<<スピンオファンゴ君 [モス編]>>
木漏れ日あふれる樹海のとある場所で、一匹のモスがキノコを食べていた。
なんか、オニマツタケも飽きてきたな……。
マッタケと言うヤツちょっと来い!
呼び名はマ・ツ・タ・ケだ!!
これ豆な。
目の前に、数匹のファンゴが駆けっこをして遊んでいる。
そういえば、あのファンゴ……今頃何やってっかな?
そろそろドスファンゴになってっかな?
まぁ、なれないだろうなww
叶うかどうかは分からなくとも、夢を持っているファンゴが少しだけ羨ましかった。
僕は、どこまで成長しても所詮モスだしなw
頑張ったら……ドスモスとかなれんのか?
どうせなら、ベヒーモスでよろw
一回でいいから、俺強してみてーww
……ファっっ!!無理無理www
あっ、でもメラルー達が最近ちょっと噂してたな。
なんか赤いオーラまとった鬼強のモスがいるって……。
ずっとオニマツタケ食ってるけど、赤オーラなんてまとわないぞ?!
どうやったら赤モスになれんだ?
トウガラシ食ったらなれんのか?
それともニトロダケか?
まさかの火薬草じゃないだろうな?
どうせ暇を持て余してるとこだし、ちょっと赤モス目指して苦行の旅にでも出るかw
どっかでアイツに会ったら……赤モスマスターの僕を見てビビるだろうなww
よしっ!このワンチャンに懸けるかっ!!
モスは旅に出る決意をした。
<<スピンオファンゴ君 [メラルー編]>>
「違う、違う、そうじゃないでごニャる」
……ったく、最近のアイルー達は、拙者の斜め上を行き過ぎるでごニャるよ。
火山のとある場所で、メラルーが地元のアイルー達へ、ハンター達との関わり方について講義をしていた。
野生として暮らすか、ハンター達と街で共存するか、アイルー達の将来は二択に迫られる。
「せんせーっ! ラーにゃんにこの小樽爆弾プレゼントしてもいいのかニャ?」
生徒の中でも、一際できの悪いアイルーが質問してきた。
「ダメでごニャるよ! 自然界では弱肉強食と言って、君達アイルーは真ん中よりも下でごニャる。そんなことをしたあかつきには、場合によっては取って食われるでごニャるよ!」
その回答で、場がザワザワとざわついた。
「こっ、怖いのニャ~」
「でも、弱っちぃヤツなら平気ニャ~」
「食べるのは好きだけど、食べられるのはイヤなのニャ~」
「はいっ!今日はここまででごニャる!! みんな、寄り道しないで真っ直ぐ帰るでごニャるよ」
「ニャ~」
「ニャ~」
「ニャ~」
本日の講義が終了した。
いくら親戚に講義を頼まれたからと言って、これじゃ割に合わないでごニャるよ。
頭の良い生徒達ならまだしも、あの子達には一つ教えるのも一苦労でごニャる。
そういえば……いつか出会ったあのファンゴは、教えることすべてを吸収していったでごニャる。
あんな生徒ばかりだったら苦労しないでごニャるよ。
あぁ、親戚から聞いたけど、あのアプケロスの子供も無事に砂漠へ送り届けたみたいでごニャるな。
あのファンゴ、なかなか見所があるヤツでごニャる。
きっと、今もどこかで旅を続けてるでごニャるな。
そういえば最近、流氷漂う極海なるフィールドが発見されて、なんでもそこには、ポラカ丼なる美味しい食べ物があるとかないとか、誰かが言ってたでごニャるな。
これは、実際にこの舌で味わっておかないと、よそ様にオススメできないでごニャる。
拙者も極海に旅立つとするでごニャるか。
あぁ、生徒達……ちょっと早い夏休みということで、自由研究と武器工作、ドリル3冊を課題で置いていくでごニャるよ。
<<スピンオファンゴ君 [妹編]>>
今日も平和な密林で、妹ファンゴは友達のコンガと待ち合わせをしていた。
しかし、いつまで経ってもコンガは現れない。
日が暮れ始めた頃、そろそろ帰ろうかと思った矢先にようやくコンガが現れた。
「コンガ君、おっそーーーいっ!!」
「ちょり~っス! メンゴ、メンゴ、来る時に父ちゃんに捕まっちゃってさ~」
コンガは、父からババコンガの後継者として、そのチャラい言動をどうにかしろと説教されていたらしい。
「どーにかしろって言われてもさ~、これってある意味父ちゃんからのDHAだからさ~、ど~にもなんないって言うかさ~」
「コンガ君、それを言うならDNAでしょ? DHAってお魚でしょ?」
「あっそ~なの~? どっちでもいいやぁ~(ホジホジ」
妹ファンゴは、ため息を付いた。
コンガ君が友達だということをお兄ちゃんに反対されたけど、最近やっとその意味が分かってきたかも……。
「コンガ君、私ね……」
「今日は何して遊ぼっかな~」
「もうっ! コンガ君、聞いてっ!!」
初めて妹ファンゴの怒鳴り声を聞いたコンガは驚いていた。
「私ね、そろそろ自立しようかと思ってるの」
「じ、じっ、痔っ……え~っ? ファンゴちゃん、痔だったの~?」
「ジ・リ・ツ、自立よっ!!」
妹ファンゴは、真剣な目でコンガを見つめながら言った。
「お兄ちゃんなんてとっくに自立してるし、私もそろそろかな……って。私、堕落した女にはなりたくないのっ!」
「ダラダラしててもい~じゃんっ、父ちゃんだってあんな説教たれるワリにはいつもダラダラしてるし、ダラダラしたファンゴちゃんも好きだったりして~っ♪(ホジホジ」
鼻をほじりながら言うコンガに、妹ファンゴはもうコイツには何を言っても無駄だと観念した。
「私ね、まだ自信ないからそんなに遠くには行けないけど、少し旅に出ようと思うの。だからコンガ君とはもうお別れだからっ!」
「……ちょっとの間ならい~けどさ~、あっ、お土産ヨ・ロ・シ・クぅっ♪」
コンガ君、絶対意味分かってないよね?
でも、このままコンガ君と一緒にいたら、私はファンゴとしても女としても成長できない気がする。
お母さん、まだ早いって反対するかな?
その晩、妹ファンゴは母へ旅に出る決意を話した。
意外にも母は快く承諾してくれた。
そうと決まれば、出発は早い方が良い。
翌朝、妹ファンゴは母と兄弟達に別れを告げ、巣穴を旅立った。
この密林ともしばらくお別れね。
辺りの景色を目に焼き付けながら歩いていると、時折、後ろの方でカサっ……カササっ……とかすかな物音がした。
妹ファンゴは立ち止まった。
すると、その物音も止まった。
妹ファンゴがまた歩き出す。
カサっ……カササっと、こちらの歩くリズムに合わせて音がする。
妹ファンゴは、思い切って振り返った。
本人は隠れているつもりだろうが、木陰から桃色の毛がはみ出ている。
……コンガ君だ。
妹ファンゴはため息を付いている。
「コンガ君、来ないでよ!絶対に来ないでよっ!!」
妹ファンゴは勢いよく駆け出した。
すると、後ろの物音も勢いよく付いてくる。
「イーヤーっ! 来ないでーーーっ!!」
妹ファンゴは兄にも負けないくらいのトップスピードで、その物音を突き放すが、それでも遥か遠くの物音に怯えながら、さらに走り続けた。
こんな旅の始まりなんてイヤっ!
せっかくの一人旅でワクワクドキドキしたかったのに、最悪ぅ!!
あの時、お兄ちゃんの言うことを聞いておけば良かった!!!
妹ファンゴの旅は、最悪のスタートで始まった。