かねてより計画していた対盗賊団対策を実行するときが来た。
先ずは商隊を停めて盗賊団を迎え打つ準備を整える。
シャズナ達魔法部隊は大地の精霊を呼び起こして地面に穴を空けた。それを軽業部隊が布などで覆い隠して砂を撒く。
落とし穴を作ったのだ。
軽業部隊は穴に落ちた盗賊を遠くから矢で射る。残りは剣士部隊の役目だ。そこまでの準備をし終わると、前方から土煙が上がるのが見えた。「来た!盗賊団だ️」
しびれを切らしたのか待ち伏せしていた盗賊団の方からこちらに向かって押し寄せてきた。
数の上では盗賊団が倍の人数である。力押しでいけると思ったのであろう。
ギリギリまで盗賊団を引き寄せると、シャズナの率いる魔法部隊とゲッティア率いる軽業部隊は蜘蛛の子を散らすように逃げ出した。
護衛隊の半数が逃げ出したのを見て盗賊団は勢いに乗って攻めてきた。
勢いに乗って荷馬車の近くまで来た盗賊団達は50程はある落とし穴の中にズドンズドンと落ちていったのだ。
そこに逃げたと思わせて弓の用意をしていた軽業部隊が遠方から落とし穴に向けて弓を射かけた。これで残りは150人に減った。次ぎはユースの出番である。先ずは火竜の剣を発動させて炎を盗賊団に浴びせた。それと同時に軽業部隊が油の入った小さな壷を一斉に盗賊団に向けて投げたのである。火が油に燃え移って、あっ!というまに60人程の戦力を削ぐことができた。
残り90人、ここからは小細工なしの正面衝突だ。
ユースとサーガを先頭に剣士部隊と闘士部隊が盗賊団に斬り込んでいった。
盗賊団は既に半数以上の仲間を失ってしまった為に戦意を失いかけている。
それとサーガの存在だ。サーガは次から次へと周りに居る盗賊達を薙ぎ倒していった!とても敵う相手ではないと思うのであろう。盗賊団の数が50人程に減ってくると、ちらほらと逃げ出すもの達が出てきた。
逃げる盗賊は追わないと最初から決めていたので、追撃がない事がわかると盗賊団は一気に逃げ出した。
戦闘開始からおよそ60分ほどしか経っていない。
こちらの損害は10人程度が軽傷を負った程度であった。
「まだ暴れ足らんなあ。」サーガはもう少し戦っていたかったのか、ブンブンと腕を振り回しながら呟いた。
「まあ、上々の出来だな、我ら魔法部隊は穴を掘っただけだったわ。」すると騒ぎが収束したのを見計らって大商人のゼバーノンがやって来た。「皆さまお疲れ様でした!このように、あっという間に盗賊団を追い払えたのは、私も永こと商隊を組んで商いをしていますが始めてでございます。しかも当方は何の損害も無いどころか盗賊団が乗ってきた馬までタダで手に入りました。明日ジャバリャンカに着きましたら皆さまへ金貨3枚ずつ特別手当てとして出させて頂きます!」
「よっしャー!」それを聞いた護衛隊達は歓喜の声をあげた。
しかし計算高い軽業部隊隊長のゲッティアが云うには「置き去りの馬が80頭、馬一匹辺りの相場が金貨15枚で金貨1200枚。俺たちの報酬は金貨2枚と特別手当て金貨3枚、合わせて5枚。合計500枚。気前の言いように見えるが俺たちのお陰でゼバーノンの旦那は金貨700枚も儲かってやがるぜ。」
「まあ、良いじゃねえか、金貨3枚も上乗せしてもらえりゃあ2~3ヶ月は何もせずに暮らせるぜ?」
「まあ、な。楽して勝てた割には報酬は良かったからな。WinWinだな。」ゲッティアも納得したようだ。
「皆さん!明日にはジャバリャンカに着きますが、城門をくぐったわけでは御座いません。気を抜かないようにお願いしますよ」雇い主らしくゼバーノンが言った。