それいけ!ファンゴ君 シーズンF   作:JUBIA

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第35歩~第37歩

<<第35歩>>

 

 ボクは、偉大なドスファンゴになるのを夢見て、一匹旅をしている。

 

 故郷の密林で、リフレッシュ休暇を満喫していたボク。

 巣穴に引き籠っているとママに怒られるから、用事もないのに外をぶらついていた。

 

 しばらく歩いていると、我がカワイイ妹をたぶらかしているあの忌まわしきチャラ猿に出くわした。

 

「ちょり~~っス!」

 

 相変わらずチャラい挨拶をしやがって!

 今日こそ説教たれてやるっ!!

 

「ちょっ、おまえなぁ……」

 

 とボクが言いかけると、チャラ猿は勝手に話の途中に割って入ってきた。

 

「ファンゴ兄ちゃん、俺の父ちゃん知ってっスかぁ~?」

 

 知らねーよ、春日っ。

 

「俺の父ちゃん……ババコンガなんスけどぉ~」

 

 父ちゃんなのにババ……って、チチコンガじゃねぇのかよっ?!

 すると何か? ばあちゃんはババ=ババコンガかっ?!

 じいちゃんは、ジジ=ババコンガって……なんか、おまいら残念種族だなww

 

「なんかぁ、父ちゃんからぁ、今HCのドスファンゴが来てるから気ぃ付けろって言われたんスけどぉ~」

 

 エイチシー?

 レイザーファンゴHC?

 いや、あいつはレイザーファンゴHGだろっ。

 

「エイチシーって……なんだよっ?」

「えっ?! ファンゴ兄ちゃん、ヤバいっスよぉ~、ハードコア知らないなんて情よわって言われるっスよ!!」

 

 オツムが貧弱のおまえには、言われたくないっ。

 

「なんかぁ、普通のドスファンゴよりもぉ~、メッサ強いらしっスよぉ~」

 

 ぬわにぃっ?!

 ただでさえ鬼強のドスファンゴ様よりも強い……だと?!

 

「だから俺ぇ、ちょっと冷やかしに見に行こうかなって思ってんスけどぉ~」

 

 鼻をほじりながらしゃべるチャラ猿に、ボクは食い付いた。

 

「ボクも連れて行けっ!!」

 

 テッテレー♪

 コンガが仲間になった!

 

 ボクの飽くなき道の冒険譚は、まだまだ続く。

 

 

 

 

<<第36歩>>

 

 ボクは、偉大なドスファンゴになるのを夢見て、二匹旅をしている。

 

 我がカワイイ妹をたぶらかしているチャラ猿と一緒に、ボクはHCドスファンゴの探索に向かった。

 

「……あっ、ちょっと待っててもらっていいっスかぁ?」

 

 は?

 なんだよっ、先を急ぐのにっ!

 はよっ!

 チャラ猿は腰を少し落とすと、なにやら踏ん張るポーズをとっている。

 ま、まさか……。

 

 プフーーーっ!

 

 チャラ猿の下半身から黄褐色の煙が立ち上る。

 ちょっ、おまっ……?!

 

「あーっ、スッキリっスぅ!」

 

 スッキリじゃねぇよ、粕gっ。

 

「おまえなぁ、まさかボクの妹の前でも、そんなことやってんのかっ?」

 

 ボクは繊細な鼻腔を葉っぱに押し付けながら言った。

 

「てへっ♪」

 

 てへっ♪ っじゃねーよっ、一度タヒんで来いっ!

 そんな不毛なやり取りをしていると、目の前の地面がボコっボコボコっと隆起し、何かが地面の下から出てきた。

 それは、赤と白の模様をした大きな蟹だった。

 なんだ、蟹かよっ。

 

「ちょり~~っス! ザザミ姐さん♪」

 

 は?

 知り合いかっ、コイツら??

 

「あら~っ?コンガちゃんじゃな~いっ」

 

 蟹のクセに随分と艶っぽいな。

 

「どこ行くのかしらぁ~?」

「へへっ、ちょっとHCのドスファンゴの所っスよぉ」

「……やめておいたほうがいいわよぉ~」

 

 やめろと言われてやめるボクではないのだよ、壇蟹君。

 

「ファンゴ兄ちゃんがいるから大丈夫っスよぉ」

「ふ~~ん」

 

 壇蟹は、舐めるようにボクの上から下へと熱い視線を往復させている。

 

「あら、意外とカワイイのね、坊やも♪」

 

 蟹に惚れられても……。

 まぁ、種族は違えど、雌に惚れられて悪い気はしないがな。

 しかしながら、それこそやめておいたほうがいい。

 このボクに惚れたら、単なるヤケドじゃすまないぞっ。

 

「それじゃ、気を付けて~」

 

 ボクらは、壇蟹に見送られながら先を急いだ。

 とその時、突然後ろから物凄い水圧がボクの排泄溝を直撃し、ボクは何が起こったのか分からないまま、無重力空間のように宙に舞った。

 なっ、なんなんだっ?!

 

「へへっ、サザミ姐さん、気に入った相手に泡ブレスするんスよぉ」

 

 なっ、なんだっ、その歪んだ性癖はっ?!

 痔になるじゃないかっ!

 まったく……このボクでさえも、手に余るヤツだっ!!

 

 ボクは後ろからの熱視線に怯えながら、前へと進んだ。

 

 ボクらの飽くなき道の冒険譚は、まだまだ続く。

 

 

 

 

<<第37歩>>

 

 ボクは、偉大なドスファンゴになるのを夢見て、二匹旅をしている。

 

 壇蟹の洗礼を受けたボクは、チャラコンガと一緒にHCドスファンゴの探索を続けていた。

 全然見つからないな。

 

「あ~、そ~いえばぁ、父ちゃんが言ってたんだけどぉ、HCのドスファンゴは地面に潜ることもできるらしいっスよぉ~」

 

 な に っ ?!

 どこまで偉大なんだよっ?!

 これは絶対に会いに行かねばなるまいっ!

 と、その時、横から地面の塊のようなものがゴロゴロと転がってきた。

 なんだ?

 と転がってきた方向を見ると……、いたっ!!

 

 ドスファンゴだっ!!

 モヒカンのように長く白いタテガミ。

 天をもつらぬくような長い牙。

 Ohhhhhhっ!

 念願のHCドスファンゴ様だっ!

 なんて猛々しい風貌だっ!!

 

 ボクは嬉しさと驚きとでガクブルする足取りで、HCドスファンゴの元へ歩み寄った。

 

「こ、こ、こんにちわっ」

 

 頭上からボクを見下ろすHCドスファンゴ。

 

「あっ、あのぅ……」

 

 そうボクが言いかけた時、

 

 ベチャーっ!!

 なんと!

 茶褐色の汚物らしきものが、HCドスファンゴの顔に、それもど真ん中に命中している!

 

 あ……あ……、言葉を失ったボクは、すぐさま振り返った。

 すると、後ろの茂みからひょこっと顔を出しているチャラコンガが、「やったっス!」と親指を高らかに上げている。

 あんのぉバカgっ!!!

 YOU BAN.

 

 ボクは、おそるおそるHCドスファンゴの顔をチラっと見上げた。

 その表情は、悪夢にうなされそうなほどの激昂っぷりだった。

 HCドスファンゴは、重力で押しつぶされそうになるほどに重たく、ドス黒い混沌とした眼差しをチャラコンガとボクに向けている。

 

「あっ、あのっ、ごっ、誤解でつっ!!」

 

 ボクの言い訳などに耳を貸すわけもなく、HCドスファンゴは突然、ドッドッと穴を掘ると、地面に潜ってしまった。

 あっ、あれっ? あれっ?

 すると、オロオロするボクの後ろから突然現れたかと思うと、ボク目掛けて一直線に突進してきた。

 

 メーデー!メーデー!

 とっさにボクは横軸に駆け抜け、間一髪、HCドスファンゴの一撃を受けずに済んだ。

 あぁ、もうダメだっ。

 こんな状態じゃ、話をするどころの雰囲気じゃないぞっ!

 

「おいっ! 逃げるぞ!」

 

 ボクはチャラコンガへ怒鳴った。

 

「いえっさーっス!」

 

 ったく、こいつは……。

 ボクらは命からがら、HCドスファンゴの元から無事に離れることができた。

 安全な場所で一息ついた時、ボクはあのチャラコンガがしゅんっとなるほどに小一時間、説教してやった。

 日が暮れてくると、ボクらは散会した。

 

 テッテレー♪

 コンガと別れた。

 

 巣穴で眠りにつきながら、ボクはいろいろと考えていた。

 ボクが今まで目指していたのは、単なる偉大なドスファンゴだ。

 しかしながら、今日、目の当たりにしたのはHCドスファンゴ。

 もしかしたらこの世界には、HC以上に最強なドスファンゴが存在するのかもしれない。

 

 ボクはこのまま、こうしていてもきっと、それ以上のドスファンゴになることはできないだろう。

 よしっ!

 この地よりもさらに遠い異国を目指して旅に出よう。

 今以上の経験値を稼がなくては、さらなる高見を目指せない。

 ボクは内に秘める野望をメラメラと燃え上がらせると、深い眠りについた。

 

 ボクの飽くなき道の冒険譚は、まだまだ続く。

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