※今Χは、楠雄の『動物を飼う』という事の考え方を独自解釈しています。動物を大量に飼っているさとりんと動物を飼ってない(ロボ猫は除く)楠雄の考え方の違いを書いて見たかったので
それと、楠雄の過去も捏造してます。原作にはなかった行事なので
(PM 0:30)
実の所でも無いが、前Χの続きだ
前Χ僕は家に帰ると言ったが、今僕は購入した甘い物を食す為に公園のベンチを目指す。
やれやれ、まさかお使いを済まして家に帰る途中に移動販売が、しかも期間限定のコーヒーゼリーを取り扱う出張屋台が通り掛かるとはな。コーヒーゼリーの魅力には勝てなかった。
しかし、前回のアンプの初登場Χはアッサリ終わった気がするな。もしや作者がただ考えなしにアンプを出したがってただけか?
まぁあいつは原作の登場話数も参考資料も少ない。この調子だと、今作でも計5話程度でフェードアウトする可能性もあるな…5話も出ない可能性の方が高いが…
もう会うことの無いであろう野良猫の事を頭から消して、僕は公園のベンチに座る。
では、おやつには早すぎるが食すか。
[む…また人間かい?はぁ…]
ふと聞こえた不機嫌声に目を向けると、いつの間に僕の隣で寛いでいる黒猫がいた…いや待て、なんだコイツは?黒猫だが、所々が赤い体毛はまだ良いとして、尻尾の先の毛が上に行く程赤から黄色に変わっていってる。まるで燃えているような色合いだ。
いやそこは別に良い。僕の力が原因とはいえ僕のようなピンク髪がいても不自然な扱いをされない世界だ。この様な毛の色の猫が居ても不思議では無い。
問題は尻尾の色ではなく、本数だ。
尻尾が二本、しかもただ枝分かれしただけの尻尾ではなく、元から二本あったかの様になっている。
[ちょいと、おにいさんがここに座るとせっかくの日の光が塞がれて日陰になっちゃうじゃないか…まぁどうせまた通じないだろうけど]
まるで普段は通じてる様な言い草だな。
「うにゃっ!?」
僕が聞こえているとも知らずにタメ口を吐いていた謎猫は、いきなり脳内に直接話しかけられた事で飛び起きた。凄いな、二本の尻尾が良い感じに動いて先が焔のようだぞ。
[な、なんだい?今おにいさん、あたいの言葉に反応した?でもなんで?]
別に、聞こえたから反応しただけだ。
[いやなんで通じてんのさ…というかさっきから喋ってないのになんでおにいさんの声が聞こえるの?]
だろうな。お前の脳内に直接話している。
[はぁ!?]
それで、退いて欲しいのか?
[いやそんな事より、おにいさん何者!?]
別に、ただお前達動物の心が分かる超能力者だ
[え…]
そうして謎の猫は硬直した。
なんだか新鮮だな。今まで何度か動物と話した事はあったが、ここまで普通に驚かれた事はなかったぞ。
驚きはしてもすぐさま受け入れる事が多かった。
…だが、コイツが驚き、硬直した理由はもう一つ別にあった事を知った。
[そのピンクの髪に
…は?
何故コイツ僕のことを知っている?
僕は一気に警戒を強めた。なんだか嫌な予感がする。そしてその予感は的中した。
謎の猫は僅かに驚きを見せた僕を見ると、途端に驚愕から歓喜に変わって
[やっぱり!さとり様の話を聞いてから会ってみたかったんだ!あぁそうだ。これも何かの縁だし、自己紹介でも…]
予想だにしなかった人物の名前が上がり、僕は驚愕を抑えられなかった
さとり…古明地だと!?
[あたいの名前はお
やれやれ…アンプ以上に厄介な動物に出逢ってしまった…
人懐っこい表情で自己紹介を始めたお燐という猫を見ながら、僕は心の中でため息を吐くのだった。
ーー
あたいの名前はお燐。さとり様に飼われているペットよ
これを読んでるみんなは知ってるだろうけど、お燐って言うのは通称で、本名は長くて好きじゃないからみんなにそう呼ばせてるんだ。
そして勿論、あたいはただの猫じゃない。
猫妖怪、火車さ!
<火車(かしゃ)>
全国各地で見られる妖怪。
葬式や墓場に現れて死体を奪うと言われ、正体は猫とされることが多い。
古くから猫は魔性の物とされており、その俗信と地獄からの迎えである「火の車」、死体を好んで食す妖怪「魍魎(もうりょう)」などの観念が結びついて生まれた妖怪と考えられている。
東方大百科より
またしてもコピペである
勿論この世界だと尻尾が二本ある普通の猫として過ごしているよ…普通ってなんだろうねホント。
一応人型になる事もできるけど、危ないからあまり出来ないね。楽だから良いけど猫と彼等以外で会話が出来ないのはちょいと寂しいねぇ。
それに、この世界の人間達は猫の気持ちをわかっちゃいない。起きていて、頭を数回撫でるのならいざ知らず、昼寝しているときにも遠慮なく、しかも身体中を
さとり様は地底に帰りたいっていつも言ってるけど、ぶっちゃけ同感さ。いくら地底の妖怪でも珍しく安全だとか言われているあたいでも我慢出来かねるよ
そんな折、さとり様から聞いたんだよ。「同じ心を読める能力を持っている人間がいる」ってね。基本生きている人間に興味が湧かないあたいだけど、是非とも一度会って見たいと思った!
そして、目の前に会いたかったおにいさんが!
ーー
お燐と名乗ったこの謎猫は僕に興味の視線を向ける
やれやれ、面倒だな。まさか古明地のペットに偶然出会うとは…それにまさかの放し飼いとは何を考えてんだか
[いやぁ、家の居辛さに耐えられずに外に出た甲斐があったってもんだよ〜。さとり様、昨日の夜からすっごく落ち込んでてねぇ。今朝見たら部屋もジメジメしてたしキノコも生えていたんだぁ]
一晩でどうやったら部屋が湿地帯みたいになるんだ…まて、落ち込んでるだと?あの化け物メンタルの古明地が?
僕よりも心が鋼で構成されており、超能力を不要だと考えている僕とは正反対にテレパシーを自分の誇りとして受け入れている古明地がそこまで追い込まれるとは、何があったんだ?
[…数回しか会ってないって聞いたのによく分かってんじゃん。流石だね…]
合ってはいるんだけど反応に困る僕からの古明地像を聞いたお燐は微妙な顔で理由を話す。
[おにいさんって、さとり様と同じ寺子屋に通ってんだよね?]
学校を寺子屋って言う猫初めて見たぞ。
[明後日だっけ?イベントがあるんだろう?確か『呪業讃歌』ってやつ]
そんなカルト的宗教団体の歌を歌うイベントが学校であってたまるか。授業参観だ。
[さとり様、それがスッッッゴく嫌みたいなんだぁ。理由は教えてくれなかったけどさ。それでもう家がジメジメしだして…]
成る程、放し飼いではなく脱走だったのか
[いや、あたいがここにいるのは逃げた訳じゃなくて日課の散歩だよ…まぁ外の空気を吸いたいとは思ったけど]
正直だなこの猫
授業参観か…僕も好きな行事では無い。全集中で取り掛からなければならない行事だからだ。因みに親が来ていると緊張で集中出来ないとかでは無い。いつも通りに授業を済ませれば良いだけだからな。問題は僕の両親についてだ。特に母さんだな…
(ねぇー?あの子さぁ)(お母さんも大変ねぇ〜)
チッ…思い出すだけでも吐き気がする
[お、おにいさんどうかした?身の程知らずの上っ面DQN男に口説かれた時のさとり様そっくりの顔してるけど]
どんな顔だ。
まぁ、僕も注意しなければな。父さんは仕事で来れるか怪しいが、母さんは確実に来るだろう。古明地はどうなるのか気になるが…
さて、コーヒーゼリーも食した事だし、今度こそ帰るとしよう…
[おや?帰るのかい?せっかく会ったってのにまだあたい質問してないよ]
お燐はそう言って僕の足元に擦り寄ってくる
やれやれ、こっちはあまり古明地とその関係者とは関わりたくないんだがな。
しかし…ペットか
『一緒に暮らしている家族やペット達とは仲が良いですし』
古明地はああ言ってはいたが、僕と同じ心を読めるあいつがペットを飼ってるというのは意外に感じる。
試しに質問してみるか。
[なんだい?]
お前は古明地の事をどう思ってるんだ?普通は言葉の通じない存在が、自分の言葉どころか考え事さえもバレてしまう、そんな性質を持つ主人をどう思ってる?
[さとり様?大好きだよ!あたいだけに限らず、他のみんなもさとり様のことが大好きさ!まぁ隠し事とか出来ないけど]
…本心か。というより、他の皆という事はコイツ以外にもいるのか
僕は動物の心を読む事が出来る。上手くいけばペットと心を通じ合い、最高のパートナーになれるかもしれない。
だのに何故、僕は動物を飼っていないのか
因みに、母さんが猫アレルギーである事は関係ない。これは猫限定に限るもので、動物を飼わない理由とは言えない
僕が動物を飼わない理由は、実に単純だ
僕からすれば動物は人間とほぼ同じなのだ。正確に言うと、性格がな。ダジャレじゃ無いぞ
動物の心が分かるのなら、その動物の性格までわかるのだ。実際の性格が、皆が動物に抱いているそれぞれのイメージと近いのもいればあまりにもかけ離れている動物だっている。つまり千差万別。ほぼ人間と変わらない
見知らぬ『人間』を『飼う』という考えが浮かばないのだ(因みにワープは含まない。あれは生き物ではなくロボットだ)
だから僕は同じ…いや、僕よりも強いテレパシーを持っている古明地が、ペットを飼うという事に意外性を感じているんだ。だがこれで分かった。古明地にとって動物を飼うというのは、家族と暮らしている感覚に近い。
動物を『人間』として見てる故に飼わない僕と、動物を『家族』として見て一緒に『暮らす』古明地。
…やはり僕に似てるようで全く違う存在。やれやれ、やはり下手に一括りできないものだな。超能力者とは…
[もう、さっきからおにいさんが質問してばっかりじゃないかぁ。あたいにも何か質問させておくれよ]
残念ながらそんな時間は無さそうだぞ
[え?]
お前を探しているらしい猫がこっちに来ている
[見つけた!!
凄い名前だな。海藤がくい付きそうな字面だ
[あんたさぁフルネームはやめろっていつも言ってるでしょうが!!あたいは本名長いから嫌いなんだよ!]
[そんな事より緊急事態なんですよ!今日さとり様が行く予定だった買い出しについてなんですが…]
よし、帰るとするか。流石にこの慌てようを無視して僕に話しかけようとはしないだろう。というか、この猫も古明地のペットか…何匹飼ってるんだ?
僕は火焔猫から目を離して公園を出た。
知らせで衝撃を受けた火焔猫の叫び声が聞こえたのと同時に
[お空さんが、落ち込んでるさとり様の役に立ちたいと言い残して、商店街エリアに出かけてしまいましたぁ!!]
「…なんですとおぉーー!!!??」
この時僕は気付かなかったが、この叫びは間違いなく火焔猫のものだったが、出て来たのは間違いなく人間の言葉だった
この話を書くに当たってお燐の事を調べまくってましたが、お燐ってあるキャラと被るどころかアイデンティティ完全崩壊させてしまうんですよね…お燐はマスコットとしては書かず、東方側の主要キャラとして書くつもりです。まぁさとりんが主軸の時点で当たり前ですが
そして自分でも書いてて予想外でしたが、まさかのまた追加です…まぁでもお燐が出るならあの娘も出ないと始まりません