あと余程ぶっ飛んでなきゃ楠雄のマインドコントロールの影響で片付けられるのも便利…
(前回までのあらすじ)
いきなりおんどれ隙間妖怪によって『S県左脇腹町』の上流エリアの一軒家に放り出された私、古明地さとり。しかし、あれでも幻想郷の賢者である為逆らう事は出来ず、渋々と入学予定のPK学園に行く準備を進めるのであった。
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登校日当日
隙間妖怪が寄越した地図を見ながら少女登校中
因みに、存在を忘れたら消滅する私達妖怪が外の世界にいて無事でいられるのは、「さとりんの境界を弄ればちょちょいのちょいよ!」…らしいですけど意味が分からない…まぁ私の存在が維持出来ているのなら特に言うことはないのですが。
そして隙間妖怪が置いて行ったゲルマニウムリングなる物ですが、最初から付ける選択肢はありませんでした。本当に害はないのか怪しかったというのもありますが、それとは別に大きな理由が二つほど。
まず一つ。こんな素晴らしい能力を封じてまで人間の世界で暮らす理由が全く見当たらない。
そしてもう一つ。地霊殿の主にして覚妖怪としてのプライドが、こんなのを付ける事を許さない。
どんな災難が待っていようともこれだけは譲れないのです。沢山の人間達の醜い心の声を聞いた所で何ともありません。
ゲルマニウムリングなる物はペット達のおもちゃになってもらい、心底嫌な外界の外に出ようと、この家の扉を開けーーーーーー
"この時さとりの脳内にある衝撃が走った。それはまるで紅い屋敷の爆発音を至近距離で聴いたときよりも、妹のこいしが古道具屋からレンタルしてきた電池式拡声器を耳元で使用されたときよりも大きなものであった"
「ギャアアアアアアアア!!!?」
というわけでゲルマニウムリングをつけて外に出た所…おぉ、凄い。
さっきよりはマシになった…
どういうわけか、私の『心を読む程度の能力』はあり得ないレベルで強化されてしまっているようです。
基本私と読心の対象は、ある程度の距離になると聞こえません。可能な距離は長くてもおよそ半径10メートル程度でしょうか。
ですが、今の読心可能範囲は恐らく、地球上にまで拡大。ようはつまり、煩い。すっごく煩い。発狂する程度に煩い!なんか言語なのかも怪しい声までするんですが!?
プライドは完全にへし折られ、観念してリングを付けてみると自分の周りよりも遠くの人間達の声はショートカット。多分半径500メートル…今までの五十倍程の距離ですが、さっきと比べて河童の機械工場程度には改善されました。
これは確かに必需品かもしれない…
多分この家の中では大丈夫だったのは、隙間妖怪が結界でも張っているのでしょう。
まぁそれは置いといて
ここから目的地である学校までの距離は結構遠いですが、このくらいならギリギリで持つかも知れません。
十数分後
「ゼェ…ゼェ…ゼェ…」
まさか進めば進む程人間の数が多くなるとは…多分どいつもこいつも学校に向かっている人間ですね…
やたらめったらと周囲の人間の心の声が頭に響いてもう既に私の精神は瀕死の域…おかしいなぁ私メンタルの強さには11点を付けられるほど自信があったのに…
指輪の力で読心の範囲は減ったとしてもここまで近くなれば殆ど意味を成しません。無いより良いのは確かですが
…しかも
(あー学校超ダリィー)
(あー授業超ダリィー)
(あー朝超ダリィー)
人間達の恨みがましい心の声がダイレクトに…
揃いも揃って高度宇宙虫歯菌だらけですかこの人間共は…!
もうあまり休んでいる時間は無いのですが、これ以上精神すり減らしてまで進むと力尽きて倒れるのがオチ…
という訳で近くの電柱にもたれ掛かって一息つけました…が
「大丈夫?顔色悪いよ?」
目の前に薄茶のボブカットの少女が。ちょいちょい、私は休みたいのだけど…
「初めて見るけど、もしかして転校生?」
「そ、そうですけど…」
「慣れない通学路だから迷ったのかな…じゃあ一緒に行かない?」
「え?」
一応内心でもやましい事は無いようですが…まぁ人間が持つ一般的な善意とかでしょうね。…って、この人間なんで私について疑問が浮かんでないの?
ピンクか紫か判別し難い髪の色に、胸元に浮いている『サードアイ』、それに繋がっている複数のコード。
普通疑問に思うか気味悪がるのが普通では?
なんて思っていると少女に肩を抱えられ、え?ちょっと?
「な、何をして…?」
「歩けなさそうだから、一緒に行こう」
普通なら結構ですと言いたいけど、本音はすっごいキツイ…
「…お願いします」
「任せて!」
初日でこのザマですか…どうやらこの世界では、私は地霊殿の大物では無く、人間に助けられるか弱い変な格好の女の子なんでしょうか…
そんな事を考えている私とは違って意気揚々と私の肩を抱えて学校に向かう少女…なんで私に対して色々な疑問の声が聞こえないのは気になるけれど、多分私が人間ではなく恐ろしい妖怪だと知ってしまうとどんな反応するのでしょうか。
怖がるかきみ悪がるか…
人間の愚かさを思い浮かべて、私は侮蔑の笑みを浮かべます。
…だが、この時私は知らなかったのです。
一見普通のこの世界。まさかある意味で私達の住む幻想郷の住人がまともに思えてしまう程、ギャグ漫画のように基本的馬鹿で構成されている狂った世界だったなんて…
因みに、学校にはギリギリで遅刻にならず無事に辿り着けました。いや無事じゃなかったですが。
(それにしてもこの子の髪の色、栗子ちゃんに似てるわね…)
慣れない環境への疲弊のせいか、さとりはこの声を聞き逃した。
私実は東方は好きだけどそれ程詳しい訳じゃなく、この小説を書くにあたってさとりんの設定も勉強してたけど、まさか自分の能力に自信と誇りを持ってるメンタルタフガイな方だとは思わなかった…まぁ種族や立場や評判から普通に考えたらメンタル強くない筈なかった…