目が覚めたら真っ白な天井が広がっていた…なんて話をよく聞くが、実際そんなことは無かった
外は暗闇に包まれ雨が降り
もたれ掛かった背中に伝う水の感覚と濡れた全身
太ももの痛みと視界に広がる血が滲んだ地面
出血が多く今にも気絶しそうだった
そうだ、ペンダント…!
…無い
握り締めていたはずのペンダントが無くなっている
動物が振りほどけるほどの力は野良犬ぐらいしかいないため人に奪われたと考えていい
とはいえ、奪われたのはまだ良いがだとしたら救急車か先生くらい呼べってんだ
シャツを脱いで太ももをキツく縛る
フラフラするが歩けない事もない…とはいえ鞭打って歩くほど面倒な事はない
しかし開きっぱなしだったケータイのバッテリーは既に切れていて使い物にならなくなっていた
「歩くしかないか…」
ただの高校生がなんでこんな目にあわねばならんのだ
…いや、善意とはいえ授業サボったからだな
その代償が銃弾一発ってのも納得行かないが
そうこう考えてるうちに教室に辿り着いた
今は…21時か
随分長くのびていたな
荷物を…ん?
机には紙が一枚置かれていた
「あきの君、授業を休むなんてらしくないよ?
しかも荷物置いて帰るなんて…
もう高校生なんだしちゃんとしなきゃ
とに……、気を付けてね 」
小咲が書いたのかな?
最後の文…「とにかく」って書きたかったのだろうか
「かく」が消されたような跡がある
とはいえ、気を付けろってのも変な文だな
足が痛むためこれ以上考えても時間の無駄だと判断し教室を出ることにしてドアを開けた……が、その場で立ち止まってもう一度紙を見た
あ
し
も
とに……、気を付けてね
…足元?
……………っ!
薄暗くて気付かなかったが教室を出た先の天井にセンサーらしきものが足元を向くように設置されていた
「はは…なんの漫画だよ」
らしくもないセリフがこぼれる
授業をサボったら足に銃弾をお見舞いされて教室には謎の置き手紙と、何者かに狙われているのだから落ち着いてる方がおかしいか
その場で立ち止まって数分が経つ
が、体感的には10数分は居る気がする
息を殺して精神を研ぎ澄ます
こういう時にどうすれば助かるか
一定の領域に達すれば人は爆発的な身体能力を発動することが出来るらしいがそんなことを考えてる時点で達する事など無理だろう
心拍数が上がる
多量の出血でいつ倒れるか分からない
「…ヒッ!」
意識を保つ事に集中していると右前方から声が聞こえた
グルンッ!
「ぁ…あぁ」
女性が1人腰を抜かしている
この学校の人でなはさそうだが
いつの間にか、僕は狂気的な笑顔を作っていた
窓に反射する顔を見て自分自身が驚いている
しかし、どこか懐かしい感覚が陥り、そこにいる女性が記憶の片隅から流れだして…意識を手放した
「探せ!」
「必ずどこかに居るはずだ!」
ドゴォン!
「ぐああぁぁ!」
「クソッ!」
『こちらK』
『Fブロックから10数人、Eブロックから5人』
『Cブロックに移動したよ』
『集まる所に頭が居る、見たいな考えだろうけど頭はDブロックに居るから今の内にやっちゃいなさい』
「了解した」
『…む?(パン!)』
「どうした?」
『いや、蚊に刺されただけ』
『目の前のことに集中しなさい』
「…?」
「わかった」
タンッ…
「ん…っ!?」
ザシュッ
「がっあっ…!」
「ウチを狙ったことを後悔するんだな」
「ちっくしょ……う」
ドサッ
『もうそこには用無いし戻っておいで』
『狼狽えてる所に処分する予定のいらない戦闘機5機くらいぶっ込むから』
「それ、私要らないんじゃないか?」
『君が居ないと厳重体制で迎え撃ってくるからね』
『持って行く人を危険に晒すわけにも行かないし』
「なら、良いのだが」
『お疲れ様、僕は日本に帰るけど』
『君の事は忘れないよ』
「私は貴様の顔も本当の声も知らないがな」
『ハッハッハ、素顔見られるのは勘弁ね』
『…ポーラくん、後の指示任せた』
『その名前で呼ぶなー!』
『別に良いじゃないの可愛いんだから』
『うるさーい!!』
目を覚ましたら天井と友人の顔が視界に入った
「…ここは」
「ぁ、おはよう小雨」
「集?」
「お前教室でずぶ濡れで倒れてたからな」
「オマケに太ももから血が出てるし」
「そうか、昨日…つっ!」
「無理すんなよ」
「俺が誰よりも早く学校に来たおかげで騒ぎにならなかったんだから感謝しな」
「…ありがとう、今度小雪を撫でさせてあげる」
「ハハハ、小雨らしいお礼だ」
「取り敢えず、救急車呼ぶか?」
「サイレントでおなしゃす」
「あいよー」
昨日の女性は何だったんだろうか
それより、ペンダントは…
ダメだ、考える事が多過ぎる
「目立たないように裏から来てくれるってよ」
「ホント助かる」
学校始まって1週間経ってないのに色々起こりすぎて疲れた
一旦休もう…
「んじゃ、俺は教室戻るよ」
「わかった」
「楽と小咲にはただの風邪だと伝えといて」
「こっから先は追加報酬が欲しいなぁ」ニヤニヤ
「…今度飯奢るよ」
「その頼み承った!」
相変わらずマイペースな奴だこと…
「どうだった?」
「奴の素顔は」
「申し訳ありません…」
「不覚にも恐怖を感じてしまいました…」
「お前ほどの殺し屋が恐怖を感じたのなら」
「いずれ最大の脅威になりかねんな」
「私はあの男と対峙しなければならないのでしょうか…?」
「それは今後のボスの行動にもよる」
「今は、この抗争に決着を付けねばならん」
「…分かりました」