべきだろう?」
は?俺?
「ハッハッハ!!!鬼龍最強の剣士の弟子、か。いいだろう!!」
「えっ!?」
ちょっ、、ちょ待てよ!!!
「大丈夫だ。剣真ならお前をどうこうはしない。ただ鍛えてくれるだろうよ」
「でも!!!」
「精々頑張れよ。命が懸かってんだ。実力の不足で嘆くことがないようにな」