〜千年女王〜   作:ローゼンリッター

12 / 17
第十二話 ユースの自由行動

前方に巨大な壁が見えた。

巨大な壁は街をぐるりと一周しているようであった。

「関所といい街の外壁といい、よっぽどこの国は治安が悪いらしいぜ。これだけの外壁だ。盗賊って言っても100人規模だな。」

街の入口門には、やはり門番がいた。「通行手形はあるか」門番は毎回お決まりの台詞を云うのであろう。チラリと手形を見るだけで通ってよし。と手で合図した。

三人が外壁をくぐると急に賑やかな街が視界に広がった。

「結構な賑わいだな。とりあえず今夜の宿を探そうか。」

「飯の旨いところが良いぜ️金はあるからな。」腕相撲大会で獲得した賞金での事を言っているのだろう。

サーガは勇み足で街に入って行った。

街の中央に位置する場所に大きなマルシェ(市場)があった。近辺の農家が出している新鮮な野菜や果物の出店や肉をこんがり焼いた屋台、手作りの篭や布地等、ありとあらゆる物が売られていた。

ユース達は先ず宿を探すことにした。マルシェの賑わいから少し外れた路地に宿が並ぶ通りがあった。

サーガは迷うことなく一軒の宿に入った。

「ここなら間違いねえぜ。他の宿と比べて上質の油の臭いがする。」と云う理由であった。

 

-ユースの自由行動-

提案はしてみたが夕方までの3時間程。

したいことが有るわけではなかった。

いつも三人一緒にいるので、たまには自分達の時間が必要であろうと云う程度である。

何気なくマルシェをぶらぶらしていると、図体の大きな男がすれ違い様に肩をぶつけてきた。

「おい!テメエ~人にぶつかっておきながら挨拶もなしかよ?」

図体の大きな男はユースに因縁をつけてきた。

「スミマセンが、どちらかもと云うとあなたからぶつかってきたのではないですか。」

「なんだとこのやろう!痛い目に会わなければわかんねえようだな。しかし俺も暴力に訴えるのは好まねぇ。ここはひとつ慰謝料ってことで手を打つぜ」男はニヤつきながら手のひらをユースに差し出した。

「何を言ってるんだ!僕がぶつかった訳じゃないし慰謝料何てもっての他だ!」

ユースは男を無視して立ち去ろうとした。

すると、ユースの回りを五人の男達が輪になって囲ったのだ。

「あなた方は最初から僕を強請るつもりだったのですね!」

「うるせえ!出すもの出しゃあ怪我はしねえぜ」

一人の男がユースに殴りかかった。

ユースは身を翻して男の手を反対に捻ってねじ伏せた。

「イテテテ!」

「このやろう!大人しく金を出しゃあ許してやるものを!」

おとこたちは一斉にユースに襲いかかった。

ユースは剣を取ることもなく次々と男達をなぎ倒したのだった。

「このやろう!ゆるさねぇ!」

図体の大きな男は腰からナイフを取り出しユースに向けた。

「刃物を抜かれると僕も剣を抜くことになる。それでも良いのかな?」「しゃらくせえ️」

男は腰にナイフを構えてユースに向かって突きつけた。

ユースはそれをかわし剣の平で男の背を打った。

その時"ピー!"という笛の鳴る音がして憲兵達が駆けつけてきた。

ユースは逃げるかどうか迷ったが、自分に非は無いと思い直してその場に留まった。

「何事だ!庁舎までご同行願おうか。」

ユースは逃げなかったことを少し後悔した。

ユースに絡んだチンピラ一味は後ろ手に縄をかけられて連行された。

庁舎は煉瓦せいの立派な建築で、警察署と憲兵の駐在所を兼ねているようだった。

ユースは形ながらの取り調べを受けた。

どうやらチンピラ一味は札付きの悪だったらしく、憲兵や警察達も手を焼いていたようだった。

「いやぁ。お強いですなあ。お陰で悪党一味を捕まえることができました。

これは警察署長からの感謝状と少しばかりの礼金です。」ユースはそれらを受けとり庁舎を後にした。

そうこうしているうちに約束の刻限が近づき待ち合わせ場所に向かうのだった。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。