それいけ!ファンゴ君 シーズンF   作:JUBIA

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スピンオファンゴ君 [ブルック編]~[アプケロス編]

<<スピンオファンゴ君 [ブルック編]>>

 

 青天に恵まれたある日の高地。

 そこにエルペの群れがいた。

 

「エルペたん、エルペたん、知ってる?」

 

 エルペの群れに、一匹のブルックが近寄ってきた。

 

「クアルセプスっさ、あっ、名前長いならクーちゃんて呼ぶよ。クーちゃんてさ、海竜種だけど、どうしてこの高地にいるのか知ってる?」

「知らなーい」

 

 エルペ達は面倒臭そうに答えた。

 

「なんかね、幼少期は海で過ごすけど、成体になったら陸で活動するようになるんだって。でもさ、それってヤゴと似てるよね?ヤゴに似てるってことは、クーちゃんは虫と一緒ってことだよね?」

「…………」

 

 エルペ達は何も答えなかった。

 

「背中の水晶って、地中の鉱石を食べて皮膚が硬くなったらしいんだけど、水晶って言えば砂漠にいるアクラ・ヴァシムにも付いてるよね?でも、アクラ・ヴァシムのは結晶って言うみたいなんだけど……」

「あの……フレに呼ばれたので移動しますね^^; 」

 

 エルペ達は、ブルックの返事も待たずにその場を立ち去った。

 

「UZEEEEEーーーーっ!」

「しかも「たん」付けで呼ぶな、糞g!」

「なんかさー、あのブルックってキショイよね?」

「ただのモフデブのくせにっ!」

「そうそう、アイツがいるだけでこの辺の温度が5℃は上がるよね!」

「もっさり感がパないよね~!」

「いつも口ばっかりで、ある意味地雷だよね~アイツ!」

「BLに登録しとかない?」

「さんせー!」

「さんせー!」

「さんせー!」

 

 

 

 

<<スピンオファンゴ君 [アプケロス編]>>

 

 砂漠のとある場所に、アプケロスの群れがいた。

 中でも、とりわけ一頭の雌のアプケロスが目立っている。

 頑丈な鎧のような背中の装甲、鋭い棘の付いた尻尾のスパイク、太くてどっしりとした筋肉質な四肢、その形状はほかのアプケロスと同じだが、背中に背負っている装甲には薄らと品のある艶があり、ほかの雌とは違って、とても愛くるしい顔をしていた。

 

 その類稀な容姿に、雄達は常に群がり、我先にとこぞって求愛を申し込んでくる。

 が、しかし、その雌アプケロスは大変アグレッシブな性格で、近寄ってくる雄達を尻尾ハンマーで次々と玉砕していた。

 

 毎日毎日同じことの繰り返し。

 退屈な毎日に、その雌アプケロスがボケーっと砂漠の砂を見つめていると、一匹の雄が近寄って来た。

 

「よぉっ! あっちの川に草食いに行こうゼ!!」

 

 その雄アプケロスは幼馴染で、求愛してくる雄達の中で最もしつこかった。

 

「またアンタなの? 私は草食系には興味がないって言ってるでしょ!」

「ノンノンっ! 君も俺も同じ草食種なんだゼ!!」

「……バカじゃないの? そういう意味じゃないっつーの!」

 

 そう、私はいつものんびり平和そうに草を食べてるだけの男子には興味がない。

 男なら、こう……なんて言うのかしら、大きな目標を持って、それに向かって障害があろうともまっしぐらに、たくましい力でグイグイと私を引っ張っていってくれるような感じじゃないと。

 

 あっ……。

 ふと、ある一匹のファンゴを思い出した。

 あの小さな体のどこに、強大な敵に立ち向かっていくエネルギッシュの源があったのかな?

 雌アプケロスは、空を見上げた。

 この同じ空の下、今もどこかで旅しているのかな?

 

「あっ、思い出した!」

 

 去年、天国に旅立ったばっちゃの遺言……。

 命を懸けて助けてくれたファンゴに、今度会った時にはちゃんと恩返しをしなさいと言われたんだった。

 あれから数年経ったけど、あのファンゴに再会するどころか、私、この砂漠から一歩も外に出てないじゃんっ!

 

 このままここにいても、あのファンゴはもうここには来ないだろうし……。

 そうだ! あのファンゴに会いに行こう!!

 どこにいるか分からないけど、ここで待っているよりは……。

 

「私、ちょっと旅に出るわ」

「え? えっ? ええっ? どこに? 何しに?」

「ふふんっ、ちょっとした探し物♪」

「じゃ、俺も一緒に行くゼ! 用心棒として!!」

 

 幼馴染の雄アプケロスは、鼻息荒く、何を言っても付いてきそうな勢いだ。

 

「うーん、じゃぁ……、テオのタテガミ一本抜いてきたら用心棒として雇ってあげる」

「そっ、それはっ……。分かった! 俺、行ってくるゼ!!」

 

 幼馴染は、少し涙目ながらに走って行った。

 テオは絶対に無理だとして、ディアブロスの甲殻ぐらいがいいとこかな。

 

 それからしばらくして、雌アプケロスの元へボロボロになった幼馴染が、ヨタヨタと歩いてきた。

 

「タテガミは無理だったけど……爪取ってきた……ゼ!」

 

 雌アプケロスの目の前に、幼馴染はテオの爪を置いた。

 

「アンタって……ホント、バカね!!」

 

 まさか本当にテオの所に行ってくるなんて、しかも、爪まで取ってくるなんて……。

 よく生きて帰って来られたものだわ。

 

「じゃ、今日はゆっくり休んで! 明日の早朝、出発するよ!!」

「おっ、おうっ!!」

「寝坊したら置いてくからねっ!」

 

 雌アプケロスは空を見上げた。

 ここにもアンタみたいなのがいるよ。

 もし再会できたら……紹介するね、私の彼氏だって。

 

「まずはどこ目指すんだ? あーちゃん」

「そうね、まずは……行ったことの無い雪山にしよっか」

「雪山って……暑いのか?」

「はーっ……ホンっと、アンタって情よわーっ?」

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