食戟のあまね   作:拿南

1 / 1
一皿目 はじまりの朝

目が覚めた途端、ベッドに置いていた猫のぬいぐるみと目が合う。

時刻は4時半。

まだまだ重たい瞼を無理矢理開けて、私は大きな欠伸をした。

 

「…よし」

 

眠気覚ましにぺチンと頬を叩いて調理場に向かう。

今日の朝食は何にしようか。冷蔵庫の中身をのぞいて野菜を取り出す。一昨日少し奮発して買った地鶏にも手を伸ばした。

豪華な朝食を作ろう、なんせ今日は特別な日なのだから。

 

水の張った鍋に火をかけて、昆布を投入する。弱火で火をかけ、沸騰しないように気を配りながら、小ぶりのカボチャを取り出す。先日お母さんが大量に送ってきた野菜の中の一つだ。

まったく、月に一度段ボール五箱分の食材を送ってくるのはやめて欲しいと何度も言ってるのに。

 

かぼちゃを一口サイズより少し大きめに切って、醬油にみりん、砂糖で味を付ける。砂糖は別に入れなくてもいいのだが私はかぼちゃやサツマイモの煮物は甘い方が好みなので入れている。あとはかぼちゃが柔らかくなるまで弱火を通し、熱が冷めるまで放置しておけばいい。

 

昆布だしが取れたので昆布を取り、火を弱めた後鰹節を入れて沸騰するまで待つ。沸騰したらいったん火を消して鰹節が鍋底まで沈んだら鰹節を取り出す。昆布と鰹節は取っておいて明日ふりかけにしよう。

余談だが、私の一番好きなふりかけの具はカツオである。

 

さて、メインを作ろう。先ずは出来上がった出汁を使ってお米を炊く。父親から譲ってもらった愛用の土鍋で炊いたご飯は控えめに言って最高。今から楽しみで仕方ない。

お米を炊き始めたら、次は鶏だ。皮目を下にしてフライパンできつね色の焦げができるまで焼く。油要らずのジューシーな肉からなんともいい香りが漂って来た。

 

ぐぅ…とお腹が鳴る。まだ五時になったばっかりなのに。

鶏が脂っこくならないようにちょくちょく油を拭きながら、鍋を取り出して砂糖、みりん、醬油に料理酒を入れて火にかける。温まってきたら先ほど焼いた地鶏を皮目を下にして投入。4、5分ほど中火にかける。

5分経ったら鶏を裏返して焼き、いったん取り出して煮汁を煮詰める。その間にトッピングの長ネギを切っておく。

 

これで完成だ。

 

炊き立てホカホカご飯をよそったどんぶりに、地鶏と煮汁をのせ、その上からさらに刻み海苔と長ネギをかける。かぼちゃの煮物を小鉢に盛り付けたら、今日の朝食の出来上がり。

 

「いただきます」

 

先ずは地鶏の照り焼き丼から。つやつやのご飯に黄金色のたれが絡まっててとても食欲をそそられる。

口に含めばしっかりと身が引き締まってぷりぷりした地鶏にあまじょっぱい煮汁が絡まって旨味がガツンと襲い掛かってくる。

そのままかぼちゃの煮物に手を伸ばす。うん、しっかり私好みの甘さになっていてとても美味しい。ただ、砂糖の甘さがかぼちゃ本来の甘さにしっくりこないというか…これはまた今度試作してみよう。

 

30分後、お皿は綺麗に空になっていた。

 

洗い終わった食器を拭いて棚に戻し終わった後、寝室に向かう。

ベッドの横のクローゼットに手をかける。開ければ__新品の遠月学園高等部の制服がかかっていた。

時計を見れば、もう6時。料理を食べるのに夢中になっていて時間を見るのを忘れてしまうなんて、情けない。急いで身支度を整えて、家を後にした。

 

 




オリ主しか出てこなくてすいません…

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。