星を追いかけ、朝日は昇る   作:それおすとろ

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番外編:主演、アットデイブレイク

 西暦20XX年。

 世界は悪の秘密結社により、混沌と化していた! 

 

「ふははー! この怪ウマ娘ゴルシちゃんが、世界を征服してやるぜぃ!」

 

「キャー! 誰か、助けてー!」

 

 秘密結社により改造手術を受け、脅威的な力を手にしたウマ娘、通称怪人。

 その力はとても一般人が立ち向かえるものではなく、襲われた人々はただ逃げ回るしか無い。

 

 ———しかし、希望はある。

 

 人々の願いを受け、祈りを聞き。理不尽な悪に、立ち向かう者。

 

「待て……ちなさい!」

 

 ———人は彼女を、魔法少女と呼ぶ。

 

「えーと…… ウ魔法少女ー、だっけ。アットデイブレイクー。ただいま、すいさ……参上!」

 

「……」

 

 

 

 

「…………カァットッ!! カットです!」

 

「ふぅ……」

 

「ふぅ…… じゃないですよ! なんでやりきった感出してるんですか! ナシです! 今のナシ! もっかい撮りますよ!」

 

 トレセン学園某所。一角を全面緑のシートで覆い撮影スタジオとしたそこで、俺はなんだかよく分からない撮影に巻き込まれていた。

 

 聞いたところによると、どうやらトレセン学園のPV作成らしい。

 と言っても、さっきの通りお堅いものでは無く、自由な校風をアピールするための生徒自主制作ビデオのようなものだと言う。

 

 どうもいくらか前に撮った「ウマソルジャーVファイブ」だかが好評だったようで、こう言う特撮ドラマ路線の動画を撮ることにしたらしかった。

 それなら大人しく続編作ってろよとも思うが、そう言う訳にも行かないのだろう。知らないけど。

 

「そもそも、こんなんに俺を起用することが間違いだろ。魔法少女役なら他にも居るんじゃないのか? 例えば……ほら、なんか中庭でスズメ探してる、魔女みたいな帽子被ったやつ」

 

「あっ、スイープさんは魔法少女ではなく魔女っ子なので。そこを混同するのははデジたん的にNGというか」

 

「知るかよ……」

 

 なんだかよく分からない理論を言ってくるのはアグネスデジタルというウマ娘。この動画撮影にあたっての監督らしく、俺を魔法少女にしよう、なんて言い出したのもこいつのようだ。曰く、

 

「今期最推しのデイブレイクさんにこそ! この役をやって欲しくてですね……」

 

 とのことだ。

 

 そもそも、何故俺がこんなことに巻き込まれているのか。話は数時間前に遡る———

 

 

 ────────────

 

 

「あっ、デイブレイク。やあ」

 

「おう、トレーナー。で、何の用だ」

 

 その日の昼。俺はトレーナーに呼び出され、トレーナー室に来ていた。

 練習についてだろうか。それなら別に、放課後とかでもいいと思うのだが。わざわざ呼び出すということは、簡単な連絡などではない、それなりのことだと思うのだが……

 

「デイブレイク…… ドラマとか、興味無い?」

 

「無い」

 

「いや即答!? 正直予想付いてたけどさ!? 事実だとしても話くらい聞いてくれよ……」

 

「だって聞かれたから…… 何だよ話って」

 

 そうして聞いたのが、PV撮影のオファーだった。

 

「断る。主役なんてなおさらだ。他に頼めと伝えておけ」

 

「うーん…… まあそう言わずにさ。やってくれないかな」

 

 再度お願いするトレーナー。だがそんなめんどくさそうなこと、やるつもりもない。

 

「やらない。大体、俺に何のメリットがあるってんだ」

 

「メリット……ほら、君の存在をみんなに知ってもらえる……とか?」

 

「そんなの望んじゃない。レースの姿だけで十分だろ」

 

「むう…… そこをなんとか! ね?」

 

 必死に、不自然なほど食い下がるトレーナー。そこまで撮影にこだわるのには、何か理由があるに違いない。

 

「……お前、その監督やらとの間に何かあったのか?」

 

「うぐっ…… いや、そんなこと……」

 

 どうやら図星のようだ。だがこいつがどんな弱みを握られていようが、それで何故俺が巻き込まれなければならないのか。

 

「頼むよ〜! 監督は僕の恩人なんだ、なんとか礼を返したいんだよ〜!」

 

「だから何で俺が巻き込まれなきゃいけねぇんだよ!」

 

 変わらず、拝み倒すトレーナー。拒否する俺。

 話はいつまでも平行線のようだった。

 

「はぁ…… お前とじゃ話にならん。監督とやらに直接話をつけてやる」

 

「あっ、じゃあ今から一緒に行こう! 多分いる場所は分かるから!」

 

 

 そう言われて、まんまと連れてこられた空き教室。そこにヤツは居た。

 

「監督ー? 居るかい?」

 

「おや、同志じゃ無いですか…… と、隣に居るのは…… ひょわぁぁぁぁぁぁぁ! デデデ、デイブレイクさん! 来てくださったんですか!?」

 

「やあ監督。言われた通りに連れては来たよ。まあ、乗る気ではないっぽいけど……」

 

 監督、と呼ばれたのはピンク髪の小さいウマ娘。見たところ中等部だろうか? 

 生徒たちの自主制作、と言うからに、監督がウマ娘であること自体は予想していたが…… こんなチビだとは。いや、身長は俺も人のこと言えないんだけども。

 

「えっと、この子はアグネスデジタル。この動画撮影に当たっての監督さ」

 

「どど、どうも! うわぁ…… これが本物…… キリッとしながらも可愛らしい顔立ち、天然モノのツヤツヤの黒髪……はぁ、推せる……もう推してた……」

 

「……本当にこいつで大丈夫なのか?」

 

「あ? あー…… まあ、一旦創作の方にスイッチ入れば大丈夫だから」

 

 なるほど。とりあえず、俺の苦手なタイプであることはわかった。

 

「あ、ししし失礼致しました! えっと、じゃあこちらで衣装に着替えてもらって……」

 

「あ? おい待て、俺は出るなんて一言も言ってねぇ! むしろ断りに来てだな……」

 

「へ? そんな「おっと、逃さねぇぜ? お前には素質を感じるからな、このゴルシちゃんと一緒にハリウッド界の頂点目指そうぜ!」

 

 そう俺が辞退の意を示そうとしたその時、何処からか現れた謎のウマ娘に取り押さえられ、衣装部屋へと無理やり押し込まれた。

 

「誰!? おい馬鹿やめろ押すな、俺は出ねぇっつってんだろ!」

 

「まぁまぁ〜。よいではないか、よいではないか〜」

 

「はぁ!? おいトレーナー、ちょっ、助け、何諦めムードになってんだお前ぇ!」

 

 声にこそ出さないが、トレーナーの口の動きはしっかりと「無・理」の2文字を伝えてくる。もし最初からこの展開を狙っていたのならばぶん殴っていたところだが、どうも顔から察するにそういうことでもないらしい。

 多分、マジでこの謎のウマ娘は制御不能な存在らしい。

 

 そのまま必死の抵抗虚しく、あれよあれよと言う間にフリッフリのコスプレみたいな衣装を着せられた後、恥ずかしい決めポーズと共に演技することを要求された。

 それが冒頭のことである。

 

 ……まあ、ろくに台本覚える気も無かったし、実際出来は散々だった訳だが。

 

 何となく終わった感を出してみたもののやはりリテイクがかかってしまった。

 

 仕方なしに他のシーンを撮影している間、俺は台本を読み込む。

 ここまで来たら逃げられない、とっとと完璧に終わらせてとっとと帰るのが正解だと判断した結果だ。

 ……なんだか俺のとこ、恥ずかしい台詞ばっかりな気がするが。

 

「そういやさ、トレーナー。結局監督とは何があったんだ? 借りって何のことなんだよ」

 

「ん? あーいや、君をスカウトした時、君のレースの映像集めてたって言ったじゃん? あの時ルドルフとのレースの映像くれたのが、あの子なんだよね」

 

 ……そういやそんなこと言ってた気がする。ほとんどの人がルドルフの方しか撮ってなかったから大変だっただか何だか。

 

「その時に話合わせてたら意気投合しちゃってさ。今回は彼女がデイブレイク推しだって言うから」

 

「俺にやってくれって頼まれた訳か」

 

「いんや? キャスティングは僕」

 

 しれっと、何かの雑誌を読みながら答えるトレーナー。ちょっと聞き捨てならないんだけど。なんでそんな当然みたいな顔で言うの?? 

 

「おいちょっと待て、じゃあアレか? お前が俺を使おうって言ったって訳か?」

 

「ああ。あの子が推し本人相手に主役にさせてください! なんて勇気あること、言える訳ないだろう?」

 

「それは知らねえけど」

 

 監督———アグネスデジタルが、トレーナーに俺の映像を渡したってのは分かった。それなら、一応俺も恩を返す義理はあるのかも知れない。

 

 ……しかし、それはあくまでアグネスデジタルが頼んでいた場合だ。トレーナーが勝手に俺を起用しようとしたってのは聞いてねぇぞ! 

 

「まあ、ほとんど彼女の願いみたいなものだし。事実、喜んでたでしょ?」

 

「いや、まあこの際だからどうって訳でもねぇし、最後までやるけどさぁ……」

 

「本当? やったぁ、やっぱりデイブレイクはちょろ……優しいね」

 

「言い直しても誤魔化せねぇからな?」

 

 後でトレーナーをシバくことが確定した瞬間である。

 

「いやー、聞き間違いじゃないかな? そんなことより、そろそろ台本は読み終わった?」

 

「お前……! まあいいさ、台詞は覚えた」

 

「流石だね。じゃ、いってらっしゃーい!」

 

 言いたいことはまだ山ほどあるが、ここでいつまでも言い争っても撮影の邪魔になるだけだ。とりあえず台本を持って監督の元へ向かう。

 

「おい監督。台本、読み終わったぞ」

 

「うーん……こうでもない……そんなこと言わない……これも解釈違い……」

 

「……監督? 何ブツブツ言ってんだ?」

 

 俺が呼びかけるも、アグネスデジタルはそれを意に介さない。台本を見つめ、何やら小声で独り言を言っているようだ。表情は真剣そのものだが、はっきり言ってちょっと関わりたくない雰囲気を醸し出している。

 

 俺がどうしたものかと思い、声をかけあぐねていると。

 

「むむむ…… ちっがーう!!」

 

「ああ!?」

 

 アグネスデジタルが急に立ち上がったと思うと、大声で叫びながら俺の手から台本を奪い取り、真っ二つに破り捨てた。

 ……結構量ある紙束だったんだけどな。やっぱりウマ娘のパワーはすげぇや。

 

 って、そうじゃない。急に何するんだこいつ? 

 

「なんですかこの脚本は! 解釈違いにも程があります!! こんなの誰が書いたんですか……って、あたしか。ともかく、こんなものボツです! ボツ!」

 

「えっ、俺の台本覚えた時間…… てか普通撮影始まってから言う?」

 

 俺にはさっぱり理解できないが、どうやら自分の作った台本が急に気に入らなくなったようだ。職人気質か何か知らないが迷惑被るのはこっちだぞおい。

 

「あー、始まっちゃったか」

 

「あ、トレーナー」

 

「ほら、創作者によくあるだろう? 自分の作ってたものが急につまらなく見える病。彼女、創作に関しては妥協許さないタイプだから。なんか気に入らなかったんだろうねぇ」

 

「いやあるだろう? って言われても知らねえよ。どうすんだこれ」

 

 いつの間にか俺の隣に居たトレーナーとそんなことを話す。その間も、アグネスデジタルは何だかよくわからないことを呟きながら部屋中をグルグルと歩き回っていた。

 

「よし! 決めました! もう台本とか無しで!」

 

「……は?」

 

「やっぱりウマ娘ちゃん達の持ち味は最大限に活かすべきだと思うんですよ! それをあたしなんかが書いたちゃっちい台本で潰すなんてナンセンスです!」

 

 分かるような、分からないような。

 

 ……やっぱ1ミリもわかんねぇわ。何言ってんだこいつ。考えすぎておかしな結論に達するのはままあることだが、客観的に見て今のアグネスデジタルはそれだと思う。

 

 ……まあ、いいや。止めるのもなんかめんどくさいし。好きにしろって言われたなら好きにするわ。

 

「ってことで、大まかな流れだけそのままで後は全部アドリブで! はーい、皆さん準備して下さーい!」

 

 責任者のふざけた指示にも関わらずテキパキ行動する撮影班。プロだ……

 

 すぐにセットが出来上がり、俺もまたこの恥ずかしい魔法少女の衣装に身を包む。いくら台本が白紙になったとはいえ降板は許されなかった。

 

 まあ、誤算があるとするならば。すべてがアドリブってのは、決まってることするよりも遥かに面倒だったということだ。

 

 

「ふはははー! この怪ウマ娘ゴルシちゃんが、全ての人類をつぶあん派にしてやるぜぃ!」

 

「待て、怪ウマ…… え、そんな台詞だった?」

 

 誤算一つ。初っ端から勝手に大幅な台詞変更。敷かれたレールも蹴飛ばし暴走するようなこのウマ娘が好きにしていい、なんて言われたら制御できるわけもなかった。

 

「えーと、まあいいや。覚悟しやがれ…… あ? 決め台詞? 本当に要るのこれ?」

 

 勢い余ってカンペをガッツリ読んでしまったがもうこの際関係なし。そもそもおかしくなったのは全て監督のせいなのでどうにでもなれの精神で臨むことにした。

 

「えーと、芝が呼ぶダートが呼ぶウマ娘が呼ぶ。悪を倒せと俺を呼ぶ! 聞け、悪人ども! 俺はウ魔法少女、アットデイブレイク! ……こんなんでいいかな」

 

 ちなみに記憶の片隅にあるテレビ番組のパクリである。かっこいい口上を考えられるほどの思考能力は今の俺にはない。だってもう何が何だかわかんないんだもん。

 

「出たなウ魔法少女! ここであったが百年目、メンコで勝負じゃああああああい!」

 

「は???」

 

 

 その後も主にゴールドシップのせいで滞りだらけで撮影は進み、やっと解放されたのは日が落ちきる寸前のことだった。

 

「疲れた……」

 

 と言っても、体力的にはまだまだ余裕がある。激しい運動をした訳でもなし、むしろトレーニングの時間が潰れて残念なくらいだ。

 疲れたって言ったのは主にメンタル面の話。途中からもう設定守るほどの余裕が無くなってたとは言え、恥ずかしい格好と台詞は精神にくる……

 

「デイブレイクさーん! 良かったです、最高でした!!」

 

「あ、監督」

 

 興奮した様子で、アグネスデジタルがこちらへ近づいてくる。

 

「やっぱりデイブレイクさんはカッコいいです! そしてかわいい! 両立するのは奇跡ですよ、もう! 奇跡の存在です!」

 

「お、おう」

 

 凄い勢いで褒めてくるもんだから、困惑やら恥ずかしいやらでうまく反応できなくなってしまう。

 

「特にゴルシさんとの最終決戦のシーン! 撮ってても思わず叫び出しそうになっちゃいました!」

 

「ああ、そう…… でも、あそこの台詞ほとんどお前のカンペだろ。助かった」

 

「い、いえいえ! あたしなんか全然! 全部デイブレイクさんのおかげですから!」

 

「……あのなぁ、その———」

 

 後に続けようとした俺の言葉は、後ろから近づいてくるやかましい声によってかき消されることになった。

 

「あ、おーいデイブレイク! そろそろ帰ろうか」

 

「トレーナー」

 

「あ、同志」

 

 声の発する元はトレーナーだったようだ。さすが空気が読めない。

 

「あれ、デジタルちゃんも居たんだ。2人とも、すっかり仲良くなったみたいで良かったよ。連れてきた甲斐があったね」

 

 勝手なことを言うな。別に仲良くないからな。……とは、口には出さないでおく。

 

「デジタルちゃんもこの調子で他のウマ娘との距離感縮めて、選抜レースとかにも出ればいいのに」

 

「え、お前出てないのか?」

 

「いやいや! 無理ですよ! あたしなんかがウマ娘ちゃん達と一緒に走るなんて! 畏れ多いにも程があります! そんなことしたら一瞬で灰になっちゃいますよ!?」

 

 そう言って否定するデジタル。しかし、やっぱり……

 

「なぁお前。他のウマ娘を尊敬するも崇拝するも勝手だがな、あんま自分を卑下するもんじゃねぇだろ。こっちの気分が悪くなる」

 

 さっきからずっと気になっていたが、どうにもこのアグネスデジタルというウマ娘は必要以上に()()()()()ウマ娘を神聖視するきらいがあるようだ。

 

 謙虚は美徳かも知れないが、それを通り越して卑屈になってしまうのはいいこととは言えない。

 

「お前だってウマ娘だろ。他のウマ娘と何が違う? それとも何だ、お前の大好きなウマ娘ちゃんはその価値に優劣が付くようなものなのか?」

 

「へ? そ、それは……」

 

「ウマ娘に生まれたんだ。走る権利が無いだなんて、誰にも言わせない。くっだらねぇ理由つけて自分で走るのを諦めるようなやつを、俺は絶対に許さない」

 

 ……しまった。つい熱くなってしまった。

 俺に他人の行動にどうこう言える権利は無いというのに。

 

「……悪い、偉そうなこと言った。忘れろ」

 

「……それは」

 

 俯きながら小刻みに震えていたアグネスデジタルが絞り出すように声を出す。やっぱり言わない方が良かったか? 

 

「それはつまり、あたしの徳がとうとう高まったと……? ウマ娘ちゃん達と同じレースに臨むのに、恥じないレベルに達したと……?」

 

「は? いや、うーん…… 合ってる、ような?」

 

 なんか意味は計りかねるが、あいつにとっては自分の中で納得したらしい。しきりに頷いたと思えば、急にバッと顔を上げ、大声で叫んだ。

 

「さ、ささ、最高ですぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!」

 

「うるさっ」

 

 至近距離での大音量。ウマ娘の聴覚はただでさえ人よりも鋭いので、目眩がするほどの衝撃となって俺を襲う。

 その原因となる本人はというと、目をキラキラさせて今にも飛びかからんばかりの勢いで捲し立てた。

 

「デイブレイクさんの想い、しかと受け止めました!! あの熱い語り口! それはまさしく、ウマ娘ちゃんへの愛! あなたも、ウマ娘ちゃんを愛する1人だったんですね!」

 

「は? おい、勝手なことを」

 

「いいえ皆まで言わずともわかっていますとも! あたし達は志を同じくするものなのですから! そうですね、同志、とお呼びしてもよろしいでしょうか!?」

 

 わかってない。何もわかってない。ウマ娘を愛する? 俺が? 待てよ冗談だろ。確かに幼少期の憧れのせいで、要らないフィルターがかかっている感は否めない。しかしそれは過去の話だ。今は出来る限り関わりたくない程度には苦手だ。

 

 助けを求めてふとトレーナーの方を見上げると、あのバカは悟った風にうんうんと首を縦に振っていた。どんだけシバかれたいんだお前? 

 

「いや、良かったじゃないか。デイブレイクにも友達が増えて何よりだよ」

 

「余計なお世話だ……」

 

 別にウマ娘の友達とか要らないが。スペ達は…… まあ、クラスメイトだし。

 

「いやー初めて会った時から予感はしていたんですよ! なんだか他のウマ娘ちゃん達よりも話しやすかった気がしますし! やっぱり同志の波動を感じ取れたんですかね!?」

 

 まだ言ってる…… もういいや。なんか否定する方がめんどくさい気がしてきた。あいつが勝手に言ってる分には、実害とか無いはずだし。多分。

 

「じゃあ友好の証として、どうです!? ウマ娘ちゃんショップとか行きます!?」

 

「行かないが」

 

「なんでぇー!?」

 

 こうして、ウマ娘が好きでやかましい同志? が出来たのだった。

 

 

 ────────────

 

 

 後日。

 

「デイブレイクー。この前撮った動画、大好評だったみたいだよ」

 

「そうか、それはよかったな」

 

「それで、続編希望の声が多くてさ。『キャロットマンVS魔法少女アットデイブレイク』、やらない?」

 

「絶っっっっっ対、やらないからな!!!」

 

 

 

 キャロットマンVS魔法少女アットデイブレイク、過去最高の再生数だったらしいです。




どうもお久しぶりです。
感想・評価等くださるとモチベが爆発的に上がるので是非ともよろしくお願いします。
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