宿に帰った3人は早速夕飯を宿の食堂でとることにした。
「サーガ、おぬし酒臭いぞ」シャズナは眉をひそめた。
「おう!自由行動だからな。昼間っから酒を飲ませてもらったぜ!」
悪ぶる訳でもなく満足気な顔でサーガは話し出した「酒場の親父から聞いた話なんだがこの街の壁を越えると、かなりの無法地帯みたいだせ。急ぐ旅ではねえが面倒は避けた方が無難だな。何でも商人の隊列に同行するのも1つの手らしいぜ。」
サーガは情報収集の為に酒を飲んでいたと言わんばかりに用心棒の話もした。
「成る程、確かに商人の隊列は荷を守るために軍隊のような隊列を組むからな。よほど命知らずの盗賊じゃない限り襲ってこないだろうな。」ユースもサーガの案に乗り気である。
「はい、お待ち!セロケッティア名物ゴンゴルノだよ!」
威勢のよい声で宿の賄い婦が大皿に盛られた肉の塊に赤いソースがかかったものをテーブルの真ん中にドン!と置いた。
「こりゃ旨そうだ️」
「これは何の肉なのだ?」
シャズナはほぼ姿に近い肉の形状が気になるのか、賄い婦に聞いた。
「マヌカの肉ですよ。この辺りのマヌカは大振りで肉が柔らかいので有名なんですよ。」
マヌカとはネズミの大きなものだそうだ。森の川辺に生息する動物らしい。
シャズナは恐る恐るもマヌカの肉を口に入れた。
「旨い️!」見た目のグロさとは違って肉は柔らかく、口のなかにいれるとほどける様な口当たりであった。
3人は無言でマヌカの肉を平らげたのであった。
食事が終わると、先程の話に戻った。結論としては商隊に用心棒として加わり、盗賊団をやり過ごす。という案である。
「3日後に商隊が出発するらしいぞ。今は用心棒を100人ぐらい募集しているらしいぜ。」
「では早速、明日にでも用心棒の面接に行こうか。」
翌朝、シャズナ達3人は商隊用心棒の面接があるというマルシェの中にある広場に来ていた。「けっこうな数だな。300人以上はいるぜ。しかも部門に別れてやがる。えー、と。魔法使い部門に剣士部門。闘士部門に軽業部門・・・って雑技団みてぇだな。」サーガは呆れた顔で言った。
「私は巫女じゃが・・、魔法使い部門なのかな。」
「僕は剣士部門だな。」
「俺は魔法もイケるが、三人が同じ部門で被らん方が良いな。じゃあ俺は闘士部門で行くぜ。」
それぞれの部門の列に並び面接の順番を待った。
どうやら面接とは、それぞれの技をこの場で披露するようだ。
その出来によって合否と商隊の中での序列が決まるらしい。
ここにいるもの達の多くは金目当てと、商隊に紛れて旅の安全を確保する為の者であろう。例え面接で落ちても自腹で商隊の後を着いて旅するに違いない。
どうせならば面接に受かって給金と飯をゲット出来る方が断然得なのだ。結果3人とも合格した。そして3人とも実力が買われて各隊(1部隊は25人)の長になったのだ。
もちろん隊長になると給金も増えるしセロケッティア滞在中の費用も商隊から出るという。
これにはサーガが喜んだ。
「商隊の奢りとなれば、遠慮なく飯が食えるな!出発までのこり2日は食いまくるゾー!」
「って、あれだけ食っておいて遠慮してたのか?」
ユースは仰け反っていった。
「おぬしの食欲は恐ろしいの。」
シャズナも呆れ顔だ。
途中商隊長の打ち合わせや隊員となる雇われ用心棒達との顔合わせ等があったが、残りの2日はそれぞれ思い思いの過ごし方をした。