6日目の昼頃にはジャバリャンカの城門を無事にくぐる事が出来た。約束通りゼバーノンは護衛の報酬と特別手当てを支払った。
部門隊長の四人には追加で金貨10枚がそれぞれに支払われた。
ゲッティアが満足げな顔だったことは言うまでもない。
ジャバリャンカはこの国の中心部に位置し、王城もある城下町なのである。
商隊を解散したゼバーノンは商隊長の四人を自分の商館に誘った。ゲッティアは堅苦しいのは嫌いだと云うことで誘いを断ったが、シャズナ達3人は情報収集という目的もあり、誘いを受けることにした。
ゼバーノンの商館は街の中心部にあり大豪邸であった。
ゼバーノンが門をくぐると商館で働く従業員と執事やメイド達が「おかえりなさいませゼバーノン様。」と、一斉にこの館の主人を出迎えた。
メイドがいるということは、ゼバーノンの住居も兼ねているらしい。
この館の手前が商館になっているらしく、奥がプライベートな居住空間になっているようだ。
「こちらのお三方は暫く当館に滞在される。お部屋にご案内するように。」
「畏まりました。ではこちらへ。」
暫く滞在するなんて言ってないぞ、と3人は思いながら執事に従った。
執事に案内された部屋は豪華な客室であった。
大きなふかふかのベッドに家具や様々な調度品。どれも金貨10枚以上するであろうと予想される品物ばかりだ。
「スゴいな。これは」3人がくつろごうとすると「こちらは女性用のお部屋にございます」とユースとサーガはそれぞれ別の部屋に案内された。もちろんそれぞれ豪華な客室であったことは言うまでもない。
「それでは夕食の刻限が来ましたらお知らせに参りますので、ご自由にお過ごしください」と執事は退出した。
夕食迄には暫く時間がありそうなので、少しジャバリャンカの街を散策すると執事に伝えて3人は外出した。
さすがジャバリャンカの首都だけあり街は賑わっている。
あまり遠くまで足を延ばすと迷子になりそうなので近隣を歩くことにした。
「あのゼバーノンって人は信用出来るのかな?」ユースは先程から思っていることを口にした。
「そうじゃな、数日滞在することも勝手に決められたし、何か思惑があるのじゃろうて。」
「まあ良いじゃねえか、あれだけの豪邸だぜ。旨い飯と酒がタダで頂けるわい。」
「タダより高いものは無いとも言うけどな。」
シャズナがサーガに忠告した。
「何にせよ、もし何かあるなら今日の夕食の時にでも先方から切り出してくるでしょう。」とユースが締めくくった。
畏まった様子で執事が夕食の時間を告げに来た。
旅の服装では汚れているだろうと、3人には新しい衣服が用意されていた。こざっぱりした3人は食堂に案内された。
広い部屋の中にドーンと20人は横に並べそつな食卓がありユース達の後ろにはそれぞれ一人づつメイドが控えている。
ホストのゼバーノンはテーブル中央に腰掛けてメイド達に食事の合図をした。
するとメイド達が一斉に肉や魚貝をふんだんに使った豪華な料理の数々が広いテーブルに処狭しと並べていった。
「オオー!これはすげえゼ️」サーガは感嘆の声をあげた。「さあ、無事に到着したことを祝いまして細やかながらも祝宴の用意をさせて頂きました。どうぞお召し上がりください!」
テーブルを埋め尽くす程の料理が残り半分くらいになったとき(サーガが殆ど食べた)ゼバーノンが3人の今後の予定を聞いて来た。
ユースが代表して、これまでの経緯を交えて旅の目的をゼバーノンに話した。
「成る程、それは興味深い話ですな。"この世の果て"とは、良かったら私にも1枚噛ませて頂けませんか?」